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アンプのエージング

コンデンサーのエージング効果から始まりアンプにエージングの効果があるかどうかの議論です。

コンデンサのエージング
投稿者:LK 投稿日:2008年11月22日(土)08時00分56秒  

オーディオ機器全般(とくにアンプ)のエージングに興味をもったのですが、信頼できる1次情報(論文や論文を引用した解説)を見たことがなくて、
志賀さんのサイトにもケーブル以外の記事が見つからなかったため、ここに書いてみます。

一言にエージングといっても範囲が広すぎるので、巷でよく言われるコンデンサについて考えますと、半田付けの際の熱でコンデンサ(内部の誘電体?)が変質するため、長時間通電してそれを元の状態(ベストの状態)へと戻す必要があるようなことがよく書いてあります。細かい前提条件をすっとばしますが、ということは、例えばコンデンサの足を長くして、半田付けの熱の影響がないようにするとエージングの必要はないということでしょうか?

また、コンデンサのエージングには200時間とかかなり長い時間かかるようなことが書かれていますが、個人の聴感上の話だけで、科学的な実験データは見たことがありません。(コンデンサあるいはアンプの)エージングで、使用時間経過と共に周波数特性などが変化していくよといった信頼できるデータってご存知ですか?

もちろん熱の影響はコンデンサの種類や大きさによって全然異なるとは思います。半田付け前の出荷時の状態で、容量の個体誤差があるように、コンデンサ内の誘電体が均質じゃない可能性も考えられます。また、高級アンプメーカーの場合、エージングしてから出荷している場合もあるでしょう。

まとまりがなくなってしまいましたが、こういったエージングの効果について何かデータや考えがあればコメントお願いします。

Re コンデンサのエージング 投稿者:志賀 投稿日:2008年11月22日(土)18時39分50秒  
LK さん

>オーディオ機器全般(とくにアンプ)のエージングに興味をもったのですが、信頼できる1次情報(論文や論文を引用した解説)を見たことがなくて、志賀さんのサイトにもケーブル以外の記事が見つからなかったため、ここに書いてみます。

いえ、エージング効果が期待できるのはスピーカーだけだと言っているつもりなんですが?

>一言にエージングといっても範囲が広すぎるので、巷でよく言われるコンデンサについて考えますと、半田付けの際の熱でコンデンサ(内部の誘電体?)が変質するため、長時間通電してそれを元の状態(ベストの状態)へと戻す必要があるようなことがよく書いてあります。

さて、どんな文献に書いてあったんでしょうか? 色々理屈が付けてあるのかもしれませんが、結局の所マニアの主観に基ずく経験談ではないでしょうか?

コンデンサーの場合、基本的に経時変化は劣化以外にはないと思います。その劣化も電解コンデンサー以外では、聴いてわかるような特性変化をもたらしたり、トラブルの原因になることはまずないと思います。 従ってエージングで特性が向上したりすることは考えにくいですね。

>(コンデンサあるいはアンプの)エージングで、使用時間経過と共に周波数特性などが変化していくよといった信頼できるデータってご存知ですか?

コンデンサーが原因だとすると、電解コンデンサーは劣化が無視できない程度に進むようです。それによると思われるトラブルは私自身経験があります。

>まとまりがなくなってしまいましたが、こういったエージングの効果について何かデータや考えがあればコメントお願いします。

具体的には知りませんが、各メーカーはいろんな環境下での耐久試験はやっていると思います。

RE: コンデンサのエージング 投稿者:HD 投稿日:2008年11月22日(土)19時57分47秒    
横から失礼します。

アンプなどの所謂エージングと直接の関係はないですが、電解コンデンサの製造過程の最終検査の前の工程にエージングというプロセスがあります。 温度、印加電圧、時間等の条件は各メーカのノウハウと思います。

○エージング(再化成工程、初期不良除去工程)アルミニウム電解コンデンサの誘電体である酸化皮膜は化成工程で形成されるが、スリット面や接続部はアルミ金属地金が出ており、又、巻取工程等でも酸化皮膜表面にクラックが入ることがある。従って、コンデンサとして機能する為には、これらに再度酸化皮膜の形成をする必要がある。高温中で一定の電圧を印加し電解液の皮膜修復作用を用いて、金属地金部分と酸化皮膜の弱い部分を再化成すると共に初期不良品を最終検査で除去する為。

アンプのウォーミングアップ 投稿者:US 投稿日:2008年11月22日(土)22時52分59秒  

アンプは電源を入れた直後とウォーミングアップした後では音が変ると言われており、そのために音楽を聴く1乃至2時間程度前に電源を入れておくと良いと言われています、このことはコンデンサーの動作性能が大きく影響しいると思われますが、この音の違いは歪み率として測定器に現れるものでしょうか。

Re: コンデンサのエージング 投稿者:LK 投稿日:2008年11月23日(日)00時38分50秒 志賀さん

コンデンサにエージングはありませんかー

> いえ、エージング効果が期待できるのはスピーカーだけだと言っているつもりなんですが?

このページを見たのですが、
http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/aging.htm
スピーカーはエージング効果あるけど、ケーブルにはないとは書いてありますが、アンプについては言及していなかったので。ほかのページが見つからなかったのですが、もしないならアンプのエージングについても考察があるとよいですね。あとスピーカーのエージングについては実験データが見たいですね。

> >半田付けの際の熱でコンデンサ(内部の誘電体?)が変質するため、長時間通電してそれを元の状態(ベストの状態)へと戻す必要があるようなことがよく書いてあります。
>
> さて、どんな文献に書いてあったんでしょうか? 色々理屈が付けてあるのかもしれませんが、結局の所マニアの主観に基ずく経験談ではないでしょうか?

どれと言われると適当な文献がないから困っているのですが、「エージング コンデンサ」で検索するとたくさん出てきます。主にアンプ自作系サイトが多いと思います。

# 検索してて思ったんですけど、真空管にもエージング効果はないのかなぁ??

ちなみに、私の発言のスタンスは、コンデンサにエージング効果あるのかわからないので、ある/ないいずれにしろ実験データとその理論的な裏付けが知りたいということです。

> コンデンサーの場合、基本的に経時変化は劣化以外にはないと思います。その劣化も電解コンデンサー以外では、聴いてわかるような特性変化をもたらしたり、トラブルの原因になることはまずないと思います。 従ってエージングで特性が向上したりすることは考えにくいですね。

ということは逆に電解コンデンサには(特性が悪くなる方向に?)エージング効果があるということですね →HDさんの記述に続く…

> HDさん

なるほどー。当たり前ですけど、ちゃんと試験してるんですね。で、

> 高温中で一定の電圧を印加し電解液の皮膜修復作用を用いて、金属地金部分と酸化皮膜の弱い部分を再化成するあたりの文章が、コンデンサにはエージング効果がるという話につながっていったんでしょうね。

> US さん

コンデンサはわからないのですが、オペアンプは温度によるゆがみ率(V/℃)の変化がデータシートに記載されているものもあって、古いものは温度変化(室温から定常動作温度まで)が無視できないくらいのゆがみが現れるものもあります。この変化は測定器で測ればもちろん検出されます。ものによっては耳で検知できるほどだと思います。定常温度になるまでの時間(1、2時間)は耳で聞いての変化という根拠しかないと思います。

↑わかりやすい引用先がすぐに見つからなかったので、記憶があやふやですが…

Re: コンデンサのエージング
投稿者:NS 投稿日:2008年11月23日(日)06時37分21秒 LKさん

> もしないならアンプのエージングについても考察があるとよいですね。 あとスピーカーのエージングについては実験データが見たいですね。

25年前くらいの無線と実験に記事があった覚えがあります。数年間使用したSPユニットと新品のSPユニットを同じ箱に付けてf特の測定結果を示していました。SP BOXの製作記事に記載されていました。一番目立つ違いは低域が古いSPが10Hz程度低く、f0も低下していた。考察としてエッジなどが長年の動作で柔らかくなったのであろうと結んでいました。

ついでにエッジの張り替え記事も同紙で読みましたが、ゴム製ロールエッジに張り替えたらfoもメーカ-カタログ値よりも高く、腰高い音だったので、ふたたび取り外してロール部分をへらでゴシゴシとこすって柔らかくしてfoをあわしたという記事もありました。

-下は書き散らし。-

図書館で所蔵しているのならばお探しになったらいかがでしょうか。70年代から90年代前半までコンデンサーなどの事もいろいろ書いてあり、面白かったです。ただし、図書館は雑誌を捨てる場合が多く、ほしい刊がすでに廃棄されている場合があります。ダメ元で調べに言ってみると良いと思います。
また、ラジオ技術、無線と実験は学術論文ではなく、読み物として心得て読んだ方が良いです。ラジオ技術、無線と実験、電波科学、ラジオの製作、初歩のラジオなどの出版社は、過去のアーカイブとして全巻CD-ROM化して図書館に買わしてほしいですねえ。

Win95が発売される前後に無線と実験の編集室もそのような動きはありましたが、
アンケートを取ったところ、読んでいた方々がパソコンすら触ったことが無いような高齢の方が多く、反対意見が多いため頓挫したという事もありました。
今考えれば提案した編集者は先見の明があったということですねえ。

Re: コンデンサのエージング 投稿者:HD 投稿日:2008年11月23日(日)10時26分45秒    
LKさん:

>真空管にもエージング効果はないのかなぁ??

真空管はカソードから電子を出す能力(エミッション)が使用時間と共に劣化します。

> コンデンサにエージング効果あるのかわからないので、ある/ないいずれにしろ実験> データとその理論的な裏付けが知りたいということです。

アルミ電解コンデンサではないですが、セラミックコンデンサでこういう論文がありました。

http://air.lib.akita-u.ac.jp/dspace/bitstream/10295/1215/1/sozai10a8.pdf

>> 高温中で一定の電圧を印加し電解液の皮膜修復作用を用いて、金属地金部分と酸化皮膜の弱い部分を再化成する

>あたりの文章が、コンデンサにはエージング効果がるという話につながっていったんでしょうね。

メーカ側で必要十分と考えられるエージングプロセスをやってますから、出荷後に通常の使用条件で良くなる可能性はほとんど無いのではないでしょうか?

Re: アンプのウォーミングアップ 投稿者:HD 投稿日:2008年11月23日(日)13時11分24秒    
US さん:

コンデンサについては判りませんが、アンプのウォーミングアップでは放熱フィンが付いていて熱容量の大きいパワートランジスタがどの位の時間で定常状態になるかの方が効くのではないかと思います。理由は以下の通りです。

・周囲温度のTaが大きいと電流増幅率が増える。これはPNP型・NPN型の区別なく成立する性質である。

 1℃の温度上昇に対して、0.5〜1%ぐらい電流増幅率が増加する。ただし、温度係数は品種によって異なる。

・最適な動作点にコレクタ電流を定めても、温度が変ると、コレクタ遮断電流やベース-エミッタ電圧が変化し、動作点が変動してしまう。一般に、シリコン・トランジスタではベース-エミッタ電圧が問題となる。

※ 某アンプの取説には、電源を入れてから15分後の特性と書いてあります。

Re: アンプのウォーミングアップ 投稿者:US 投稿日:2008年11月23日(日)14時27分34秒  
HD さん:

貴方の言われていることは、その通りだと思います。

ただ、市販されているトランジスタアンプ類は、温度補償の為に差動増幅回路やサーミスターを用いたり補償用のダイオードを熱結合させて作られているようですのでインパクトがかなり小さいのではないかと考えコンデンサーも一因ではないかと疑問に思ったのです。

Re: コンデンサのエージング 投稿者:LK 投稿日:2008年11月23日(日)15時00分12秒  
> HDさん

論文を読ませていただいて、内容はだいたい理解しました。材料系の研究をしてるので、こういう基礎研究に近い論文は楽しいです。セラミックコンデンサはオーディオ用途にはあまり使われないのが難点なのと、もうちょっと実際のオーディオに機器に応用できる実用寄りの論文だと良かったのですけれどですけど……

セラミックコンデンサの場合、(経時変化の原因は論文を見てもらうとして)論文では、エージングによって容量が50%くらい変化するような材料(組成)
も使っていますねw ただし、これは研究室の話なので、実際はもっと熱に強い材料が使われているはずです。

ここから先は半分想像ですが、実際に使われているコンデンサも製造直後は、熱耐性があるとはいえ数%〜10%程度のエージング効果はあるのでしょう。ただし、HDさんが書かれたように、出荷前にエージング処理しているので、ユーザー使用時にはコンデンサにエージング効果はないということですね。

ただ、この論文を読んでしまうと、性能は良いけれど熱耐性が弱いような、ものによって出荷後もエージング効果があるものもあるかもしれませんね。また、半田付けの際には瞬間的に素子の一部が100度を超える熱にさらされるので、熱衝撃で数%くらい容量が変わるものがあるかもしれません。

これはセラミックコンデンサの話ですけど、コンデンサのエージングは、少なくともケーブルのエージングほど自明ではないのではないでしょうか。

> NSさん

私はヘッドホンをメインで使っているので、スピーカーのエージングについては、あまり調べてないのですけど、スピーカを自作している人には重要な話題なので、アマチュアレベルで最近のデータがその辺に転がっていても良さそうです。

スピーカ自体はユニットや素材の性能よりも、音響バランスのほうが圧倒的に重要なので、それほど昔と比べて進化が著しくはないと思いますが、測定機器や音源ソースが進化しているので、やはり最近のデータのほうが信頼度が高いと思います

Re: コンデンサのエージング 投稿者:NS 投稿日:2008年11月23日(日)15時39分24秒 LKさん

> やはり最近のデータのほうが信頼度が高いと思います。

いえいえ、その点はご心配なく。 その時代に測定しようという人はそれなりの高価な測定器を使わざる負えません。 いまのパソコン時代よりは簡便にはできませんで。

Web上に目的の文献がなければ、パソコンやインターネットが登場する以前に書かれた場合が多いので紙に書いた文献を探すのが常道です。ですから、図書館に行ってお調べになったらいかがですかと書いたのです。

--使用中に音が変わるという現象は、使用中にどの現象が変わっているかを考えればいろいろ思い当たりますよ。半導体も通電すれば温度が上がるから、動作点も変化するし、電界コンデンサーも電解液が温まるとイオン伝導度も変わりますからね。音楽鑑賞に重大な障害が生じる現象ではないので、あまり気にする必要は無いと思います。30分以上通電、音楽信号を流せば済む事です。絶対に困るから対策を打つために追求、実験をするんだというのならば話は別です。

私は会社の中で物性関係の測定をよくしましたが、測定の鉄則はキャリブレーション前に通電は30分以上しなければ安定しませんし、会社のマニュアルや機器自体の使用説明書にも当然の常套句みたいに書いていました。

エージングと劣化 投稿者:志賀 投稿日:2008年11月23日(日)16時41分4秒    
LK さん、皆さん

>コンデンサにエージングはありませんかー

この議論にはエージングという言葉の意味をはっきりさせておく必要があるので整理してみましょう。一般に機器である以上、使っている内に大なり小なりその特性に経時変化はあります。

はじめに、その経時変化が可逆的か非可逆的かの区別をする必要があります。例えばアンプに電源を入れた直後の特性の変化は、真空管やトランジスターなどの回路素子の特性の温度依存性によるもので可逆変化といっていいと思います。これは普通暖機運転(英語ではWarming Up?)と言うと思います。

今問題にしているのは非可逆的でより長期の経時変化だと思いますが、多くの場合は、本来望ましい特性が失われていく方向に変わっていく、これを劣化と呼んでいます。ところが、場合によっては、初期の段階でより好ましい方向に変化する場合があり、私のHPではこれをエージングと呼んでいます。この定義が正しいかどうかはさておき、これに従ってこれまでの投稿にコメントをします。、


>スピーカーはエージング効果あるけど、ケーブルにはないとは書いてありますがアンプについては言及していなかったので。ほかのページが見つからなかったのですが、もしないならアンプのエージングについても考察があるとよいですね。

アンプについていえば、暖機運転による音質変化はあってもおかしくないですが、不可逆的な変化は劣化以外には考えにくいですね。 特にボリュームやスイッチなど可動部分の接触不良によるノイズレベルの増加はよく経験することです。これは当然測定でも分るはずです。

>あとスピーカーのエージングについては実験データが見たいですね。

最近のMJ誌(多分10月号)にf0 の変化を測定したデータがあったと思います。ただし、この実験は再現性についての言及がなく、暖機運転に相当する変化である可能性があります。(生録趣味さんのおっしゃるようにこの種の雑誌の実験報告は物理実験の基本を押さえておらず、学生のレポートだとしても落第点のものが多いです)いずれにせよ、f0の変化はインピーダンス測定によりかなり正確に測れるのでエージング効果を示すのも可能かもしれません。ただ、中高音域の微妙な音質変化をf特の変化から論ずるのは不可能だと思います。


>・・・「エージング コンデンサ」で検索するとたくさん出てきます。主にアンプ自作系サイトが多いと思います。

私の印象ですがアンプ自作者さんには結構教祖的な人が多いような気がします?

># 検索してて思ったんですけど、真空管にもエージング効果はないのかなぁ??

真空管については、HDさんの指摘通り、特性が向上する要因はちょっと想像がつきません。もっとも、特性が劣化することにより音がよくなると感じる人がいてもおかしくはないですが。

>ちなみに、私の発言のスタンスは、コンデンサにエージング効果あるのかわからないので、ある/ないいずれにしろ実験データとその理論的な裏付けが知りたいということです。

了解しました。エージングにプラスイメージを与えるとしたらちょっと思い当たりませんが、劣化が激しいものは電解コンデンサー以外にもあるかもしれません。ただ、メーカー製のアンプでは、その影響を受けるような所には使っていないと思います。アマチュア自作のアンプなどではこれはもう何が起こるか分らないので何ともいえませんね。具体的なデータは知りません。歪み率のデータならこんなのがあります。

http://fnt-www.ss.titech.ac.jp/~hajime/uec/distortion/cap/index.html (このサイトはリンク切れ)

こちらのアーカイブサイトで見られます


http://web.archive.org/web/20060525151736/http://fnt-www.ss.titech.ac.jp/~hajime/uec/distortion/cap/index.html

これだと、少々劣化したくらいでは、音質差を感じるような変化は期待できないようですが?

>ということは逆に電解コンデンサには(特性が悪くなる方向に?)エージング効果
があるということですね →HEIDIさんの記述に続く…

HDさんの言われる、電解コンデンサーの前処理は確かにエージングと呼ぶのにふさわしい現象ですね。ただ、高温で電圧を印加するとのことなので、これが出荷後に通電することにより生じるかどうかは疑問ですね。

>コンデンサはわからないのですが、オペアンプは温度によるゆがみ率(V/℃)の変化がデータシートに記載されているものもあって、古いものは温度変化(室温から定常動作温度まで)が無視できないくらいのゆがみが現れるものもあります。この変化は測定器で測ればもちろん検出されます。ものによっては耳で検知できるほどだと思います。定常温度になるまでの時間(1、2時間)は耳で聞いての変化という根拠しかないと思います。

まずこれは、いわば暖機運転に係わる話ですね。もう一つゆがみ率(V/℃)というのは定義がよく分からないのですが、歪率のことなら裸の特性についてではないですか? 私のイメージするオペアンプとは本来裸の状態で使うものではなく、リニアアンプとして使うときは強力な(100dB近くの)NFBをかけて使うものですね。この場合の歪み率はきわめて小さくとても音質変化として検知可能だとは思いませんが?

エージングによる音質アップの可能性 投稿者:LK 投稿日:2008年11月23日(日)21時36分23秒  
志賀さん、皆さん

暖機運転とエージングは別だとわかっていて混同するかなと思ったのですが、思わずUS さんの質問に返答してしまいました(汗) しかも内容めためたで、書いたのちょっと後悔しています。

>コンデンサはわからないのですが、オペアンプは温度によるゆがみ率(V/℃)の変化がデータシート〜

というのは私が書いたところです。これはHDさんがアンプの暖機運転のところで書かれた

> 1℃の温度上昇に対して、0.5〜1%ぐらい電流増幅率が増加する。

のと同様な意味で書きました。

さて。音質が上がる方向でのエージング否定派の方は、アンプ出荷時に各素子レベルでもっとも音が良い状態で出荷されていることを前提にされていますが、実際問題としてこれは正しいのでしょうか。この仮定は性善説です。

電解コンデンサにはエージング効果があるが、出荷前に十分エージングされているとのことですが、品質の悪いものは、あるいは個体差で(オーディオ用途に堪えられない程度に)エージングが足らずに出荷されているかもしれません。

想像で書きますが、真空管は(真空とはいえ)通電することによって極板表面に付く酸化皮膜が定常状態に安定するまでエージング効果があるのではないでしょうか? だから出荷前に真空管もエージングをするのではないかと思うのですが、出荷前にすべての真空管で適切なエージングが済んでいると言えますでしょうか?

# コンデンサを半田付けする際の、熱衝撃による変質もまだないとは言い切れません。
# もちろん、そういう不具合がないように素子は設計されているとは思いますが…


実際問題として、ほとんどのオーディオメーカーは、すべてのパーツについて適切に選別したパーツを用いているわけではないでしょう。そこまでできているメーカーというのは数少ないと思います。

となると、何らかの要因で定常状態からズレたパーツもアンプの中にはいくつか存在することになるわけで、すると通電加熱して定常状態に至るというエージング効果はありうるのではないでしょうか?

…ほとんど難癖をつけているだけなので、誰か論破してください。

やっぱり実際に新品のアンプを通電加熱してエージング効果があるかどうか測定機器と多数の人間の耳で調べたデータがあるといいなぁ。

Re: エージングによる音質アップの可能性 投稿者:HD 投稿日:2008年11月24日(月)13時25分2秒    
LKさん:

> …ほとんど難癖をつけているだけなので、誰か論破してください。

論破する訳ではありませんが、ここで言われるエージングは英語ではバーンインと言う場合が多いです。 あちらでもこのような議論は多いようです。

A氏:
Well burn-in is definatly apparent in ICs. Usually it is exactly what you are describing, the sound going from bright and harsh to warm and musical. Many manufacturers recomend a burnin time of approx 300 hours for their gear to get to the stage where it won't change noticably anymore.

B氏: A氏への反論
I feel just the opposite, that there is no burn-in with the ICs, not the kind you'd notice after "X" number of hours rather than so slightly progressive that it might take 20 years.
Capacitor burn-in (with new caps or those sitting shelved), maybe. Socket contact degradation, certainly, as well as degradation in all mechanical contacts.

装置メーカは判りませんが、部品メーカは新製品を開発したらその製品の寿命を推定する為に「加速寿命試験」をやる筈ですから、そのデータはあるでしょうね。

Re エージングによる音質アップの可能性
投稿者:志賀 投稿日:2008年11月24日(月)15時00分47秒    
LK さん、

>想像で書きますが、真空管は(真空とはいえ)通電することによって極板表面に付く酸化皮膜が定常状態に安定するまでエージング効果があるのではないでしょうか? だから出荷前に真空管もエージングをするのではないかと思うのですが、出荷前にすべての真空管で適切なエージングが済んでいると言えますでしょうか?

真空管の経時変化の最大の原因は真空度の低下ではないでしょうか? 極板表面の酸化皮膜皮膜が特性にどれほど影響するんでしょうか?

真空管の製造法には詳しくないのですが、真空を封じきる前に構造物を加熱し表面に吸着したガスを蒸発させ、さらに封じきった後もゲッターにより同様の処理をすると思うんですが? 出荷後の使用状態ではもっぱら加熱により残留吸着ガスの蒸発により真空度が悪くなるばかりだと思いますが?


詳しい方がおられたらフォロー願います。

>電解コンデンサにはエージング効果があるが、出荷前に十分エージングされているとのことですが、品質の悪いものは、あるいは個体差で(オーディオ用途に堪えられない程度)エージングが足らずに出荷されているかもしれません。

# コンデンサを半田付けする際の、熱衝撃による変質もまだないとは言い切れません。
# もちろん、そういう不具合がないように素子は設計されているとは思いますが…

>実際問題として、ほとんどのオーディオメーカーは、すべてのパーツについて適切に選別したパーツを用いているわけではないでしょう。そこまでできているメーカーというのは数少ないと思います。

>となると、何らかの要因で定常状態からズレたパーツもアンプの中にはいくつか存在することになるわけで、すると通電加熱して定常状態に至るというエージング効果はありうるのではないでしょうか?

これを言い出すとキリはありませんよ。製品には必ずバラツキがあり、品質管理がゆき届いていないメーカーの製品だと当然不良品はあるでしょう。アマチュアの腕にも大きな差が有り中にはとんでもない半田付をするする人もいるでしょう。もっともそれがエージングで改善されるとは思いませんが。

私の念頭にあるのは、信頼出来るメーカーの作った、製品検査にも合格した製品についてです。

Re エージングによる音質アップの可能性 投稿者:LK 投稿日:2008年11月24日(月)22時55分31秒  
もう少し丁寧に考えてみました。

素子には個体差があるので、高級オーディオメーカーでは、各素子のロットをそろえたり、実測して容量をそろえるようなことをやっています。これはアンプ製品ごと個体差をなくすためと、設計した通りの音を出すためです。

同様にして、実際には出荷前エージングに関係する個体差もあると思います。しかしながら、この出荷前エージングに関係する個体差は選別によって吸収できません。なぜならばエージングの効果(誤差、個体差、不良)は、数十時間通電してみないとわからないからです。

逆に考えると、アンプの中には製品仕様上の誤差の範囲内で、出荷前エージングが十分でいないようなパーツがいくつか存在していてもおかしくありません。これはアンプ個体差でもありますが、平均するとすべてのアンプにエージング効果を発揮する余地があると考えられます。

ただし、このエージング効果は定常状態へ向かう変化ではありますが、音が良くなるか悪くなるかはわかりませんね。どちらかというとエージング不十分な状態でメーカーがアンプ全体を調整した場合は、悪い方向に変化してしまいます。

とすると、アンプ組み立て後にメーカー側で適当な時間エージングを行い,エンジニアが耳と測定器で最終的な音にOKを出したものが、もっとも理想的な(皆さんが考えているような)アンプということになりますね。

真空管のエージング 投稿者
:LK 投稿日:2008年11月24日(月)23時21分13秒  

話が発散しますけれど、真空管は挿入口の接点の馴染み方によるエージングはありうるかもしれません。真空管は多かれ少なかれ振動しますし、はじめに挿したあと、使用しながら良い位置にはまってなじむまで時間がかかるかもしれません。聞き分けられるかわかりませんが、ラインケーブルの接点なんかよりははるかにシビアだと思います。

って、ここに書いてからすべて想像ばかりで、コンデンサにしろ何にしろ、ひとつも確証が得られていないですね。オーディオのエージングに関して真面目に研究している文献ってないのかな?

物は皆エージングする? 投稿者:BM 投稿日:2008年11月25日(火)09時48分13秒  

あまり議論しても始らないのでは?製品は使われだすと、全て劣化エージングの過程をすごすと思いますよ、その間での音質の変化は有ると思いますし、好みの音質にだんだん近づくかも知れない?つて所ですかね・・・真空管も新品時よりも数ヶ月鳴らせば音質が馴染むと言うかオーナーが馴れると言うかでは無いですか、スピーカーコードでも数日でエージングを感じます、まーこれもコードの変化なのか接触部での変化なのか解らないですが?オーディオって、色々変化する所が多くて又それが楽しみですし、泥沼に嵌る人も居ますね?

エージングについて補足 投稿者:LK 投稿日:2008年11月25日(火)17時33分10秒  

とりあえずコンデンサのエージングについては、エージング(burn-in)ある派の人は、はんだ付け時の熱衝撃で変質することを論拠としているので、典型的なコンデンサについて、熱衝撃に対する科学的な反証がほしいですね。メーカーの熱衝撃試験のデータとか。

真空管とエージングで検索すると、たくさん出てきますね

↓ここにプリ用真空管のエージングについてありました。
http://www.boiaudioworks.com/TubeWikiJp/Wiki.jsp?page=%E3%83%97%E3%83%AA%E7%AE%A1%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%A8%E3%83%8E%E3%82%A4%E3%82%BA

ただし、プリ管に比べて、出力管をburn-inするのは当たり前過ぎるようでこのページには出力管のburn-inの記述は見当たりませんでした。WEBをぐるっと回った感じ、極板間の距離の変化や、極板表面の化学的変性に対してburn-in効果があるようです。

私の場合、真空管のエージングでマイクロフォニック雑音が消えた経験が何度かあるのですけれど、そういう記述はどこにも見つかりませんねぇ。何でうちのだけマイクロフォニックが直るんだろ??

BMさん

私が考えているのは、劣化エージングではなくて、出荷直後の製品は定常状態に至っていなくて、使っているうちに定常状態までの変化があるのではないか、ということです(いわゆるburn-in)。

また劣化以外の変化があるとすれば、それはどういう科学的要因が考えられるのか知りたいのと、その効果はどの程度なのか数値で議論したいのです。

ただ、オーディオの楽しみ方として、おっしゃることはそのとおりだと思いますよ。

LK さん 投稿者:BM 投稿日:2008年11月25日(火)17時43分36秒  

(劣化エージングではなくて、出荷直後の製品は定常状態に至っていなくて、使っているうちに定常状態までの変化があるのではないか、ということです)

お考えは解ります、しかし劣化か、定常状態までの変化か、この違いを区別するのは難しいし、意味が無いのでは?良い音に成れば私は劣化でも良いのですが・・・

Re エージングについて補足 投稿者:志賀 投稿日:2008年11月25日(火)20時07分19秒  
LK さん、

>真空管とエージングで検索すると、たくさん出てきますね ・・・・・・・・・・・・・

まあ、よく調べられましてね。感心します。おかげで、真空管の場合のエージングのメカニズムがよく分かりました。

ただ、思うに、真空管の製造というのはすでに大手のメーカーではやっておらず、かなり技術レベルの低い所が作っているような気がします。真空管が主役であった頃ならとても出荷できないような製品も出回っているんではないでしょうか? まあ、趣味の製品として作っているのならいいでしょうが。 現在の主流は半導体アンプなのでこちらではどうなのか興味があるところですが、何かデータがあるといいですね。

さきに、HDさんの紹介された、セラミックコンデンサーのケースを読み直してみたんですが、確かに初期の経時変化がありエージングと言っていますね。ただし、この場合は容量が低下する方向であり性能がよくなる方向に向かうわけではなさそうです。セラミックコンデンサーは強誘電体を使うので、最も強く材料の変質の影響が受けやすいタイプですね。オーディオアンプには、あまり使っていないんではないでしょうか? 使っていても発信防止用のパスコンのように、容量が少々変化しても問題ない部分にしか使っていないと思うんですが?

やはり、電源に使用する電解コンデンサーが一番問題になりそうですね。


エージングについてさらに補足 投稿者:志賀 投稿日:2008年11月25日(火)22時50分29秒  
LK さん、

私も、LK さんとの一致点・相違点に留意し、エージングについて補足させて頂きます。

まずエージングの定義ですが、部品の製造時、または加工時に導入された機械的・熱的歪みが緩和することにより生ずる比較的初期の緩和現象ということではどうでしょう。この場合も、本来、出荷前にメーカー側で加熱等で反応速度を速めほぼ定常状態にしてから製品として出荷するのが本来の姿だと思います。

ユーザー側で使用中に変化することも大なり小なりあるでしょうが、これについてはデーターに基づき議論する必要があると言う点も同感です。

ただ、ちょっとスタンスが違うと思うところは、対象とする物について、LK さんはアマチュアの製作する真空管アンプなどに重きを置き考えておられるような気がするんですが如何でしょう?

この場合は、以前にも言ったように、それこそケースバイケースで、特定の場合について、データーを元にその原因を議論することは出来ても、とても一般論としては議論できないと思います。

例えば、先の真空管の場合、不合格品を例に挙げ経時変化がきわめて大きいとしていますが、この様な例を根拠にエージング効果があると主張する(LK さんがそうだと言っているわけでではありません)のは定量的議論を無視する、してはならない議論です。

私自身は一般のオーディオファンが手にする既製の装置についてのエージング効果を念頭に置いており、この場合はスピーカーを除いてエージングで性能がよくなることはまずないだろうという意見です。 もちろん、脳の方のエージングにより音がよくなっていくと感じることは大いにあり得ますが。

Re: エージングについてさらに補足 投稿者:HD 投稿日:2008年11月27日(木)23時32分48秒  
皆さん:

外国でも言われている例です。

(1) オーディオ誌の記事から:
The concept of break-in (or burn-in) applied to audio components is a controversial one.Many high-end audio designers and audiophiles feel that audio components require a substantial period of use before their sonic potential is reached―a period measured in days, weeks, even months. Others feel that if the equipment is working properly and meets its specifications, all you have to do is plug it in and use it―any apparent improvement with time simply represents the listener getting accustomed to the sound, not a change in the sound itself.
(意訳)オーディオ製品に対するバーンインの概念は議論の分かれるところである。 多くのハイエンドオーディオの設計者やオーディオファンはオーディオ製品はその持てる能力を発揮するには相当の期間(数日、数週間、いや数ヶ月)を要すると感じている。他の人はオーディオ装置はつないだだけで適正の作動し、その真価を発揮すると感じている。時間をおくことによる見かけの改善は単にリスナーがその音に慣れただけで音自身が変わるわけではないと。

(2) あるサイトのBBSへの書き込みから:
If manufacturers know that their products require burn-in time to sound their best,why don't they just design them to sound better in the 1st place?
And when designing their stuff, how do they know if it will sound better after burn-in? And why doesn't it ever sound worse after burn-in? 
Why not have a double blind test with a new and burned-in unit to prove it's effects?
Just my honest opinion, but I believe it's all in the ear re-adjusting to the sound.
(意訳)もしメーカーが最高の音を得るためにはバーインが必要と知っているならどうして最初からいい音が出るように設計しないんでしょう?
また、その材料を設計するときどうしてバーインによって音がよくなると知り得るんでしょう? さらに、どうしてバーインによって音が悪くなったという話を聞かないんでしょう?
どうして、その効果を証明するため、新品とバーインしたユニットの比較をブラインドテストによりやらないんでしょう?
正直の所、私は耳がその音に適応しているだけだと信じています。


この中で、(2)の5行目の「新しい機器とバーンインした機器でバーンインの効果を証明するダブルブラインドテストをなぜやらないのかな?」と言う疑問に同意します。 寡聞にしてこのようなテストをやった例は知らないです。 どなたかご存知でしょうか。

Re2: エージングについてさらに補足 投稿者:志賀 投稿日:2008年11月28日(金)06時07分3秒    
HD さん:

>外国でも言われている例です。

>(2) あるサイトのBBSへの書き込みから:

>>And why doesn't it ever sound worse after burn-in?


これはポイントを突いた発言ですね。

>>Why not have a double blind test with a new and burned-in unit to prove it's effects?

>この中で、(2)の5行目の「新しい機器とバーンインした機器でバーンインの効果を証明するダブルブラインドテストをなぜやらないのかな?」と言う疑問に同意します。 寡聞にしてこのようなテストをやった例は知らないです。 どなたかご存知でしょうか。

私が知る限りこれに関係ある唯一のデータは、

http://djcarlst.provide.net/abx_data.htm

この表の、
B & K ST140 with all film caps vs. Parasound HCA 800II
では電源の平滑用コンデンサーを除きすべてのコンデンサーをフィルムコンデンサーに変えたバージョンと標準アンプとの比較をやっています。

Sumo Andromeda vs. Parasound HCA 800II
こちらの比較では、1週間通電した場合との比較がされています。これは、Sumoのオーナーが長期間通電してからでないと違いは分らないとクレームを付けたので行なった、とどこかで読んだ覚えがあります。


Re: エージングについてさらに補足 投稿者:LK 投稿日:2008年11月30日(日)08時05分1秒  

志賀さん

これ被検体=Listenersが少ないのは気になりますけれど、コンデンサーの変更、burn-inの違いを、ほとんどの人が聞き分けられないというのは驚きですね。

とくにコンデンサーは、種類(方式)やオーディオグレードのもの(オーディオ用にチューンされたもの)でそこそこ音が変わるものだと私は思い込んでいたので、きちんとした考察を望むところです。

コンデンサのエージング 投稿者:GK 投稿日:2008年11月30日(日)21時07分42秒  

コンデンサの種類を替えてもなぜ音が変わったと感じる人が少ないかの考察をするなら、コンデンサを替えたらなぜ音が変わると主張する側の根拠をまず明確にした方が、議論としてはわかりやすいような気がしますが、いかが?

Re: コンデンサのエージング 投稿者:LK 投稿日:2008年11月30日(日)21時48分26秒  
GK?さん

エージングの話題ではないですが、

> コンデンサを替えたらなぜ音が変わると主張する側の根拠

コンデンサにまったく詳しくないのですけれど(だからこそこの議論にはもってこいかもw)、容量がまったく同じものを差し替えるとして、種類・方式が異なると容量の周波数特性や熱耐性(熱変性?)が異なる気がします。

またオーディオグレードのものは、同じ方式のコンデンサでも誘電体にハイグレードの材料を使っているとか、厳しい品質テストに合格して餞別されているとか、そういったところが通常品と異なると思います。

Re: コンデンサのエージング 投稿者:LK 投稿日:2008年11月30日(日)22時48分45秒  
追記です。

> コンデンサを替えたらなぜ音が変わると主張する側の根拠

容量が同じでコンデンサの種類が異なったりオーディオグレード品だったりする場合、鋭いパルス波を入力したときの立ち上がりとダンピング具合が異なるとか、パワーアンプやスピーカー内のコンデンサですと振動耐性が異なるとか? 単なる思いつきで書いています。

しかし、(ケーブルはいくらなんでもオカルトだとしても)安いパーツでもきちんと設計されていれば音が変わらないとすると、うん十万うん百万する高級オーディオ機器って何なの?って話ですよね。

アンプやスピーカーといったオーディオ機器の技術自体は、それほど急激に進歩していないことと(録音側とデジタル方面はかなり進歩していると設けれど)、内部で使う素子は性能が大幅に向上し、価格も大幅に安くなっていることを考えると、堅実な設計で安くても適切な部品を適切な場所に使うことで、お金のかかる特殊な技術を使うことなく、高音質のオーディオ機器が作れてしまうことになりますね。たしかに安くても音質がよくて評判の製品はたくさんありますけどw

Re2: コンデンサのエージング
投稿者:志賀 投稿日:2008年11月30日(日)23時40分17秒  
LK さん

>コンデンサにまったく詳しくないのですけれど(だからこそこの議論にはもってこいかもw)、容量がまったく同じものを差し替えるとして、種類・方式が異なると容量の周波数特性や熱耐性(熱変性?)が異なる気がします。

私もそう詳しいわけではありませんが、まず周波数特性(過渡特性も含めて)は電解コンデンサーは別として、通常高周波領域でも使えるのでオーディオ周波数では問題にならないと思います。音質に直接効きそうな特性は、容量の電圧依存性でこれが非直線歪みをもたらしますが、

http://web.archive.org/web/20060525151736/http://fnt-www.ss.titech.ac.jp/~hajime/uec/distortion/cap/index.html

にデータがあるように、最も歪みの大きいのはセラミックコンデンサーで -60dB すなわち、0.1 % くらいです。これは、チタン酸バリウムなどの強誘電体の非直線性に由来するものです。フィルム系のコンデンサーではほとんど -100dB 以下で、中には-140dB (0.00001%)とほとんど測定限度に近い物もあります。人間が感じられる歪み率は1% 前後と言われているので、要所(カップリングコンデンサーなど)にこれを使っておけばコンデンサーによる歪みは問題になりません。もちろん、エージングの効果も仮に経時変化が少しあったとしても、とても音質差として感じられるような大きさではありません。

当然プロの作ったアンプでは適材を適所に使っているでしょうからブラインドテストで差が出ないのは至極当然のことです。

ただ、アマチュアが作った自作アンプは玉石混淆で、中にはとんでもない使い方をしている物もあるかもしれないので何ともいえません。


>またオーディオグレードのものは、同じ方式のコンデンサでも誘電体にハイグレードの材料を使っているとか、厳しい品質テストに合格して餞別されているとか、そういったところが通常品と異なると思います。

オーディオグレードの製品というのはちょっと疑問ですよ。オーディオグレードと称するだけでずいぶん高い値で売られているのと違いますか? 通常の物より悪いというわけではないんですが、例えば、普通品で歪み率 0.001% くらいの物がオーディオグレードと称して少しばかり改善されていたとして一体どんな効果があるんでしょうか? もしアマチュアが自作用部品として購入するならむしろ、上のデータなどを参考に絶縁体の種類を調べて使ったらいいと言うことです。

Re: Re2: コンデンサのエージング 投稿者:KZM 投稿日:2008年12月 2日(火)02時25分16秒
志賀さん

> オーディオグレードと称して少しばかり改善されていたとして一体どんな効果があるんでしょうか?

同じ方式のCの場合、品種により若干誘電正接(tan-delta)は異なります。自作回路でカップリングCだけ交換して周波数特性が変わることはあるかもしれません。電解Cが容量抜けを起こすとtanδの値は大きくなり損失が増えます。なおtanδはただの容量計で測ることはできず、高性能なLCRメータorインピーダンスアナライザーが必要になります。

懸念のオーディオグレード選別品は、tanδを実測すると一般品よりは若干の改善は見られるものの、同じ指示容量ならより高性能な方式には全然敵いません。もっとも、物により実装体積も値段も全然違うので適材適所です。同じ方式でC単体の品質を云々するなら、tanδくらいは自分で測らないと話になりません。それを知った上で特性良好なCを選ぶのは間違いではないとしても、全体の振舞として意味があるかとは別問題です。
参考サイトのように、カップリングCの違いくらいはブレッドボードで差し替えて実験するのも難しくないのでは?

電解Cについては、経年劣化により電源部は交流短絡であるという前提から外れてくると、もはや品質を云々できるレベルではなくなってしまうでしょう。

Re3: コンデンサのエージング 投稿者:志賀 投稿日:2008年12月 3日(水)06時43分49秒
KZM さん

>同じ方式のCの場合、品種により若干誘電正接(tan-delta)は異なります。自作回路でカップリングCだけ交換して周波数特性が変わることはあるかもしれません。電解Cが容量抜けを起こすとtanδの値は大きくなり損失が増えます。

誘電正接(実効直流抵抗)がコンデンサーの性能の重要な指標であることはもちろんその通りですが、これは主に周波数特性に効いてくるんではないですか? 電解コンデンサーは分りませんが、セラミックコンデンサーでも多分オーディオ周波数領域では問題にならないだろうと以前のレスで書いたのはこのことを言っていたわけです。残念ながら適当なデータを見つけていませんが。

>懸念のオーディオグレード選別品は、tanδを実測すると一般品よりは若干の改善は見られるものの、同じ指示容量ならより高性能な方式には全然敵いません。もっとも、物により実装体積も値段も全然違うので適材適所です。

はい。これは全く同意です。

この件については、データもそこそこ有り、少ないながらブラインドテストの結果もあり、少なくとも、既製の半導体アンプでは、コンデンサーが原因でエージングにより特性が改善されるという可能性はないと言っていいように思いますが如何でしょう?

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