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コンデンサー スピーカーの歪み特性

掲示板でも話題になったコンデンサースピーカーは典型的な全面駆動型スピーカーで、動電型のような局在駆動型に比べ振動板に剛性を必要とせず、強度さえ保てれば、いくらでも薄くて軽い膜が振動板に使えるので、分割振動も起こらずいわば理想的なスピーカーとなる可能性を秘めている。が、しかし、

(1) 高音で鋭い指向性が生じる。
(2) 背面圧の回り込みによる低音の減衰を防ぐのが難しい。
(3) パルシブな低音によって生じる反作用力による有害な振動が生じる
(3) 低音で振幅が大きくなり、振動板が極板に近づくと非直線性が大きくなり歪みが生じる。
(4) 我が国のように湿度が高い環境ではスパーク放電により振動板膜が損傷しやすい。
(5) これらの欠点を克服しようとするとかなり高価になる。(それでも完全には克服できない)

といった、致命的とも言える欠陥があるのであまり普及しない

*注 Q社の製品は何回かモデルチェンジしており、現在ではこれらの問題点はかなり改善されているようである。
比較的新しい製品の記事が
http://www.stereophile.com/floorloudspeakers/720/index.html
で見られる。

しかし、一度その音を聴くと後へは戻れないという人もいるようで、中高音域の音のクリアさは抜群との評判である。私自身、その昔、コンデンサートゥイターを使ったことがあり、そのクリアな音に魅せられた。

これらのことは、歪み率の測定データからも明瞭に読み取れるので、比較のため、いくつかのハイエンド動電型スピーカーとあわせて、その周波数特性を掲載しておく。

特に、多くの楽器や、音声の基音が含まれ、スピーカーの音色を決定する 200Hz〜4000Hz での歪み率が0.1% を遙かに下回り、他の高級スピーカーと比べても1桁あるいはそれ以上の差があることは注目に値する。

以下、縦軸(左)は1W入力の時の1m前方での音圧(dB) 高調波の音圧強度と出力音圧(約80dB)との差が、60dB で歪み率0.1%に相当する。

データはStereo Sound 誌 No.155,156 より

Q社
コンデンサー型

\1.100,000(ペア)



モニタースピーカ

英国B社フラッグシップモデル

25cm ダブルウーファー ボトムバスレフ 

\3,000,000(ペア)

量産されているダイナミック型スピーカーシステムでは最高のパフォーマンスを示す製品といっていいだろう。

B&W 800D
WF:25cmx2,MID:15cm,TW:2.5cm
クロス:350Hz,4KHz
W450xH1180xD645/125kg



ヴィンテージスピーカ

英国T社製

30cmウーファー  リアバスレフ

\1,700,000(ペア)

多くの愛好家のいる同軸型スピーカーシステム

低域の歪み率が高く、かなり個性的な音がするものと思われる。

タンノイ Yorkminster/TK
WF:30cm ,TW:ホーン 
クロス:1.1kHz
W620xH1080xD447/61.5kG


近代的スピーカ

S社製

18cm ダブルウーファー  リアバスレフ

\1,140,000(ペア)

ソナス・ファーベル Cremona
WF:18cm、Mid:15cm、TW:2.5cm
クロス:300Hz、3.5kHz
W300xH1100xD460/36.8kG



ホーンスピーカ

ドイツA社製

低域はアクティイブ サブウーファー

\2,000,000(ペア)

きわめて高能率だが歪み率は大きい

アバンギャルド Uno
WF:25cmx2(コーン)、Mid、TW ホーン
クロス:220Hz、3.5kHz
W570xH1490,D660/60kg

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