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デジタル スピーカー

現在スピーカーといえば動電型(ダイナミック)がほとんどであり、いかに高級品といえども、例えば高調波歪み率は1% 以上、過渡歪みも大きい。アンプや、CDプレーヤに比べれば一桁以上大きく、オーディオシステムの音質を決める最大要素となっている。いい換えれば、高忠実度再生のいわばボトルネックとなっている。

もちろん、より良い音質を求め他のタイプのスピーカーもいろいろ試みられているが、決定打は見えてこない。ここでは、NSさんのニュースから始まったデジタルスピーカの可能性についての議論をまとめておく。次回は、円筒型スピーカです。

ニュース 投稿者:NS 投稿日:2008年 5月15日(木)17時45分21秒

フルデジタルのスピーカー 法政大発ベンチャーが開発 省エネ実現

http://web.archive.org/web/20080517221538/http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200805140020a.nwc

Re: ニュース 投稿者:志賀 投稿日:2008年 5月15日(木)18時45分49秒
NS さん

> フルデジタルのスピーカー 法政大発ベンチャーが開発 省エネ実現
> http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200805140020a.nwc

このサイト、どこかで紹介されていたのを見たんですが、さっぱり要領を得ません。

普通のスピーカーでも、デジタルアンプにつなげば、フィルターを省略しても音は出ると思うんですが、フルデジタルとは何を意味するんでしょうかね?

さらに情報が得られれば紹介してください。


Re: ニュース 投稿者:TS 投稿日:2008年 5月16日(金)07時08分1秒

Tech-Onのサイトで、多少技術的に説明されていました。どうやら発表では一つの25cmスピーカーに6個のボイスコイルが巻かれていて、デジタル(D級ではない)を直接入力するものだったようです。01の1は1.5V、乾電池一個使うとあります。今のところ6ビットということでしょうか。それと写真によるとマグネットは巨大なネオジミウムと思われます。前述の方式のボイスコイルでは効率が上がるはずないと思っていたところ納得です。磁束密度で感度を稼いでいる。つまり消費電力削減は別にデジタルだからというわけではなくマグネットの量によるものと思われます。

Re: ニュース 投稿者:BM 投稿日:2008年 5月16日(金)14時50分11秒

そのうちに出来て欲しいとは思っていましたが、技術的には難しいのでしょうね?

デジタル信号のままでスピーカーを駆動するなんて、出来るのかなー?

Re: ニュース 投稿者:NS 投稿日:2008年 5月17日(土)00時24分58秒

デジタルスピーカーはCDが出始めたころから研究されていまして、論文などよくみかけました。実用化には遠い代物でしたので、興味深く読んだ次第で。16ビット分のコイルを巻くのは難しいでしょうなあ。

フルデジタル スピーカー 投稿者:志賀 投稿日:2008年 5月17日(土)06時03分36秒
皆さん、いろいろな情報有り難うございます。

おぼろげながら、デジタルスピーカーなるものの姿が見えてきました。

要するに、PCM型のデジタル信号の各ビットに応じてボイスコイルに電流を流すということのようですね?

もしそうだとすると、

そもそも、動電型スピーカの問題点は、分割振動などの機械的な部分にあり、基本的な構造が変わらない限りあまり特性が改善されるとは思わないんですが?

少なくとも、より良い音を得るのが目的であれば、デメリットはいくらでも思いつきますが、一体どんなメリットがあるんでしょうか?

フルデジタル スピーカー 投稿者:BM 投稿日:2008年 5月17日(土)11時15分55秒

私も同感ですねー、今有る全てのスピーカーは使えないし、フルデジタル専用スピーカーを作っても良い音を出すのは難しいと思います・・・今使ってる私のアンプの様に、フルデジタルで来て最終段でスピーカーを駆動するアナログに変換するしか無いと思います。まー技術の進歩ですから・・・これから何が出てくるかは楽しみですけど。


Re: フルデジタル スピーカー 投稿者:HD 投稿日:2008年 5月19日(月)10時17分16秒
志賀さん:

> 要するに、PCM型のデジタル信号の各ビットに応じてボイスコイルに電流を流すということのようですね?

CD再生としますと、各種デコード、エラー訂正後の16bit/44.1KHzの音声PCMデータを16個のボイスコイル(コイルの巻かれたボビンがPCMデータを量子化データに変換する、あるいはPWMデータに変換する作用を持つ?)に各ビット毎に順に入力するとコイルのL(+浮遊容量)がローパスフィルターになって比較的スムーズなコーンの振動が得られるという事でしょうか。 但し、シリアルデータの場合、 1クロックだけを考えますと、一発目のビットは1/44100秒間保持、最後のビットは1クロック分が量子化データに変換されてコーンを動かした瞬間に消えない(途中のデータは順番に応じた保持時間を持つ事が必要)と次のPCMデータがストリームで来ますからまずいのではないでしょうか。

16bitパラレルデータがスピーカに供給される場合、16個のコイルが直列に繋がっており、所謂ラダー型DAC(通常は抵抗で加算)のような動作をするのでしょうか。

いずれにせよ、かなりの時定数のローパスフィルター相当機能が要ると思いますが

Re2: フルデジタル スピーカー 投稿者:志賀 投稿日:2008年 5月19日(月)22時19分1秒
HD さん:

>CD再生としますと、・・・・・

紹介されたサイトの写真

http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200805140020a.nwc

を見る限り、パラレル(PCM)のようですね。ただし6ビットくらい。試作機の段階ではないでしょうか?

いずれにせよこれについて議論するにはあまりに情報不足ですね。


Re: Re2: フルデジタル スピーカー 投稿者:YS 投稿日:2008年 5月20日(火)04時15分1秒

> 紹介されたサイトの写真

こちらに、別角度からの写真があります。何かご参考になれば。

http://img168.imageshack.us/img168/4279/20080509trigencedemoac9.jpg

Re3: フルデジタル スピーカー 投稿者:志賀 投稿日:2008年 5月20日(火)09時16分39秒
YS さん

>こちらに、別角度からの写真があります。何かご参考になれば。
http://img168.imageshack.us/img168/4279/20080509trigencedemoac9.jpg

情報有り難うございます。

リード線が8本(対)あるようですね。8bit PCM かもしれません。


Re: Re2: フルデジタル スピーカー 投稿者:HD 投稿日:2008年 5月20日(火)11時11分0秒
志賀さん:

> いずれにせよこれについて議論するにはあまりに情報不足ですね。

そうですね。 今回のは基本的な情報が取材(公表?)されてないですね。 NSさんが書かれているようにディジタルスピーカはかなり以前から研究されているのは事実で、次のような例もあります。

http://ci.nii.ac.jp/naid/110003284373/en/

抄録のみです。今回のはここで云う「集中駆動型コーンスピーカ」なんでしょうか。

http://web.archive.org/web/20040828021339/http://www.wcl.ee.upatras.gr/audiogroup/Publications/Full%20Papers/Digital%20Loudspeaker%20Arrays.pdf

1bit型でDSDにも対応可能だそうですが、スピーカは単一ユニットではないです

Re3: フルデジタル スピーカー 投稿者:志賀 投稿日:2008年 5月20日(火)22時21分10秒
HD さん:

http://ci.nii.ac.jp/naid/110003284373/en/

>抄録のみです。今回のはここで云う「集中駆動型コーンスピーカ」なんでしょうか。

ということでしょうね。

http://www.wcl.ee.upatras.gr/audiogroup/Publications/Full%20Papers/Digital%20Loudspeaker%20Arrays.pdf

>1bit型でDSDにも対応可能だそうですが、スピーカは単一ユニットではないです。

1bit シグナルをどう配分するのか、私もよく分かりません。何か誤解をしているのかもしれませんが。

いずれの場合も、ダイレクトデジタル駆動の最大のメリットは何なのか、見えてきません


Re: Re3: フルデジタル スピーカー 投稿者:HD 投稿日:2008年 5月22日(木)11時30分50秒
志賀さん:

> >抄録のみです。今回のはここで云う「集中駆動型コーンスピーカ」なんでしょうか。
>
> ということでしょうね。

1999年の資料(抄録)

http://ci.nii.ac.jp/naid/110003285029/

によりますと、,磁気回路のギャップを考慮すると,多ビット化に限界がある(多くのコイルが巻けない)とあります。 今回の発表の写真を見ますと小口径は6ビット、大口径で8ビットらしく、この頃とどこに技術的な進展があったのか判りませんですね。

> いずれの場合も、ダイレクトデジタル駆動の最大のメリットは何なのか、見えてきません。

同感です。これも古いですが、このような試みもあったようですが、製品化された様子は無いです。 開発者の狙いはスピーカの能率向上との事です。

http://www.stereophile.com/news/10234/index.html

Re4: フルデジタル スピーカー 投稿者:志賀 投稿日:2008年 5月23日(金)05時48分29秒
HD さん:

>> いずれの場合も、ダイレクトデジタル駆動の最大のメリットは何なのか、見えてきません。

>開発者の狙いはスピーカの能率向上との事です。

http://www.stereophile.com/news/10234/index.html

どうもそのようですね。最初に紹介された


http://web.archive.org/web/20080517221538/http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200805140020a.nwc

も省エネがうたい文句になってますね。しかし、これがどうも腑に落ちません。駆動電圧が1/8になるから、1/8の省エネになると言う説明は論外として、同じ動電型の駆動原理を使っている限り能率が向上するとは思えないんですが?

TSさんは、マグネットが強力だからではないかと言う意見でしたが、通常の磁気回路でヨークに鉄を使っている限りそれほどの向上は望めないと思います。いずれにせよ、その場合はデジタルだから省エネになるとは言えないですね。

これは私の想像ですが、電力は外部電源(電池)が供給し、アンプはスイッチング用の電力のみを供給する。そしてこの電力に対して音圧出力が画期的に大きい(当たり前のことですが)、といったことが考えられます。もしそうなら、かなりうさんくさい話ですね。


http://www.stereophile.com/news/10234/index.html

こちらの方は各ビットに対応する多数の変換器を備えた新方式で、確かに新しい方法のようですが、製品化というより、まだ理論の段階で実証された訳でもないんではないでしょうか?(見落としているかもしれませんが)

一方


http://ci.nii.ac.jp/naid/110003285029/

の方は、通常のアナログ式に比べて音圧出力が相当低いですね。こちらの方は十分理解できます。

デジタルスピーカあれこれ 投稿者:志賀 投稿日:2008年 5月23日(金)15時45分49秒
デジタルスピーカが話題にたったところで、

http://www.stereophile.com/news/10235/

に簡単なまとめがあります。

これによると、デジタルスピーカの定義も曖昧です。

第一世代の、Sony の方式は、単にデジタル入力を受け付け、デジタルアンプ、デジタルフィルターを内蔵したマルチウエイアクティブSPのようです。

次の、アルテックの方式もUSBでデジタル入力し、内蔵するアンプ(デジタル?)で通常のダイナミックスピーカを駆動するだけのようです。

最後に書いてあるのが、前スレで紹介した、DLS方式で、確かに原理的に新しく、フルデジタルSPと呼んでいいように思います。

想像を交えた話ですが、これは、例えば8ビットのPCM信号を受けたとき、2^8=256 個の振動子のうち、8桁2進数に等しい個数の振動子を励起し、音圧を作り出すといったものだと思います。このとき個々の振動子は前後2位置のみ取るという意味で駆動部もデジタルといっていいんでしょう。理論は、


http://web.archive.org/web/20040828021339/http://www.wcl.ee.upatras.gr/audiogroup/Publications/Full%20Papers/Digital%20Loudspeaker%20Arrays.pdf

のようなものでしょう。しかし、まだ製品はおろか実証段階にも至ってないんではないでしょうか?

上のサイトには取り上げられていませんが、今回話題になった法政大学方式、信州大学方式は、いずれも駆動部(ボイスコイル)はビット数だけ有り、振動板は一個という折衷案のようです。

最後に、私はどちらかと言えばデジタル派ですが、デジタルスピーカは、少なくとも高音質なスピーカとしては期待できそうにないですね。従来のものより本当に効率の高いスピーカが出来ればそれなりに用途はあるとおもいますが。


Re: デジタルスピーカあれこれ 投稿者:KU 投稿日:2008年 5月23日(金)17時55分48秒

> 最後に、私はどちらかと言えばデジタル派ですが、デジタルスピーカは、少なくとも高音質なスピーカとしては期待できそうにないですね。従来のものより本当に効率の高いスピーカが出来ればそれなりに用途はあるとおもいますが。

個人的コメントとして:
アンプのデジタル化については、消費電力の観点から研究を進めていくべきと思います。

しかしこれがスピーカーとなると、何のためにデジタルスピーカーを研究するのか、その意義が未だ見えてきません。仮にスピーカーの振舞だけをデジタルで理想動作したところで、その挙動の半分以上を空気が決める以上は耳に届くまでフルデジタルにはならず、デジタルであることの利点がどこにあるのか不明です。

理想デジタルスピーカーの完成よりは、人間の感覚神経に直接刺激を与える方法の方がまだ信号伝送の理想に近いように思います。

ということで、デジタルスピーカーは、高音質のスピーカーシステムとしてはあまり期待できそうにありません。

次は、円筒型スピーカ

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