MMさんの投稿に端を発して、デバイディングネットワーク用コア入りソレノイドコイルのインダクタンスの計算法に発展しました。適当な参考書が見つからないので、自分で計算しました。その方法は
http://shigaarch.web.fc2.com/solenoidcoil.htm
です。MMさんの測定結果を見るとかなり正確に見積もれるようです。自作派の方は参考にして下さい。
ネットワークコイルの自作 投稿者:MM 投稿日:2007年 7月28日(土)11時07分17秒
先日からネットワークコイルの自作に挑戦しています。 空芯コイルの場合、巻き数が多くなりますので、トランスの鉄心(EI型)のIの部分を数十枚重ねたものに巻いていますが、歪等の問題は発生しませんか? それとも、フェライトコアーを使用したほうが良いのでしょうか? 銅線はトランスからほどいたもの(1.2mm)を巻いています。
Re ネットワークコイルの自作 投稿者:志賀 投稿日:2007年 7月28日(土)21時02分54秒
MM さん:
<空芯コイルの場合、巻き数が多くなりますので、トランスの鉄心(EI型)のIの部分を数十枚重ねたものに巻いていますが、歪等の問題は発生しませんか?>
もちろん皆無という訳にはいきませんが、どの程度になるかは難しいですね。閉じた磁気回路でなければ、それほど磁束密度は上がらないので、磁気飽和による非直線歪みはあまり心配ないと思いますが、ヒステリシスによる歪みがどれほど影響するかですね。コア材にもよりますが出力トランス用のコアなら問題ないと思います。電源トランス用となるとバルクハウゼンノイズも含めちょっと心配ですね。
<それとも、フェライトコアーを使用したほうが良いのでしょうか?>
渦電流損失が小さいということでこちらの方が良いとは思いますがどれほどの差が出るかは一概にはいえないですね。
ちなみにこの件以前にも話題になっており、その中で、ネットワークコイル用のフェライトコア入りコイルの入手先なども紹介されており、比較的に安価に手にはいるようです。
ここです。
http://shigaarch.web.fc2.com/OldBBS/28networkcoil.html
<銅線はトランスからほどいたもの(1.2mm)を巻いています。>
これは問題ないでしょう。
Re: Re ネットワークコイルの自作 投稿者:MM 投稿日:2007年 7月28日(土)23時48分46秒
志賀さん
電源トランスの鉄心はあまりお勧めではないということですね。おそらくT−120珪素鋼板あたりではないかと思います。フェライトコアーをさがすことにします。有難うございました。
私は長年3CHマルチアンプでやってきました。中音と高音のクロスオーバー周波数を下げようとしても、市販のツイーターで1000〜2000HZから使用できる製品は限られています。そこで4ウェイ化を思いつきましたが、4CHマルチアンプはちょっと大掛かりになりすぎますので、高音部を2ウェイのネットワークで分割することにしたわけです。そのためのネットワークコイル自作です。
Re: Re ネットワークコイルの自作 投稿者:HD 投稿日:2007年 7月29日(日)10時38分30秒
MM さん:
<私は長年3CHマルチアンプでやってきました。中音と高音のクロスオーバー周波数を下げようとしても、市販のツイーターで1000〜2000HZから使用できる製品は限られています。そこで4ウェイ化を思いつきましたが、4CHマルチアンプはちょっと大掛かりになりすぎますので、高音部を2ウェイのネットワークで分割することにしたわけです。そのためのネットワークコイル自作です。>
と言う事はクロスの周波数はかなり高くなると思うのですが、Lの値はどのくらいをお考えでしょうか?
Re: Re ネットワークコイルの自作 投稿者:MM 投稿日:2007年 7月29日(日)15時01分1秒
HDさん
クロスオーバー周波数は5000〜10000HZ辺りで考えています。従いまして、Lは0.25mH以下で間に合います。HEIDYさんは、「空芯コイルでも巻き数が100回程度だから、空芯にしたらどうですか。」とおっしゃられたいのでは。 確かにその通りなのですが、手元に1mm以上の銅線が少なくなってきましたので、直流抵抗を低くするために巻き数を少なくしたいという、あさはかな考えです。 1組の0.23mH空芯コイルは出来上がっていますが、12dB/octにするためにはもう2個必要ですから。
Re: Re ネットワークコイルの自作 投稿者:HD 投稿日:2007年 7月29日(日)16時52分23秒
MM さん:
<クロスオーバー周波数は5000〜10000HZ辺りで考えています。従いまして、Lは0.25mH以下で間に合います。HDさんは、「空芯コイルでも巻き数が100回程度だから、空芯にしたらどうですか。」とおっしゃられたいのでは。>
ご明察の通りです。 こういうサイトを見付けたものですから。
http://www.colomar.com/Shavano/inductor_info.html
これで、いろいろやって数字を眺めると面白いです。
Re: Re ネットワークコイルの自作 投稿者:MM 投稿日:2007年 7月30日(月)00時18分48秒
HD さん
ご紹介のサイト見ました。 実際にコイルを巻いてみて判ったのですが、内径、巻き幅共に図面どうりに巻くことは不可能ですね。特に、トランス巻き線をほどいて巻く場合、くせが付いた銅線をそろえて巻くことは、段数が増えるにしたがって難しくなってきます。たとえば、1段目は20回、2段目は19回、3段目は18回とだんだん少なくなってきます。従いまして、規定回数巻いても予定のインダクタンスにはなっていません。
そこで私はクロスオーバー周波数を先に決め、概算で(少し多めに)コイルを巻きます。そして、直列に負荷(8Ω)を接続し、予定の周波数で−3dBとなるように巻き数に調整しました。インダクタンス(mH)はその周波数から計算して求めます。アマチュアが自作するときはこれしか方法がないと思いますが、何か他に良い方法がありますか?
Re2: ネットワークコイルの自作 投稿者:志賀 投稿日:2007年 7月30日(月)09時08分22秒
MM さん:
<<横からですが、私はネットワークコイルを作った経験がないので教えてください。>>
<・・・・・・・ 従いまして、規定回数巻いても予定のインダクタンスにはなっていません。>
これは、空芯コイルの場合でも計算通りいかないという話ですね? コア入りの場合、さらに難しいと思いますが何か実際的な指南書のようなものはあるんでしょうか?
<そこで私はクロスオーバー周波数を先に決め、概算で(少し多めに)コイルを巻きます。そして、直列に負荷(8Ω)を接続し、予定の周波数で−3dBとなるように巻き数に調整しました。インダクタンス(mH)はその周波数から計算して求めます。アマチュアが自作するときはこれしか方法がないと思いますが、何か他に良い方法がありますか?>
これは理屈ですが、信頼できそうなコンデンサーを使ってLC共振回路を作りインピーダンスのピーク(又はディップ)周波数からインダクタンスを計算するとかなり正確にL値が求められるんではないでしょうか?
Re: Re2: ネットワークコイルの自作 投稿者:HD 投稿日:2007年 7月30日(月)10時21分35秒
志賀さん、MMさん:
高域では、
http://www.dynavector.co.jp/lecture/crossover/imphosei_hi.html
のような記述も有りますね。我が家の3ウエイSP(公称インピーダンス6Ω、スコーカ・トゥイータのクロス4.500Hz、12dB/Oct)では、ボイスコイルに並列に47Ωの抵抗が入っていますが、補正の為かTW保護の為かは判りませんです。
Re: Re2: ネットワークコイルの自作 投稿者:三村 投稿日:2007年 7月30日(月)13時00分0秒 返信・引用
志賀さん
<これは、空芯コイルの場合でも計算通りいかないという話ですね? コア入りの場合、さらに難しいと思いますが何か実際的な指南書のようなものはあるんでしょうか?>
指南書のようなものは私は知りません。ボビンの内径、巻き幅が違えば同じインダクタンスとなる巻き数が違ってきます。特に、コアー入りの場合は 巻き数は大変シビアーで、1回、2回の調整が必要です。 メーカー製の空芯コイルで−12dBネットワークを組むとSPが2個購入できる程度の金額になります。そこで自作を思いついたわけです。
<これは理屈ですが、信頼できそうなコンデンサーを使ってLC共振回路を作りインピーダンスのピーク(又はディップ)周波数からインダクタンスを計算するとかなり正確にL値が求められるんではないでしょうか?>
6dB/octの場合は、ハイパスフィルター用コンデンサー、コイルにダミー抵抗をそれぞれ接続し、ハイパス側の−3dBとなる周波数を求めます。それからローパス側のコイル巻き数を調整して同じ周波数で−3dBとなるようにしました。これが一番手軽で、コンデンサーの容量誤差もそれほど問題にならないと思います。クロス周波数が微妙に違ってきますが。一方、−12dB/octの場合は、ハイパス側、ローパス側のコイルのインダクタンス、コンデンサー容量が共に違っていますから、かなり面倒な作業になりそうです。
インダクタンスの計算にはコイルの直流抵抗を考慮しなければ正確ではありませんが、以上の方法であれば誤差は気にしなくても良いのでは。
HDさん
このサイトは私も見ていました。インピーダンスが上昇する部分でクロスさせたり、定インピーダンス型ではないアッテネーターを挿入した場合はクロス周波数が狂ってしまいますね。ダミーロードではなく、実際のSPを接続して調整するべきかも知れません。しかし、そこまでしなくても大丈夫ではないでしょうか。
Re3 ネットワークコイルの自作 投稿者:志賀 投稿日:2007年 7月31日(火)08時47分57秒
MM さん
<指南書のようなものは私は知りません。ボビンの内径、巻き幅が違えば同じインダクタンスとなる巻き数が違ってきます。特に、コアー入りの場合は
巻き数は大変シビアーで、1回、2回の調整が必要です。>
MMさんの手法は理解できました。空芯の場合は、HDさんの紹介されたHPも含め、必要なインダクタンスを得るための巻き数については計算式があり、とりあえずそれに従って巻き、後は測定しながら決めていくといったところですね。
質問の仕方が遠回しだったのでうまく伝わらなかったようですが、コア入りの場合、あらかじめ大まかな巻き数をどのようにして決めておられるかが聞きたかったのです
コアの形状がわかれば空芯の何倍程度のインダクタンスになるか推定できるはずなんですがそのような情報はあまり知られていないということでしょうか?
<インダクタンスの計算にはコイルの直流抵抗を考慮しなければ正確ではありませんが、以上の方法であれば誤差は気にしなくても良いのでは。>
実際問題として、フィルター設計・調整という目的の場合はそれでいいんだと思います。インダクタンスを測定するという目的なら共振周波数を測定するとコイルの直流抵抗はQ値を下げるだけでL値には影響しないのでより正確だと思います。
Re: Re3 ネットワークコイルの自作 投稿者:MM 投稿日:2007年 7月31日(火)10時27分10秒
志賀さん
<質問の仕方が遠回しだったのでうまく伝わらなかったようですが、コア入りの場合、あらかじめ大まかな巻き数をどのようにして決めておられるかが聞きたかったのです>
コアー入りの巻き数はカット&トライで決めました。最初は適当に巻いてから測定し、その巻き数とインダクタンスから必要な巻き数を推定し、最後に微調整しました。理論的ではなくきわめて実験的手法ですね。鉄心に巻いたコイルも2個作っています。0.26mHの場合、13mm角のコアーに巻き幅50mmで1段と1/4(50数回)巻いただけですから、製作は簡単です。銅線も3m少々もあれば足ります。
<コアの形状がわかれば空芯の何倍程度のインダクタンスになるか推定できるはずなんですがそのような情報はあまり知られていないということでしょうか?>
探せば見つかるでしょうが、測定しながら作った方が早いと思いました
Re4 ネットワークコイルの自作 投稿者:志賀 投稿日:2007年 7月31日(火)11時03分2秒
MM さん:
>コアー入りの巻き数はカット&トライで決めました。最初は適当に巻いてから測定し、その巻き数とインダクタンスから必要な巻き数を推定し、最後に微調整しました。理論的ではなくきわめて実験的手法ですね。
了解しました。有り難うございます。
Re: Re4 ネットワークコイルの自作 投稿者:HD 投稿日:2007年 7月31日(火)13時20分26秒
志賀さん, MM さん:
コア入りコイルのインダクタンスを計算で求めるのは、簡単ではなさそうですね。
http://www.cqpub.co.jp/hanbai/books/30/30671/30671_1syo.pdf
Re5 ネットワークコイルの自作 投稿者:志賀 投稿日:2007年 7月31日(火)22時52分36秒 返信・引用 編集済
HD さん、 MM さん:
上のpdf テキストを参考にして少し考えてみました。コイルをコアに密着して巻いた場合、磁束はほとんどコイル内を通るので、磁束密度は空芯の場合より比透磁率分増加し、インダクタンスもその分大きくなります。シリンダー状の高透磁率材料をコアに使った場合有効比透磁率は
http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/Lecture/ferromagnet.htm#demagsoft
に書いたように反磁場係数に反比例します。シリンダー状のコアの反磁場係数は求められており、長さ/直径を m とすると、コアを入れたことによるインダクタンスの増加は空芯の場合に比べ以下のように増加するはずです。
m 1/N
1 3.7倍
2 7 倍
3 12 倍
4 19 倍
5 25 倍
磁束の漏れなど考えるとこれより少し小さくなるかもしれません。
MM さん
こんなところでしょうか?
Re: Re5 ネットワークコイルの自作 投稿者:MM 投稿日:2007年 7月31日(火)23時32分33秒
志賀さん
mはコアーの長さ/直径のことでしょうか?
コイルの巻き幅に対して長いコアーを挿入すれば倍率が大きくなると考えればよいのでしょうか?
Re6 ネットワークコイルの自作 投稿者:志賀 投稿日:2007年 8月 1日(水)05時51分34秒 返信・引用
MM さん:
<mはコアーの長さ/直径のことでしょうか?>
はい。そうです。
<コイルの巻き幅に対して長いコアーを挿入すれば倍率が大きくなると考えればよいのでしょうか?>
同じコイルであれば結果的にそうなります。ただし、コアはコイルの内面に密着していること、長さはコイルと等しいかそれより長いことが条件です
Re: Re6 ネットワークコイルの自作 投稿者:MM 投稿日:2007年 8月 1日(水)11時23分53秒
志賀さん
同じ巻き数、同じ断面積の空芯とコアー入りコイル巻き、インダクタンスを測定しました。
巻き数 51回
断面積 14mm×11mm
コアーの長さ 85mm
巻き幅 52mm
インダクタンスの測定結果は以下の通りです。
空芯コイル 0.017mH
コアー入りコイル 0.29mH
倍率 22.7倍
絶縁材を巻いた上にコイルを巻きましたのでコアに密着して巻いていません。m≒6とすれば、志賀さんご推測通り、計算結果よりも少し小さい倍率になっているようです。
Re7 ネットワークコイルの自作 投稿者:志賀 投稿日:2007年 8月 1日(水)22時44分28秒
MM さん:
いつも的確で迅速な応答有り難うございます。せっかくの測定ですので、理論値を見積もってみました。
ただし、断面が長方形のコイルのインダクタンスの計算法についての情報がないので同じ断面積を持つ(直径 d=14mm)円筒ソレノイドコイルとして計算しています。
空芯コイルのインダクタンス L=k*π^2*n^2*d^2*l*10^(-7)=0.009mH
k(長岡係数)=0.9,n=51/52mm, l=52mm
(以上 電気工学ポケットブック p.104 参照)
これにコアによる倍率 32倍 をかけると L=0.288mH
なんとほぼピタリと一致します。ただし、空芯コイルの値がかなり違いますがこれはμH オーダーのインダクタンスを三村さんの方法で正確に測るのは至難だからだと思います。一般的な計算法は後ほどどこかでUpします
Re: Re7 ネットワークコイルの自作 投稿者:MM 投稿日:2007年 8月 2日(木)00時52分46秒
志賀さん
<空芯コイルの値がかなり違いますがこれはμH オーダーのインダクタンスをMMさんの方法で正確に測るのは至難だからだと思います。>
−3dBの周波数は100KHZ付近になります。その辺りではアンプの周波数特性も低下が始まっていますから、−3dBを見極めることは難しかったですね。共振回路を利用した方が良かったかも知れません。
巻き数を200回ぐらいにすればもう少し正確にLを求めることが出来たかも知れませんが、簡単には巻けないものですから。
<一般的な計算法は後ほどどこかでUpします。>
宜しくお願いします。
Re: Re7 ネットワークコイルの自作 投稿者:MM 投稿日:2007年 8月 2日(木)12時41分58秒
志賀さん
空芯コイルを共振回路を組んで測定しましたところ、0.011mHと言う結果が得られました。周波数計、容量計共にデジタルテスター内臓のもので測定しましたが、まずまずのデータではないでしょうか
Re8 ネットワークコイルの自作 投稿者:志賀 投稿日:2007年 8月 2日(木)17時38分20秒
MM さん:
<空芯コイルを共振回路を組んで測定しましたところ、0.011mHと言う結果が得られました。周波数計、容量計共にデジタルテスター内臓のもので測定しましたが、まずまずのデータではないでしょうか。>
そうですね、断面の形状の違うのでそれほど正確には合わないかもしれません。
ちなみに、シリンダーの直径を15mm にすると 0.01mH 位になります。同じ内面積だと、円型が最も大きなインダクタンスとなるはずなんですが。
ソレノイドコイルのインダクタンス 投稿者:志賀 投稿日:2007年 8月 3日(金)09時11分52秒
MMさん、皆さん:
コア入りソレノイドコイルのインダクタンスの見積もり法をUpしました。 ここです。
http://shigaarch.web.fc2.com/solenoidcoil.htm
MMさんのデータを引用させていただきました。
Re: ソレノイドコイルのインダクタンス 投稿者:MM 投稿日:2007年 8月 3日(金)11時20分0秒
志賀さん
難しい理論はあまり理解できていませんが、結果だけ利用させていただきます。有難うございました。