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円筒型スピーカー

現在使われているスピーカーはほとんど動電型、いわゆるダイナミックススピーカーである。これは駆動源がボイスコイルに局在しており、その振動が振動板に伝えられ音を発するという原理に基ずく。 この場合、変位は波として中心から周辺に伝わり、発せられる音は歪んだものとなり、さらにエッジで反射されるため分割振動を起こし周波数特性に凹凸が出来る。 このような効果を低減するには、剛性が高く、軽量で、かつ固有振動が生じないよう、適度の内部摩擦係数を持つ材料が望まれる。これらは、互いに矛盾するところがあり実在する材料は理想からほど遠い。

もし、振動板自身に駆動力を持たすことが出来れば、剛性を必要とせず、振動板をいくらでも薄くすることが可能で理想的なスピーカーが出来るはずである。いわゆる、全面駆動型スピーカーである。全面駆動型スピーカの代表はコンデンサー型とリボン型であるが、いずれも問題点を抱えており普及しない。

以上はいずれも平板型スピーカーであるが、ここでは発想を転換した円筒型スピーカーが話題となっている。新しい材料と組み合わせることにより近い将来スピーカーに革命が起こる可能性を秘めている。


振動するガラス管が音を360度に広げる 投稿者:NS 投稿日:2008年 5月28日(水)15時43分19秒

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0805/28/news056.html

ユニークですなあ

ガラスツィーター 投稿者:NG 投稿日:2008年 5月29日(木)10時28分59秒
志賀さん

昨日(28日)、テレビ東京のWBSでも取り上げられていましたね。そのなかでのソニーの担当者のコメントだと業務用だけでなく家庭でのAV用としても需要を見込んでいるとのことでした。

Vertical Drive Technology 投稿者:志賀 投稿日:2008年 5月29日(木)09時28分51秒
NSさん、NGさん

http://web.archive.org/web/20081201144257/http://www.ecat.sony.co.jp/audio/avspeaker/products/index.cfm?PD=31544&KM=NSA-PF1

これのことですね。

特徴は、有機ガラス管を使ったトゥイターということだと思いますが、動作原理がはっきり書いていないのでよく分かりませんね。

想像ですが、中心のワイヤーを伝わる上下方向の力が円筒を膨張・収縮させて水平方向に全面駆動に近い音を発生させるのではないですかね? しかし、なぜ4個の加振機が必要でそれぞれどういう働きをするのかさっぱり分かりません。

この製品自体は業務用ということで、家庭で使用するには向いていないでしょうが、この原理を利用したスピーカに将来性があるのか興味あるところです。


Re: ガラスツィーター 投稿者:NS 投稿日:2008年 6月 2日(月)23時21分41秒
NGさん

いやはや、210万円出してだれが買うのでしょうか。 むかし、コンデンサースピーカー(ツィーター)に進出したから、フルレンジコンデンサースピーカーも作ってくれるのだろうか。さすがソニー。 とおもったことがありました。

この一発でおしまいということにならないでほしいです。

村田の静電ツィーターはどこに行ったか。 TDKの磁歪スピーカーは元気で頑張っているのか。 オーセンティック(NEC)の波動スピーカーはまだやっているのか。

決定打が無いですねえ。

理想スピーカー 投稿者:志賀 投稿日:2008年 6月 3日(火)05時45分58秒

いろんなタイプのスピーカーの話題が出たところで、私の提案する理想スピーカです。

http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0805/25/news001.html

このサイトの下の方にある、電圧で(膜面内方向に)伸縮するエラストマーなる材料を使って、全音域をカバーする円筒型全面駆動スピーカーを作るというアイデアです。

これにより、コンデンサー型、リボン型などの従来の平面駆動型の欠点であった、

(1)高音での鋭い指向性が無くなる。

(2)背面圧による低音の減衰、パルシブな低音によって生じる反作用力による有害な振動が、背面(内)圧をうまく利用することにより、豊かで歪みのない低音に変えることが可能。

比較的コンパクトで価格もreasonableなものが実現可能だと思います。 いかがでしょう?

補足:正確に言うと電場駆動エラストマーという高分子材料で、膜面に垂直に電場を掛ける(膜の両面に導電体を塗布し電圧を掛ければいい)と膜厚が変化するという性質を持ち人工筋肉の材料として注目を集めている。 膜厚が変化するということは、体積一定の原理によりポアソン比に応じて面積が、従って面方向の長さが変化することを意味し、これで円筒膜を作ると、円周が、従って半径が変化し、原理的には線音源呼吸型の全面駆動型スピーカーを作ることが可能である。

http://www.nhk.or.jp/pr/marukaji/m-giju182.html 

SPあれこれ 投稿者:NG 投稿日:2008年 6月 4日(水)11時20分41秒
NSさん

>フルレンジコンデンサースピーカーも作ってくれるのだろうか。さすがソニー。
とおもったことがありました。


4,5年前か7,8年前か忘れてしまいましたがソニーが数百万(ペアで300万ぐらいだったかな?)のコンデンサースピーカーを出したことがありました。(型番も忘れてしまったのであいまいな話ですいません)

市場の評判もあまりよくなくてすぐに消えてしまいましたが、昔からソニーはこうしたリサーチモデルを世に出すことがありますね。新技術、新コンセプトの種まきのように考えているようです。今回のガラスSPもきっとそうしたものでしょう。いい、悪いというよりも世の中に出してみて意外な使い方とマーケットのフィードバックを期待しているのだと思われます。でも機会があれば一度聞いてみたいですね。

ムラタもがんばってますよ。
http://www.murata.co.jp/ninfo/articles/080430_a.pdf
は新製品。

志賀さん。

私個人的にはHANIWAにちょっと注目してます。
http://www.kubotek.com/haniwa/
実機を聞いたことはないんですが、技術的に見るべきところの多いSPです。

sonyのコンデンサSP 投稿者:NG 投稿日:2008年 6月 4日(水)12時08分13秒
NSさん

見つけましたこれでした。
http://www.thevintageknob.org/SONY/sonyesprit/SSR10/SSR10.html

Re: コンデンサSP 投稿者:HD 投稿日:2008年 6月 4日(水)19時34分38秒
NGさん:

国産でこういうのもありましたね。 現在はフルレンジコンデンサ型は英国Q社だけですか。

http://audio-heritage.jp/STAX/speaker/els-4x.html

Re SPあれこれ 投稿者:志賀 投稿日:2008年 6月 4日(水)22時54分49秒
NG さん

>私個人的にはHANIWAにちょっと注目してます。
http://www.kubotek.com/haniwa/
実機を聞いたことはないんですが、技術的に見るべきところの多いSPです。


ずいぶん凝った構造ですね。これだけ物量をつぎ込めばかなりの性能が期待できるんでしょうね。試聴はともかく、実際の測定データが知りたいものです。

Re: コンデンサSP 投稿者:NG 投稿日:2008年 6月 5日(木)00時39分45秒
HDさん

スタックスは昔からコンデンサスピーカーに力を入れてましたね。

原理的には振動版が軽くていいんですがストロークがとりにくく、インピーダンス変換のためのトランスも必要なせいでしょうか、Dレンジがとりにくいようですね。ヘッドフォンですとそうした欠点が出にくいので向いているのでしょう。

クォードの古いタイプのものは聞いたことがあるんですが、さわやかで軽やかな音質でした。あれはあれでダイナミックタイプでは得られない音質ですね。

理想のスピーカー 投稿者:TY  投稿日:2008年 6月 6日(金)16時39分30秒   返信・引用

志賀さん注目のスピーカー、今後の動向を注視するに値すると思います。軽い振動版は理想的なスピーカーの一番大切な要素です。あの記事だけではどのくらい振動版が薄いか(薄くなくても軽ければよいのですが、おそらくコンデンサースピーカーのようなプラスチックを使っているならば薄いほうが良いと思います。)解りませんが、今後の発展に期待したと思います。私の経験と理解では、現時点でコンデンサースピーカに凌ぐ性能のスピーカーはないと思っています。数ミクロンのマイラフィルムと前面駆動が作り出す音はコーンスピーカーでは得られない本物の音がします。製造過程が複雑なためどうしても高額になってしまいますが。現在でもコンデンサースピーカーはSound Lab, Martin Logan そして Quad が製造販売しています。多分ヨーロッパの小さなメーカーも製造しているかもしれませんが。指向性を改善するためSound Lab とMartin Logan は駆動面を曲げ、Quad は創始者Peter Walker の発明であるディレイ・リングを使っています。

Re4 理想のスピーカー 投稿者:志賀 投稿日:2008年 6月 7日(土)06時19分32秒
TY さん

>あの記事だけではどのくらい振動版が薄いか(薄くなくても軽ければよいのですが、おそらくコンデンサースピーカーのようなプラスチックを使っているならば薄いほうが良いと思います。)解りませんが、今後の発展に期待したと思います。

正直、発音のメカニズムがよく分かりません。想像をたくましくして、一つ考えられるのは、ポアソン比を利用する(圧縮すると横へ広がり、引っ張ると縮む効果)ことが考えられますが、これだとある程度厚みが必要で、結構重くなりますね。

http://web.archive.org/web/20080716030352/http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20080528/sony2.htm

この記事からリンクしてある開発段階の製品ではアクリル系の樹脂を使っているようです。

http://web.archive.org/web/20071012002454/http://watch.impress.co.jp/av/docs/20070912/sony3.htm

ということで、もしそうなら理想的全面駆動とはいえないですね。

>私の経験と理解では、現時点でコンデンサースピーカに凌ぐ性能のスピーカーはないと思っています。数ミクロンのマイラフィルムと前面駆動が作り出す音はコーンスピーカーでは得られない本物の音がします。・・・・

はい。全くおっしゃる通りだと思います。コンデンサー型の場合は振動板(膜)自身が駆動力をもつ完全な全面駆動型なので、強度さえ保てれば、いくらでも軽く薄く出来るので、理想的なスピーカが出来る可能性があるわけですね。実際、その高調波歪率の周波数依存性を見ると、音色を決める重要な音域である200 Hz〜4000Hz の範囲では2次。3次の高調波歪率が 0.1% 以下と、ダイナミック型に比べ一桁以上の低歪のようです。ただ、先に挙げたように低音域、高音域でそれぞれ問題があるのと、日本のように湿度が高いところでは、スパーク放電などにより蒸着膜が損傷し、保守が大変といったこと,さらに加えて大変高価ということも重なりあまり普及しないようですね。実際、私自身も昔コンデンサトゥイターを使ったことがありそのクリアな音色に魅せられましたが、2年ほどで使えなくなりました。

そこで、今回の円筒型スピーカにヒントを得て、人工筋肉を作る目的などで開発されている電場駆動型エラストマーなる有機膜材料を使えば、平面型にある欠点が克服されるのではないかと思いついたわけです。残念ながら、この材料の特性がよく分からないので、どの程度の電圧で、どの程度の能率が得られるか分かりません。空夢になるかもしれないですが将来さらにいい材料が開発されたらあるいは実用化されるかもしれないと密かに思っています。


スピーカーの開発 投稿者:TY  投稿日:2008年 6月 7日(土)18時22分22秒
志賀さん、

>電場駆動型エラストマーなる有機膜材料を使えば、平面型にある欠点が克服されるのではないかと思いついたわけです。

スピーカーに関してはこの50年間、技術革新が全くなかったので(QUADのコンデンサースピーカーが最後でした。イオンスピーカーもありましたが、まともな製品にはなりませんでした。)、新しい開発の話を聞くと、私も大いなる期待を抱いてしまいます。

コンデンサースピーカーの歪み特性 投稿者:志賀 投稿日:2008年 6月 8日(日)10時51分42秒

話題となっているコンデンサースピーカーの歪み特性のデータをアップしました。

中音域の歪み率の小ささが際だっていることは注目に値します。


http://shigaarch.web.fc2.com/electrostaticSP.html

です。ご覧下さい

電場駆動エラストマースピーカー 投稿者:志賀 投稿日:2008年 6月 9日(月)06時31分44秒

このサイトを見られた方からのメールによる情報によると、電場駆動エラストマーを使った円筒型スピーカは現在NHKで開発中で、そのうちNHK技報に掲載される予定だそうです。 楽しみです。

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080525/152295/

ということで、将来さらに高性能の電場駆動型エラストマー材料が開発されれば革命的なスピーカーが出現する可能性を秘めている。

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