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半田について

ハンダについて 投稿者:NB 投稿日:2012年 8月26日(日)02時53分33秒

配線(電気を通す部分)の材質に関してですが、アンプなどの内部その他、半田を多用してますが(最近は圧着方式も多い)、半田の音質に対する影響、半田の材質(PbSn、Sn95%Ag5%)などについてどのように考えておられますでしょうか?

小生は、数年前にアンプ(YAMAHAC2aなど 古い)の内部のプリント基板の半田(PbSn)をすべて取り除き、(Sn95%Ag5%)に置き換えたところ、音が良くなった経験があります。
単純に電気抵抗の減少では説明がつかず、いろいろ考えたところ、熱起電力の影響があるのでは?と考えました。小さな音量、もしくは、ヘッドアンプ(レコードのカートリッジ用)などの部分は、微弱な電圧で作動しているわけで。

ちなみに、スピーカーはYAMAHA NS-1000Mを使用してます。(スピーカーシステムはあまり半田は関係ないです)ベリリウムの中高音ユニットで、ウーファーは、NS-1000Xのピュアカーボンファイバーに変えてます。エンクロージャーの後ろは、長岡先生の記事を読んで、密閉タイプからバスレフに改造してます。スピーカーケーブルはモガミ電線の同軸OFC(800円/m)です。

Re: ハンダについて 投稿者:志賀 投稿日:2012年 8月26日(日)16時43分47秒 NBさん

半田についてはオーディオの科学のここに書いています

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/connectcable.htm#solder

結論は、ちゃんとした半田付けが出来ておれば音質劣化の原因にはならないということです。

> 小生は、数年前にアンプ(YAMAHAC2aなど 古い)の内部のプリント基板の半田(PbSn)をすべて取り除き、(Sn95%Ag5%)に置き換えたところ、音が良くなった経験があります。

個人の主観で変わったと感じられても証拠にはなりません。これについては、ここを参考にして下さい。

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/copernican.htm

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/objective.html

> 単純に電気抵抗の減少では説明がつかず、いろいろ考えたところ、熱起電力の影響があるのでは?と考えました。

熱起電力の影響ですがこれも考えにくいですね。

そもそも熱起電力は温度差があって初めて生じるものです。この場合は半田層と導線の界面間の温度差になりますが半田といえども金属なので熱伝導率は大きくほとんど温度差は生じないでしょう。ちょっと調べて見ると、ハンダ合金と銅の熱起電力は 3μV/℃くらいのようで、仮に温度差が0.1 ℃ あったとしてもμV 以下の微少電圧です。さらに、温度変化は静的なので雑音や歪みの原因にはならないでしょう。

最後にBBS過去録には


http://shigaarch.web.fc2.com/OldBBS/32solder.html

ここに関連話題が収録されています。

半田についてもう少し 投稿者:NB 投稿日:2012年 8月26日(日)19時59分40秒
志賀様、

いい音といった、主観に関する部分は、おっしゃるとおりと思います。私がオーディオを科学できてませんでした。当時レストアしたアンプが鳴ったときの感動が大きかったもので。

数年〜10年前に、私がレストアしていたアンプは、1970年後半ごろの製品で、小生が中〜高校生だったころの製品でその中には、志賀様が使われていたYAMAHA A-5の上位機種のA-7もありました。ヤフーオークションでとりあえず鳴る程度の物を安く買って、分解してレストアしてました。取り掛かる前に、プリント基板を注意深く観察していると、半田にヒビ亀裂が入っている物がありました。発生場所は、電源回路や、パワートランジスター周りのプリント基板です。半田が、綺麗にプリント基板に接合してないのではなく、半田そのものにひびが入ってます。写真があればよかったのですが。

私の考えは、昇温降温を繰り返すうちにヒビが入ったのでは。
共晶半田は抵抗値が高いので発熱が多い。
共晶半田は融点が低いので熱に弱い。
といったものです。

一方無鉛半田は、融点が高く、強度も有り、電気抵抗も少なく、きちんと接合していれば共晶半田より耐久性の面でも優秀だ、と考えてます。もっとも、現在では、現行製品で、共晶半田を使用している製品はほとんど無いでしょうから、無意味な議論になってますが。

ボリュームなどのガリに関しては、当時の部品の接点部分にはグリースを塗ってる物が多いですが、
そのグリースの材質が問題で、当時使われていた炭化水素系の物は、酸化経年劣化を起こし、硬化して絶縁材になってしまいます。現在品では、酸化劣化しないシリコングリース系のものを使用している、いや、もっと新しい方法のボリュームができてますね。

熱起電力の件ですが、アンプ内部は場所によって10℃以上の温度差があると思います。スピーカケーブル端では、等温だと思います。

Re: 半田についてもう少し 投稿者:志賀 投稿日:2012年 8月26日(日)22時13分13秒 NBさん

> ・・・一方無鉛半田は、融点が高く、強度も有り、電気抵抗も少なく、きちんと接合していれば共晶半田より耐久性の面でも優秀だ、と考えてます。

そうですね。耐久性の面では無鉛半田の方がすぐれているかもしれません。問題は「きちんと」半田付けするのがアマチュアには難しいようで、

http://shigaarch.web.fc2.com/OldBBS/32solder.html

ここでの議論はみなさん苦労しておられるようです。無鉛の半田付けに自信があるなら使われたらいいんではないでしょうか?

> 熱起電力の件ですが、アンプ内部は場所によって10℃以上の温度差があると思います。
これはちょっと誤解がありまよ。アンプ内部で温度差があっても(これはもちろん10℃くらいはあるでしょう。A級アンプや真空管アンプならもっと)、それが熱起電力に効くわけではありません。


熱起電力が発生するのは2種の金属の接点で、例えば、銅線と銅線を半田層を介してつないである場合、その半田層(多分厚さ0.1mm 以下)の両界面の温度が等しければ熱起電力は発生しません(銅と半田層間の界面に電位差があっても符号が違うのだけなのでキャンセルします)。

回路内に半田付けした接点が2か所ありその間に温度差があっても、個々の接点で電位差が生じなければ回路全体として電圧が発生するわけではありません。


また書かせてもらいました。 投稿者:NB 投稿日:2012年 8月27日(月)23時25分1秒 こんばんは、志賀様

熱起電力の件、たとえば、トランジスターの3本の足が、プリント基板に突き刺さった状態で半田付けしている部分を考えて見ます。足と基盤の銅との間隔は、大きい場合1mm程度になることがあります。

トランジスターは発熱してますので80℃以上ありましょうか、足の部分で80℃とすると、半田の部分の富士山の裾野のように末広がりの末端では、プリント基板の銅の温度になります。基盤の銅の温度は、基盤の銅がすばやく周りに熱を伝えているので60℃とします。ざっと20℃の温度差になります。3本のトランジスターの足の内の一本が、うまく基盤の銅に接触した状態で、半田付けされていた場合、その足に関しては、熱起電力はありません。

ざっとした強引な考察ですが、1個のトランジスターだけでも、アンバランスが生じます。といっても、たった60μVですが。この程度の電圧は、アンプ内部でのスピーカーへの出力段で起こったとしても、音質に影響ないと思いますが、プリアンプ部分ではどうでしょうか?小生、電子回路のプロでないので、プリアンプ部分でどの程度の電力が流れているのかすぐにはわかりません。

熱起電力の話題とは別で、かなり強引ですが、半田でスピーカーケーブルを作った場合、音質は同じでしょうか?

ケーブルの構造は同じで、導体のみ銅から半田に変えます。単純に電気抵抗が増えた分だけ音が小さくなる、それだけなのでしょうか。たぶん、大きい音が出ないので、、多少太くしてでも、試してみたいと思ってますが、誰か試した人がいれば、感想を聞いて見たいです。

Re: また書かせてもらいました。 投稿者:志賀 投稿日:2012年 8月28日(火)22時18分37秒
NBさん

>・・・ トランジスターは発熱してますので80℃以上ありましょうか、足の部分で80℃とすると、・・・・  プリアンプ部分ではどうでしょうか? 小生、電子回路のプロでないので、プリアンプ部分でどの程度の電力が流れているのかすぐにはわかりません。

なんだか議論のための議論になってきましたね。物理の問題として考えましょう。

最初の投稿では微弱電圧で作動しているところでの熱起電力の話だったので半田付け個所両面の温度差は十分小さいとして見積もったものです。アンプ後段のパワーが入るトランジスターだと話が違います。おっしゃるように熱起電力はもう少し大きくなるでしょう。ただ、作動電圧も大きいのでS/N比的には十分小さいのではないですか?


リアンプ部の温度上昇ですが私もちゃんとしたデータは知らないですが、電圧増幅が目的のオペアンプなどは動作中に触ってもそれほど熱くなっていないと思いますが? とても80℃もあるようには思えません。

それよりも、接合部に電位差が生じても、熱平衡に達しておれば温度はほぼ静的(static)なので、ノイズやひずみの原因とはならないと思いますよ。(むしろ通常のサーマルノイズの方が大きいと思います)

そもそもなぜ熱起電力が音質に影響するとお考えですか?


> 熱起電力の話題とは別で、かなり強引ですが、半田でスピーカーケーブルを作った場合、音質は同じでしょうか?  ケーブルの構造は同じで、導体のみ銅から半田に変えます。

半田ケーブルの話ですが、例えば1mmφ3m位の半田ケーブルだと往復で1Ω位になりますね。 この場合音量は多少(多分1dBほど)減少しますがアンプのボリュームを調整するのと同じで音質劣化の原因にならないでしょう。影響があるとしたらダンピングファクターの減少です。アンプのDFが十分大きい場合(200程度)ケーブルの抵抗により DF=10位に減少します。これが聴き分けられるかどうか微妙なところですね。

これについては、


http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/Audio.htm#Cable

で議論しています。

またDFがf特に及ぼす影響としては

http://shigaarch.web.fc2.com/OldBBS/DFandftoku.html

ここにデータがあります。

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