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BTL接続

BTL接続 投稿者:HD 投稿日:2007年3月 5日(月)10時02分52秒

「BTL接続とは、ステレオアンプの2つの出力をブリッジ接続してモノラルアンプとして使用する方法で、片側のチャンネルには信号を正相で入力し、もう一方のチャンネルには逆相で入力し、それぞれの出力の+同士をスピーカーに接続する方法です。理論的には出力電圧が2倍になるため、4倍の出力電力が得られますが、、、」

は負荷インピーダンスが変らなければそうなるのは理解できます。(スピーカやイアフォンのインピーダンスは夫々に固有の値ですからこれ自体は変らない筈ですね)。所が

「BTL接続の際に注意しなければならないのは、2台のうち片方のパワーアンプから見た負荷が、接続するスピーカーのインピーダンスの1/2になるため、ステレオ接続のときに接続できる最低負荷インピーダンスの2倍の値になることです、、、」

は何故でしょうか? 普通の半導体アンプのプッシュ・プル出力ではCOLD側はGND電位ですし、バランス伝送の場合の出力ではHOT、GND、COLDで出力されます(スピーカやイアフォンをドライブする訳では無いですが)。ブリッジ接続ではHOT、 COLDが逆相で共にGND電位から浮いているのでこの為なんでしょうか。
アンプに同じスピーカ(やイアフォン)を2台パラレルに繋いだのと等価になるのでアンプからみた負荷インピーダンスが1/2になると言う説明もあるようですが、何故そうなるのでしょうか。 またこうなるのならば、アンプの出力インピーダンスやDFはどうなるのでしょうか。

Re BTL接続 投稿者:志賀 投稿日: 3月 5日(月)16時39分41秒
HD さん:

<「BTL接続の際に注意しなければならないのは、2台のうち片方のパワーアンプから見た負荷が、接続するスピーカーのインピーダンスの1/2になるため、ステレオ接続のときに接続できる最低負荷インピーダンスの2倍の値になることです、、、」は何故でしょうか?>

ご質問の意味を的確に捉えているかどうかわからないですが、こういう事ではないでしょうか?

いま、片チャネルの最大電圧が20V 最大電流が 5A のアンプがあったとします。この場合ステレオ接続だと インピーダンス4Ωの負荷でこのアンプの保証最大出力100Wが出せることになります。

これをBTL接続にして4Ω負荷をつなぐと最大電圧(20+20=40V)時に10Aの電流が流れてしまい電流容量をオーバーしてしまいます。従ってこの場合の保証最小負荷は8Ωで最大出力は200W となります。つまり最大許容出力は当然4倍にはなりません。(もちろん4Ω負荷でも使えますが最大出力はあくまで200W でフルボリュームにするとリミッターがかかるでしょう)

「アンプに同じスピーカ(やイアフォン)を2台パラレルに繋いだのと等価になるのでアンプからみた負荷インピーダンスが1/2になると言う説明」は片チャネルにパラ接続の負荷をかけたとき、1個のSPの最小保証インピーダンスが8Ωになるという意味で等価と言っているんではないですか?

BTL結合のときのダンピングファクターは内部抵抗が倍になるということで1/2 になるんではないでしょうか?


Re: Re BTL接続 投稿者:HD 投稿日: 3月 5日(月)18時10分55秒
志賀 さん:

出力トランジスタの許容最大出力電流から見て保証最小負荷インピーダンスが2倍になるということですね。それなら判ります。 寡聞にしてそのように書かれている解説は見たことが無いものですから。

「BTLにしても普通は出力が2倍位にしかならず、4倍出せるアンプはよほど電源や冷却がしっかりしたものでしょう」などと書いてるのもあって混乱しました。 電源やパワートランジスタの冷却もさることながら出力トランジスタの容量によると言うことですね。

<BTL結合のときのダンピングファクターは内部抵抗が倍になるということで1/2 になるんではないでしょうか?>

矢張りそうですか。パワー段を内臓した(パワートランジスタの容量を大きく出来ない)IC以外ではBTLはあまりメリットが無さそうに感じますが。

Re2 BTL接続 投稿者:志賀 投稿日: 3月 5日(月)20時09分40秒
HD さん:

<「BTLにしても普通は出力が2倍位にしかならず、4倍出せるアンプはよほど電源や冷却がしっかりしたものでしょう」などと書いてるのもあって混乱しました。 電源やパワートランジスタの冷却もさることながら出力トランジスタの容量によると言うことですね。>

確かにGoogleで「BTL」「アンプ」を検索するとそのようなサイトがトップに出てきますね。

先の回答は、出力段パワートランジスタの電流容量に見合った電源を搭載していることが前提です。最大出力を電源容量が決めているときはBTLにしてもトータルの電源容量で決まるわけでやはり2倍にしかなりません。そもそもWというのはエネルギーの単位なので2個のアンプで4倍パワーが稼げたらエネルギー保存則に反しているともいえますね。


Re: BTL接続 投稿者:KU 投稿日: 3月 6日(火)23時50分3秒

<ブリッジ接続ではHOT、 COLDが逆相で共にGND電位から浮いているのでこの為なんでしょうか。 アンプに同じスピーカ(やイアフォン)を2台パラレルに繋いだのと等価になるのでアンプからみた負荷インピーダンスが1/2になると言う説明もあるようですが、何故そうなるのでしょうか。>

簡単のためにフルレンジスピーカーを仮定して:BTL動作時には、出力がどうなろうとも逆位相を重ね合わせるのでボイスコイルの中央の電位は0Vのままです。ということは、片方の出力が見るスピーカーのインピーダンスは常に用意したものの半分になり、ボイスコイルの半分だけを負荷としていることになります。よって許容されるインピーダンスは通常負荷下限の倍を見込むべしとなります。

このような理解はいかがですか。

BTLが使われるのは、アンプモジュール1chあたりの消費電力が低いデジタルアンプか、もしくはカーオーディオやPA用のようにとにかく大出力が必要なときに多いようです。業務用アンプにはBTLスイッチが付いている場合が多いです。

しかし、出力300Wのカーオーディオ用アンプで付いているヒューズの耐熱が200Wなどということもあるとか。

最近BTLアンプで電流帰還できればサブウーファーに最適ではないかと思って探してみたところ、これは改造が難しいらしく実践したという報告は見つけられませんでした。

Re: BTL接続 投稿者:HD 投稿日: 3月 7日(水)14時18分34秒
KU さん:

< 簡単のためにフルレンジスピーカーを仮定して:> BTL動作時には、出力がどうなろうとも逆位相を重ね合わせるのでボイスコイルの中央の電位は0Vのままです。ということは、片方の出力が見るスピーカーのインピーダンスは常に用意したものの半分になり、ボイスコイルの半分だけを負荷としていることになります。よって許容されるインピーダンスは通常負荷下限の倍を見込むべしとなります。>

かも知れませんが、ボイスコイルの中点は電位はゼロ(アンプのシャーシ電位)としても何処にも繋がってないですから電流はここからは流れないですね。

電流はコイルの両端からしか出入りしませんから、BTLにすると負荷にかかる電圧が2倍になって流れる電流も2倍になる(当然この場合は音量も大きくなります。音量を同じに絞れば通常接続でもBTLでも電圧・電流の関係は同じですね。(パワー)トランジスタは、素子の面積が同じですと耐圧を高くするとコレクタ抵抗も高くなる=損失が増えますからBTLはアンプの出力電圧を稼ぐ(と電流も増える=パワーも稼げる)には良い方法と思います。が、おっしゃるように許容されるインピーダンスは通常負荷下限の倍を見込まないと(許容電流以下に抑えないと)パワー・トランジスタが

熱ブレークダウンして壊れる可能性が出ると言う事ではないでしょうか。尤もアンプには何らかの保護回路が入っている筈で、この為、理屈通り4倍のパワーを取り出せるアンプは少ないという事かと思います。 「BTL接続」にするとアンプから見た負荷のインピーダンスが1/2になると言う表現は紛らわしいと感じます。

< しかし、出力300Wのカーオーディオ用アンプで付いているヒューズの耐熱が200Wなどということもあるとか。>

瞬間的なら300W出せますが、連続で300W出すとパワートランジスタが壊れる前にヒューズが飛ぶようにしてあると言うことではないかと思います。

Re: BTL接続 投稿者:NS 投稿日: 3月 7日(水)10時48分52秒

<最近BTLアンプで電流帰還できればサブウーファーに最適ではないかと思って探してみたところ、これは改造が難しいらしく実践したという報告は見つけられませんでした。>

NFBの掛け方がわかりませんね。電流検出抵抗はどのように接続するか、BTLではむりです。

Re: BTL接続 投稿者:HF 投稿日: 3月 9日(金)23時31分54秒

BTLで電流帰還をかけるには、2通りの方法があります。

1.CT(カレント・トランス)を使う方法だと出力の電位の干渉を受けないので最適ですが、トランスと言う事もありDC領域でのNFBが無いので出力にカップリングコンデンサーが必要になります。無いと最悪スピーカーが燃えます。

2.検出抵抗を使う場合は電流検出用に1MHzクラスの検出部用スイッチング電源(トランスの結合容量を極少にするため)検出抵抗→AMP→ビデオ用16BitADC(シリアル出力)→ドライバー→パルストランス→シリアルDACからNFB(クロック用パルストランスも必要)いずれも金銭的リスクがあるのでどんなものでしょう。

CTトランスは計測器用のTEKTOROのCT2なら周波数特性的20〜200MHzにも申し分無いですが5万円近くします。ピエゾ型のCTなら周波数特性はDC〜50MHz位まで使えますが8万円前後します。計測器用でなければ1万円前後であると思いますが周波数特性、特に低周波でのゲインの低下の補正をしないといけないかもしれません。

後は奇策ではありますが、アクティブスピーカー、NFB検出用にスピーカボックス内にマイクを入れて音圧のNFBをかける(低周波のウーファーなので位相も大丈夫だと思います)

わずかですがMFB内蔵のサブウーハーは機種は存在します。Victor SX-DW77,SX-DW75

BTLにはこだわらなくてもよろしいのではないかと思います。

以下 志賀コメント

BTL接続とは最初の投稿に説明してあるようにステレオアンプのスピーカー出力端子をブリッジ接続して電圧出力を2倍にしパワーを上げるというものです。

電力 WI×VV 2/R より、電圧が2倍になれば出力が4倍になるように思えます。しかし、私の回答に書いたようアンプの最大出力が4倍になるわけではなく、2倍にしかなりません。

ただしネット上では、紛らわしい説明があることは確かです。そこで、技術的には信頼出来るA社の製品で、スイッチを切り替えるだけでBTLアンプとして使えることを売りにしているアンプの宣伝文を調べてみました。以下は、パワーに関する説明の抜粋です。

「スーパーリング型大型トロイダル・トランス、大容量フィルター・コンデンサーによる余裕ある電源部、大型ヒートシンクに取り付けた、ハイパワー・トランジスター3パラレル・プッシュプルの強力出力段により、1Ωの超低インピーダンス負荷で400W/ch(音楽信号)を達成しました。さらにブリッジ接続により、800W/2Ω(音楽信号)の純粋モノフォニック・アンプにアップグレードすることができます。」

この説明は正確です。決して、BTL接続で 1600 W/1Ω のモノラルアンプとしては使えません。


なお、BTL接続アンプに電流正帰還をかけAST(Active Survo Technology)型サブウーファー用のアンプとして使おうという話が続きますが、かなり特殊な話でアマチュアが取り組むのは難しく、私自身は保証の限りではありません。

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