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平面バッフルスピーカー

きっかけはYZさんのスピーカーボックス内の遮音と吸音の話でしたが、平面バッフルスピーカーの話しに発展しました。あまり普及はしていませんがユニークな考えのスピーカーシステムの紹介もあります。

箱の中の音 投稿者:YZ 投稿日: 2007年3月13日(火)17時52分55秒

「遮音と吸音」を拝見した上で伺いたいのですが、スピーカーボックスの中の音は、スピーカーの振動板やエッジを通してほとんど外に漏れてくる、と考えてよいのでしょうか?

何しろ振動板は軽いですから遮音性能はまったく期待できませんよね。物量から考えて吸音性能もほとんど無いでしょう。ボイスコイルをショートしても振動板を叩けば鳴りますから、アンプのダンピングファクターも役に立たないと思います。

Re 箱の中の音 投稿者:志賀 投稿日: 3月13日(火)21時55分18秒
YZ さん:

<「遮音と吸音」を拝見した上で伺いたいのですが、スピーカーボックスの中の音は、スピーカーの振動板やエッジを通してほとんど外に漏れてくる、と考えてよいのでしょうか?>

面白い発想ですね。あまり考えたことはなかったですが少し考えてみました。

まず、何より振動板は発音源そのものですから、これを通して出てくる音は箱内で反射した音、つまり箱の残響音ですね。これは、もちろん箱内壁の吸音材でかなり減衰しますが0になるわけでないので多少は漏れ出てくるでしょう。どの程度かは周波数にも依るので見積もるのはほとんど不可能でしょう。結果的には過渡歪みの中に含まれるので他の過渡歪み源、すなわち振動板自身の自由振動、箱鳴り、バスレフの場合はポートの共振といったものに比べてどうかという事です。


私の勘では、内部の吸音を十分にしておけば他の成分に比べかなり小さいのではないかと思います。

<何しろ振動板は軽いですから遮音性能はまったく期待できませんよね。物量から考えて吸音性能もほとんど無いでしょう。>

残響音があれば、振動板はほとんど通過してしまうでしょう。遮音効果を考えて振動板を設計するわけにもいかないので、せいぜい内部の吸音をよくする以外に対策はないでしょう。

<ボイスコイルをショートしても振動板を叩けば鳴りますから、アンプのダンピングファクターも役に立たないと思います。>

低音成分であれば電磁制動も効かないわけではありませんが。

Re: Re 箱の中の音 投稿者:HD 投稿日: 3月14日(水)12時34分24秒
YZ さん:

横から失礼します。

http://en.wikipedia.org/wiki/Loudspeaker_enclosure

にいろいろ書いてあります。 (中)高域は、志賀さんのおっしゃるように箱の中の吸音材で吸収されるので問題なさそうですが、吸収されにくい低域の処理にいろいろな方式が考えられきています。 それぞれ利害得失あるようです。残念ながら日本語のはなさそうです。

箱の振動 投稿者:TY  投稿日: 3月14日(水)13時41分1秒

「吸収されにくい低域の処理にいろいろな方式が考えられきています。」

低音のスピーカー振動エネルギーはスピーカーキャビネットを振動させます。キャビネットを一旦振動させてしまうとそれをコントロールすることが出来ず(MFBのウ−ファーでもダメです。音は既にMFBの制御の及ばないところで出ているからです。)、歯切れの悪い低音になってしまいます。低音打楽器の音を聞くと直ぐ分かります。これが普通の木やプラスチックで作った長方形の箱をしたスピーカーシステムの宿命的な問題点です。

そこで簡単な方法として、スピーカーをただの平板(あるいは石類)に取り付けると言う方法が古くからマニアの間で使われています。その平板が大きいほうがいいのですが、勿論限度があります。(WikipediaのDipoleです。)そして壁からある程度の距離を離して置きます。

最近どこかのメーカーがこの平板スピーカシステムを発表したような記憶がありますが。

Re 箱の振動 投稿者:志賀 投稿日: 3月15日(木)09時57分56秒
HDさん、TY さん

おっしゃるように、私の先のレスは余人さんの素朴な疑問についての返答で中高音を念頭においたものです。波長が箱の大きさより長くなるような低音では、反射音より箱の振動制御の方が問題です。

そこで平板バッフルの話が出てきましたが、これも色々問題があります。まず何よりも有限長平面バッフルの場合、例えば30 Hz くらいまでフラットに出そうとすれば 1辺10m 以上の巨大な板が必要になります。このような板にウーファー取り付けるとよほど強固な作りにしないと、スピーカーの振動の反動で振動し、さらに板の放射インピーダンスが大きいので音質を損ねる原因になります。 実際上この方式で良質の低音を得るには部屋のしきり壁をバッフルにするという方式がいいんだと思います。ただし、壁材はコンクリートや土壁でないとまずいでしょうが。

ところで、HDさんからのメールにより、


http://www.stereophile.com/floorloudspeakers/806legacy/index.html

というスピーカーを紹介してもらいました。小さな2枚のバッフル板だけからなる、実に不思議なスピーカーです。構造は

http://web.archive.org/web/20070824101708/http://home.comcast.net/~klone-audio/page23FinishedWhispers.html

を見るとよくわかります。

私の見るところ、前後に接近して並んだ15”ウーファーをコントロールして、無限平面バッフルと同じようなダイポール放射を実現するという考えのように見受けられます。

箱の振動は、後部に取り付けたパッシブコーンでコントロールするようです。


Re: 箱の振動(薄型スピーカ) 投稿者:HD 投稿日: 3月16日(金)20時01分8秒

<最近どこかのメーカーがこの平板スピーカシステムを発表したような記憶がありますが。>

ここで言われている平板スピーカとは違うと思いますが、既にビンテージものの(20年以上前ですか)、

http://web.archive.org/web/20060415074145/http://www11.plala.or.jp/se_ke5583/TECHNICS/speaker/sb-afp10.html

がありました。 実物を見た事がありますが本体の厚さは150mmもなかったと記憶します。

「密閉部と開放部を同一キャビネットに存在させたツイン・キャビ方式」がどうなっているかは判らないのですが、所謂「8の字ダイポール指向特性」を持たせたタイプと想像しています。

平板バッフル 投稿者:TY 投稿日: 3月17日(土)20時02分38秒

http://web.archive.org/web/20070824101708/http://home.comcast.net/~klone-audio/page23FinishedWhispers.html

平面バッフルを実用的な大きさに仕上げたスピーカーで低音の出方は閉じた箱と比べたらすっきりして、気持ちの良い音が出るような気がします。後ろ向きのドライバーは実際、箱の振動音を消すように働かせるのは難しいでしょう。私の推測です。前からこういう製品はあったんですね。

平板バッフル 投稿者:HF 投稿日: 3月17日(土)20時41分48秒

平板バッフルと言うべきなのでしょうか、平面波スピーカを23年位前に秋葉原でリスニングした事があります、つい立に40個位の平面波スピーカ(ポリエステルフイルムにらせん状のアルミがプリントされたコイルを左右から9個の穴の空いた直径4Cm程度の円盤状のフェライト磁石2個でサンドウィッチしたスピーカーでした。面白半分でそのスピーカは2個買って今も持っています。

平板バッフルは背面が無限空間(屋外)なら良いのでしょうが、部屋の中でとなると部屋の中央に置くのが一番音が良かったです。フロント、リア共最大限の空間となる為でしょうか?、少なくとも1m位は壁から離さないと壁に反射した音(共振点も影響するのか)が、位相の回ったような音になりました。メーカーはずいぶん前になくなりました。後はコンデンサースピーカも平板ですね、やはりあれも壁から離れてないと駄目だったように記憶しています。

Re 平板バッフル 投稿者:志賀 投稿日: 3月18日(日)10時15分7秒
HFさん、TYさん:

残念ながら平板バッフルスピーカーの音を聴いたことがないので音の評価はわかりませんが、

<平板バッフルと言うべきなのでしょうか、平面波スピーカを23年位前に秋葉原でリスニングした事があります、つい立に40個位の平面波スピーカ(ポリエステルフイルムにらせん状のアルミがプリントされたコイルを左右から9個の穴の空いた直径4Cm程度の円盤状のフェライト磁石2個でサンドウィッチしたスピーカーでした。面白半分でそのスピーカは2個買って今も持っています。>

時々このようなスピーカーユニットをネット上で見かけますね。しかし、磁気回路の設計が難しく、一般に能率が悪くまた歪率も高くなる傾向があり普及しません。

ところで、平板バッフルと平面波スピーカーとは違った概念です。これまで議論のあった平板バッフルはユニットの背面から放射される逆相波が前面に回り込まないようにする遮蔽板で、波長がバッフル板の巾より短い波長の音に対して有効です。

一方、平面波スピーカーは放射される音の指向性を鋭くするための工夫です。正面からずれた位置に届く音は振動板の両端から届く音波の位相がずれ、干渉して減衰することにより指向性が生じ、波長が振動板の径より短い高音ほど鋭い指向性が出ます。従って、低音で指向性を出すには大口径の振動板が必要ですが、小口径のスピーカーを平板上に広く多数並べる事によってほぼ同様の効果が得られます。この時低音の指向性に限るならユニットは必ずしも平板である必要はありません。

この場合、後ろ側へ放射される音も指向性があるので、逆相の音波が前方へ回り込まないので、より大きな平面バッフルを付けたと同じ効果があります。

先に紹介した、Legacy Whispers というスピーカーは、後方のユニットの振幅を大きくし、2枚の小さなバッフルの隙間から横方向へ正相の音波を放射し後方から回り込む逆相波を打ち消し指向性を出すという考えのようで、それなりに成功しているようです。


<平板バッフルは背面が無限空間(屋外)なら良いのでしょうが、部屋の中でとなると部屋の中央に置くのが一番音が良かったです。フロント、リア共最大限の空間となる為でしょうか?、少なくとも1m位は壁から離さないと壁に反射した音(共振点も影響するのか)が、位相の回ったような音になりました。メーカーはずいぶん前になくなりました。後はコンデンサースピーカも平板ですね、やはりあれも壁から離れてないと駄目だったように記憶しています。>

はい。上のような指向性の強いSPシステムの場合、後方の壁からの反射波が低音では逆相に近いのでバッフル効果を打ち消します。従って、おっしゃるように壁からの距離が遠い方が好ましいことになります。

件のスピーカでは、後面にあるパッシブラジエーターが反射波を吸音する効果がある
(The Whisper also has a 12" passive radiator on the back of the central section, said to absorb excess bass energy bounced off the wall behind the speakers. 前回のレスで制振効果があるといったのは間違いでした)との話ですがこちらの方の効果はちょっと疑問です。


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