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CDの出力波形と音質

CDにサンプリング周波数(44.1kHz)より遙かに低い、例えば1000Hz の正弦波を、最下位ビットの変化に対応する微小レベル(20log(2/2^16)=-90dB)で録音再生すると、一昔前のCDであれば矩形波を出力する。これを見てCDの音は醜いという先入観を植え付けられ、CDの音は悪いと感じてしまう人がいるようである。しかし、-90dB といえば、テープレコーダやLPレコードなどのノイズレベルを遙かに下回る微少信号でこれが原因で音質が劣化するとは考えられない。もっとも、最近のCDプレーヤでは、アップビット補間処理されるものが多いのでこの心配も杞憂である。

CDの正弦波再生波形 投稿者:MTK 投稿日:2009年 5月26日(火)15時22分21秒  

Stereophile誌の公開されているレビュー記事には必ず測定データがついています。CDPの1KHz正弦波をみるとどれも「酷い形」をしています。例;

http://stereophile.com/cdplayers/807chord/index5.html

オーバサンプリングしたものはかなり正弦波に近いですね。この違いは聴感上無視できないのではないでしょうか?でも正弦波に近いといわれるパイプ・オルガンやフルートの再生にあまり違和感がなく、ヴァイオリンの高音フォルテがもっとも違和感(生音にくらべ)あります。酷い例は、古いですがグルダ、アバドのモーツァルトPコン・NO.20、NO21のCDです(弦の高音とピアノの高音がウスッペラ/金属的で聴くに耐えないーまた低音域はカットされているような音)。このようなCDをオーバサンプリングできるCDPで聴くとどうなるんでしょう? ちなみに小生のCDPはP社の古いPD−HS7(レガートリンク・コンヴァージョンつき)とSTAXのコンデンサ・ヘッドフォンです。同じホール(ムジークフェライン)で同じ年代(双方ADD)に録音されたアバドのマーラーNO3、NO4などはは、そこそこ柔らかい高弦の音が再生できます。録音技師の違い、録音機器の違いとは思いますが、上記酷いといったのと同様に高弦がキンキンする録音も多く(特に70年代ー80年代のDGG録音)CDPを(アップサンプリングするタイプに)換えれば改善するものなのでしょうか?(これが質問の趣旨です)。それとも、もともと録音が悪いから(FFTで分析した方いたら教えて下さい)どうしようもないんでしょうか?

追記;上記モーツァルトの曲は同時期に演奏会録音(オースリア放送協会)をNHK/FMで放送しており、これをオープン・リール・テープに録音しました。ノイズはあってもCDとは桁違いの良い音でした。それを記憶しており上記CDに期待していたのですが聴いてがっかり。残念ながらオープン・リール・デッキを廃棄してしまったので再現比較できませんが。

Re CDの正弦波再生波形 投稿者:志賀 投稿日:2009年 5月26日(火)20時42分25秒 MTK さん

>Stereophile誌の公開されているレビュー記事には必ず測定データがついています。CDPの1KHz正弦波をみるとどれも「酷い形」をしています。・・・・

そのステレオファイルの波形は-90dBレベルの極微少信号ですよ。もしこのレベルの信号をオープンリールデッキで録音再生し、この場合と同じスケールで表示すると、どんな波形になるかおわかりになりますか? ちなみに、業務用テープレコーダーのS/N比は 約-60dB 程度だそうです。

また、ここでは主観によるご意見は採り上げないことにしていますので悪しからず。


(無題) 投稿者:MTK 投稿日:2009年 5月26日(火)21時23分5秒
志賀さん、

ご教示ありがとうございます。確かに−90dBの「微小信号」の波形ですね。初歩的な質問ですが、もっと大きな信号の場合波形は良い形になるのでしょうか(ノイズ分であのようにに波形が乱れるるんでしょうか)? それとも16ビットではしょせん似たような波形になるのでしょうか?

Re 無題 投稿者:志賀 投稿日:2009年 5月27日(水)06時02分24秒    
MTK さん

>ご教示ありがとうございます。確かに−90dBの「微小信号」の波形ですね。初歩的な質問ですが、もっと大きな信号の場合波形は良い形になるのでしょうか

はい。もちろんそうです。

>(ノイズ分であのようにに波形が乱れるるんでしょうか)?

まず理解してほしいのは、-90dB の信号は16bitのLSB(最下位ビット)の変化分に相当する大きさで、これをD/A 変換すると当然矩形波になります(小さなぎざぎざはノイズです)。しかし、この大きさの信号を、例えば-60dB のS/N比のテープレコーダで録音しようとしてもノイズレベルの約1/30 なのでノイズに埋もれ録音できません。

>それとも16ビットではしょせん似たような波形になるのでしょうか?

16ビットであろうと、24ビットであろうとLSBレベルの信号をD/A変換すれば、矩形波になります。

これは私の想像ですが、いわゆるアンチデジタル派は、よくデジタル録音の原理の説明に使われる、

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/Audio.htm#Player

このような図を見て、デジタルの音は「酷い」という先入観をもたれるんではないでしょうか? もし、ビット数が数ビットならこんな感じになりますが、例えばパソコンのモニターの縦軸分解能は1024ピクセル つまり、10ビットの精度(テープレコーダーのダイナミックレンジに相当)ですね。したがって、波形を視覚化した場合、10ビットの分解能を持ったDACなら画面上で完全にスムーズなサイン波となるわけです。16ビットなら、さらにその64倍の精度があるわけです。そのように考えると、CDはテープレコーダーを遙かに凌ぐ高い分解能(忠実度)を持った録音方式だといえると思うんですが?

「酷い」音のCDがたくさんあるのは確かですが、その原因はCDのフォーマットによるものでなく、別の原因によるものでしょう。

最後に、最近のCDプレーヤーでは、-90dB の正弦波もアップビット補間処理でサイン波に戻しているという例を挙げておく。

http://denon.jp/catalog/pdf/cdplayer_21.pdf

このカタログの2ページ右欄の技術解説に波形写真付きで説明してある。私見ではここまでやる必要があるのか少々疑問である。

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