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ラウドネス(等感)曲線と低音再生

真空管アンプとトランジスターアンプの議論から発展したやりとりです。トーンコントロールでの低音増強、セッティングでの低音増強などについて。

参考までに 投稿者:HD 投稿日:2008年 4月15日(火)14時10分28秒
US さん:

> CDからリッピングしたソフトを(真空管アンプで駆動したスピーカーからの残響音)と、(半導体アンプで駆動したスピーカーからの残響音)の比較が出来れば、違いがわかるのではないかなと思ったのです。

志賀さんの 4月13日(日)19時01分40秒のコメントURLのDFとF特のデータからみますと、アンプを変えてスピーカーからの残響音の聴感、振幅の減衰度とある時間でのスペクトル比較が出来れば耳の感度の良い300〜500Hz以上の中域での違いが判るのではないかと思います。

ご存知のようにオケのチューニングに使うA音はオケによって違いますが最近は基音(440+α)Hzです。 NHKの時報は440Hz 3発と880Hzです。
真空管アンプを持っていればやってみたいのですが、、、

http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2003/pr20031022/pr20031022.html

等感曲線 投稿者:AS 投稿日:2008年 4月16日(水)12時23分47秒

2003年に Robinson-Dadson 曲線(ISO226)が改訂されて、ISO226:2003になりましたね。
等感度曲線は音が小さくなるほどに、ISO226と比べて高域側で少し、低域側で大幅に上昇しました。生演奏を聴く時の音量と、オーディオで聴く時の音量との間に10ホン以上の差がある時、生演奏を聴く時の「低音域〜高音域の音バランス」をオーディオで再現して聴くには、補正が必要だということを示していますね。

Re 等感曲線 投稿者:US 投稿日:2008年 4月16日(水)14時02分40秒

その通りだと思います。ラウドネスコントロールはバックグラウンドミュウジックのように比較的小音量でイージーに聞き流すときには好ましいかと思います。

トーンコントロールに関しても、それぞれのソフトでイコライジングが違いますから必要かと思います。

しかし、あまり加工していなくて録音状態が良いと思われるクラシックやジャズなどで、もう少し感動やノリを求めて、実在音に近づけて聴こうとすると、 トーンコントロールやイコライザーは、できるだけ使用しないほうが良いように思います。

Re2 等感曲線 投稿者:AS 投稿日:2008年 4月16日(水)17時29分26秒
US さん

クラシックでも、オーケストラによる演奏は、たいてい天井吊り下げマイクによる録音ですから、客席で聴いている音とは「低音域〜高音域の音バランス」も「直接音と間接音のバランス」も違ってしまいます。

ラウドネス・スイッチは、メーカーごとに補正量の設定が違っていますし、等ラウドネス曲線から求められる補正量とはかけ離れてしまうことも多いですから、私はトーン・コントロールを使っていますよ。

(無題) 投稿者:BM 投稿日:2008年 4月16日(水)17時54分32秒

要するに人間の側の耳の特性のために必要な物、特に音量の出せない環境で聞くための物だと私は思っています、耳の特性なんて人それぞれ、まったく違いますからデーターを見ても自分の状態とは同じとも限らないですよね?ですからトーンコントロールが必要な人は必要でしょうし、不要な人には、必要無いのだと思ってますが?

Re3 等感曲線 投稿者:AO 投稿日:2008年 4月17日(木)00時17分13秒

久しぶりにオーディオの本質を主題にした議論であると感じましたので、ROMしておりましたが、BMさんの発言を見まして、ひとつの真理が提示されたことを喜ばしく思い投稿します。

産業側から見ると消費者の感覚が単一のものでないと、営業上難しくなりますので、彼らは極力リスナーは皆、同じ聴覚を備えていると暗に宣伝していますが、実は評論家諸氏も含めて、全員がそれぞれ違った聴覚を持っていることを前提にしないと、こういう議論は収束せず結論はでないことを、愛好家は認識すべきだと痛感しております。つまりラウドネスカーブのみならず個人補正カーブを測定する必要も認識しなければいけないのでは、と。御意見や如何に?

Re: Re3 等感曲線 投稿者:AS 投稿日:2008年 4月17日(木)09時50分18秒
AO さん

> 実は評論家諸氏も含めて、全員がそれぞれ違った聴覚を持っていることを前提にしないと、こういう議論は収束せず結論はでないことを、愛好家は認識すべきだと痛感しております。つまりラウドネスカーブのみならず個人補正カーブを測定する必要も認識しなければいけないのでは、と。御意見や如何に?

仰るとおり、個人ごとに必要な補正量は違うはずですよね。また、古いアナログの愛聴ソフトの劣化してしまった音を補正して聴きたい時、歳を取って聴力が低下したときに昔から愛聴しているソフトを昔聴いていた音バランスに近付けて聴きたい時、などにも補正機能が役立ちます。

補正機能が不要と言えるのは、ソフト・オーディオ機器・リスニングルームの音響・聴き手の聴覚の全てが理想条件にある〜近い時ですけど、そんな実例なんて皆無ですね。

それにしましても、メーカーの宣伝文句やマニアの主張で、「補正機能やコントロールアンプを使わないことが音楽をピュアに聴ける」というものが余りに蔓延り過ぎているように感じます。

Re4 等感曲線 投稿者:BM 投稿日:2008年 4月17日(木)10時06分41秒
AS さん、

トーンコントロールを必要と思わない人は、そこそこの音量も出せるし、少々実際の音と耳の特性が違っていても、それほど気に成るものでも無いと思います、実際の音量、舞台の上で聞くオケの音量とホールの後ろで聞く音量では格段の差が有りますから、厳密には補正が必要なはづですが、ホールの後ろで聞いても違和感は感じないと思います?ですから、いろいろな補正機能を通したアンプの音質と、それらをスルーした音質を聴き比べると、私はスルーして使います・・・

Re5: 等感曲線  投稿者:AS 投稿日:2008年 4月17日(木)12時21分17秒
BM さん

なるほど。BMさんがお使いになっているスピーカーは、ウーファーは大口径でしょうか?

生演奏で聴いている音楽の迫力(特に低音域で感じるもの)が、オーディオで聴く時は大口径ウーファーでない限り減ってしまい、例え生演奏に近い音量であっても低音域の迫力の再現性という点では補正機能で補う必要があると思います。大口径ウーファーは、小口径に比べて即応答性が下がる傾向がありますから、一概に大口径で聴くべきだとは言えませんけど。

ラウドネス効果や聴覚の個人差だけでなく、スピーカーの低音域再現能力も勘案する必要はあるのではないでしょうか。

Re Re5: 等感曲線 投稿者:志賀 投稿日:2008年 4月19日(土)05時04分38秒
AS さん

>生演奏で聴いている音楽の迫力(特に低音域で感じるもの)が、オーディオで聴く時は大口径ウーファーでない限り減ってしまい、例え生演奏に近い音量であっても低音域の迫力の再現性という点では補正機能で補う必要があると思います。

大口径であることは低音再生には必要条件と言っていいと思いますが、十分条件ではないですよ。

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/subwoofersusume.html

にまとめてありますが、最大径38cm のSP の低音の再生能力は意外と小さいです。

また、このページの最後に書いたように、低音が不足しているスピーカーに無理に低音を増強して入れると、高調波歪みが盛大に生じ、等感曲線の効果もあり、基音でなく倍音を低音として感じている可能性があります。

私見ですが、このような低音をスピード感のある低音と感じる人もあるのではないかと想像しています


ありがとうございます 投稿者:AS 投稿日:2008年 4月21日(月)12時47分39秒
志賀 さん

>大口径であることは・・・十分条件ではないですよ

同意見です。先のコメントでは、「小口径ウーファーと比較して」の意味で書きましたもので、説明不足でした。

口径が大きくなってもfo以下は再生不可能ですが、口径が大きいほど空気の振動体積が大きくなりますから、低音の量感再現にとっては小口径よりも有利になりますね。

大型スピーカーでなくとも、20Hz〜20kHzの可聴帯域が歪少なくほぼフラットに再生出来るようになるには、スピーカーの構造・仕組みに革新が起こらないと無理でしょうね。

>基音でなく倍音を低音として感じている可能性。このような低音をスピード感のある低音と感じる人もあるのではないかと想像。

等ラウドネス曲線からして、大いに有り得る事ですね。

私のスピーカーは20cmウーファーのトールボーイで、BASS (100Hz) は +3dB にしています。

まだサブウーファーは使っておりませんが、20Hz〜40Hzの重低域の不足感を補うには必要だと感じています。

Re ありがとうございます 投稿者:志賀 投稿日:2008年 4月21日(月)22時09分13秒
AS さん

>まだサブウーファーは使っておりませんが、20Hz〜40Hzの重低域の不足感を補うには必要だと感じています。

是非一度試してみて下さい。

http://www.hometheatershack.com/forums/subwoofer-tests/6015-index-subwoofer-tests-manufacturer-model.html

ここに、比較的手軽に手に入る日本製のサブウーファーのデータが出ています。ご参考までに

(無題) 投稿者:BM 投稿日:2008年 4月21日(月)16時07分10秒

私が感じていますのは、ソフトもスピーカーの状況や能力も考えてマスタリングされてると思っていますので、それほど大掛かりなシステムで無くても、音楽は楽しめると思ってるのですが?大型のベースでも60Hzくらいですし、パイプオルガンの最低音を意識しなければ60Hzまでフラットであとの下はそこそこ出れば良いかも?聞いたことが無いのですが20Hzまでフラットに出るシステムだと、欲しくなるのかなー・・・・聞いてみたいです。

Re (無題) 投稿者:志賀 投稿日:2008年 4月21日(月)20時34分9秒
BM さん

>私が感じていますのは、ソフトもスピーカーの状況や能力も考えてマスタリングされてると思っていますので、それほど大掛かりなシステムで無くても、音楽は楽しめると思ってるのですが?

楽しめる人もあれば、不満に思う人もあり、人それぞれですね。

>大型のベースでも60Hzくらいですし、パイプオルガンの最低音を意識しなければ60Hzまでフラットであとの下はそこそこ出れば良いかも?聞いたことが無いのですが20Hzまでフラットに出るシステムだと、欲しくなるのかなー・・・・聞いてみたいです。

近代オーケストラ曲で盛んに使われるバスドラムは最低D音約37Hz に調整されているようで、サブウーファーがないと私には不満ですね。

生演奏とオーディオ 投稿者:AS 投稿日:2008年 4月21日(月)16時50分5秒

ライヴで聴くと、クラシックでもポピュラーにしても、低音の迫力はオーディオで聴く時とはかなり違って聴こえます(単に音量が違うというのを超えて)。

評論家の小林貢氏は、コラム「低音へのこだわりを語る」
http://www.mycar-life.com/special/0512/kobayashi/kobayashi-mitsugu-0512.html
で、自室で使っている Rey Audio
http://www.reyaudio.com/large.html
の Kinoshita Monitor RM-7V を紹介しています。低音域側が20Hzまでほぼフラットに出せるスピーカーです。

スピーカーの特性表示 投稿者:AS 投稿日:2008年 4月22日(火)10時35分52秒
志賀 さん

>近代オーケストラ曲で盛んに使われるバスドラムは最低D音約37Hz に調整されているようで

スピーカーの再生周波数特性に、何dB偏差での測定かを表記しないメーカーが増えたことにつきましては、前にも書きました。表記している場合でも、−3dB、−6dB、−10dBなど様々です。

−3dBではフラットの1/1.4
−6dBではフラットの1/2
−10dBではフラットの1/3.2

の量になりますから、例え40Hz〜40kHz(−6dB)のスピーカーでも、40Hzはフラット域の半分でしか聴けないことになります。
クラシックやジャズで低音楽器が活躍する音楽ソフトを聴く時に、低音域の不足感が出てしまいますね。

>あまり大音響では聞けないときはトーンコントロールで心持ち低音を持ち上げて聞いています。

志賀さんは、通常の音量ではサブウーファーのみを使用されて低音域を補っていらっしゃるのでしょうか?

Re スピーカーの特性表示 投稿者:志賀 投稿日:2008年 4月23日(水)19時47分39秒 AS さん

>志賀さんは、通常の音量ではサブウーファーのみを使用されて低音域を補っていらっしゃるのでしょうか?

サブウーファは30Hzくらいまでほぼフラットな音圧特性を出すために常に使っており、低音を持ち上げるためではありません。

サブウーファの入力はプリアウトなので、トーンコントロールはサブウーファを含め全体の低域を持ち上げると言うことです。最近はほぼ持ち上げた状態で聴くことが多いです。

RE:超低域再生 投稿者:HD 投稿日:2008年 4月22日(火)10時37分37秒

話題になっております超低域再生ですが、スピーカの置き方で相当変ります。「壁のバッフル効果」といわれる事もあるようです。かつて経験したのですが、密閉型30cmウーファの3ウエイスピーカ(カタログ上の再生帯域の下限23Hz)で取説によりますと無響室では60Hz以下が10dB/Oct.で落ちてますが、部屋の隅に置きますと約25Hzまでほぼフラットになりました。 歪については測定しなかったので判りません。 奥行感とのトレードオフになるかと思いますが、このような現象もあります。 定在波との関係もあると思います。現在は、スピーカを適当に壁から離して置き、サブウーファーを使っています。

http://www.genelec-ht.com/learning-center/faq/acoustical/bass/

http://web.archive.org/web/20090831032112/http://www.terawave.net/amane/contents/soundworks/sw_monitor_3.htm

もっと良い文献があれば良いのですが。

RE2:超低域再生 投稿者:志賀 投稿日:2008年 4月22日(火)20時45分49秒   返信HD さん

セッティングだけでずいぶん下まで伸びるんですね。ちょっと驚きです。恐らく密閉型だからでしょうね。 密閉型の場合 f0 より下の減衰は放射インピーダンスの低下が主因なので、後面バッフル効果でかなり補えるんではないかと思います。バスレフではこうはいかないような気がします。

Re3 超低域再生 投稿者:BM 投稿日:2008年 4月23日(水)11時31分25秒

HD さんの体験でも、そうですがスピーカーは設置で変わりますよね、低域は特に床とか壁とかの違いでまったく変わるので、SPの特性以上に良く出来る可能性が有ると言う事だと思いますねー?


リスニングルーム 投稿者:TS 投稿日:2008年 4月25日(金)01時54分22秒

会社のリスニングルームを整備してみました。部屋の大きさは6mx10mというところです。まず内装全面にフラッターエコーの駆除の為に6cm程度の厚みのグラスウールの吸音層を設けました。一部に反射層を残したのですが、そこだけフラッターエコーが残っていました。この先全ての反射層を取り除くつもりです。基本的にかなりデッドな部屋になっております。世の中でのリスニングルーム論はライブ指向なので、多くの反論が有りそうですが、音は悪くなかったです。ただ当たり前ですが、ちょっと音の厚みがありませんでした。スピーカーはスペンドールのSP100です。そこで対策として、スピーカープレイスメントの徹底の後、パラメトリックEQでイコライジングしてみました。かなり良くなりました。迫力、音場感とも期待通りのものです。まあ自己満足でしかありませんが。因みにグラフは調整後のf特を計測したものです。低域は思いっきりブーストしています。



(無題) 投稿者:BM 投稿日:2008年 4月25日(金)11時19分25秒
TS さん、

今の主流のリスニングルームとは、反対の行き方ですねー?又状況教えてください・・・私はライブな部屋が好みなのでカーテン以外は吸音はしていません、以前は毛布とかカーテンとかスボンジとか壁中吸音してた時も有ったのですが、だんだん取り外しました。それにしても低域のブーストは多いですが、何を聞かれてるのですか?

Re: (無題) 投稿者:TS 投稿日:2008年 4月25日(金)13時27分49秒
BM さん、

>今の主流のリスニングルームとは、反対の行き方ですねー?

はい、そうです。自分の思ったとおりに改装しました。デッドなリスニングルームは居心地が悪いですが、音そのものは別に悪くないです。f特の調整さえ、きっちり行えば豊かな音で鳴ってくれます。デッドでもライブでも固有振動がなければ音は良いというのが私の持論です。この後は反射板を持ち込んで徐々に残響を加えようと思っています。

>それにしても低域のブーストは多いですが、何を聞かれてるのですか?

主にピンクノイズです.... 冗談です(笑)
女性ボーカル系のジャズ、ミーハークラシック、メロディーのあるロック、音の良い録音のCD何でもというところです。 因みに低域の量ですが、このくらい出していないと迫力が出ません。人間の聴覚特性で、トーナルバランスの感覚が環境適応効果でどんどんずれていきますので、今の私個人にとってバランスが取れたものです。この点に絶対的な指標はないようです。

RE:超低域再生 投稿者:HD 投稿日:2008年 4月26日(土)13時06分35秒

部屋の大きさ(W = 3.5m, L = 5m, H = 2.5m) 、サブウーファのローパスフィルター特性(-3dB@80Hz)が書かれている文献(全9ページ)が有りました。 結果はシミュレーションのようですが、部屋の音響特性とサブウーファの設置場所との関係の概略は判るのではないかと思います。

もっと細かくスピーカの位置を変えてあれば良かったのですが。
現実は部屋によってさまざまでしょうし、一概には言えないと思いますがサブウーファを部屋の隅か後壁に近接させてメインスピーカを適切な所に置いてクロスの周波数でレベルを合わせて繋ぐのが低域の歪の観点からも良いと言うことでしょうか。
# WAF (wife approval factor)なる言葉も出てきてます(笑)

http://www.audioholics.com/tweaks/get-good-bass/subwoofer-placement-the-place-for-bass-part-1

スピーカと部屋 1 投稿者:HD 投稿日:2008年 4月27日(日)18時10分46秒

もう一つ文献を紹介しておきます。

http://www.harmanaudio.com/all_about_audio/loudspeakers_rooms.pdf

5ページ〜6ページ 2.2.1に部屋の隅での低域増強効果(最大約+18dB)のことが書いてあります。 定性的には隅に近いほど増強されるのは判りますが、(4π、π、1/2π) steradiansがどういう数字なのか判りかねてます。フルレンジSPをここに置くと低域の高い方(80Hz付近?)と中低域の特性が暴れて良くないのでサブウーファをここに置くメリットはアンプやSPへの負荷の点で有利との事です。


スピーカと部屋2 投稿者:HD 投稿日:2008年 4月27日(日)21時42分26秒
自己レスです。

>定性的には隅に近いほど増強されるのは判りますが、(4π、π、1/2π) steradiansがどういう数字なのか判りかねてます。

こういうことのようです。
4π steradiann: 完全自由空間、 無響室や地面からの反射の影響の無い位高い空中
2π   ”     下(床)からの反射音が100%SPからの音に重畳される場合
π    ”     床と後壁からの反射音が100%SPからの音に重畳される場合
1/2π  ”     床、後壁と横壁からの反射音が100%SPからの音に重畳される場合

実際は100%反射と言う事はないですが、低域は吸収、減衰し難いですからSPを部屋の隅に置いた場合低域は相当増強されそうです。 反射波の位相がどうなるかにもよるとおもいますが。

Re: スピーカと部屋 投稿者:志賀 投稿日:2008年 4月28日(月)11時21分38秒  
HD さん、KU さん

多分、添付画像の低音の持ち上がりが話題となっているんだと思いますが、この図(p.5 Figure.5)をどうして書いたか私の想像を述べます。

これはあくまで天井や後面壁からの反射を考えないモデルに対する半定量的な見積もりで、シミュレーションによる計算や測定をした結果ではなさそうです。

まず、無響室(anechotic room)でのあるスピーカのf特が実線。

背面壁と床の境界においたスピーカから放射される音は立体角は4π/4 =π なので,全反射して位相差による干渉がない場合(十分低音)では4倍 すなわち 20xlog4=12dB 増強される。従って低音までフラットな理想スピーカーからの音圧は図の青線で書いたように十分低音で+12dB に向かって増強される。実際のスピーカのf特と合わせて適当に曲線を描いたのが鎖線。

部屋の角床上においた場合は 立体角 4π/8=(1/2)π に放射されるので十分低音では8倍 すなわち 18dB 増強される。これが図の赤線、実際に期待されるのが点線。
といった感じでしょう。 天井や後面からの反射による干渉、定在波の影響は別に考えるようです。

また、中低域(150Hz くらい)に見られるディップはスピーカーからの直接音と反射波の干渉によるものと思います。例えば音路差を1mとするとディップは340/2=170Hz に生じます。

次のページ(p.6)の最初に書いてることは、このディップを避けるためSPを壁面から離すと、低音の増強が期待できず、この面からもサブウーファを使うのが有利ということのようです。

蛇足ですがステラジアンは立体角の単位で、その立体角で半径1の球の表面を切り取ったときの表面積です。従って全角は4π、半球(無限広さ床面においた場合)では2π、第一象限の立体角は π/2 といった具合です。



スピーカと部屋 つづき 投稿者:BM 投稿日:2008年 4月30日(水)11時07分0秒

このデーターによると・・・私の感じているように部屋の環境やスピーカーの設置の方法で低域の補正とかサブウーハーの追加をしなくても、ある程度まで低域をフラットに聞くことが出来ると言う事ですかね?

Re スピーカと部屋 つづき 投稿者:志賀 投稿日:2008年 4月30日(水)18時33分34秒 BM さん

はい、そういっていいと思います。ただ、この見積もりは100%の反射率を仮定しているので、床や壁が鉄筋コンクリ−ト製の場合はこれに近い増強が得られると思いますが、木造建築の場合はかなり下回ると思います。

また、この文献の6ページ最上段に以下のような記述があり,このような方法で低音を増強するのがいいかどうか疑問です。

An unfortunate side effect is that some irregularity is introduced at upper bass and lower mid frequencies. If one is using a separate subwoofer, this is not likely to be a problem. However, for free-standing full-way loudspeakers finding a suitable compromise between good imaging and good bass can be a frustrating, and frequently impossible, task.

意訳をすると、

「側面反射がもたらす困った効果は、(干渉により)中音域にディップやピークを作ってしまうことです。サブウーファーを使うとこの点は問題となりません。しかし、マルチウエイスピーカシステムのみで対応しようとすると、良好な音像定位感と豊かな低音を得ることは、あちら立てればこちら立たずで難しく、ほとんど不可能と言っていいでしょう。」

ということです。


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コンパウンド方式 投稿者:KE 投稿日:2008年 4月22日(火)00時18分42秒

SPのコンパウンド方式についておたずねします。メーカの宣伝文句には、背面の体積を無限大等価とか、歪の無い歯切れの良い低音とか、派手に謳っていますが、自分にはよく腑に落ちない感じです。

2個のウーファがパラレルかシリアルかの違いで、一体どういう利点があるのでしょうか? 自分には、表のウーファ単体の性能をを、内部のそれを犠牲にして伸ばすのだろうか...? 位の定性的な判断しか思い浮かびません。

Re コンパウンド方式 投稿者:志賀 投稿日:2008年 4月22日(火)20時38分21秒
KE さん

コンパウンド方式という名前は知りませんでしたが、おそらくダブルドライブ方式の一種だと思います。いつも参考にする佐伯多門著「スピーカー・エンクロージャ百科」からとったものですが、参考図でDDSS あるいはDDSB とある方式です。要するに2つのSPを同期して駆動し前方のSPから見ると背圧を感じず無限大バッフルと同じ効果が得られるということだと思います。大変設計が難しく、下手をすると凹凸の激しいf特になる恐れがあると言うことです。



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