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混合音のビートと実音

異なった周波数を持つ2つの純音(サイン波)を混ぜるとその差の周波数をもつ唸り(ビート)が生じることはよく知られています。 しかし、これはいわゆる実音ではなく、周波数スペクトル成分を持ちません。しかし、よく聞くと、ビートとは別の、同じ周波数の実音が聴こえることがあります。その原因についての議論です。

なお、これに関係する音例のWAVファイルなどを収録したサイトを立ち上げました。


http://shigaarch.web.fc2.com/beatsounds.html

です。

差音(混合音) 投稿者:HD 投稿日: 2007年3月26日(月)13時07分25秒
2つのほぼ同じレベルの音を聞くと、本来無い筈の音が聞こえるという現象をバロック時代の作曲家タルティーニが発見したそうです。

http://www.sfu.ca/sonic-studio/handbook/Combination_Tones.html

このサイトのサンプル音は面白いです。この差音は虚音ですから測定しても出ませんが、個人差はあるもののほとんどの人に聞こえるという事です。錯聴の1種でしょうか。 内耳の非直線性によると書いてありますが。

Re 差音(混合音) 投稿者:志賀 投稿日: 3月26日(月)20時03分31秒
HD さん:

確かにイアホンで聴くと色々な成分が聴こえます。実は、これと類似の現象を


http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/brain.htm

で取り上げており、力丸教授の話として

「2千Hzから200Hzおきに2600Hzまでの音を同時に聴くと、実際にはない200Hzの音が「聞こえる。昔から知られるこの現象も脳の仕業だ。」

と紹介しています。

これについて、このページの「耳の特性」という項で、「耳をマイクと見做した場合、非直線性による相互変調歪があることを示しているのではなかろうか?」 と書いています。

しかし、もしそうなら、400Hz、600Hz の音も聴こえてもよいはずなので、むしろ脳の情報処理の結果と考える方がいいかなと思っていたんですが、これらは倍音関係なので別の音としては聴こえないのかもしれません。こちらの方は音源がないので自分で確かめることは出来ないですね。

今回の2音混合の音を実際聴いてみると、複数の相互変調音が聴こえるような気がするので、さてどうかなと迷うところです。

なお、差音は非直線性がないといわゆるビートで実音ではありませんが、非直線性による相互変調歪みであれば実音です。

今回の例で、最初に出る低周波振動音はビートだと思いますが、周波数差が大きくなったところで、むしろ音程が下がっているように聴こえる成分があり、それが本当ならビートだけではないような気がします。

で、結局私にはわかりませんが、脳科学の本などでは、耳でなく、脳の性質として説明してあるようです。あるいは、直接的な証拠があるのかもしれません。


Re 差音(混合音) 投稿者:NS 投稿日: 3月27日(火)00時26分1秒

http://tenjin.coara.or.jp/~tomoyaz/higaax06.html#060304

の 「嗚呼、ヒトの耳は歪んでいるのか!!のナゾ」が関連するものと思われます。

Re2 差音(混合音) 投稿者:志賀 投稿日: 3月27日(火)08時54分9秒   引用
NS さん:

http://tenjin.coara.or.jp/~tomoyaz/higaax06.html#060304

なるほど面白いですね。

これによると、確かに聴覚にはかなりの混変調歪が発生しているようですね。ただ、その原因が聴覚器官の物理的な特性(非直線性)によるというよりも、神経系と統合したシステムの特性として捉えるのが正しい理解のようです。人間の生存にとって有利に働くメカニズムなのかもしれません。

もちろん、だからといってオーディオシステムに盛大な歪みが有ってもいいということにはならないとは思いますが。


Re: Re2 差音(混合音) 投稿者:HD 投稿日: 3月27日(火)10時33分45秒
志賀さん、 NS さん:

差音でも2音の周波数の差が小さい時には「うなり」という別の現象がでて、これは虚音ではなさそうです。 ピアノを調律して数ヶ月経つと感じるようになりますね。

http://www.ne.jp/asahi/tokyo/nkgw/gakusyu/hadou/unari/unari.pdf

Re3 差音(混合音) 投稿者:志賀 投稿日: 3月27日(火)11時31分12秒
HD さん:

あれそうですか?

私がビートといったのは「うなり」のことです。紹介されたサイトも「beat」と書いてありますね。

ここで、実音としてFFTで検出されるのはあくまで和の形のサイン波でf1、f2 のみです。非直線性がなければ f2-f1、f2+f1 は実音としては検出されないはずですよ。

ピアノの例がどうかはよくわかりませんが,確かめる方法はあまり低音が出ないシステムを使って録音・再生したらわかるはずです。実音なら聴こえなくなるはずです。

Re: Re3 差音(混合音) 投稿者:HD 投稿日: 3月27日(火)14時51分14秒
志賀 さん:

なるほどですね。 どこかに非直線性がある可能性もありますね。

http://www.sfu.ca/sonic-studio/handbook/Beats.html

これでは、2つの音の差が15Hzあたり以下になると干渉の結果としてビートが発生する。(聞こえる音が大きくなったり小さくなったりするのは)振幅変調の1つの形であるように書いてあり干渉なら15Hz以上でもあると思いますし、そうならこういう現象が何処で起きるのか判らなくなって来ました。

ピアノでは、中低域の銅巻線2本の音域でボーンと鳴らしますと2,3秒周期で音が大小に揺れながら減衰する事は経験してますので、次回調律の前に確かめて見ます。

Re: Re3 差音(混合音) 投稿者:MS 投稿日: 3月27日(火)16時12分42秒
志賀さん

<なるほどですね。 どこかに非直線性がある可能性もありますね。>

耳(人間)による包絡線感知を非線形演算というなら非直線性ありですよね。またの名を受信機による検波?合成波形眺めれば頷けるかと。

Re4 差音(混合音) 投稿者:志賀 投稿日: 3月27日(火)19時57分56秒   引用  編集済
MS さん:

ちょっと言っておられることがよく分からないんですが?

うなり(ビート)は2つの周波数の平均の音が、差の周期で変調されたものです。強弱の振動なので、差の周波数が小さいほどよくわかります。非線形性は関係ありません。

非線形性歪み
(検波もそうですが)による差成分の音はいわゆる実音で、むしろ差の周波数が大きいほどよくわかるはずです。

Re: Re4 差音(混合音) 投稿者:MS 投稿日: 3月28日(水)11時33分35秒

人間にf1-f2のうなりを音「のように」感じるというのは人間の体内で非線形「的な」演算がなされた結果ですよね。

混合音の実験 投稿者:MK 投稿日: 3月27日(火)16時30分32秒

実験@ 同じ大きさの1000Hzと1200Hzを連続再生します。200Hzを小さな音で再生(ON)したり、切ったり(OFF)します。
    200Hzの大きさを段々小さくしていくとー30dBくらいでON/OFFが分からなくなります。
    非線形で生じる差音成分は、これ以下と考えても良いのではないでしょうか。
    音量にもよるでしょうが、普通の音量では耳は意外と線形ではないでしょうか。

実験A 右で1000Hzを、左で1010Hzを同じ大きさで再生します。唸りが聞き取れます。
    どこで生じているのでしょうか。これは空間で生じています。
    同じ実験をイヤホンですると、唸りはなくなります。

実験B 糸を水平に強く張ります。この中央付近に2本、糸をつけ、ほぼ同じ長さのところに5円玉をむすびます。

    揺らしますと、同様な揺れたかをします。位相の進んだほうから遅れた方へエネルギーが流れるからだと思います。

まあ、こんな実験はしたことがあります。ご参考になれば幸いです

Re 混合音の実験 投稿者:志賀 投稿日: 3月27日(火)17時03分7秒
MK さん:

<実験@ ・・・・音量にもよるでしょうが、普通の音量では耳は意外と線形ではないでしょうか。>

HDさんの紹介された、

http://www.sfu.ca/sonic-studio/handbook/Combination_Tones.html

の音例聴かれましたか? この中で、中間辺りで聴こえる時間と共に音程が下がる音(私にはそう聴こえます)は唸りでは説明出来ない音ですね。2f1-f2 または、3f1-2f2 音ではないでしょうか?

<実験A 右で1000Hzを、左で1010Hzを同じ大きさで再生します。唸りが聞き取れます。どこで生じているのでしょうか。これは空間で生じています。同じ実験をイヤホンですると、唸りはなくなります。>

今ならWaveGene のようなソフトを使えば簡単にできますね。イヤホンの場合はもちろんステレオモードで右は1000Hz、左は1010Hz だけを出すわけですね。この場合は音が混ざっていないのだから当然唸りは生じませんね。

<実験B 糸を水平に強く張ります。この中央付近に2本、糸をつけ、ほぼ同じ長さのところに5円玉をむすびます。揺らしますと、同様な揺れたかをします。位相の進んだほうから遅れた方へエネルギーが流れるからだと思います。>

ちょっと実験目的と具体的な方法がわからないんですが? 一方の端をはじくといったことをやるわけですか? 同様な揺れ方をするというのはどういう意味ですか?

といっても、図なしで説明するのは難しいかもしれませんが。


Re 混合音の実験 投稿者:MK 投稿日: 3月28日(水)10時42分6秒
志賀さん、皆さん、こんにちは。

<の音例聴かれましたか? この中で、中間辺りで聴こえる時間と共に音程が下がる音(私にはそう聴こえます)は唸りでは説明出来ない音ですね。2f1-f2 または、3f1-2f2 音ではないでしょうか?>

音量を少し大きくして聴いてみました。f1-f2でしょうか、段々と周波数が高くなっていく音が聞こえました。音程が反転するのは確認できませんでした。2つの正弦波ですから、もっと綺麗な音だと思っていました。どこか、機器に問題があるのかもしれません。

<ちょっと(Bの)実験目的と具体的な方法がわからないんですが?>

共振周波数の近いピアノの弦の振動する様子を、おもりの運動で見ると言う実験です。一方が止まったとき、他方は最大振幅になり、止まったのが段々触れだして、他方が振幅が小さくなるのが確認できると思います。

Re: Re 混合音の実験 投稿者:HD 投稿日: 3月28日(水)12時42分33秒
志賀さん、MK さん:

<の音例聴かれましたか? この中で、中間辺りで聴こえる時間と共に音程が下がる音(私にはそう聴こえます)は唸りでは説明出来ない音ですね。2f1-f2 または、3f1-2f2 音ではないでしょうか?>

私も、途中から音程が下がる音がPCのスピーカでも、イアフォンでも明確に聞こえます。

最初の方の「ビート」も判ります。少なくとも一定の音、上昇音、中低域の下降音の3音は聞き取れます。 で、この下降音(虚音?)の聞こえる音量レベルは元の実音に比べてそれほど小さくないのが不思議です。この辺りは個人差があると思いますが。

混合音の音源 投稿者:志賀 投稿日: 3月28日(水)13時11分43秒
MK さん、MS さん、HD さん

私も音源を作ってみました。
http://shigaarch.web.fc2.com/beatsounds.html
です。

まず試して下さい。

MK さん

2の音源で、100Hzの相互変調歪み成分は聴こえませんか?


MS さん:

<人間にf1-f2のうなりを音「のように」感じるというのは人間の体内で非線形「的な」演算がなされた結果ですよね。>

『音「のように」感じる』というのは個人差があるので何ともいえませんが、2の音源では、少なくとも私には、100Hzの唸りと100Hzの低音成分が別に聴こえますが?

HDさん

<下降音(虚音?)の聞こえる音量レベルは元の実音に比べてそれほど小さくないのが不思議です。この辺りは個人差があると思いますが。>

では、こちらも100Hz 成分は聴こえますね?

この100Hz成分は、装置の非線形性から来るものならFFTに現れる実音ですが、この音源をFFTにかけても100Hz成分はないでしょう。その意味では虚音ですが、脳の聴覚野の100Hzの部位は確実に発火しているはずです。つまり、脳にとっては実音と言っていいとおもいます。


Re: 混合音の音源 投稿者:HD 投稿日: 3月28日(水)13時55分25秒
志賀 さん:

<では、こちらも100Hz 成分は聴こえますね?>

ビートを伴う原信号音と同じ位、よく聞こえます。この100Hzの方が純音に近いように感じますね。
この位の周波数差になると、ビートは音の強弱としてより「音の濁り」と感じます。

MKさんが例のサンプル音は正弦波だからもっと綺麗な音がする筈と言われてますが、これでは無いでしょうか。
周波数差の小さい場合は音が濁ったとは感じないで、強弱のうねりと感じます。

混合音の音源(訂正) 投稿者:志賀 投稿日: 3月28日(水)14時46分57秒
皆さん

始めにUpしたHPにはイアホンでないと低音成分は聴こえないと書きましたが、単にスピーカーの音量不足だったようです。考えてみれば、1000Hz の音が出ていればいいわけで当然ですね。

Re: 混合音の音源(訂正) 投稿者:MS 投稿日: 3月29日(木)09時59分30秒

モンゴルのホーミーの原理はこれなのなぁ。奏法は知らないけれど。

Re: 混合音の音源(訂正) 投稿者:HEIDY 投稿日: 3月30日(金)10時57分12秒   引用
MS さん:

日本音響学界の本によれば、「舌先を口蓋に接近させることで、口腔内を声帯から舌先までと舌先から口の開口部までほぼ同じ容積のの2室に分け、この2室が狭い隙間で連結させた状態にする。するとこの2室がほぼ同じ周波数で共鳴を起す。声帯で作られた音源は、いったん第一の空間において特定の周波数成分を強調された後、第二の空間において同じ周波数成分がさらに強調される。聴覚においてこの強調された倍音は、他の成分とは別の音源からでたものとして分離して解釈される。強調された倍音成分が(高い)メロディー音として聞こえ、その他の成分が低い持続音として聞こえる」とあります。しかし、そう簡単に習得できる技術でないらしくモンゴルでもこれを職業にしている人は非常に少ないそうです。

女声は基本周波数が高く倍音も少ないため、メロディー音の高さの選択の幅が少ないので男性ほどさまざまなメロディーを奏する事が出来ないのだそうです。

Re: 混合音の音源 投稿者:MK 投稿日: 3月29日(木)10時25分53秒
志賀さん、MS さん、HDさん、皆さん、こんにちは。

<私も音源を作ってみました。
http://shigaarch.web.fc2.com/beatsounds.html
です。2の音源で、100Hzの相互変調歪み成分は聴こえませんか?>


HDさんが仰る様に、これを音の濁りと感じていました。そして、これが100Hzの音として感じているかどうかの実験が先の実験@でした。100Hz正弦波とは違うようです。-30dB程度の100Hz正弦波のON/OFFが判別できますので。100Hzのように聴こえるのですが、100Hzではない。何でしょ?

Re2: 混合音の音源 投稿者:志賀 投稿日: 3月29日(木)13時00分44秒
MK さん:

またちょっとわからないんですが、
まず先の実験は差が200Hz でしたが、100Hz でも試してみられたと言うことですか?

次に、加えた差分の音が−30dB 程度になるとON/OFFしてもわからなくなると言うことですが、OFFにした場合でも別の低音成分が聞こえていると言うことですか?

ちなみに、混変調歪みで出る音は 2f1-f2 音などの高調波成分を含んでいるので純粋のサイン波ではないですよ。


Re: Re2: 混合音の音源 投稿者:MS 投稿日: 3月29日(木)13時40分47秒

<ちなみに、混変調歪みで出る音は 2f1-f2 音などの高調波成分を含んでいるので純粋のサイン波ではないですよ。>

周波数領域ではなく時間領域で考えると合成信号はf1(又はf2)がf1-f2の振幅変調を受けているように見えると思います。だからAMラジオの検波(包絡線検波)と同じような処理が鼓膜〜聴覚中枢のどこかで行なわれているのでしょう。その程度はf1-f2によっても個々人によっても異なると思います。

Re3: 混合音の音源 投稿者:志賀 投稿日: 3月29日(木)13時58分46秒
MS さん:

はい。それはその通りです。AM検波も非直線性の一種ですから。ただ、

http://shigaarch.web.fc2.com/beatsounds.html

の 3 の音源はどうでしょう

低音成分の原因 投稿者:志賀 投稿日: 3月29日(木)22時29分9秒
MK さん、皆さん

その後、いろいろ試してみましたが、1000Hz+1100Hzの混合音で聴こえる100Hz の音は、少なくとも、私のところのパソコンとイアホンで聴いた場合に限って言えば、イアホンの非直線性による混変調歪成分の可能性が大です。

いますこし調べてみます

また、103Hz -30dB の音を混ぜると、低音成分に約 3Hzのビートが生じるので、この低音成分は間違いなく100Hzです。


Re:低音成分の原因 投稿者:MK 投稿日: 3月30日(金)00時51分33秒
志賀さん、皆さん、こんばんは。

<混変調歪みで出る音は 2f1-f2 音などの高調波成分を含んでいるので純粋のサイン波ではないですよ。>

<103Hz -30dB の音を混ぜると、低音成分に約 3Hzのビートが生じるので、この低音成分は間違いなく100Hzです。>


これで現象が理解できました。音楽では、この付近のことが考えられて、快く響くようになっているのですね。

Re: Re3: 混合音の音源 投稿者:MS 投稿日: 3月30日(金)10時11分0秒

http://shigaarch.web.fc2.com/beatsounds.html

< の 3 の音源はどうでしょう。差音(900Hz)でない低音が聴こえませんか?もちろんこれも非直線性から来るものでしょうが。>


1.再生系は混変調歪みや倍音などは出ない、2.人間の鼓膜以降で倍音は生成しないものと考えていましたが、どちらかが崩れているのでしょうね。

1.が存在していたら議論にならないのですが、かといって2.鼓膜や骨が分割振動するなんてちょっと考えにくいですが・・・。やっぱりあるんでしょうかね?

低音成分の原因 投稿者:志賀 投稿日: 3月31日(土)08時58分28秒
MS さん、皆さん:

結論を言えば両方あり得ます。

1.の方ですが、今回試みた、1000Hz+1XXX Hz 混合音をパソコンのスピーカーやイアホンで聴いた場合はスピーカーやイアホンの非直線性による混変調歪みが主な原因のようです。理由は、イアホンを色々変えてみるとかなり低音成分の大きさが違うからです。特に1000+1050Hz で試みると、重低音といってもいいくらいの50Hz 成分はイアホンによってはほとんど聴こえないものから、はっきり聴こえるものまでかなりの差があります。

これらの音を、CDにして自分のステレオシステムでスピーカーで聴きましたが 1000+1100Hz の場合は100Hz とおぼしき成分がはっきり聴こえますが 1000+1050 はかなり怪しいです。この場合はマイクで収録してFFTにかけると、実際に低音成分が出ているかどうかわかるのでその内やってみます。なお、このような耳で検知可能な混変調歪みが出るのはスピーカーやイアホンなどの電気→音響変換装置に限ったことで、電気回路系ではまず考えなくてもいいと思います。ただし、真空管アンプは別です。

2.の可能性ですが、

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/brain.htm

で紹介した、2000+2200+2400+2600Hz 混合音で、200Hz が聴こえるというのは、専門家が行った実験なので、200Hz の実音は検知不可能なほど低レベルであることは確かめていると思います。この場合も、鼓膜や、耳骨の物理的特性で発生すると言うより、聴覚系全体が関与している話のようです。


Re: 低音成分の原因 投稿者:HD 投稿日: 3月31日(土)15時08分3秒
志賀 さん:

<これらの音を、CDにして自分のステレオシステムでスピーカーで聴きましたが 1000+1100Hz の場合は100Hz とおぼしき成分がはっきり聴こえますが 1000+1050 はかなり怪しいです。>

マルチウエイSPの場合、1000,1100Hzはスコーカ、100Hzはウーファ、50Hzはもうサブウーファの受持ち範囲になると思うのですが、クロスオーバー回路に関係しますでしょうか? そうだとした場合100HzがフルレンジのイアフォンやPCのSPと同様の音に聞こえるならば不思議ですね。

Re2: 低音成分の原因 投稿者:志賀 投稿日: 3月31日(土)15時32分47秒
HD さん:

私のところは、ウーファとミドルとクロスが600Hz なので、ウーファに入る信号は、1000Hz、1100Hz ではかなり減衰しているはずです。私も不思議に思ったんですが、考えてみると混変調歪みはスコーカ内で生じているもので、放射インピーダンスは少し小さいですが、スコーカから出てもおかしくないと思います。100Hz 成分は(あるとして)決してネットワークをくぐり抜けてきた信号ではないということです。いずれにせよ、近いうちに実測してみます。


混変調歪みの測定 投稿者:志賀 投稿日: 4月 4日(水)11時30分56秒
HDさん 皆さん

1000Hz+1100Hz 混合波の測定をしようとしましたが、残念ながら手持ちの測定システム(マイク信号をパソコンにいれ FFT Wave で解析)ではとても精度が足りそうもありません。例えば、1000Hz のサイン波を入れて測定すると数パーセントの高調波歪みが観測されます。原因はスピーカーにも有るでしょうが、音量等を調節してもあまり改善されないので測定系に問題がありそうです。これでは、今回のような微妙な問題を議論するには全く役不足で結論はお預けです。


混変調歪みの測定 投稿者:HF 投稿日: 4月 4日(水)12時46分7秒

WavGen44K、16Bitの波形をスペアナで見ると100Hzのレベル-70dBで10k前後と20k付近にピークが出ていました(1Kは0dBです)

44K、32Btiでは高調波が消えていたので量子化ノイズだと思います、尚100Hzは-110dBでした。さらにDAWのTraction2でシンセサイザを使って192K、64Btiでは100Hzは-130dBでした。波形をデジタルストレージで見ると1KHz付近の信号のレベルが100Hzでうねっていました。

ちなみに10素子のグライコで200HZ以上をカットすると無信号になったので、1000+1100の信号が正弦波100Hzの周期でAM変調しているようです、想像ですが100Hzの高調波は出ないのでは(1000+1050で50Hzの変調で100Hzは現れないのでは)?

Re 混変調歪みの測定 投稿者:志賀 投稿日: 4月 4日(水)14時54分35秒
HF さん:

<WavGen44K、16Bitの波形をスペアナで見ると100Hzのレベル-70dBで10k前後と20k付近にピークが出ていました(1Kは0dBです)>

一旦D/A変換した波形を別のスペアナで見られたんですか?

http://shigaarch.web.fc2.com/beatsounds.html

にも書いてありますが、WavGen で作ったWAVファイルを同じパソコン内で Wave FFT で解析すると歪み成分は全て -100dB以下です。

1000Hz+1100Hz 信号で 100Hz 成分が強く見えるのは、一旦スピーカ → マイク を通した場合の話です。この場合単一周波数でも高調波成分が強く出ます。恐らくマイク、マイク用アンプ、パソコンのアナログ回路、A/D変換の間で生じているんだとにらんでいます。


この議論を通じて、2つ以上の周波数の純音を混ぜて聴けば、ビート以外に差音などの実音が聴き取れることは体験を通じて納得出来たと思うんですが、その原因が、機器、特にイアフォンやスピーカーなどの電気ー音響変換器、で生じた混変調歪成分なのか、耳に入ってから人間の聴覚の特性として生じたものかは残念ながら特定出来なかった。恐らく両方あるんだと思われますが、私見では、2音だけの混合で生じる低音成分はスピーカーやイアフォンの非直線性が原因である可能性が高いと思います。


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