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音像定位と録音技術

再生音の絶対極性についての議論の内、音像形成や録音技術に関する議論を集めました。

Re: ステレオ再生音の左右の時間差と音量差 投稿者:HD  投稿日:2006年11月29日(水)21時15分10秒

<<人間の聴覚による方向知覚は音の位相差ではなくパワー差によっている、ということの傍証になっているのではないでしょうか。>>

<> ふむふむなるほど、明日パワー差の実験をやってみます。>


以前色々な楽器のスペクトラムの議論の時のキーロフ・オーケストラのバスドラムのWAVファイルがありますので左右のトラックのバスドラの鳴り始め部分の波形を見ました。

1.スピーカで聞くとバスドラムは右奥に定位します。

2.波形は、当然高調波や反射音、ホールトーンを含みますからかなり複雑な形をしています(ピーク側、ディップ側や左右の波形は同一ではないです)。 スペアナのピークホールドでは、レベルが最も高いのが123.8Hz, 以下43.1Hz, 164,2Hz, 212.6Hz, 64.6Hzの順です。これらの周波数の間にも64.6Hzより小さなピークがあります。 212.6Hz以上の成分も勿論ありますが。

3.マクロで見ますと最初は、生録趣味さんのおっしゃるように左右共まずーに振れてから+に転じ、振幅は時間と共に大きくなっていき約60ミリ秒でピークに達してます。

4.左右の時間関係は右がピーク、ディップ共5ミリ秒弱早く出ます。

5.左右の音の大きさはピーク側(+側)で見ますと右が約3.5dB大きいです。(振幅では約7dBと言う事は右が左のほぼ2倍の音量でしょうか?)

6.マイクセッティングは判りませんがPhilips録音で多分マルチマイクと思います。

註): 2〜5はWAVファイルのPCソフトによる観測結果でスピーカから出た音ではありません、為念。

Re: 独り言 投稿者:HD 投稿日:11月30日(木)10時08分17秒
AC  さん:

<左右に位相差を付けると、音が広がってしまう。それを解消するためにと位相差に見合った音量差を付けてみたが、どうもうまくいかない。 位相差と音量差、それ以外に何があるのか? そんな単純なものではないのか? そもそもを消すのは不可能なのか?>

「音の広がり」とは音像が大きい(例えばチェロがコントラバス位の大きさに聞こえる)と言うことでしょうか?
装置でL+Rのモノーラル再生に出来ればやってみるとどうなるでしょうか、あるいは片チャネルだけ鳴らしてモノで聴くとどうなりますか?

我が家にバッハ 「無伴奏チェロ組曲」、シュタルケルの1963〜1965年録音のSACD/CDのハイブリッド盤(Mercury)と1992年録音のCD盤(RCA)がありますが、音像の大きさ(音の広がり)は、Mercury SACD層>CD層>RCA CD です。1984年?録音のマイスキーの同曲(DG盤)の音像はさらに小さいです。

Re: 独り言 投稿者:NS 投稿日:11月30日(木)10時55分50秒

<左右に位相差を付けると、音が広がってしまう。それを解消するためにと位相差に見合った音量差を付けてみたが、どうもうまくいかない。 位相差と音量差、それ以外に何があるのか?>

位相差(時間差)と音量差は密接な関係があり、個別にいじってもうまくいかないのは当然です。入手しやすいという意味で一般に市販されているものは、主として音量差で行われていますが(俗に言うとパンポット)、位相まで変化させるものはありません。むしろDSPで行う代物と思います。

Re: 独り言 投稿者:RS 投稿日:11月30日(木)20時10分47秒
AC さん

<左右に位相差を付けると、音が広がってしまう。それを解消するためにと位相差に見合った音量差を付けてみたが、どうもうまくいかない。>

これは、人間の聴覚にとって、「『位相』と『音量』が独立な要素である」ということではないかと思います。(*)

aとbが関係があるとaの変化をbの変化で補正したりできるが、aとbが独立だとbをいじることでaに影響を与えることはできない。

また「音が広がった」ということは「点音源で無い」ということに近いので、それは「方向が無い(ちょっと言いすぎ)」のであり、方向が定まらないのも自然という感じがします。

点音源またはそれに近い音源として聴こえている音の方向を変えるのであれば音量バランスの調整でできる、ということではないかと思います。
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という投稿をしようとしたら、NSさんの
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<位相差(時間差)と音量差は密接な関係があり、個別にいじってもうまくいかないのは当然です。>
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という投稿が先に出て、上記(*)と反対の表現なので、ちょっと投稿を迷ったのですが、意図的に生録趣味さんに逆らっている訳ではありません。多分、音響技術者と物理・数学分野の表現あるいは概念の違いと思います。

Re: 独り言 投稿者:NS  投稿日:12月 1日(金)09時23分6秒
RS さん、鋭いですねえ。

位相差だけでもやろうと思えばできますよ。ヒント:デンオン、インバル マーラー No4。それはともかく、アマチュアチェロ弾きさんは、L-Rをずらしすぎです。位相で考えてしまうと分かりにくくなりますから遅延時間で考えないといけません。実際の信号は連続波ではありません。1925年からず〜と立体音響の研究がなされてきていますので、同じ時間を掛けるのなら追試実験をするよりも、ネットで検索に時間を掛けた方が良いと思います。
文献は転がっています。

Re: 独り言 投稿者:RS 投稿日:12月 2日(土)09時57分44秒
NS さん

<位相差だけでもやろうと思えばできますよ。>

「位相差だけでできる」という事は、次の2つのことを示しているように思います。

○方向の知覚は位相(遅延時間?)も関係する。 ○位相と音量は独立。

確かに、左右の耳で知覚される音の立ち上がりの時間差は、音源からの距離に関係無いので、連続波形における位相に比べたら情報としては安定性があり、方向知覚に使われそうですね。ただし、一瞬なので、開始した音が持続する場合には初期段階での遅延時間の効果がどの程度持続するのかが知り
たいところです。

<ヒント:デンオン、インバル マーラー No4。>

これは、どのような位相処理をやっているのですか、教えて頂けると嬉しいのですが。

Re: 理科好きさ〜ん、ちがいますよ 投稿者:NS  投稿日:12月 2日(土)23時06分15秒

インバルのマーラーNo4は、発売時に非常に話題になりましたが、位相処理はやっていません。ご自身でDENONはなにをしていたのか、お調べになってください。

音像定位は、位相処理だけでは明確な音像定位は難しいとお考えください。特に、位相のみの処理では、センターから片チャンネルのSPの距離の半分までは、何とかなりますが、半分からSPまでは急にクリチカルになり、ぼやけた感じになります。ですから、独立変数として扱うのはちょっとどうかと。

一番音像定位の大きな要素は第1に音量差であり、次はに遅延時間であり、第3に頭部伝達関数に関係する音色差です。特に音量差の方が支配的です。これは、志賀さんの解説にもありますし、わたしもこのBBSで定性的に過去に述べさせていただきました。体系的に、しかも詳細なデーターで説明してくれる文献は日本語では皆無です。すこし体系的に書いてある文献は知っていますが、県立図書館や市立図書館には所蔵していませんでした。国会図書館にあるそうです。

別の話題になりますが、Hi-Fi派の端くれのさらに末端部であるわたしにとっては、あまり書きたくないことですが、クラシックの録音物も、CD1枚に100カ所以上、手が加えられています。また、ダイナミックレンジは必ず圧縮しています。ppp〜fffは、それがそれらしく感じられればそれで良いとする考えです。色々な再生装置がありますから。これはプロから聞いた話で、ウソでは有りません。CD制作ためのクラシック録音はこんなものです。
ですから、コンサートとはまったくの別物です。他のジャンルのことも言わなくてもわかるでしょう。これは菅野沖彦氏から聞いたことでは有りません。菅野沖彦氏は、そのことをよく知っているから、コンサートとCDなどの録音物は別物。全くちがう芸術分野だ、ということです。たしかに一理どころか九十九理はあると思います。菅野沖彦氏は録音したホールも再生する部屋も同じではないから、伝達関数は1になるはずがない。まったく別物だよ。ということに気づかせてくれた功績は大きいと思います。しかしながら、マイクで拾って電気変換した信号を振幅以外は波形をゆがめないで、伝送、記録、再生するためには、周波数特性は∞周波数までフラット、位相もフラット、伝送中に入るノイズは-∞、を理想として開発、発展をしてきました。実際、めざましい改善をしました。わたしの言い分は、∞を求めないが、それらが必要十分なところまで達成できているのなら納得はできます。しかし、記録するフォーマットが良くなれば、本物に近くなるという経験はよくしました。ショボいヘッドホンやスピーカーを使ってでも、です。ですから、いまだ途中の伝達関数は1でないのだから、そのようなオーディオ芸術論はまってくれといいたいわけです。でも、菅野派(←勝手に名付けましたが)が今後多数になってくるでしょう。

ISさんはHi-Fi派とお見受けいたしましたが、市販音楽CDなどのメディアはそういうものです。絶対位相は大事ですが、加工が少ないと思われるクラシックでさえもそうですから、まあなんともいえないのが実情となりましょう。みなさん、夢を壊すようでごめんなさい。しばらくは書き込みはしません。今後はかな?

Re: 理科好きさ〜ん、ちがいますよ 投稿者:RS  投稿日:12月 4日(月)23時06分48秒
NS さん

<位相のみの処理では、センターから片チャンネルのSPの距離の半分までは、何とかなりますが、半分からSPまでは急にクリチカルになり、ぼやけた感じになります。>

なるほど。そういったことがあるのですね。

<ですから、独立変数として扱うのはちょっとど うかと。>

なるほど、「定位感覚」に関しては、音量と位相は独立でない、ということですか。物理的には独立な量が感覚的には関連する、ということはありえないことではないですね。もし、音量変化で生じた定位変化を位相変化で戻せるということになれば、もっと関係は確かになりますね。

< CD1枚に100カ所以上、手が加えられています。また、ダイナミックレンジは必ず圧縮しています。>

私もそれに類することは聞いたことがありますし、昔、生録会で私の安物の4トラック2チャンネルのオープンデッキで録ったものの音が、LPよりずっとリアルな印象があったことからもうなづける話しです。

とすると、CDプレーヤやアンプをこれ以上高性能にしても何か無駄なように思います。

<マイクで拾って電気変換した信号を振幅以外は波形をゆがめないで、伝送、記録、再生する>

まず、マイクで拾った段階でマイクに到達した波形とは異なる波形になっている可能性があります。また、2個のスピーカを使う再生方式では2個のスピーカから出た音が干渉しあって、波形はぐちゃぐちゃになってしまうことを考えると、原理的にあまり意味が無いように思えるのですが。

NSさんの分類では「RS」は菅野派ということになるのでしょうか。

Re: 理科好きさ〜ん、ちがいますよ 投稿者:NS 投稿日:12月 5日(火)23時58分2秒

<<位相差だけでもやろうと思えばできますよ。ヒント:デンオン、インバル マーラー No4。>>

<と書かれていたので、位相処理をしているのかと思いました。そして、何らかの情報をお持ちと思い質問致しました。>


いえ、いえ。たったこれだけではわかるはずもありませんが、発売当時非常に話題になり、あちこちのオーディオ雑誌に取り上げられました。そのなかで彼らがなにをやっていたかです。何を意図してあの機材を使用したかです。インバルはその機材を大変気に入っていたそうです。他社のエンジニアからはそれがすべてではないですよ。別の機種のも良いのがあります。と、なにかの雑誌の対談に載っていました。

わたしは生録をやっている関係上、音像定位は切実な問題であり、クォリティーに直結する事柄です。反対に両チャンネルスピーカー間の、この部分に任意に定位させたいとしたら、録音上の知見から逆算できることがすぐにわかりました。ただし逆関数を計算しなおさなければなりませんし、パラメーターはひとつだけではありませんから、すぐに解をもとめようにも骨が折れます。しかし、わたしは打ち込み屋のようなクリエーターでもありません。勝手にオケのバイオリンを右の端っこにしようなどとはしません。

<まず、マイクで拾った段階でマイクに到達した波形とは異なる波形になっている可能性があります。>

わかっています。だから書かなかったのです。なにかモノが置いてあると回折するのはしっています。ですから、その影響を小さくするために、わたしのつかうマイクは1/2インチ径のダイアフラムのマイクを使っています。SONYのC38P(漫才マイク)は1インチです。

<また、2個のスピーカを使う再生方式では2個のスピーカから出た音が干渉しあって、波形はぐちゃぐちゃになってしまうことを考えると、原理的にあまり意味が無いように思えるのですが。>

では、ユニウェーブスピーカーの測定は2台で測定しているのですか? たとえば、ある1台のスピーカーの位相がグチャグチャなのを2台つかっても、明確な定位が得られると思うのでしょうね。わたしならスピーカーを作るとしたなら位相特性変化が少ないスピーカーを使って楽しみます。そちらの方が音像定位が明確になるのは明白です。なぜなら、今の技術はほとんどの場合音量差と位相差で音像定位を組み立てていますから。両チャンネルの位相差が再現されないと、録音時にこのように定位をさせたい(そういうマイクセッティングを行う)という意図から、逸脱することになります。ですから、1台のスピーカーで位相特性、ウーハーやツィーターの遅延時間が良くなければ、録音した人の意図した音像定位は、しないことになりませんか。このような書き込みをされると、わたしが音像定位に重要な因子をあげたのに2ch再生をご理解なさっていないことになります。
(からかわれているのかな?)

<NSさんの分類では「RS」は菅野派ということになるのでしょうか。>

いえ、そうは思っていません。また、RSさんのシステムを聞いたわけではないので、そういう判断はできません。ただ、わたし自身は、自分が録音したという姿を消し、演奏者が表現したい意図をありのまま、家で再現したいという欲求から録音をはじめたのです。しかし、マイクの選定、ケーブルの選定、機材の選定などそれぞれの個性があり、自分が、、意識して取捨選択していたのです。これがHi-Fi派といえるかどうか。ほんとうに高忠実度をもとめるとしたら、生身の演奏者を自分の部屋に呼んで演奏してもらい、録音再生して生演奏に近くなるかをしなければなりません。そんなのできません。いままでの技術は伝達関数1を目指してここまで発展してきたのですが、自分がやっている行為自体に疑問を持っている次第です。

Re: 理科好きさ〜ん、ちがいますよ 投稿者:RS 投稿日:12月 6日(水)00時47分29秒
NSさん

NSさんが優秀な録音技術者であり、ご経験も豊富であることは解りますが、書かれていることが矛盾しているように、私には見えるのです。

<位相差だけでもやろうと思えばできますよ。ヒント:デンオン、インバル マーラー No4。>

<インバルのマーラーNo4は、発売時に非常に話題になりましたが、位相処理はやっていません。>


上記二つのご発言は、私には矛盾しているように読めますので、混乱してしまいます。

< まず、マイクで拾った段階でマイクに到達した波形とは異なる波形になっている可能性があります。わかっています。だから書かなかったのです。なにかモノが置いてあると回折するのはしっています。>

モノが無くても、ダイヤフラムの変移から電気信号に変換するときに微分されて波形が変ることがあるということについてはどうなのでしょう。

<また、2個のスピーカを使う再生方式では2個のスピーカから出た音が干渉しあって、波形はぐちゃぐちゃになってしまうことを考えると、原理的にあまり意味が無いように思えるのですが。

では、ユニウェーブスピーカーの測定は2台で測定しているのですか? たとえば、ある1台のスピーカーの位相がグチャグチャなのを2台つかっても、明確な定位が得られると思うのでしょうね。わたしならスピーカーを作るとしたなら位相特性変化が少ないスピーカーを使って楽しみます。>

これは、私の舌足らずだったようです。「2個のスピーカから出た音が干渉しあって、波形はぐちゃぐちゃに・・・」と書いたのは、「マイクからスピーカの出口までの波形をいかに正確に伝送しても、左右それぞれの耳に入る波形は、左右のスピーカから出た音(当然、距離差があるので位相差を生じている)の合成になるので、(スピーカが完全に波形を再現できたとしても)波形が崩れてしまっていることを言いたかったのです。例えば、同じ矩形波が左右のスピーカから発せられて、左の耳に到達するときは、右のスピーカからの距離の方が長いので、右のスピーカからの音は位相が遅れています。

位相がずれた矩形波を重ねると、元の矩形波とはまるで異なる波形になってしまいます。

上記のことから、可聴帯域全てについて、耳に入る波形を元の波形と同じにすることは、スピーカの出口まで完全に波形を保っても、2つのスピーカを使う限り原理的に無理なように思うのですが、いかがでしょうか。

Re: RSさんへ  投稿者:RS  投稿日:12月 7日(木)00時03分1秒
RSさん、

<だから、DENONの技術者が何をしたのか、調べればわかります。>

NSさんはご存知なのでしょう?だったら、お教え願えませんか?私は、私が知りえたことで議論に関係あると考えられることは、この掲示板にできるだけ開示してきました。だからといって他人に強制することはできませんが、できればそうして頂けるとありがたいのです。

<録音技術を知っているのならば、な〜んだ、なるほどね、ということです。>

私は、録音技術についてはほとんど知りません。ですから、「録音技術を知っているのならば」という前提が成り立たないので、解らない可能性があります。マイクやスピーカの基本原理については、調べたので多少知っていますが。

<私は全く優秀ではない。ド素人です。>

とはおっしゃっても、これまでのご発言から、録音に関しては私などよりは遥かに経験豊富だし、技術もおありのようで、「ド素人」とはとても思えないのですが。ただ、人に理解してもらう、あるいは議論しようとするときには、自分にとっては自明なこともクドクドと筋道をたてて言わなければならないことも多いのです。

私の前回の投稿の最後の件

<可聴帯域全てについて、耳に入る波形を元の波形と同じにすることは、スピーカの出口まで完全に波形を保っても、2つのスピーカを理> 使う限り原理的に無理なように思うのですが、いかがでしょうか。>

についてのご見解はどうでしょうか。
----------------------------------------------------------------
一つ訂正です。12月 6日(水)00時47分29秒の私の投稿で、

<モノが無くても、ダイヤフラムの変移から電気信号に変換するときに微分されて波形が変ることがあるということについてはどうなのでしょう。>

と書きましたが、「ダイヤフラム」ではなくて「リボン」ですね。上記の部分だけについては間違いではないのですが。

Re: RSさんへ 投稿者: NS  投稿日:12月 7日(木)13時32分7秒

<これは、私の舌足らずだったようです。「2個のスピーカから出た音が干渉しあって、波形はぐちゃぐちゃに・・・」と書いたのは、「マイクからスピーカの出口までの波形をいかに正確に伝送しても、左右それぞれの耳に入る波形は、左右のスピーカから出た音(当然、距離差があるので位相差を生じている)の合成になるので、(スピーカが完全に波形を再現できたとしても)波形が崩れてしまっていることを言いたかったのです。例えば、同じ矩形波が左右のスピーカから発せられて、左の耳に到達するときは、右のスピーカからの距離の方が長いので、右のスピーカからの音は位相が遅れています。

可聴帯域全てについて、耳に入る波形を元の波形と同じにすることは、スピーカの出口まで完全に波形を保っても、2つのスピーカを使う限り原理的に無理なように思うのですが、いかがでしょうか。

位相がずれた矩形波を重ねると、元の矩形波とはまるで異なる波形になってしまいます。

についてのご見解はどうでしょうか。>


 音波は発音体から遠くなると高域が減衰するのはお互い良く知っていますよね。

まず、空気のような弾性体では、たとえ発音体が理想通りの矩形波動作をしても空気自体がそのように圧縮、膨張するとは考えにくい。また、距離が大きくなると高域が減衰するので一つのスピーカーでも発音体から離れると波形は崩れます。なまるといった方が良いでしょう。ですから、近接聴集という提案が出てきたのかもしれませんし、部屋の反射音の影響も少なくなります。私の場合部屋が狭いのでそのようになってしまっています(苦笑)。

 さて、今まで位相と言っていますが、適当な言葉ではありません。12月1日に私が書き込んだのを憶えてらっしゃると思います。本当は音波が伝搬する際のチャンネル間や、両耳の遅延時間、言い換えれば到達時間差といいましょうか、ハース効果(この単語はご存じですよね)を念頭に入れなければ、音像定位は誤解を生みます。連続波を使ってしまうから誤解を生みやすくなります。

録音技術から再生の音像定位について、私は考察してきていますが、もし私の思考経路を探りたいのであれば、「放送技術」の2000年9月号から12月号を読めば音像の再生はどうあるべきかが類推できると思います。私の頭を探れば脳細胞は1個だけと判明するでしょう。 さらに、インバルの件についても彼らが何を使用してどのように収録したかがわかれば、なるほどと合点が行くはずです。教科書通りにしています。 これも発売後にデンオン技術者へのインタビュー記事がオーディオ雑誌に載っていました。結構詳しい内容でした。こんなことはノウハウではないかと言うセッティング写真とかも。立ち読みだから雑誌名、年号月日は不明。パソコンをお持ちならご自身で検索したほうが良いですよ。 図書館に行けば所蔵している所で読めば良いし。ここで私が書き散らした意味不明な文章よりもきっと理解の助けになります。

放送技術は近所の図書館にはなかったので、ネット上で原文を読むハメになりましたが、意味不明な機械訳(英語ではない)と、表面的にしかかいていない日本の専門書を読み比べて、実際の収録になんとか役立てるようにしました。しかし実際には1/3以下しか理解していません。

いままでここでやりとりしていますが、これは議論じゃなく、教えてくださいの部類に入るのではないですか。
私は音響関係の研究者ではありません。かなり間違った事を書いています。事実エレクトレットについて間違っていたではないですか。かなりあやしい2次、3次情報源ですよ。それならば、専門家が書いた専門書を読んだ方が正しい知識を得られやすいのではないでしょうか。結構この場所をお借りして過去に音像定位について書き散らしています。

インバルの録音 投稿者:志賀 投稿日:12月 7日(木)16時53分26秒
RSさん、NSさん:

DENON の録音方式が話題になっていますが、インバルの6番の解説に関連したことが書いてありました。OCRで読み取ったのを参考のために再録しておきます。

≪マーラー交響曲第6番≫の録音について
                     日本コロムビア株式会社ソフト技術本部
この「マーラー交響曲全集」の制作にあたっては、自然な奥行きと広がりを持ったオーケストラ空間を忠実に再現する目的て、録存の原点といわれるステレオ・ワンポイント録音方式を基本に収音が行われています。

 ワンポイント録音の特徴としては

1. 誇張されることのない自然なバランス
2. 各楽器の定位と奥行きの忠実な再現
3. 濁りのない透明なサワント
4. 直接音と間接音のつながりの良さ
といった点があけられます。

この具体的成果は≪交響曲第4番≫の録音にあらわれています。
 しかしなから、≪交響曲第6番≫のようにオーケストラの編成が巨大て、チェレスタ、カウベル、ムチ、ハンマーといった多くの特殊楽器が使用され、オーケストレーションが複雑になった場合い、2本のマイクロホンだけによってすべての楽器の音楽的ニュアンスを捉えることは難しくなります。

 このためこの≪交響曲第6番≫では、音楽上必要不可欠と判断された個所にのみわずかながら補助マイクロホン出力のミキシングをおこなっています。

 ただ、従来の方法によってミキシングを行った場今には、各補助マイクとメインマイクとの間の距離によって生じる音の伝搬遅延のため、門題の生じることがあります。実際にコンサート・ホール内で音楽を聴く場合には、近くにある楽器の音は早く耳に到達し、遠くにある楽器の音は時間遅れをもって耳に到達するという自然な時間関係が成立しています。しかし、特定の楽器に近接して補助マイクを配置しミキシングを行うと、この時間関係か崩れ、この結果音像の奥行き感が損われることがあります。

そこて考案されたのが「遅延補正ミキシング技法」です。

 すなわち、単純ミキシングを行った際に生じる信号間の時間ずれを補正するため、メインマイクと補助マイクとの間の距離にあたる時間分だけ補助マイク出力に遅延をかけ、そのうえでミキシングを行おうという手法です。こうすることによって、補助マイクを用いているにもかかわらず、ミキシングされた信号はあたかもワンポイント録音されたかのように、正確な時間情報を保つことかできるわけてす。

 この技術は当社のゼンバー・オペラ復興記念ライヴ録音≪魔弾の射手≫において、レコード史上初の試みとして発表され、世界各国で大きな評価をうけました。日本コロムビアでは独自の技術による「テジタル遅延補正ミキシング装置」を開発し、≪交響曲第6番≫の録音では、この装置によってすべての補助マイクに対する遅延補止ミキシングが行われています。

 この結果、補助マイクが使用されている部分においても、ワンポイント録音と同様に自然な奥行き感と広がりを持ったオーケストラ空間の再現が可能となりました。


Re: インバルの録音 投稿者:HD  投稿日:12月 7日(木)19時59分11秒
志賀さん、NSさん:

<DENON の録音方式が話題になっていますが、インバルの6番の解説に関連したことが書いてありました。OCRで読み取ったのを参考のために再録しておきます。>

DENONのインバル指揮のマーラーは5番、10番(Cooke編)を持っています。1986.1.23・25に録音された5番のライナーノートに「この録音は、B&K製録音用マイク(4006-Pressureタイプ)2本だけによる録音を基本とし、一部に補助マイクを使用しております」とあります。10番は1992.1.15/17録音ですが、録音についての記述は無いです。両方ともRecording Engineer:Detlev Kittler, Technology:高橋幸夫、Editing:久木崎秀樹Location:Alte Oper, Frankfurtです。4番、6番は何年の録音でしょうか。

Re: インバルの録音 投稿者:NS 投稿日:12月 7日(木)22時09分25秒

新しい録音で遅延補正ミキシング技法は現在行われていません。手間のわりに効果が薄いとか。また、似たような手法でドイツ・グラモフォンの4D Recording(?)だったでしょうか。これも現在は行われていないようです。
また、このような手法を用いて過去の銘盤をリマスターしたら、過去のミキシングには及ばなかった、ということも聞いています。

各ソロマイクとメインマイクとの遅延補正値はどうやってしているかわかりませんが、パルス発信機を持って行ってやっているのかどうかわかりません。中には競技用ピストルで測定するとも。また、風船ならホールの許可は無用だし、軽い、安全ということで使用している人もいるとか。むかし流行した方法です。

Re: 録音、リマスター技術 投稿者:HD  投稿日:12月 8日(金)10時56分8秒
NS さん:

<新しい録音で遅延補正ミキシング技法は現在行われていません。手間のわりに効果が薄いとか。>

コストに見合わないと言う事でしょうか。

<また、似たような手法でドイツ・グラモフォンの4D Recording(?)だったでしょうか。>

そうですね。1992年頃に出たようです。ライナーノートの解説からです。

「◎電気的な障害を避けるため、マイクと可能な限り近くに置かれた、リモート・コントロール可能なマイク・アンプ

◎高い精度で音声信号をディジタル変換する21ビット A/Dコンバータ

◎これらアンプとA/Dコンバータをユニット化し、スタジオでなく演奏者の近くに置くステージボックスと、これからの高精度なディジタルによる信号伝送

◎ディジタル・ミキシング・コンソールと、ハイビットから16ビットへの独自の変換テクニック(Authentic Bit Imaging)」

この4項目ををもって4Dと名づけたようです。

< これも現在は行われていないようです。>

DG、Decca、Philips等がUniversal Musicに統合された頃からDGの4D表示が消えたように感じてますが、技術自体はどうなったかは知りませんです。

<また、このような手法を用いて過去の銘盤をリマスターしたら、過去のミキシングには及ばなかった、ということも聞いています。>

OIBP(Original-Image-Bit-Processing)リマスターですね。 これもライナーノートから要点のみ。
「This technology, developed in conjunction with DG's 4D Audio Recording System,,,
OIBP now makes it possible to remix older recordings in order to "recreate" the original sound-image. This recreation employs-wherever possible-physio-acoustical principles to compensate for delay factors (such as the time required for sounds to reach main microphone) as well as an extremely high resolution processing of the musical signals.」

たまたま一曲だけADDのオリジナルマスター盤とOIBPリマスター盤を持ってますが、音場感が少し違いますが、再生環境にもよるでしょうし、リスナーの好みの範疇に入ると思います。
#東芝EMIのHS-2088リマスターも賛否両論ありましたが、最近は本家のARTリマスターになったみたいです。

種明かしでも無いのですが。 投稿者:NS 投稿日:12月 8日(金)16時50分21秒

B&Kは会社名が変わって、DPAとなっています。型番はDPA4006です。このマイクは無指向性です。つまり音源の方向によらず音量差は一定。ペアステレオで収録する場合、普通はマイクを平行に設置し、マイクの間隔で音波の到達時間差を調整しています(AB)。

マーラーの4番は時間差のみでステレオ感を得ています。片側チャンネルに定位する時間差はここの掲示板の過去ログに載せているアドレス先、マイクロホンハンドブックのp24あたりによると1.2msec(他の文献では1.5msec)の時間差で定位します。それ以上だと片方のスピーカーに音像が固まったりします(中央部分は中抜け)。

ですから、時間差のみ(厳密に言えばこのマイクは高域に指向性がでます)でステレオ感を出している、まれなCDがありますよ。といいたかったわけです。私は2回しかこの方法をおこなっていません。使えるホールがあまりにも少ないからです。余談ですが、以前、DPA4006だけでマーラーの5番を収録したことがありますが、諸々のセッティングでマイクの位置の調整は追い込めなかったのが心残りです。

Re: RSさんへ  投稿者:RS  投稿日:12月 9日(土)11時07分8秒
志賀さん

<ステレオ・ワンポイント録音方式・・・・・>

情報ありがとうございます。

NSさん

<位相差だけでもやろうと思えばできますよ。ヒント:デンオン、インバル マーラー No4。>

と書かれたのは上記の志賀さんが示された「ワンポイント録音」のことですか?

----------------
<音波は発音体から遠くなると高域が減衰するのはお互い良く知っていますよね。>

位相差がある波形を重ねると波形が崩れる話と空気中の伝搬の際の減衰の話は別の問題なので、論点がぼけると思いますが。

<また、距離が大きくなると高域が減衰するので一つのスピーカーでも発音体から離れると波形は崩れます。なまるといった方が良いでしょう。>

「音響工学原論」
http://www.acoust.rise.waseda.ac.jp/publications/onkyou/onkyou.html

に音の空中伝搬における減衰について出ています。一部引用
------------------------------------------------------
振幅ξ、距離x、角周波数ω、減衰率βとして、

ξ=(ξo)exp(−βx+i(kx−ωt))

振幅が1/eになる距離Lは、
L=1/β=9.56λ^2×10^5(m)
減衰率βは、
β=9.049×10^(-4)(m^(-1))
------------------------------------------------------
上記によれば、
λ=0.034m=3.4cm(10000Hz)の時
 L=9.56×0.034^2×10^5≒1100m
通常のリスニングルームでの聴取距離は4m前後かと思いますが、その場合には、減衰量は1%に満たない値です。周波数が低くなれば、減衰量はもっと少ないので、波形の崩れは無視できる程度ではないかと思います。

例えば、300Hzの矩形波では、第3調波900Hz、第5調波1500Hz、第7調波2100Hzあたりまでで、ほぼ矩形波の形ができますが、この程度の周波数では、減衰は無視できる程度ではないかと思います。

<ハース効果(この単語はご存じですよね)を念頭に入れなければ、音像定位は誤解を生みます。連続波を使ってしまうから誤解を生みやすくなります。>

この点については、私に誤解がありました。ハース効果は、波の最初の数サイクル(300Hzで1/60秒程度)で減衰すると思っていました。実際は2,3秒続くらしいですね。実際の音楽では1秒以下の間に同じ楽器の複数の音の立ち上がりがあることは頻繁にありますので、それにより方向知覚ができるということになりますね。確かにおっしゃる通りです。済みませんでした。

<私は音響関係の研究者ではありません。かなり間違った事を書いています。事実エレクトレットについて間違っていたではないですか。>

しかし、録音技術につていは、現場でのご経験は豊富でしょう。

Re: 種明かしでも無いのですが。 投稿者:RS  投稿日:12月 9日(土)12時34分1秒
NS さん

<ですから、時間差のみ(厳密に言えばこのマイクは高域に指向性がでます)でステレオ感を出している、まれなCDがありますよ。といいたかったわけです。>

つまり、

<ヒント:デンオン、インバル マーラー No4。>

ではなくて、実例:デンオン、インバル マーラー No4。だった訳ですね。その点は了解致しました。

<ここまで色々とおさがわせしてごめんなさい。>

掲示板がにぎやかになるのは悪いことではないですよ。おかげさまで自分で調べたりということも含めていろ
いろと知ることができましたし。

録音技術の評価とは全くといって良いほど関係がありません。現場でのご経験についてのご発言は確かなものと思います。そういったことに関するご発言は貴重です。

ただ、経験事実の原因の推定や論証については、私には疑問が多く感じられます。また、議論の進め方についてもやや疑問を生じることがあります。

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