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ブラインドテストと興味の有る無し

話題の2(興味のあるなし) 投稿者:MO 投稿日:2009年 3月30日(月)03時54分49秒

もう一つは、ここでもさんざん議論されている、ブランドテストと「主観」の問題です。客観的な指標として、ブラインドテストの意義について先生がよく論じておられるのは、わかっているつもりです。

で、このときの客観性の反対側にあるものは、「主観=先入観」だと思って、理解しておりました。「高いモノを買ったんだから良い音がするはずだ」「銀線だからしなやかな音がしそうだ」というのは先入観ですね。先入観が、実際に「よい音」と感じることに影響はありそうだと思ってます。ワインも、「このワインは高価ですよ」と予め知らされたとき、実際に脳のうまいと感じる部分がちゃんと反応してるんだそうですね。

さて、話題にしたいのは、この「先入観」とは別な話で、「興味のあるなし」です。たとえば、BSテレビの音声規格、AACの圧縮率を決めるときにブランドテストをやったであろうという。それは客観的なデータかもしれない。

でも心配なのは、その時集められた人は、オーディオマニアではなく、たぶん一般人だったろうと思うのです。ぼくは、家や事務所でかなり高級なオーディオ装置を使い、いい音だなあと思って聞いていますが、客人が「いい音ですね」と言ってくれたことはありません。「いい音でしょ」とぼくから聞くと、たいていはきょとんとしています。つまり、一般人というのは、音に興味がないですね。

ぼくら人間には、猿山のサルは、みな同じ顔に見えます。アメリカ人にとっては、日本人と中国人の区別がつかない。でも、サルにはお互いに区別がついているはずです。日本人にとっては、中国人とは全然違うよ、と言いたいですね。ぼくらにとっては、若い人のアイドルは同じ顔に見えます。でも、若い人は、それぞれをちゃんと識別しています。(男はAV女優を識別できるが、女から見るとどれも同じに見えるそうです)

つまり興味がある人は違いを識別でき、興味がない人にとっては、同じに見える。これは、耳の聴力とは全然別次元ですし、また先入観の有無とも違う話ですよね。

で、先生のサイトにはアンプは10万円を超えたら、だいたいどれも同じような音がすると、ミもフタもないことが書いてありますが、実は、ぼくもずーっと、ほとんど同様に思っていたんです。で、今になって思うのは、それはその時の経済的な条件があって、もっと高価な機械に興味がなかったからではないのか? ということなんです。

というのも、その後ネットオークションがかなり普及して、ぼくも興味をもっていくつか売買してるうちに、お店で買うときとは、全然違う価格帯の商品に興味がいくようになったわけです。

ぼくのアンプ遍歴は、8万円→16万円→33万円→65万円と、まさに倍々にグレードアップしてきたわけですが、これはオークションのおかげです。お店で買うだけの時代ならば、とてもこういうグレードアップはできなかった。で、16万円のアンプを使っていたときは、これ以上のアンプはいらない。このあとはグレードの違いじゃなくて、微妙な趣味の違いにすぎないと思っていたんです。でも、いま65万円クラスのアンプを使うようになって思うことはやはり、どれも段階を踏んで音質が向上しているとはっきりわかるわけです。

一つの解釈として、10年前のぼくは、20万円以上のアンプになんて、全く興味がなかった。だから、識別ができなかったのではないかと。

今、オークションで65万円のアンプも10万円台で買えるようになった。そこで、ぼくの興味がそのへんまで拡がってきた。だから、音の違いを識別できるようになったのではないか。とすると、ブラインドテストの客観性とは別の話で、ちゃんと違いを識別できる人はいる。それは興味のある人だ。興味があるかどうかは、その時のサイフの事情にもよる。

ブランドテストをするときは、音に興味がある人を集めるのか、興味のない一般人を集めるのかで、客観的な結果もずいぶん変わってしまうのではないか、というのが、ふたつ目の話題です

Re  話題の2(興味のあるなし) 投稿者:志賀 投稿日:2009年 3月30日(月)11時06分3秒    
MO さん

>もう一つは、ここでもさんざん議論されている、ブランドテストと「主観」の問題です。

この件に関しては、まず

>ぼくのアンプ遍歴は、8万円→16万円→33万円→65万円と、・・・やはり、どれも段階を踏んで音質が向上しているとはっきりわかるわけです。

この部分、半導体アンプですか?

また、「はっきりわかる」とはブラインドでも分ると言う意味ですか? もちろん、実際に厳密な方法で実施されたのかどうかという質問です。

まず、この答えを聞いてから本題に入りましょう。



Re 主観 投稿者:志賀 投稿日:2009年 3月31日(火)10時00分41秒       
MO さん、

MO>主観の話は、ちょっと寝かせて、少し考えてからレスします。

そうですね、この話題はデリケートです。下手に議論すると人間関係を壊してしまいます。そういうこともあって予防線を張っておいたのです。

主観・客観の話は、


http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/objective.html

ここに書いておいたんですが如何でしょう?

ちなみに、このページGoogleで「客観的事実」をキーワードとして検索すると現在Topにあり高く評価されているようです。

>おもしろい視点を提案したような気がしてたんですが・・・

この点に関して、上に書いた理由で、MOさんの個人的体験には触れないことにして、私の知る事実関係だけを記しておきます。

>さて、話題にしたいのは、この「先入観」とは別な話で、「興味のあるなし」です。たとえば、BSテレビの音声規格、AACの圧縮率を決めるときにブランドテストをやったであろうという。それは客観的なデータかもしれない。でも心配なのは、その時集められた人は、オーディオマニアではなく、たぶん一般人だったろうと思うのです。

そうではないと思います。例えば、

http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0504/14/news003_2.html

ここにあげた例では音響技術のプロを集めたと書いてあるし、圧縮音評価ではないですが

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/NHKreport486.html

ここの被験者もプロのようです。

さらに、CDの規格を決めるときに行なった、大がかりなブラインドテストもやはりスタジオエンジニアを対象にして行なったそうです。ちなみにこのテストでは日頃耳に自信のあるエンジニアが自信を喪失して精神不安定になった人もあるとか読んだことがあります。

つまり、新しい規格の作成や、放送技術の開発のためには、音のプロを対象にかなりシビアなブラインドテストが行なわれているようですよ。一旦規格を決めると簡単には変えられず、経営戦略にも影響するので、そうせざるを得ないんだと思います。むしろ、学術研究として、平均的な人間の聴覚をテストするためには一般人を対象とすることが多いんではないでしょうか?

>・・・で、先生のサイトにはアンプは10万円を超えたら、だいたいどれも同じような音がすると、ミもフタもないことが書いてありますが、・・・

アンプについては、

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/ampblind.htm

ここは見てもらいましたか? 特に

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/ampblind.htm#hiend

ここなどは、日頃耳自慢の猛者ばかりを集めているようですよ。

>ブランドテストをするときは、音に興味がある人を集めるのか、興味のない一般人を集めるのかで、客観的な結果もずいぶん変わってしまうのではないか、というのが、ふたつ目の話題です。

それはそうだと思います。ブラインドテストの場合は、興味がないのに集中して聴こうとしないでしょうから信頼度も低いでしょう。ただし、十分興味があっても、ここでいう「完成度の高い」機器に関しては、結局聴き分けられないことが多いのはいろんな例を見てもわかります。

一方オープンテスト(何を使っているかを知って行なう聴感テスト)の場合は、「興味がある人」はその分「思い込みが激しい人」ともいえるので、客観的評価としてはかえって信用できないんではないでしょうか? むしろオーディオ装置には関心のない、演奏家の感想の方が参考になるような気がします

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