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ハンダの導電率

ハンダの導電率 投稿者:KB 投稿日:2006年11月 5日(日)01時05分53秒

AFの工作の部屋でハンダのことをいろいろご教示いただきましたが、銀入り、銅入りハンダなるものが、高音質オーディオ用として販売されています。作業性の悪さに閉口しているのはともかく、メーカーでは通常の無鉛ハンダより30%も抵抗値が少なくなると宣伝しております。

そこでご専門のお立場からご教示いただければ嬉しいのですが、
1,ハンダに銀、銅というのは合金化して混合できるのでしょうか?
2,それとも銀粉、銅粉で混ぜているだけなのでしょうか?
3,混合率は10%未満のようですが、その程度で30%も抵抗値を
 下げることが本当に可能なのでしょうか?
銀入りハンダのサイトを一部リンクさせていただきます。組成とかWBTは表示がありますが、あまり見てもわからない表記ばかりです。
http://homepage3.nifty.com/wako-tech/starthp/subpage10.html
http://oyaide.com/catalog/products/p-2812.html
http://www.uniongiken.co.jp/senhanda_kakaku_hyo.htm

Re ハンダの導電率 投稿者:志賀 投稿日:11月 5日(日)07時46分5秒   引用  編集済
KB さん:

<1,ハンダに銀、銅というのは合金化して混合できるのでしょうか?>

2つ以上の金属を高温にし一旦溶かし冷却固化したものは広い意味では全て合金といって差し支えありません。この場合大まかには、互いに原子状態で溶け合う固溶合金と、互いに少しずつ溶け合った多相合金に分けられます。前者の場合の抵抗値は純金属の平均値より大きく増加します。後者の場合はケースバイケースです。

ここを参考にして下さい。

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/materials.htm#alloy

<2,それとも銀粉、銅粉で混ぜているだけなのでしょうか?>

無鉛ということであれば錫に銀や銅を混ぜていると思いますが、この場合ほとんど溶け合わず錫の中に錫が少しとけ込んだ銀或いは銅が混ざっているという状態だと思います。ただ、銀(銅)の溶ける温度まで上げて作った合金なら銀粉、銅粉を混ぜているだけというイメージではありません。

<3,混合率は10%未満のようですが、その程度で30%も抵抗値を下げることが本当に可能なのでしょうか?>

そもそも何と比較して下がるのかよく分かりませんが、比較するものによっては、数値はともかく下がることはあり得るでしょう。ケースバイケースということにしておきます。これ以上は特定の製品についてのコメントになりますので差し控えます。

一般論としてHP内でハンダについて触れている部分は
http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/connectcable.htm#solder
です。

アマチュアが使う場合は何よりもハンダの「ぬれ性」「なじみ易さ」を優先すべきだと思います。


Re: Re ハンダの導電率 投稿者:KB 投稿日:11月 5日(日)13時34分28秒
志賀さん

<<2,それとも銀粉、銅粉で混ぜているだけなのでしょうか?>>

< 無鉛ということであれば錫に銀や銅を混ぜていると思いますが、この場合ほとんど溶け合わず錫の中に錫が少しとけ込んだ銀或いは銅が混ざっているという状態だと思います。ただ、銀(銅)の溶ける温度まで上げて作った合金なら銀粉、銅粉を混ぜているだけというイメージではありません。>

了解できました。ただメーカーの説明ではこの辺はまったく不明です。ところで前者の解け合わないで、粉末のように錫内に銀粉や銅粉が散在している場合にも抵抗値への影響はあるのでしょうか?

<<3,混合率は10%未満のようですが、その程度で30%も抵抗値を下げることが本当に可能なのでしょうか?>>

< そもそも何と比較して下がるのかよく分かりませんが、比較するものによっては、数値はともかく下がることはあり得るでしょう。ケースバイケースということにしておきます。これ以上は特定の製品についてのコメントになりますので差し控えます。>

この辺もオカルトか嘘科学とは申しませんが、本当は市販されていてホームセンタなどで通常手に入る電子工作用ハンダと比較して欲しいところです。日本にはアメリカと違って他社とのあからさまな性能比較を広告する商習慣がないようですが、せめてA社、B社という表記位で示してその抵抗値を示して欲しいですね。銀ハンダと比べてだけの記載がありますが、銀アクセサリーをくっつける銀ハンダとの比較なのかさっぱりわかりません。

<アマチュアが使う場合は何よりもハンダの「ぬれ性」「なじみ易さ」を優先すべきだと思います。>

これはまったく同感で、メーカー経験者、ベテランの方も同様のお考えのようですので安心いたしました。単に腕が悪いのかと思っていたものですから。ただ若葉マークの初心者が作るだろうキットモノの推奨ハンダで、無鉛銀入りを掲げられている現状には大いに???を抱きます。だいたいキットを売っている通販サイトを覗くと、ハンダにはこの銀入り無鉛が売られています。

Re2 ハンダの導電率 投稿者:志賀 投稿日:11月 5日(日)20時37分42秒
KB さん

<了解できました。ただメーカーの説明ではこの辺はまったく不明です。ところで前者の解け合わないで、粉末のように錫内に銀粉や銅粉が散在してい>る場合にも抵抗値への影響はあるのでしょうか?>

ご質問の意味がよく分かりません。すでにケースバイケースと答えているはずですが?

合金の抵抗率は組成だけでなく熱処理によっても結構変わります。ハンダ付け前と後でも変わるでしょう。

いずれにせよハンダで付けた接点の抵抗値はハンダ材料の抵抗率よりも厚み面積などハンダ付けの仕方でほとんど決まります。従ってアマチュアが使う場合は最もハンダ付けの容易な鉛錫ハンダを使うのが無難です。

Re: Re ハンダの導電率 投稿者:HD 投稿日:11月 5日(日)22時24分35秒

<<アマチュアが使う場合は何よりもハンダの「ぬれ性」「なじみ易さ」を優先すべきだと思います。>>

< これはまったく同感で、メーカー経験者、ベテランの方も同様のお考えのようですので 安心いたしました。単に腕が悪いのかと思っていたものですから。 ただ若葉マークの初心者が作るだろうキットモノの推奨ハンダで、無鉛銀入りを掲げら れている現状には大いに???を抱きます。 だいたいキットを売っている通販サイトを覗くと、ハンダにはこの銀入り無鉛が売られて います。>

無鉛半田は環境保護の立場から半田の無鉛化が推進されているようです。既に電気機器メーカの多くが使っており「鉛入り半田」は使わないと宣言したメーカもあります。但し、無鉛半田、例えば「成分 スズ 銀 3.0% 銅 0.5%」の場合半田付け温度が217〜220度と従来の半田より高いのでアマチュアには使い難い、下手すると「てんぷら状態」になりやすいのでしょうね。 但し、高い温度でやると濡れ性は悪くないようです。

Re: Re ハンダの導電率 投稿者:RS 投稿日:11月 5日(日)23時14分39秒   引用
HD さん

<環境保護の立場から半田の無鉛化が推進されているようです。>

国立大学が法人化された結果、一般企業と同様に「労働安全衛生法」が適用されるようになり、これまでのように実験室などで気軽に鉛入り半田を使用できなくなってるということです。

Re2ハンダの導電率 投稿者:志賀 投稿日:11月 6日(月)09時25分14秒
HDさん、RS さん:

< 環境保護の立場から半田の無鉛化が推進されているようです。>

おっしゃる通り環境面ではもちろん鉛は感心しません。特にメーカーの場合労働者の健康管理の面からも製品廃棄時の環境汚染の面からも規制は当然だと思います。

ただアマチュアが細々と自作する場合は・・・・?

最近金属学の分野でも無鉛ハンダの開発は重要な研究課題になっているようですが、なかなか決定打は出ないようですね。銀入りは性能は良くてもコスト面で大変ですから銀も使いたくないようです。

以前見つけたハンダの性能比較のサイトを紹介しておきます。
http://www.nihonsuperior.co.jp/products/leadfree/comparison.html
作業行程がちゃんと管理出来る工場生産の場合は少なくとも性能面では無鉛ハンダでも十分のようです。

Re: Re2 ハンダの導電率 投稿者:KB 投稿日:11月 6日(月)15時49分51秒
志賀さん

<いずれにせよハンダで付けた接点の抵抗値はハンダ材料の抵抗率よりも厚み面積などハンダ付けの仕方でほとんど決まります。従ってアマチュアが使う場合は最もハンダ付けの容易な鉛錫ハンダを使うのが無難です。>

わかりにくい質問で恐縮です。たしか技術誌でハンダとリード、パターンの結合の電子顕微鏡写真らしきものを見たことがあります。いずれにしても、上記のとおり、セオリー通りのハンダ付がなされれば、その抵抗はケーブル以下であろうと理解いたしました。

Re: Re2ハンダの導電率 投稿者:HD 投稿日:11月 6日(月)16時16分45秒
志賀さん、皆さん:

<ただアマチュアが細々と自作する場合は・・・・?>

使う量もしれてますし、健康上問題になるとは思えませんですね。

ちょっと脱線しますが、オーディオルームに限りませんが、防音対策には価格的や比重その他の特性から「鉛」板を挟んだ、遮音合板壁材や、遮音(ビニール)シート、防音ドアなどが広く使われています。

ハンダの導電率ですか 投稿者:MT 投稿日:11月10日(金)17時33分5秒

考えたこと無かったです。私は鉛レスのハンダは使いません。理由は上手く付かないからです。40度近い融点の差は自分にはどうしようもありません。私は30年以上鉛の水道管で水を飲んでいました。何を今更という気もしますが、まあこれからのことを考えると使わない方が良いのでしょうが.... ハンダのことですが、私は共晶ハンダを主に使います。一番作業性が良いですね。銀入りは銀メッキの部品を付ける時だけです。ハンダ濡れがあまり良くないですので.... 良い銀入りハンダもあるのでしょうけど....

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銀が高周波に不利? 投稿者:ME 投稿日:11月15日(水)23時57分44秒

『導線の材質』『銀線』『2. 表皮効果』
<表皮厚は比抵抗の平方根に比例するので銀線のほうが薄くなる。表皮厚が薄いということはそれだけ表皮効果が顕著になるということなので、銀線の方が不利>


これは誤りでしょう。

A材料の抵抗率はB材料の0.5倍ならA材料の表皮厚は B材料の0.7倍→実効導通面積もB材料の0.7倍 A材料を使うとB材料より抵抗が 0.5/0.7=0.7 倍と小さくなるはずですよ

メカ技術者でしたが、GHz帯の部品で、銅の素材に銀メッキをして使っていました。それが要らないはずはない?

Re 銀が高周波に不利? 投稿者:志賀 投稿日:11月16日(木)18時31分8秒
ME さん:

いいたかったことは、直流(或いはオーディオ周波数)抵抗値に対する高周波での減衰率において不利と言うことです。一応「高周波電流の減衰がより顕著」と書いてあります。表皮部の断面積比の減少が銀の方が顕著ということです。

同じ断面積、長さの銀線と銅線を比較するとおっしゃるように抵抗値そのものは全周波数帯に渉って銀線の方が小さくなります。

<メカ技術者でしたが、GHz帯の部品で、銅の素材に銀メッキをして使っていました。それが要らないはずはない?>

はい。GHz帯だとほとんど表面層のみ電流が流れるので当然銀メッキした方が抵抗値は小さくなりますね。

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