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ヘッドフォンでの前方定位

ヘッドフォーンでの前方定位 投稿者:FS 投稿日:2006年12月14日(木)06時38分39秒

私はHeadphoneでの音像の前方定位ができないかを検討しています。
HeadPhoneの音像は頭の中に定位してしまい非常に聞きづらい音になっています。特にVocal音はこの傾向が顕著です。今回HeadPhoneの再生で音像が頭の中でなく前方に定位するSWを作成してみましたのでオーディオにお詳しい方の忌憚のないコメントを頂けると大変助かります。

実際の音は以下のURLでご確認下さい。mp3の音を視聴できます。
http://www.geocities.jp/front_sound_fields/index.html
より多くの変換した音はパスワード
 "alfonsus"
でアクセスできます。

この技術は従来の技術と全く異なる発想から実現されており、自然の環境と同じ環境を実現したものです。
2002年度IPA(情報処理振興事業協会)の未踏ソフトウェアに選ばれました。
(http://www.ipa.go.jp/SPC/report/02fy-pro/)

従来からヘッドフォーンでの前方定位を改善するために、様々な取り組みがなされてきました。しかし、後ろへの音像の定位は出来るのですが、前への定位は実現出来ていないように思います。Dolby Headphoneでも前への定位はなされていません。この点でDolbyは間違った考え方をしています。本来Speakerシステムではキャンセルしなければいけないクロストーク/サランドを加えて前方定位させようとしています。(単音のデモでは分からないですが)
Dolby
http://www.dolby.co.jp/consumer/home_entertainment/simplesurround05.html
http://www.dolby.com/consumer/technology/headphone.html
右上の"5.1 On The Go"

以下はHeadphoneでの音像の前方定位に関する様々な試みです。しかし、SONYでも音は前方に定位しないで頭の上の方に定位しています。

Sony:http://www.sony.net/Products/vpt/flash/index.html
Arnis:http://www.arns.com/enjoy3.html
Binaural:http://bbsitake.hp.infoseek.co.jp/binaural.htm
SRS:http://www.srslabs.com/Demonstrations.asp
Sensaura:http://www.sensaura.co.uk/demos/index.php?article=player3d.htm
Sonaptic:http://www.sonaptic.co.jp/download/pc_index.htm

ご意見、ご提言などいただけると大変助かります。宜しくお願いします。

Re ヘッドフォーンでの前方定位 投稿者:志賀 投稿日:12月15日(金)09時46分31秒

FS さん<

イヤホンで聴いてみました。音量の小さい方が前方定位ですね。そういわれるとそのように聴こえます。いずれにせよ面白い試みですね。ところでどのような原理を使ってこのような効果を得ようとしておられるんですか?


Re ヘッドフォーンでの前方定位 投稿者:理科好き 投稿日:12月15日(金)22時23分38秒
志賀さん
<ところでどのような原理を使ってこのような効果を得ようとしておられるんですか?>

http://www.ipa.go.jp/SPC/report/02fy-pro/report/973/paper.pdf
に論文がありますね。

(無題) 投稿者:FS 投稿日:12月17日(日)16時08分11秒
志賀 様:

<ところでどのような原理を使ってこのような効果を得ようとしておられるんですか?>

ipaのページに基本的なことは書いています。(本当に基本的なところだけですが)ただ、従来のHeadphoneでの音の前方定位に使われているSpeakerから逆側の耳への特性を加えるサラウンド(エコー)音を加えることは行っていません。(これらは間違った考えだと私は考えています)今回の処理で使われている、遅延された音の最大値は約1msです。

ただその周波数特性は耳の特性に合わせているので現在ヘッドフォーンで皆さんが聴かれている音とは周波数特性が異なっています。私はこの特性が実際に人間が聞いている音に近いと考えていますが、多くの人たちは現在のヘッドフォーンの音のほうが聴きなれているため"良い"と感じるようです。

同様な効果を狙ったバイノーラル録音(ダミーヘッドで録音)も同じような特性になっていますが、あまりはやらない原因もこのあたりにあるのではないでしょうか。

質問 投稿者:志賀 投稿日:12月17日(日)21時46分29秒
FS さん

<ipaのページに基本的なことは書いています。(本当に基本的なところだけですが)>

ざっと読ましてもらいましたが、内容への質問の前に図の読み方などで初歩的な質問があります。

(1) MITのデータの横軸縦軸はどう読むのですか(単位、リニアか対数表示か)? 論文を書くときに基本的な約束事ですね。少なくとも初出の場合は丁寧に説明すべきです。

(2) ヘッドホンと書いておられますが内容(Inner Type)を読むといわゆるイアホンとも取れるんですが? 実は現在いわゆるヘッドホンは持ち合わせておらずイアホン(Inner Type, Outer Type の双方)で聴いているんですが、それだと音量と音質の差はよく分かってもあまり前方に定位しているようには感じないのですが? イアホンではやはり駄目なんでしょうか?


Re:質問 投稿者: FS 投稿日:12月19日(火)06時45分0秒
志賀様:

<(1) MITのデータの横軸縦軸はどう読むのですか(単位、リニアか対数表示か)? 論文を書くときに基本的な約束事ですね。少なくとも初出の場合は丁寧に説明すべきです。>

すみません、情報が抜けていました。横軸は周波数、縦軸はFFTの結果でともにリニア表示です。

<(2) ヘッドホンと書いておられますが内容(Inner Type)を読むといわゆるイアホンとも取れるんですが? 実は現在いわゆるヘッドホンは持ち合わせておらずイアホン(Inner Type, Outer Typeの双方)で聴いているんですが、それだと音量と音質の差はよく分かってもあまり前方に定位しているようには感じないのですが? イアホンではやはり駄目なんでしょうか?>

ヘッドフォンの周波数特性をキャンセルするフィルタを最後段でかけています。これにより音が小さくなってしまいます。ただ、実際のところヘッドフォンのタイプによって大きな特性の差はないようです。

おっしゃるように、ヘッドフォンでの前方定位は難しいです。今回はヘッドフォンの最も大きな問題点の"頭の中心で音が聴こえる"ことはなくす現状既にある方法よりは改善したい少なくても若者が音楽を視聴する環境(電車の中など)で効果が確認できるようにという程度にはなっているのではないかと思っているのですが、いかがでしょうか?

ただ、Speakerで聴こえるような感じをヘッドフォンで感じるようになるまでにはまだ時間がかかりそうです。
ゲームのような"単音の音を定位位置を変えて再現する"ような場合には自分で特性をコントロールできるのですが、通常のCDのような音は全ての音がL/R chに混ぜられているので、L/Rchへの配分がきちんとされて
いないとうまく音が定位できません。

Re2:質問 投稿者:志賀 投稿日:12月19日(火)09時07分18秒
FS さん

<横軸は周波数、縦軸はFFTの結果でともにリニア表示です。>

MITデータの2kHz 辺りのピークがラウドネスカーブの谷に相当するわけですね。了解しました。

<実際のところヘッドフォンのタイプによって大きな特性の差はないようです。>

ということはいわゆる頭にかける大型ヘッドフォンも耳に差し込むイアホンでも大差なしということですね。

以下本題ですが、実は私の音像定位のページにも書いているんですが音源の前後感を決めるファクターは何が決め手かよく分かりません。F S さんはどのような因子を手がかりに前方定位感を出そうとしておられるんでしょうか? 論文を見てももう一つよく分かりません。電気的には 1msec 以内の遅延を利用しておられるようですがこれが引用しておられるMITデータとどう関係するのかもよく分かりません。

<おっしゃるように、ヘッドフォンでの前方定位は難しいです。>

確かに紹介しておられる他の方法も前方定位という点に関しては50歩100歩ですね。その中でもSRSというのが私にとっては一番成功しているように感じました。

音の前方定位 投稿者:FS 投稿日:12月21日(木)06時45分25秒
志賀さん:

<FS さんはどのような因子を手がかりに前方定位感を出そうとしておられるんでしょうか?>

左右の遅延差/強さの差

これらは非常に重要な要因です。ただ、CDなどに録音された音の場合は既にこれらの要因が入っておりさらに加えることは行っていません。(もともとの音のこれらの関係がいい加減だと困りますが)

耳までの周波数特性(HRTF)

志賀さんの資料にも同じものがありましたが、これも最も大きな要因です。最初はインパルス応答からFIRフィルタで実現してみましたが、うまくいきませんでした。そこで脳が音の定位を行っているのはある特定のキーになる部分を見ているのではないかと考え、耳の形からその特性を予想してフィルターを決めています。単純に2次のIIRフィルターなどでHRTFに近づけてもだめでした。

骨伝導(Bone Conduction)

スピーカとヘッドフォンの大きな差は骨伝導がないことです。このためこの特性を加えています。

OAEs(Otoacoustic emissions)というものがあります。マイク付のイヤフォーンを耳に入れて音を出すと、耳の中から音が出てくるというものです。原因はOHC(Outer Hair Cell)が音を増幅しているからとのことですが、詳細は良く分かっていないようです。

私は骨伝導のときにも同じような現象が起こっているのではないかと考えています。(裏付けはありませんが)

このあたりのご意見などありましたら教えて下さい。

Re 音の前方定位 投稿者:志賀 投稿日:12月22日(金)06時12分5秒
FS さん:

<FS さんはどのような因子を手がかりに前方定位感を出そうとしておられるんでしょうか?>

質問の仕方が的確でなかったのかもしれませんが下記の回答では納得出来ません。


<左右の遅延差/強さの差 ・・・・・・・・・>

<耳までの周波数特性(HRTF) ・・・・・・・・・・・・・・・・>


この両者が定位感を決める重要な要素であることは周知のことと思いますが、通常は前者は左右の、後者は上下の定位感を決める要素として重要だと考えられているんではないでしょうか? もちろん一般論として前後感にも関係はあるかもしれませんがそこをはっきりさせないと前方定位感を出すのは難しいんではないでしょうか?

とりあえず、手探りでこれらの要素に手を加え前方定位感を出そうという方法論でやっておられるんでしょうか?


Re 音の前方定位 投稿者:FS 投稿日:12月25日(月)07時01分6秒
志賀 様、

<通常は前者は左右の、後者は上下の定位感を決める要素として重要だと考えられているんではないでしょうか? とりあえず、手探りでこれらの要素に手を加え前方定位感を出そうという方法論でやっておられるんでしょうか?>

私は左右の遅延差/強弱耳までの周波数特性(HRTF)の両方が重要な要素だと考えています。

HRTFに関しては仰角を変えたときにも特性は変わりますが、仰角ゼロで音源の左右の位置をパラメータにしたときにもその特性は異なってきます。そこで仰角ゼロの特性に合わせ込むようにFilterのパラメータを決めています。

一方、Filterの形ですが、耳の形などから遅延値/係数などを決めています。それは、もとになる特性に合わせ込めば良いというものではなく人間の脳はその特性の中でキーとなる部分に着目して音源を定位しているのではないかと考えたからです。

Re2 音の前方定位 投稿者:志賀 投稿日:12月25日(月)12時12分31秒
FS さん

<HRTFに関しては仰角を変えたときにも特性は変わりますが、仰角ゼロで音源の左右の位置をパラメータにしたときにもその特性は異なってきます。>

その点はよく分かります。物理的にも当然のことですね。

<そこで仰角ゼロの特性に合わせ込むようにFilterのパラメータを決めています。>

ただ、これで前方定位感が出せるか疑問です。

なぜなら、正面前方音に対するHRTFは音源が前方で左右のブレが0度であるという情報は含んでいるでしょう。しかし、距離についての情報はどうでしょうか? 視覚の場合は、左右の視差から距離感を得ていますね。聴覚の場合も片耳だけのHRTFから視差に相当する僅かな角度のずれを検知出来るなら原理的に可能だとは思いますが果たしてどうでしょうか?

実際にヘッドフォンでは前方定位があまり成功していないところをみると無理なような気がしますが?

なおこの点については

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/soundimage.htm#realsound

で考察はしていますが、はっきりした結論は得ていません。

<一方、Filterの形ですが、耳の形などから遅延値/係数などを決めています。それは、もとになる特性に合わせ込めば良いというものではなく人間の脳はその特性の中でキーとなる部分に着目して音源を定位しているのではないかと考えたからです。>

私が経験した中で最も説得力のある前後感の説明は音量と反射音を相関させ変化させた音源です。具体的には、狭くかつ反射音がかなりあるホールの中でアナウンサーが話しながら遠ざかっていくというものです。スピーカーで聴いた場合ははっきり遠ざかっていく様子が分かります。ただこの場合もヘッドフォンでうまくいくかどうか分かりません。

追伸:

このチェックCDを探し出してイアフォンで聴いてみました。やはりうまくいかないですね。


Re3 音の前方定位 投稿者:FS 投稿日:12月27日(水)07時02分46秒
志賀 様、

<<そこで仰角ゼロの特性に合わせ込むようにFilterのパラメータを決めています。>>

<ただ、これで前方定位感が出せるか疑問です。>

自然界の音は人間の頭を回り込んだり、耳介などで反射されて鼓膜にたどり着きます。この特性は音源の位置/前後によって変わります。これに対してヘッドホーンの再生では耳に被さって音が鳴るため、これらの特性が無く直接人間の鼓膜に音が伝わってきます。

つまり、頭/耳の形によって構成される"遅延"や"強弱の変化"など本来なくてはならない特性がヘッドホーンでは無くなってしまうことになり人間の脳は少なくとも頭の外からの音という認識が出来なくなってしまいます。この"遅延”と"強弱"はHRTFという周波数特性になりヘッドホーン再生で前方定位させたい場合にはこの特性を加える必要があります。

確かにおっしゃるように片方の耳だけで音を聴いても前方定位しません。これは、脳が到達するすべての音の関係から音の定位認識を行っているためだと思います。つまり、最初に耳に聴こえた音は頭を回りこむ/耳介などの特性を持っているか逆側の耳に遅延された音が聴こえたか逆側の耳の音も頭を回りこむ/耳介などの特性を持っているかそれは1ms程度の遅延の中にあるか(数十ms以上遅れた音は直接到達した音ではなく、エコー/リバーブの音)と小さいころから学習?している特性と比較して音の定位を行っていると思います。

ただ、音の定位ではどうしても視覚からの情報の優先順位が高いようで、ある人の口が動いているのを見ると、例えその人が話していなくても話していると認識してしまうようです。テレビをヘッドホーンで聴く場合も同じことが言えます。

以前松下さんがヘッドホーンを耳に被せるのではなく、前方/目の位置あたりまで出したヘッドホーンを売り出したことがありました。その発想も、この頭/耳などの特性をヘッドホーンを前に出すことで実現することにありましたが、うまくいきませんでした。

これは位置が中途半端なために頭の回りこみの特性が完全ではなかったためと考えられます。
でもここまでしてもヘッドホーンでは音が前に定位しない(だまされない)とは、人間の脳の処理能力は
大変なものだと思います。

Re4 音の前方定位 投稿者:志賀 投稿日:12月27日(水)10時37分28秒   引用
FS さん

<自然界の音は人間の頭を回り込んだり、耳介などで反射されて鼓膜にたどり着きます。この特性は音源の位置/前後によって変わります。これに対してヘッドホーンの再生では耳に被さって音が鳴るため、これらの特性が無く直接人間の鼓膜に音が伝わってきます。

つまり、頭/耳の形によって構成される"遅延"や"強弱の変化"など本来なくてはならない特性がヘッドホーンでは無くなってしまうことになり人間の脳は少なくとも頭の外からの音という認識が出来なくなってしまいます。この"遅延”と"強弱"はHRTFという周波数特性になりヘッドホーン再生で前方定位させたい場合にはこの特性を加える必要があります。>


このような点は、小型マイクを鼓膜の位置に着けたダミーヘッドを用いてバイノーラル録音されたソースでは完全ではないにせよ取り込まれているんではないでしょうか? バイノーラルソースを聴いても前方定位という点に関してはそれほど変わりがありません。

ということは、それ以外に何か決定的な要素が欠落しているんではないかと思うんですが如何でしょう?

<これは、脳が到達するすべての音の関係から音の定位認識を行っているためだと思います。つまり、 最初に耳に聴こえた音は頭を回りこむ/耳介などの特性を持っているか逆側の耳に遅延された音が聴こえたか逆側の耳の音も頭を回りこむ/耳介などの特性を持っているかそれは1ms程度の遅延の中にあるか (数十ms以上遅れた音は直接到達した音ではなく、エコー/リバーブの音)と小さいころから学習?している特性と比較して音の定位を行っていると思います。>

確かに決定的な要因でなく総合的な情報処理で前後感を得ているのかもしれません。そうだとすると、方法論としてまずバイノーラルソースを元に遅延等の加工を施し手探りで最も効果的な処理を探るのが早道ではないでしょうか? その場合、遅延時間を1ms 以内に限るのは自ら可能性を制限しているのではないでしょうか? 数十ms以上の遅延は論外としても、この掲示板で話題になった先行音効果が効く1ms〜数十ms の遅延も試す価値はあると思いますが如何でしょう?

<ただ、音の定位ではどうしても視覚からの情報の優先順位が高いようで、ある人の口が動いているのを見ると、例えその人が話していなくても話していると認識してしまうようです。テレビをヘッドホーンで聴く場合も同じことが言えます。>

改めて確かめてみましたが、確かに視覚情報は強力ですね。アナウンサーがリアルタイムで話している場合はかなり口もとへ定位しますね。しかし、リアルタイムでない解説だとか、音楽の場合はやはり頭内定位に戻ってしまいます。

<以前松下さんがヘッドホーンを耳に被せるのではなく、前方/目の位置あたりまで出したヘッドホーンを売り出したことがありました。その発想も、この頭/耳などの特性をヘッドホーンを前に出すことで実現することにありましたが、うまくいきませんでした。>

「音の科学」(朝倉書店)という本に写真が載っています。この本で後藤俊幸氏が書いているバイノーラル再生の記事は参考になりますね。

<これは位置が中途半端なために頭の回りこみの特性が完全ではなかったためと考えられます。でもここまでしてもヘッドホーンでは音が前に定位しない(だまされない)とは、人間の脳の処理能力は大変なものだと思います。>

それはおっしゃる通りですが、錯聴現象というのもあり、だますことも可能ということですね。実際バーチャルリアリティーの世界ではかなり成功している部分もあるんではないでしょうか?

いずれにせよヘッドフォンでの前方定位感、うまくいけばすばらしいことなので成功を祈ります。


Re: Re4 音の前方定位 投稿者:HD 投稿日:12月27日(水)16時20分45秒
志賀さん、FS さん:

<<これは、脳が到達するすべての音の関係から音の定位認識を行っているためだと思います。つまり、 最初に耳に聴こえた音は頭を回りこむ/耳介などの特性を持っているか逆側の耳に遅延された音が聴こえたか逆側の耳の音も頭を回りこむ/耳介などの特性を持っているかそれは1ms程度の遅延の中にあるか (数十ms以上遅れた音は直接到達した音ではなく、エコー/リバーブの音)と小さいころから学習?している特性と比較して音の定位を行っていると思います。>>

< 確かに決定的な要因でなく総合的な情報処理で前後感を得ているのかもしれません。そうだとすると、方法論としてまずバイノーラルソースを元に遅延等の加工を施し手探りで最も効果的な処理を探るのが早道ではないでしょうか? その場合、遅延時間を1ms 以内に限るのは自ら可能性を制限しているのではないでしょうか? 数十ms以上の遅延は論外としても、この掲示板で話題になった先行音効果が効く1ms〜数十ms の遅延も試す価値はあると思いますが如何でしょう?>

前の議論でクリフトン効果をスピーカで聞いた場合に顕著だったのですが、クリック音が片側から聞こえる場合も両方から聞こえる場合も、音源はスピーカにあるように聞こえました。
楽音を聴く場合はステレオ録音でも、モノーラル録音でも音源はスピーカから離れ、音源はスピーカではない様に聞こえます。何れの場合も片チャンネルだけで再生しますと音源は音の出ている側のスピーカにあるように聞こえます。 ピンクノイズでも同様です。これは何故でしょうか。 左右のスピーカの音の干渉が主な原因と仮定しますと、ヘッドフォンでの前方定位を得るにはこの要素も加える必用もあるかも、、、単なる思い付きですが。

Re5 音の前方定位 投稿者:FS 投稿日:12月29日(金)09時00分20秒

<バイノーラルソースを聴いても前方定位という点に関してはそれほど変わりがありません。ということは、それ以外に何か決定的な要素が欠落しているんではないかと思うんですが如何でしょう?>

確かにバイノーラル録音された音は後ろには定位するのですが、前方定位しているものはないようです。何故後ろには定位しても前にはしないのかは疑問ですが、何か要素が欠落しているという意見は同感です。前にも書きましたが、骨伝道(Bone Conduction)が影響しているように思いますがどうでしょうか?

OAEs(Otoacoustic emissions)というものがあります。マイク付のイヤフォーンを耳に入れて音を出すと、耳の中から音が出てくるというものです。原因はOHC(Outer Hair Cell)が音を増幅しているからとのことですが、詳細は良く分かっていないようです。

私は骨伝導のときにも同じような現象が起こっているのではないかと考えています。(裏付けはありませんが)

Re Re5 音の前方定位 投稿者:志賀 投稿日:12月29日(金)15時41分1秒   引用
FS さん:

<前にも書きましたが、骨伝道(Bone Conduction)が影響しているように思いますがどうでしょうか?>

もしそうだとすると、ヘッドフォンのタイプによって差があるはずですね。具体的には開放型のヘッドフォンとインナーイア型イアフォンではかなり違った結果になると思いますが如何でしょう? 私は開放型のヘッドフォンを持ち合わせていないので分かりません。

以前話題になった前方から音が出る開放型ヘッドフォンで前方定位が成功しているならむしろ、発音源が前方にあることが重要なのかもしれません。ある意味当たり前のことですが。


Re2: Re4 音の前方定位 投稿者:FS 投稿日:12月29日(金)09時13分4秒
HDさん:

<前の議論でクリフトン効果をスピーカで聞いた場合に顕著だったのですが、クリック音が片側から聞こえる場合も両方から聞こえる場合も、音源はスピーカにあるように聞こえました。楽音を聴く場合はステレオ録音でも、モノーラル録音でも音源はスピーカから離れ、音源はスピーカではない様に聞こえます。何れの場合も片チャンネルだけで再生しますと音源は音の出ている側のスピーカにあるように聞こえます。>

片チャンネルだけで再生するとスピーカの音はクロストークがあるため左右の耳に到達します。つまり、脳は片チャンネルのスピーカから音が出ているという判断になります。

これに対して、ステレオ録音の場合は両チャンネルに既に左右の耳に聴こえなければならない音が入っています。(遅延/強弱が加えられて)ということからハース効果と同じで片方の耳に聴こえる同じ音が遅延されて逆側の耳に聴こえるになり脳はスピーカの間に音の定位を認識します。

このときリスナーの位置がスピーカの中心にあればよいのですが、左右どちらかにずれるとクロストークと本来の遅延された音との関係が変になってしまいますが。

Re: Re2: Re4 音の前方定位 投稿者:HD 投稿日:12月29日(金)10時58分26秒
FS さん:

<片チャンネルだけで再生するとスピーカの音はクロストークがあるため左右の耳に到達します。つまり、脳は片チャンネルのスピーカから音が出ているという判断になります。>

ここでお使いになられたクロストークの意味が判らないのですが、

http://www.cqpub.co.jp/term/crosstalk.htm

とは違うのでしょうか?

<これに対して、ステレオ録音の場合は両チャンネルに既に左右の耳に聴こえなければならない音が入っています。>

モノーラル録音は、左右の音の遅延も、強弱の差もない筈ですがスレレオ装置で再生しますと、音の出ている筈の左右のスピーカから音がでている様には聞こえず、SPの存在感が消え、バーチャルな位置(両SP中央でやや後方)に音源があるように聞こえるのは何故でしょうかという意味です。

< このときリスナーの位置がスピーカの中心にあればよいのですが、左右どちらかにずれるとクロストークと本来の遅延された音との関係が変になってしまいますが。>

リスナーの位置が中央から外れると遅延された音との関係も変りますが、両SPからの距離も変りますので音量差も出ますね。リスニング位置を右に動かせば、音の定位も右に寄ると経験しています。(しかし、頭が動いたほどは音の定位は動かないようです)

シングルユニットのSPで至近距離での音(ヘッドフォンから出る音に近い)と普通のリスニング位置で音の波形で遅延時間以外の何かに差のあるようなデータがあれば面白いと思うのです。正弦波はもともと定位不明確な音ですからピアノの音とか、楽器の音で比較するのが良いと思いますが。

Re2: Re2: Re4 音の前方定位 投稿者:FS 投稿日:12月29日(金)15時08分35秒
HDさん:

<ここでお使いになられたクロストークの意味が判らないのですが>http://www.cqpub.co.jp/term/crosstalk.htmとは違うのでしょうか?>

はい合っています。

M.UNCLEさんのホームページ
http://www3.kcn.ne.jp/~jamuncle/top/crosshakai.html
にはリスナーが左右に動いたときの考え方が示されています。
実際に感じるよりはもっと変化が大きい変化(10cm左右に動くだけで動いた側のスピーカに定位する)と書かれています。

<モノーラル録音は、左右の音の遅延も、強弱の差もない筈ですがスレレオ装置で再生しますと、音の出ている筈の左右のスピーカから音がでている様には聞こえず、SPの存在感が消え、バーチャルな位置(両SP中央でやや後方)に音源があるように聞こえるのは何故でしょうかという意味です。>

モノーラルの録音をステレオ装置で再生した場合には以下のように左右の耳に同じ音がほぼ同時に届きます。

左SPからの音
+-+
| |
左耳----+ +------------
右SPからの音
+-+
| |
右耳----+ +------------------

これを脳は前方から聴こえると認識します。

ちなみに、片スピーカだけ(左スピーカ)の場合は以下のようになり、左スピーカに音が定位します。
左SPからの音
+-+
| |
左耳----+ +------------
左SPからの音(クロストーク)
+-+
| |
右耳-------+ +------------------

Re:Re4 音の前方定位 投稿者:HD 投稿日:12月29日(金)17時43分22秒
FS さん:

<M.UNCLEさんのホームページにはリスナーが左右に動いたときの考え方が示されています。実際に感じるよりはもっと変化が大きい変化(10cm左右に動くだけで動いた側のスピーカに定位する)と書かれています。>

拝見しました。 左右の耳に入る音がクロストークすると言うならば、自然音もそうですよね。 不自然な現象ではないと思いますが。

で、前のポストに書きましたクリフトン効果のファイルのL+Rのファイルを作ってオリジナルのファイルと連続でスピーカで聞いて見ました。 オリジナルは前述のようにクリック音が左からー>両方からー>右から何れもSPが音源のように聞こえますが、L+Rは当然でしょうけれど、中央で両SPを結ぶ線より後ろのバーチャルな位置に音源があるように聞こえます。頭を左右に20〜30cm位動かしますと、音源はそれぞれ左右に動きますがやはりSPの後ろで平行移動しまして、やはりバーチャルな音源から聞こえます。 確かにSPが音源に聞こえるようになるには1m以上左右に移動しないとそうはならないです。

尚、我が家ではSP間隔約2.3m, 両SPからリスポジまでの距離は約2.5mです。これは、部屋(部屋にあるSP以外の物も含む)の音響特性やSPの配置にもよると思いますが、、、

M.UNCLEさんのホームページ(まだ全部読んでませんが)「再生側の問題」の記述は納得できませんですね。普通のソース(LP、CD、DVD、カセットテープ、放送など)ではここに書かれているような再生音は聞いたことが無いです。 また、標準配置とは何でしょうか? SPの配置、録音時のマイクの配置?
「4-5 普通のステレオ配置」のコメントは何を言いたいのでしょうか。

Re: Re5 音の前方定位 投稿者:NS 投稿日:12月29日(金)18時22分56秒

<<バイノーラルソースを聴いても前方定位という点に関してはそれほど変わりがありません。ということは、それ以外に何か決定的な要素が欠落しているんではないかと思うんですが如何でしょう?>>

<確かにバイノーラル録音された音は後ろには定位するのですが、前方定位しているものはないようです。 何故後ろには定位しても前にはしないのかは疑問ですが、何か要素が欠落しているという意見は同感です。>

決定的にちがうのは、ヘッドホンの音は真横から音が進行しているのに、実際の前方向からの音源は進行方向は前からではないですか。STAXのヘッドホンの機種の中にはユニットを前方向に付けて、耳をすっぽりと覆う、通称トリカゴというヘッドホンがありました。たぶん耳介の仕組み(前方向からくる音波とその耳介反射の組み合わせ)を取り入れたからだろうと思います。定位は頭の中にひどくとどまる、ということではなく、何となく前方向に定位するような感じでした。しかし、やはりヘッドホンです。まったく頭の中から音が響くということから離れません。しかし、一般的な真横から音を出すヘッドホンとはちがった定位の仕方でした。心地よかったですね。

UNCLEさんのホームページはおかしい。そもそも、録音のことに関してまったく知らない。あんな録り方はしません。色々なワンポイントマイクの方式がありますが、すべて人間の聴感特性に基づいて生まれたのですが、そこを分かっていない。

<前にも書きましたが、骨伝道(Bone Conduction)が影響しているように思いますがどうでしょうか?>

これはあまり関係ないと思います。

Re2: Re5 音の前方定位 投稿者:志賀 投稿日:12月29日(金)22時21分35秒
NS さん:

<UNCLEさんのホームページはおかしい。そもそも、録音のことに関してまったく知らない。あんな録り方はしません。色々なワンポイントマイクの方式がありますが、すべて人間の聴感特性に基づいて生まれたのですが、そこを分かっていない。>

あまり他のHPのことをとやかく言いたくないのですが、この方とはAF上で議論したことがあります。

この方の興味はバイノーラル録音されたソースをクロストークを軽減したスピーカーシステムで再生することであり、通常の録音技術についてはあまり興味がないんではないかと思います。


ただし、私自身がこの内容に賛同しているわけではありません 。

Re3: Re5 音の前方定位 投稿者:志賀 投稿日:12月29日(金)22時47分25秒
NS さん:

<決定的にちがうのは、ヘッドホンの音は真横から音が進行しているのに、実際の前方向からの音源は進行方向は前からではないですか。>

これはもちろんその通りです。が、

FS さんの代弁をするわけではないですが、1ms 以内の遅延と頭部伝達関数の補正を施すことにより何とか脳をだまし前方定位感を出せないかと考えておられるんだと思います。

私が言いたかったのは、だましながらも前方定位感を出すためにこの2つ以外にもっと決定的な要素があるんではないかと言いたかったわけです。といって私にも分かりませんし、あるいは不可能なことなのかもしれません。

Re5 音の前方定位 投稿者:志賀 投稿日:12月29日(金)23時19分40秒
FS さん:

<モノーラルの録音をステレオ装置で再生した場合には以下のように左右の耳に同じ音がほぼ同時に届きます。>

HDさんの疑問点は少し違うと思いますよ。モノラル音を左右のスピーカーから再生したとき中央の1点から聴こえるのは一見当たり前のように思われるかもしれませんが、中央に1個のスピーカーが置いてあるときと音場の波面が違うわけで決して自明のことではないと思います。またクロストーク云々も関係ないんではないでしょうか? 左右にスピーカーがある以上、モノラル音源、あるいは中央にある点音源のステレオ再生であってもクロストークが消えてしまうわけではないですね。

むしろ聴覚の特性として理解すべき問題だと思います。

ここら辺りのことは一応

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/soundimage.htm#stereosound

の再生時の問題点に書いてあります。


Re6 音の前方定位 投稿者:FS 投稿日:12月30日(土)09時23分1秒
志賀 様、皆様、

正確にはモノーラルの音をステレオ再生した場合には左右の耳には以下のように音が届きます。

左SPからの音 右SPからのクロストーク
+-+ +-+
| | | |
左耳----+ +-----+ +-------

右SPからの音 左SPからのクロストーク
+-+ +-+
| | | |
右耳----+ +-----+ +-------

<- 1ms以内 -->

脳はこれをどのように感じるかですが、@私は最初に左右の耳に入ってくる音が優先されて音の定位を認識して、遅れてくるクロストークはたとえ1ms以内に入っていても無視?されると思うのですがいかがでしょうか?

それとも、Aまず両スピーカの位置に定位して、それが左右同じなので正面に定位するのでしょうか?

はたまた、Bこれら4個の音すべてを使っていきなり定位するのでしょうか?

ただ、これらの音はすべて基本的には同じ音なので区別は難しくAはないと思います。

ここらあたりの考え方はUncleさんは現在の再生システムでは一つの音源に対して片方の耳に二種類、両耳に四種類の信号が入ります。例えば独唱をステレオで聴くことを考えると、これは両側のスピーカーの位置に歌手が一人ずつ合計二人居るのと同じことです。

ということから、Aの考え方のようですね。

以前話のあったクリフトン効果などを考えると脳もケースバイケースで臨機応変に学習しながら処理を変えるのかもしれません。

骨伝道はやはり関係ないのかもしれませんね。
確かに"前後"ということを考えると骨伝道では前なのか後ろなのかは分からない気がします。

Re: Re6 音の前方定位 投稿者:HD 投稿日:12月30日(土)12時09分26秒
皆様:

ピアノ伴奏のオーボエ曲、ソプラノ独唱、バイオリン無伴曲(いずれもステレオ録音)で試しました。リスポジ付近でゆっくり左右に半回転してみましたが、虚像である音像の位置はほどんど動きません。 180度回った時には真横で鳴っています。SPが音源であるようには聞こえませんでした。 バーチャルな位置にほぼ固定されてます。これはやはり脳が騙されているのでしょうか?皆様如何でしょう。

もう1つの実験です。

ソースはピンクノイズL+Rで両スピーカから音を出しながら、プリアンプの左右バランスを変えてみました。左を右より音圧で約10dBまで大きくしても、音源は左SPにあるようには聞こえませんで、左SPのほぼ真後ろにあるように聞こえます。逆も同じで右の音圧を約10dB高くすると音源は右SPのほぼ真後ろにあるように聞こえます。音圧はリスポジで計って何れの場合も約65dBと約75dBの差です。音圧で10dBの差は聴感で2倍の音量差と言われています。プリの左右バランスは連続可変でないので両SPから音の出せる最大の左右差です(これ以上ツマミをまわすといずれか一方のSPが鳴らなくなります)。
片側ずつ鳴らした場合は、以前書きましたように、夫々のSPに音源があるように聞こえます。

○ホワイトノイズですと様子が変るかとも思いますが、トゥイーターが壊れると困るのでやっていません。

Re7 音の前方定位 投稿者:志賀 投稿日:12月30日(土)15時36分47秒
HD さん、FS さん、皆様:

HPの音像定位のページに書いたように、私の感じ方は、左右の広がりは両スピーカー間、前後、上下はほぼ両スピーカーを結ぶ線の周辺といった感じです。そしてソースに含まれる左右情報により音源の位置がこの間に配分されるといった感じです。このことをアナウンサーが左右前後に動くデモソースによって確かめました。ただこのソースは音量と反射音の強度の変化により音源が遠ざかって行く様子を再現することに成功しています。頭を回転してもこの状況は変わりません。

もし、この感じ方が一般的なものとすれば、まず両耳効果により左右のスピーカーの位置を認識し、ソースに入っている音量差、位相差などの左右情報を頼りに両スピーカー間の適当なところに音源位置を決める(認識する)。この時両スピーカーからの音の波形が録音時に左右マイクの位置の違いで生じる僅かな位相差のみ(音量差はあってもいい)なら1つの音源として認識する。といったところではないかと思いますが如何でしょう?

なぜ一つの音として認識するかは分かりませんがハース効果で生じたように左右の音の融合が起こっているんではないかと推察します。全く同じ音が2個所から聴こえるのは不自然ですからね。

クロストークに関して言えばもちろん左右スピーカーの位置を認識するために必要で決して無視されるわけではないと思います。このように考えると中心にある場合を、左右にぶれた場合と特に区別して考える必要はないと思います。

この考え方を推し進めると、ヘッドフォンで前方定位感を得るためにはヘッドフォンが前方 数十センチの所にあるように認識させる必要がありこれは至難の業だと思います。


最後の私のレスがまとめのようになっていますが、ヘッドフォンの前方定位を実現するにはまだまだ超えなければならないハードルがいくつも存在するようです。

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