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音の聴こえかた

ここの議論はオーディオと直接関係ありませんが「音の聴こえかた」という題目で色々なテーマを取り上げています。感覚の問題を含むので「靴の底から足の裏を掻く」もどかしさがありますが物理的にも面白い現象が取り上げられています。きっかけは下の投稿でした。

主なテーマは、音の到達距離ピアノの音棒の自由振動管楽器ドラム・ティンパニーなど。なお、ある程度テーマ別に並ぶよう一部時間順序が変更されています。最後にまとめを書いておきました

音の到達距離

音の到達距離 投稿者:AC  投稿日: 2006年5月29日(月)12時39分19秒   引用
当方アマチュアチェロ弾きです。

オーディオとは直接関係が無いかもしれませんが、ここは音響に関して詳しい方がたくさんおられるようなので、是非質問させてください。

先週のNHKのためしてガッテンで、ドミソの3和音と、ドミソ#の3和音で、どちらが遠くまで聞こえるかという実験をやっていました。プロのトランペット奏者3名がドとミとソの音を出した時と、ドとミとソ#の音を出した時に、聞こえなくなる距離を比較したもので、ドミソの方がドミソ#より明らかに遠くまで届くという結論だったように思います。(どの程度違いがあったかは、忘れました)。つまり良く響きあう和音は遠くまで届くという話のまとめだったように記憶しています。ただし、プロとはいえ所詮人間が吹いているので音の大きさにバラツキがあるし、またどこまで届いたかを確認するのも機械ではなくではなく、スタッフが感覚的に行っているので科学的実験とは言えないような気もしますが・・・

もし上の結論が本当なら、音の組み合わせにより音の到達距離が変化することになってしまいます。不協和な音程だと、音のエネルギーを打ち消してしまうのでしょうか???

皆様方のご意見をお聞かせください。

元々私は、楽器音の「遠なり」と「そばなり」について、疑問を持っております。(良い楽器は、近くで聞くとそんなに大きな音はしないが、遠くまで音が届く!? というような)これについては、改めて質問させていただきます。

Re: 音の到達距離 投稿者:HD 投稿日: 5月29日(月)16時54分55秒
ACさん、こんにちは。

<先週のNHKのためしてガッテンで、・・・・・・・・>

この番組見てませんが、面白い現象ですね。この不協和音を分解するとドミは長3度、ミソ#も長3度、下のドを1オクターブ上げるとソ#ドも長3度という関係になってます。それほどひどい不協和音ではない(モーツアルトも緩徐楽章の途中ですがミソ#ドを1拍目に1拍半も使っているところがあります)と思います。ドソソ#ならもっと到達距離が少なくなるか興味あります。

Re2: 音の到達距離 投稿者:AC 投稿日: 5月29日(月)18時06分9秒
HDさん

先週のためしてガッテンはモーツァルト特集で、「カイワレ大根の生長にモーツァルトの音楽が良い!?」といった、かなりアブナイ内容も含まれていました。健康ネタでは、民放と一線を画した素晴らしい番組だと評価していたのに、ちょっと残念でした。

さて、音の到達距離ですが、HDさんのおっしゃるように、例えば長二度とか短二度とかだとどうなるのか気になりますね。というか、私は基本的に(心理的な要因を除けば)どんな音の組み合わせであっても到達距離が変化することは無いように思うんですが、どうなんでしょうね? 騒音のアクティブコントロールみたいに、位相を制御しているわけでも無いし、エネルギー変化が起きるとはとても思えないのですが。

ちょっと余談ですが・・・音の到達距離の説明のところで、日○音響○究所の鈴○所長さんが例によって声紋を使い、説明されておられましたが、どうもなんというか、その、つまり、えーと・・・
他の音響研究者の皆様はどのように思っておられるのでしょう(^^;

Re3 音の到達距離 投稿者:志賀 投稿日: 5月29日(月)22時28分18秒
AC さん

<先週のNHKのためしてガッテンで、・・・・>

その番組、放送していたのは知っていましたが残念ながら聴きませんでした。

あくまで推測ですが私の意見は、

まず物理的に単純音では周波数が異なると減衰率が異なり音程の差があれば到達距離に差が出る可能性があります。
ここにデータが載せてあります。
http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/tempsounddecay.htm

しかし、今の問題は音の組合せ、すなわち音色の違いにより到達距離が異なるかということだと思います。周波数の異なる音(一般に波動といってもいいですが)が重なっても合成波形が異なるだけで波動のエネルギーは変化しません。

となると、これは物理の問題よりやはり心理学の問題ではないでしょうか? 人間の進化の過程で警戒すべき音、あるいは気持ちのいい音、には敏感に反応するように感覚器官が発達しているんではないでしょうか? とすると、和音の違いによりより敏感に感じるということがあってもあながち不思議ではないと思いますが?


最近の心理学は、感覚器官の物理的・化学的メカニズムまで踏み込んでいるようで、科学的な解答はその方向で解明されていくような気がします。

Re: 音の到達距離 投稿者:RS 投稿日: 5月30日(火)00時17分32秒

そもそものトランペッターを使った実験がいい加減なので、評価のしようがないですね。トランペットを使うとどの音にも倍音が沢山含まれていますので、何を計っているのかはっきりしないですし、ACさんも書かれているように、音の大きさにもバラツキがあるでしょうし。

Re 音の到達距離 投稿者:AC 投稿日: 5月30日(火)00時24分11秒
志賀さん、RSさん、お返事どうもありがとうございます。

<しかし、今の問題は音の組合せ・・・・・・・・・波動のエネルギーは変化しません。>

私もそのように思います。 結局、心理学の問題なんでしょうね。
ありがとうございました。

Re: Re 音の到達距離 投稿者:HD 投稿日: 5月30日(火)15時09分28秒

< 最近の心理学は、感覚器官の物理的・化学的メカニズムまで踏み込んでいるようで、科学的な解答はその方向で解明されていくような気がします。>

「音の到達距離」とは直接関係ないですが、人間の進化の過程で出来てきたと言われるハース効果(Precedence Effect とも言われている)が聴覚心理の古典でしょうか。

http://www.parmly.luc.edu/parmly/clifton.html

でデモを聞くことが出来ます。本格的にはここに書かれているスピーカ配置で聴くようにと言うことですが、PCのステレオSPで聞いても同質の2音の間隔が短くなると片方のSPからしか聞こえなくなります。 個人差はあるようですが。

また、何かで人間はいずれかの耳に音が到達してから800μS位で音の来る方向と音色を識別すると読んだ記憶があります。但し重低域以下の音のみの場合は当てはまらないのではないかと思います。

遠なり 投稿者:NS 投稿日: 5月31日(水)17時42分54秒
ACさん。

「遠なり」は、管楽器では良く話題に昇ったりしますね。武田信玄(影武者)の野田城攻めエピソード、ラーメンのチャルメラ、豆腐屋のラッパ、岡っ引きの笛、実体験では、某渓谷の河原でケーナと琴のアンサンブルが有りましたが、ケーナははっきりと遠くでも聞き取れました。アマチュアチェロ弾きさんが書いている内容とは異なるかもしれませんが、思い付いたので投稿してみました。

Re: 遠なり 投稿者:HD 投稿日: 6月 1日(木)10時11分22秒
NSさん、AC さん:

<「遠なり」は、管楽器では良く話題に昇ったりしますね。>

やっと窓を開けられるようになりましたが、昨日午後トランペットの練習の音がかなりの音量で聞こえて来ました。音色は豊かで良かったですが音の来る方向がはっきりしませんでした。 近所の公園でやっていると思い見に行きましが、我が家から150m位のところで我が家と反対方向に向けて吹いてました。10mくらいまで近づいて横で聞いたのですが感触的には音量は家で聞こえるより小さく、音の豊かさも少なかったです。周囲の建物の反射でこうなるのかなと思ってます。2階で聞きましたので高低差は15mくらいでしょうか、音源位置が低いです。

あるサイトより引用です。

「アテネから154km離れたペロポネソス半島東部のサロニコス湾近くにあるエピダウロスの野外劇場で行われ、ギリシャ古典劇のみを上演するものです。野外劇場は紀元前4世紀に建てられ、当時のままの姿をほぼ完璧に残しているという極めて貴重なものです。音響効果も抜群で、舞台で落としたコインの微かな音さえも最上段の観客にはっきり聞こえると言います。」古代の劇場はすり鉢型で底辺りに舞台があるのが多いようです。

Re:遠鳴り 投稿者:AC 投稿日: 6月 1日(木)21時59分45秒
NSさん、HDさん

弦楽器の場合、楽器によって弾いている自分にはとても大きく感じる場合でも音が遠くまで通らないとか、貧弱な音だなぁと感じても遠くまで聞える、といった奇妙な現象(?)が存在すると信じている方がたくさんおられるようです。私は自分が演奏する音を遠くで聞いたことが無いので(って誰でもそうですが)、本当なのかどうか、なんともいえません。他人にいくつかの楽器を弾いてもらって、自分が遠くで確認するという方法もあるとは思いますが、弾き方にバラツキがあることが予想されますので、あまり科学的な実験とは言えないですね。

まず、物理学的(?)にこの現象を考察してみます。楽器ごとの放射音の指向性も考えられますが、ややこしくなるので省略します。音のエネルギーの減少の理由は、音の空間的な広がりに伴うもの(距離の二乗に反比例する)と、志賀さんが前に紹介された「空気中での音波の吸収」による減少の2つが考えられます。しかしそれらからは、楽器の近くで聞いた音の大きさと遠くで聞いたときの音の大きさが反転するとは考えられません。(つまり近くで聞いて大きければ遠くで聞いてもそれなりに大きく、近くで聞いて小さければ遠くで聞いてもやはり小さい。)

では、何故遠鳴りという不思議な現象(?)が起きるのでしょうか?単なる思い込みなのでしょうか?現時点では私にはわかりません。

私なりに仮説を立ててみました。

「音程感」という言葉があります。あまりなじみの無い言葉かもしれません。例えば、「音程感が無い」と表現した場合、これは「オンチである」といった意味ではなく、「ピッチがつかみにくい」といった意味で使うようです。和太鼓をドンとたたいて、それと同じ音程のピアノのキーをたたけといわれても難しいですね。でもティンパニーならどのキーに相当するかわかるかもしれませんね。弦楽器とか管楽器なら直ぐにわかります。つまり、和太鼓は音程感が無く、弦楽器や管楽器は音程感がある、ということになります。(余談ですが、トライアングルはチーンと澄んだ綺麗な音がしますが、何故か音程感がない(音程が無い)のですね。不思議です!ホワイトノイズでもなさそうだけど?)

弦楽器の場合、使用する弦が古くなると音程感が悪くなると言われています。ピッチがつかみにくくなるのです。その理由として、古くなると弦の一様性が悪くなるため倍音がずれるため、という説があります。本当かどうかわかりません。

話を元に戻しますが、音のエネルギーで考えると確かに上の通りなのだが、遠鳴りする楽器は音程感があるため音のエネルギーが小さくてもピッチを把握しやすいため、(心理的に)大きく聞こえるのかな、とも思っています。

本当のところは判りませんが・・・長々とすみません。

Re:遠鳴り 投稿者:RS 投稿日: 6月 1日(木)22時47分22秒
ACさん
<遠鳴りする楽器は音程感があるため音のエネルギーが小さくてもピッチを把握しやすいため、(心理的に) 大きく聞こえるのかな>

なるほど、そういうことがあるのですか。私もちょっと考えたのですが、楽器から出る音は、スピーカから出る音と違って、楽器本体はおそらく複雑な分割振動をしていて、単純に弦だけの問題として考えるのは無理なような気がします。それと、楽器の表と裏は逆相になっているかもしれません。そうなると位相の問題も係わってくるので難しい問題ですね。

Re2:遠鳴り 投稿者:志賀 投稿日: 6月 2日(金)06時11分2秒
AC さん

横からですが、

<まず、物理学的(?)にこの現象を考察してみます。音のエネルギーの減少の理由は、音の空間的な広がりに伴うもの(距離の二乗に反比例する)と、志賀さんが前に紹介された「空気中での音波の吸収」による減少の2つが考えられます。しかしそれらからは、楽器の近くで聞いた音の大きさと遠くで聞いたときの音の大きさが反転するとは考えられません。(つまり近くで聞いて大きければ遠くで聞いてもそれなりに大きく、近くで聞いて小さければ遠くで聞いてもやはり小さい。)>

この前は書かなかったのですが、近くと遠くで音色が異なる原因は他にもあります。一般に高音の方が減衰しやすいのですが、その原因は先に挙げた空気の吸収率が高音ほど大きいことの他に、ほとんどの物体の音の吸収率が高音ほど大きい、逆に反射率は高音ほど小さくなります。ここにデータがあります。

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/roomacoustics.html#absorber

むしろこちらの方の効果が大きいかもしれません。


それから、反射音つまり残響成分が遠くになるほど強くなります。

ということで、近くと遠くで音の波形はずいぶん異なったものになります。日常的に経験出来るのは雷の音が近くと遠くで全く違った音になるのが良い例です。

楽器の場合も基音に対する倍音の比率が遠くになるほど減少すると思いますが、これがおっしゃる「遠鳴り」の原因かどうかはよくわかりません。


<私なりに仮説を立ててみました。「音程感」という言葉があります。あまりなじみの無い言葉かもしれません。例えば、「音程感が無い」と表現した場合、これは「オンチである」といった意味ではなく、「ピッチがつかみにくい」といった意味で使うようです。和太鼓をドンとたたいて、それと同じ音程のピアノのキーをたたけといわれても難しいですね。でもティンパニーならどのキーに相当するかわかるかもしれませんね。弦楽器とか管楽器なら直ぐにわかります。つまり、和太鼓は音程感が無く、弦楽器や管楽器は音程感がある、ということになります。(余談ですが、トライアングルはチーンと澄んだ綺麗な音がしますが、何故か音程感がない(音程が無い)のですね。不思議です!ホワイトノイズでもなさそうだけど?)>

弦楽器と太鼓の音の大きな違いは、1次元発音体である弦楽器は高調波が基音の整数倍なのに対し、2次元発音体である太鼓は無理数倍となることです。これが音程を取るのを難しくしているかどうかはよくわかりませんが、太鼓の場合たたき方(真ん中を叩くか、端の方の叩くか)で高調波の強度がかなり異なるはずです。ここに過去の記録があります。

http://shigaarch.web.fc2.com/OldBBS/24haromonics.html

そこで質問ですが、真ん中を叩いた方が音程が取りやすいということはないでしょうか?
トライアングルは基本的には1次元発音体なので、高調波は倍数関係になっているはずなんですが、3角にしたことで複雑になるんでしょうか? 真っ直ぐな金属棒だとどうでしょうか?


<話を元に戻しますが、音のエネルギーで考えると確かに上の通りなの>だが、遠鳴りする楽器は音程感があるため音のエネルギーが小さくてもピッチを把握しやすいため、(心理的に)大きく聞こえるのかな、とも思っています。>

面白い考えですね。反論というわけではないですが、昔時を告げるのに音程感がないといわれる太鼓や鐘を使っていましたね? 単に大きな音響エネルギーを作りやすいと言うことかも知れませんが。

Re: 遠鳴り 投稿者:NS 投稿日: 6月 2日(金)12時05分53秒

<弦楽器の場合、使用する弦が古くなると音程感が悪くなると言われています。ピッチがつかみにくくなるのです。その理由として、古くなると弦の一様性が悪くなるため倍音がずれるため、という説があります。本当かどうかわかりません。>

これは、実際に観測したことが有ります。ただし、和楽器の琴です。一般的に琴の場合は弦が切れる寸前の音色は華やかで美しいと言われていました。efu氏のスペクトルアナライザーでみた場合、最初の弦が切れる寸前の観測結果は、倍音成分が増えていました。その後、弦が切れましたので張り直しましたが、おとなしい音になりました。やはり数kHz付近のスペクトル成分が減少していました。琴奏者はまた弾き込みをしなければ、とぼやいていました。琴の弦の材質は強化テトロン(ポリエチレンテレフタレート)です。

高調波と音色

切れる寸前の音は華やか 投稿者:志賀 投稿日: 6月 2日(金)16時59分41秒
NS  さん

<これは、実際に観測したことが有ります。ただし、和楽器の琴です。一般的に琴の場合は弦が切れる寸前の音色は華やかで美しいと言われ>ていました。・・・・>

面白いですね。ちょっと考えてみました。単純すぎる嫌いはありますが。

長いこと使っていると弦が伸びると思います。つまり断面積がわずかに減少し単位長さ当たりの質量が減る。すると同じ長さ、同じ張力だとピッチが高くなり元に戻すには少し張力を減らす必要がある。

張力が小さいと倍音成分が出やすい(これは推察)

確かめるには同じ材質の少し太さの違う弦を張り張力を加減しピッチを合わす。同じ位置を弾いたとき細い方が倍音成分が多ければこの仮説は合格。

いかがでしょうか?


Re4:遠鳴り 投稿者:AC 投稿日: 6月 2日(金)22時14分59秒
志賀さん、

<その原因は先に挙げた空気の吸収率が高音ほど大きいことの他に、ほとんどの物体の音の吸収率が高音ほど大きい、逆に反射率は高音ほど小さくなります。>

空気だけでなく、壁面(あるいは椅子や洋服など)でも高音部が減衰しやすいということですよね!?良くわかります。

それで思い出したのですが、『遠鳴り』と同様、奇妙な噂話に『倍音が良く出る楽器は良い楽器である』というのがあります。倍音がたくさん出ても、どうせ客席で聞けばその割合は小さくなるのに何でだろ?、と思ってしまいます。私の知らない何かがあるのかもしれませんが・・・

<そこで質問ですが、真ん中を叩いた方が音程が取りやすいということはないでしょうか?>

まずティンパニーでは、端っこをたたくのが原則です。真ん中をたたくと音がぶよぶよになって、音程が定まらないようです。理由を書く前に、和太鼓では音程感が無いのにティンパニーでは音程がはっきり認識できるのかについて、触れておきます。

http://homepage1.nifty.com/metatron/zone-05/531.htm

ここに、円形膜のクラドニパターンが出てきます。各パターンの周波数比が書いてありますが、これはティンパニーのそれではなく、理想的な円形膜における周波数比のようです。(もっと判りやすいサイトを探したのですが、直ぐには見つかりませんでした。ここからは以前読んだ本の記憶に基づいて話をします)。和太鼓の場合、皮が厚く張力も大きいので、周りの空気の影響(抵抗)をあまり受けず、その図に書いてあるような理想的な周波数比に近くなるのに対し、ティンパニーは皮が薄く張力も小さくかつ下にお椀状のケトルがあるため空気の影響を大きく受け、理想の数値から(うまい具合に)大きく歪められ、結果として音程が知覚しやすい周波数比になっている。というか、ケトルをそのように設計して空気の抵抗をうまく利用しているということだったと思います。
(確かティンパニーでは周波数比が(1,1):(2,1):(3,1):(4,1) ・・・ ≒ 1.0:1.5:2.0:2.5 ・・・ のはずです)。

※円形膜の理想モデルに近い和太鼓が音程感が無く、理想モデルから大きくはずれたティンパニーが音程感があるというのも面白いですね。

最初のご質問なんですが、(たたいた部分が腹になるので)真ん中をたたくと、モード(0,1)、(0,2)、(0,3)・・・が誘発されやすく、端をたたくとモード(1,1)、(2,1)、(3,1)・・・が誘発されやすいため、端をたたいたほうが音程感が出るのでは無いでしょうか。(多少、私の創作が入っていますけど)

<トライアングルは基本的には1次元発音体なので、高調波は倍数関係になっているはずなんですが、3角にしたことで複雑になるんでしょうか? 真っ直ぐな金属棒だとどうでしょうか?>

あまり自信がありませんが、以下推測です。

恐らく、1本の真っ直ぐな棒の場合、端では粗密波が単純に全反射するため、その長さに依存した基本周波数及びその整数倍の複数の倍音から構成される複合音がでるのでは無いでしょうか。で、3角にすると・・・
折れ曲がりの箇所で、一部が反射し一部が隣の辺に進む形になるんでしょうね。全体として複雑な高調波が生み出されるのかもしれません。

しかし、単にU字に曲げただけ?の音叉が基本周波数のみを持つのに対し、棒を3角に曲げただけ?のトライアングルが、音程を認識できないほどに複雑な高調波を持つというのは、考えてみればとても不思議な話ですね。

倍音が多い=美しい!? 投稿者:AC 投稿日: 6月 2日(金)23時34分29秒
NSさん、2点ほど教えてください。

<最初の弦が切れる寸前の観測結果は、倍音成分が増えていました。>

「倍音成分が増える=美しい音」とお考えでしょうか?

<やはり数kHz付近のスペクトル成分が減少していました。>

その更に上の部分ではどうだったのでしょうか?

Re: Re4:遠鳴り 投稿者RS 投稿日: 6月 2日(金)23時58分21秒
ACさん

<恐らく、1本の真っ直ぐな棒の場合、端では粗密波が単純に全反射するため、その長さに依存した基本周波数及びその整数倍の複数の倍音から構成される複合音がでるのでは無いで しょうか。で、3角にすると・・・折れ曲がりの箇所で、一部が反射し一部が隣の辺に進む形になるんでしょうね。>

トライアングルの場合、疎密波(縦波)ではなく、曲げ振動(横波)ではないかと思います。これを前提に話を進めます。

単純な棒の曲げ基本振動は中心が腹、両端から1/4のところが節、そして両端が腹になるのではないかと思います。ところが三角形に曲げることで、両端から1/3のところにも節ができ、2種類の基本振動が生じそうです。力学的に複雑な状況になっていると推測されます。そのため、高調波も単純にならないのでしょう。また、棒の曲げ剛性は、確か太さの3乗に比例するのではないかと思います。そのため、波動方程式は変移の4次微分の項が含まれていたように思います。つまり、複雑な高調波を含む振動になりそうです。さらに、棒の曲げ基本振動はかなり低いのに比べて棒自体が細いので空気との音響インピーダンスマッチングが悪く基本振動はほとんど音にならないでしょう。そのため、単純な整数比でない高調波ばかりが音として放射される結果、音程感が無くなるのではないかと推測します。

追加です。トライアングルの開放端を持つ2辺は、片持ち梁としての振動モードもあります。

Re:倍音が多い=美しい!? 投稿者:NS 投稿日: 6月 3日(土)07時28分43秒

この件につきましては、非常に議論の多い話題です。西洋楽器は合奏も念頭にしますから、音の濁りを嫌います。それゆえ透明な音色を好みます。そうでないとオケは、・・・・。しかし、和楽器などの伝統楽器は独奏する場合がほとんどであり、音の厚み、深みを付けるために音の濁りを好みます。それが和楽器などの伝統楽器、他国の民族楽器の特性です。美しい、美しくないの次元ではありません。ハープと和琴の音色を思い出せば良いでしょう。

数キロヘルツ以上の周波数は分かりません。当時10年以上前、私はPCで収録していたわけではありません。スタジオ録音でプロデューサーが確認の為にノートパソコンで確認用に周波数スペクトルを確認していたのです。つまり48kHz16bitの時代です。

Re: Re4:遠鳴り 投稿者:RS 投稿日: 6月 3日(土)08時35分0秒
ACさん

<真ん中をたたくと、モード(0,1)、(0,2)、(0,3)・・・が誘発されやすく、端をたたくとモード(1,1)、(2,1)、(3,1)・・・が誘発されやすいため、端をたたいたほうが音程感が出るのでは無いでしょうか。>

私もこの推測が妥当なものと思います。

音程感

音程感 投稿者:志賀 投稿日: 6月 3日(土)09時27分11秒
ACさん、RSさん、皆さん

音程感について議論が盛り上がっていますね。

何しろ感覚に関することなので私にはよくわかりませんが、チェロひきさんの意見は、整数倍(あるいは半整数倍?)に近い高調波が含まれている方が音程が取りやすいと言うことのようですね。

その他音の持続性も重要な要素ではないでしょうか? 瞬発音だと物理的(数学的)にもスペクトルがブロードですから。

考えてみると、これは楽器演奏の基本的な問題であるいはすでに研究されていることかもしれませんね。

RSさん、

言われてみればトライアングルの振動モードはかなり複雑そうですね。


<真ん中をたたくと、モード(0,1)、(0,2)、(0,3)・・・が誘発されやすく、端をたたくとモード(1,1)、(2,1)、(3,1)・・・が誘発されやすいため、>

この点には異存ありませんが、

<端をたたいたほうが音程感が出るのでは無いでしょうか。>

これは何故でしょうか?

Re: 音程感 投稿者:RS 投稿日: 6月 3日(土)13時43分1秒
志賀さん

<<端をたたいたほうが音程感が出るのでは無いでしょうか。>>

<これは何故でしょうか?>


ご質問の意味を取り違えているかもしれませんが、以下のように考えています。

<(確かティンパニーでは周波数比が(1,1):(2,1):(3,1):(4,1) ・・・ ≒ 1.0:1.5:2.0:2.5 ・・・ のはずです)。(正確には 1.0:1.5933:2.1355:2.6531:・・・ですが)と、>

<ティンパニーでは、端っこをたたくのが原則です。>


というACさんの投稿からすると、ティンパニの場合、真中以外のところを叩いた場合の主要モードに整数比に近い周波数が含まれるということ、そしてその場合に音程感がある、ということからの推測です。

(真中の場合、(0,1)=1、(0,2)=2.30、(0,3)=3.60なので、(x,1)モードほど整数比に近くない)

Re2:倍音が多い=美しい!? 投稿者:ACき 投稿日: 6月 3日(土)14時39分2秒
NS、

私の質問の仕方がまずかったかもしれません。

<しかし、和楽器などの伝統楽器は・・・ 美しい、美しくないの次元ではありません。>

これは全くその通りだと思います。NSさんは、

<西洋楽器は合奏も念頭にしますから、音の濁りを嫌います。それゆえ透明な音色を好みます。>

とも書いておられます。これもその通りだと思いますが、不思議なことにその西洋音楽(所謂クラシック音楽)においても、倍音の多い音を良しとする風潮があります。例えば、「倍音が多く出る楽器は良い楽器である」とか「もっと倍音の多い音を出しなさい!」とかといったような感じでよく使われます。荒々しい音楽だけでなく澄んだ(美しい?)音楽においてもです。音楽をやる人は得てして、科学用語を誤って(感覚的に)使用する場合が多いように感じます。(でもひょっとしたら、私の知らない何かがあるのかもしれませんが)。ここは、皆さんある程度の共通の認識がおありなので、話が通じやすいです。

Re:音程感 投稿者:AC 投稿日: 6月 3日(土)14時41分7秒
志賀さん、

<ACさんの意見は、整数倍(あるいは半整数倍?)に近い高調波が含まれている方が音程が取りやすいと言うことのようですね。>

だいたいそんなところですが、それについてはまだまだ私自身疑問点をたくさん持っています。いずれ質問させていただきますので、皆さんよろしくお願いいたします。

<その他音の持続性も重要な要素ではないでしょうか? 瞬発音だと物理的(数学的)にもスペクトルがブロードですから。>

これは、全くおっしゃるとおりだと思います。

ピアノの低音の音程

Re: 音程感 投稿者:HD 投稿日: 6月 3日(土)20時17分43秒

ご存知のようにピアノは88鍵の場合最も低いAの基音は27Hz台、最も高いCの基音約4KHzという広い音域を持つ楽器です。(コントラバスの最低C音の基音は32Hz台です) 私の場合、最も下のA、B♭、B、Cの半音階の音程感はその1オクターブ上の半音階の音程感に比べて悪いです。 最も高い方の同じA、B♭、B、C半音階でも1オクターブ下の音程感より悪いです。これは、楽器によるものか(フルコンサートグランドだと全音域で音程感が変らない?)、聴感の問題なのかいずれでしょうか? 調律は1オクターブ上(または下)を同時に鳴らすと合いますから間違ってないと思います。

Re: 音程感 投稿者:RS 投稿日: 6月 3日(土)21時47分26秒
HDさん

<最も下のA、B♭、B、Cの半音階の音程感はその1オクターブ上の半音階の音程感に比べて悪いです。 最も高い方の同じ A、B♭、B、C半音階でも1オクターブ下の音程感より悪いです。>

私もです。我が家のアプライトピアノで、特に下の4音は音程感がほとんど無く、基音が聴こえていない感じです。倍音も不協和音のような感じに聴こえます。

最高音付近については、多分、弦の剛性の影響で高調波がずれているのではないかと思います。多分、弦長の分数倍よりも好調波の波長が短くなる。

Re: 音程感
投稿者:NS味 投稿日: 6月 5日(月)12時29分31秒
ACさん

<私もです。我が家のアプライトピアノで、特に下の4音は音程感がほとんど無く、基音が聴こえていない感じです。 倍音も不協和音のような感じに聴こえます。>

だいたいピアノは低音域になると高調波成分(と言って良いかどうか基音以外の成分として)に比べて基音の大きさは相対的に小さいのです。30数年前の音友に載っていた?と思います。他の楽器でも言えるかどうかわかりませんがこれが音程感が取りにくい原因と思います。また、低周波域は人間の耳が鈍感になります。

ですから、弦が劣化したゆえに、高調波成分が多くなって基音が聞き取りにくくなっていると思われます。

Re: 音程感
投稿者:RS 投稿日: 6月 6日(火)00時26分36秒
NSさん

<だいたいピアノは低音域になると高調波成分に比べて基音の大きさは相対的に小さい>

これは、長い低音弦に対して、非常に端の方をハンマーで叩く、というピアノの構造にも関係があるのではないかと思います。

ピアノの音については、件のpdfの78ページから82ページにかけて記述があります。

オルガンなどは低音でも基本波が優勢のように感じます。


ピアノの音程感 投稿者:志賀 投稿日: 6月 6日(火)09時27分37秒
RS さん, NSさん

<だいたいピアノは低音域になると高調波成分に比べて基音の大きさは相対的に小さいこれは、長い低音弦に対して、非常に端の方をハンマーで叩く、とい>うピアノの構造にも関係があるのではないかと思います。>

横からですが、

ピアノの場合、pdf の p.82 に書いてありますが、音を汚くする7倍以上の高調波を抑えるため打撃点を弦の 1/8 の所に来るよう選んであるようですよ。確かに我が家のグランドピアノを覗いてみると、端からの位置が弦毎に変えてあります。 ほとんどの弦楽器、や打楽器は打撃点(または摩擦点)を端の方に選んでいると思いますが解析するとそういう関係になっているのかもしれません。

それからピアノの場合、弦自身の音は放射インピーダンスの関係で低音はほとんど放射されず、箱の振動として出てくると思います。箱の1次の固有振動は板の振動では音速2000mくらいと考えると500 Hz位、箱の中の空気の固有振動はフルコンサート型で長さ3m として 60 Hz 位になり、それ以下の低音の基音は非常に小さくなると思います。具体的なスペクトルは見たことないんですが、その内自分で調べてみたいと思います。

オルガンの場合は逆に基音の成分が最大だと思います。


Re: ピアノの音程感 投稿者:NS 投稿日: 6月 6日(火)18時33分18秒

横道で失礼します。

<それからピアノの場合、弦自身の音は放射インピーダンスの関係で低音はほとんど放射されず、箱の振動として出てくると思います。箱の1次の固有振動は板の振動では音速2000mくらいと考えると500 Hz位、箱の中の空気の固有振動はフルコンサート型で長さ3m として 60 Hz 位になり、それ以下の低音の基音は非常に小さくなると思います。>

http://www.ne.jp/asahi/piano/natsui/free/free091.htm
↑サンプルのホームページにこんなのが有りました。

Re: ピアノの音程感 投稿者:RS 投稿日: 6月 6日(火)22時42分58秒
志賀さん

<箱の中の空気の固有振動はフルコンサート型で長志> さ3m として 60 Hz 位になり、・・・>

普通、グランドピアノは蓋を開けて演奏するので、箱の中の空気の共振については無視してもよいように思います。低音弦の場合、その振動を大きな面積の響版に伝えることによって空気とのインピーダンスマッチングを取っているのではないでしょうか。

http://web.archive.org/web/20061017015227/http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/s1pian/s1ma/s1ma2/IPA-pia410.htm

にハンマーが弦を打って、弦上を波動が伝わる様子があります。波が行ったり、反射して来たりするのが良く判ります。かなり曲げ剛性がありそうな弦がフニャフニャの紐のような動きをしているのが凄いですね

Re2: ピアノの音程感 投稿者:志賀 投稿日: 6月 7日(水)06時31分37秒
RS さん

<普通、グランドピアノは蓋を開けて演奏するので、箱の中の空気の共>振については無視してもよいように思います。低音弦の場合、その振>動を大きな面積の響版に伝えることによって空気とのインピーダンスマッチングを取っているのではないでしょうか。>

そうですね。先の計算は単純すぎました。空気の共振は箱としてでなく開口部直径1mのホーンとして計算しすると低域遮断周波数は100Hz 程度になるようです。

板の振動も半径1m、厚さ 3cm の木材自由円板の同心円状たわみ振動とすると基底共振周波数は約50 Hz 位になると思います。

紹介されたサイト面白いですね。良く見つけられましたね。


Re: ピアノの音程感 投稿者:HD 投稿日: 6月 7日(水)13時10分20秒
志賀さん, RSさん:

これは面白いサイトですね。

<にハンマーが弦を打って、弦上を波動が伝わる様子が> あります。波が行ったり、反射して来たりするのが良く判ります。かなり曲げ剛性がありそうな弦がフニャフニャの紐のような動きをしているのが凄いですね。>

動画を見ました。ハンマー部分を横から撮影した例では、弦の振動が連続的に上下しないで、中間位置で一旦とまるか、微振動してから反対側に動くように見えますが何故でしょうか。コントラバスやチェロの弦を一回ボンとはじいてもこうなるでしょうか。

Re: ピアノの音程感 投稿者:HD 投稿日: 6月 7日(水)16時25分29秒

ピアノの超低域の音が単独で奏される事は多くない(和音やオクターブで奏される方が多い)と思いますが、ドビッシー「前奏曲ー第1集」で2箇所見つけました。1曲目「デルフィーの舞姫たち」の最後のB♭音(基音29Hz台)、10曲目「沈める寺」の終わりの方のC音(基音32Hz台)でいずれもピアニッシモで奏されます。

CDで聴いたところ音定感は、前者のB♭ではほとんど無いですが、後者のCにはかなりあります。この差はこれらの音が鳴らされる前の「音の流れ」による心理効果もあるのではないかと思うのですが、如何なものでしょうか?

B♭音は、長い変ロ長調の和音が消えた辺りで鳴ります。C音は1オクターブ上のCから始まるC−その下のG−最低Cーその上のGと言うフレーズが終わって一瞬音が切れた直後の1拍目に鳴ります。(尚、聴いたのはミケランジェリのDG盤です)。

Re3 ピアノの音程感 投稿者:志賀 投稿日: 6月 7日(水)17時58分17秒
HD さん

<動画を見ました。ハンマー部分を横から撮影した例では、弦の振動が連続的に上下しないで、中間位置で一旦とまるか、微振動してから反対側に動くように見えますが何故でしょうか。>

一般的にはハンマーで叩いた瞬間の変形が波動となって弦を伝わり両端で反射しお互いに干渉し複雑な振動となり、ある程度時間が立つと半波長の倍数が弦の長さになるモードに落ち着き定在波(固有振動)になるというわけですが、この場合一瞬弦の振動が止まるように見えますね。これはちょっとよくわかりません。初期の複雑な振動なのかもしれません。最後の動画で弦の動きを斜めに見たのがありますが、これが全体の運動を良く表していると思います。

ペダルを踏んで少し時間が経った振動では定在波となって節の位置が固定するはずなんですがね?


<コントラバスやチェロの弦を一回ボンとはじいてもこうなるでしょうか。>

ピアノの場合、ペダルを踏まなければすぐダンパーが降りてきますね。これが振動モードを複雑にしていると思えます。

弦楽器の場合 投稿者:AC 投稿日: 6月 7日(水)21時50分14秒

HDさん、皆さん、

<コントラバスやチェロの弦を一回ボンとはじいてもこうなるでしょうか。>

私はチェロをやっていますので、弦の動きにはとても関心があります。はじいた場合の弦の振る舞いについて、以前ネットで見ていましたが、今改めて探してもうまく見つかりませんでした。確か、(かなり高い精度で)複数の直線で近似できたと思います。因みに弓を使った場合には、以下のようになります。

http://www.pass.maths.org/issue31/features/woodhouse/index_extra.html

ページの中央部に、弓で弾かれた場合の弦の動きのアニメーションがあります。一瞬を捉えてみると、2本の直線からなっています。そしてその2本の直線のつなぎ目部分が2つの放物線を描いているのが分かります。多少分かりづらいかもしれませんが、駒(bridge)部分に注目すると、弦から駒にノコギリ波状に力が加わっているのが分かると思います。そのことが、擦弦楽器の音が倍音を豊富に含む理由と考えられます。

この現象は100年以上前に、あのヘルムホルツさんが発見したものだそうです。でも日本語のサイトではほとんど見かけたことがありません。英文サイトでは結構見かけます。例えば、

http://www.lib.kth.se/Sammanfattningar/guettler020607.pdf

とか。

はじいた場合のサイトが見つかりましたら、お知らせします

Piano C0音のスペクトル 投稿者:志賀 投稿日: 6月 7日(水)22時14分3秒
皆さん

HDさんからPianoC0 音(沈める寺から)のスペクトルを送ってもらいました。自分でも解析したところ面白いことがわかりました。今までの議論がかなり正しかったことを証明してくれています。


http://shigaarch.web.fc2.com/6607PianoC0.html

ここに暫定的に Up してあります。ご覧下さい。

余談ですが、22 Hz、40 Hz 辺りに大きなピークが見えます。恐らく床鳴りなどの付随音と思われます。サブウーファーを付けると妙に臨場感が得られるのはここら辺に原因があるような気がします。


Re: ピアノの音程感 投稿者:RS 投稿日: 6月 7日(水)22時54分38秒
HDさん

<弦の振動が連続的に上下しないで、中間位置で一旦とまるか、微振動してから反対側に動くように見えますが何故でしょうか。>

これは、高調波を含んだ振動(ピアノの弦の一点を観察している場合など)の場合に起きることは不思議ではありません。

例えば、基本波と3次調波のみの

f(t)=sin(ωt)+(1/3)sin(3ωt)

のような振動は、

f'(t)=ωcos(ωt)+ωcos(3ωt)
    =ωcos(ωt)+4ωcos^3(ωt)−3ωcos(ωt)
    =4ωcos^3(ωt)−2ωcos(ωt)

となり、f'(t)=0を解くと、

cos(ωt)=0,+(1/√(2)),−(1/√(2))

すなわち、

t=π/(2ω),π/(4ω),3π/(4ω)

のとき0となり、その時刻に弦の動きが止まります。
そして、それぞれのtの値のとき振幅値は、

f(π/(2ω))=1−(1/3)=2/3=0.67
f(π/(4ω))=f(3π/(4ω))=(2/3)√(2)=0.94

なので、ピーク値0.94になった後。0.67という値まで下がって一旦停止し再び0.94まで上がり、その後0.00に下がります。

Re: Piano C0音のスペクトル 投稿者:RS 投稿日: 6月 8日(木)00時00分0秒
志賀さん

<HDさんからPianoC0 音(沈める寺から)のスペクトルを送ってもらいました。・・・>

面白い結果ですね。説得力があります。

<22 Hz、40 Hz 辺りに大きなピークが見えます。恐らく床鳴りなどの付随音と思われます。サブウーファーを付けると妙に臨場感が得られるのはここら辺に原因があるような気がします。>

私もこの説が妥当と思います。そして、更に踏み込んで言えば、アナログレコードの歪みなどが原因の超低域ノイズを「アナログレコードの方が雰囲気がある」と感じているアナログレコード派がいる可能性があります。

Re: Piano C0音のスペクトル 投稿者:KB 投稿日: 6月 8日(木)16時12分6秒
志賀さん

<余談ですが、22 Hz、40 Hz 辺りに大きなピークが見えます。恐らく床鳴りなどの付随音と思われます。サブウーファーを付けると妙に臨場感が得られるのはここら辺に原因があるような気がします。>

やはりそういった超低域はありますよね。これはうちのサブウーハーからもよく出ています。チェンバロも同様な超低域が発せられているようです。

オルガンの最低C音 投稿者:志賀 投稿日: 6月 8日(木)16時54分16秒
KBさん、皆さん

ついでにオルガンの最低C音も入れておきました。こちらは32.7Hzが盛大に出ています。

http://shigaarch.web.fc2.com/6607PianoC0.html
こちらです。


Re: Piano C0音のスペクトル 投稿者:HD 投稿日: 6月 9日(金)13時33分45秒
志賀さん、皆さん:

<余談ですが、22 Hz、40 Hz 辺りに大きなピークが見えます。恐らく床鳴りなどの付随音と思われます。サブウーファーを付けると妙に臨場感が得られるのはここら辺に原因があるような気がします。>

このC0が出る1フレーズ前から中域の8音の和音がクレッシェンドされながら(「寺」が海底から浮き上がってくる所)奏され、最高潮のところでC0が強打されるのですが、このところの40Hz付近をスペアナで見ておりますと、最初はピークが小さいですが音が大きくなるにつれてレベルが上がって行き、C0を打鍵したところで最大になります。多分鍵盤の底がピアノの「鍵盤受け」とでも呼ぶのでしょうか、のフェルト+木に当たった時の振動が、楽器全体から出たり、足を伝わって床を振動させた時に出るのではないかと想像します。22Hzのは何か別のノイズ(例えばピアニストが床を踏みしめた時の)ではないでしょうか。

矢張り、SPシステムは25Hz位まではフラットに出て欲しいです、特にライブ録音を再生する場合、楽音が出る前や楽章のあい間に聞えるホールトーンの臨場感はいいです。

棒の振動

棒の自由振動 投稿者:RS 投稿日: 6月 4日(日)09時42分16秒
以前、私が

<単純な棒の曲げ基本振動は中心が腹、両端から1/4のところが節、そして両端が腹になるのではないかと思います。>

と書きましたが、考えてみるとこれはちょっと怪しいです。トライアングルの音程感が無い原因の考え方としては間違っていないと思いますが、上記のところについては今調査中です。

上記の「節」「腹」といっているのは見掛け上のものであり力学的な波動における「節」「腹」とは違うように思います。

棒の自由振動2 投稿者:RS 投稿日: 6月 4日(日)10時38分13秒
棒の自由振動については、

http://web.archive.org/web/20061206083857/http://www.acoust.rise.waseda.ac.jp/publications/onkyou/genron-2.pdf

に詳細な解析があり(ここには弦や膜の振動などについても詳細な解析がある)ました。まだ拾い読みしただけですが、それによると自由振動する棒の基本振動の腹は棒の中心位置であり、節は端から1/4(=0.25)のところではなく、端から棒の長さの0.224倍の位置ということです。中心位置が曲げに関しては自由端とは違うことを見落としていました。

前の投稿はあまり考えずに(調べずに)書いたので、まちがっていました訂正致します。済みませんで
した。

上記の文献によると、左右対称な振動モードの倍音(非整数倍も含める)はm^nをmのn乗を表すとして、基本波の3^2、7^2、11^2、15^2、・・・倍。逆対称形振動モードの倍音は、基本波の5^2、9^2、13^2、17^2、・・・倍ということです。単純な棒の場合には一応、整数倍になっているというのは意外でした。

トライアングルのように三角形に折曲げた場合はもっと複雑な高調波になるでしょう。

------------------------------------------------------------
長い棒を伝搬する屈曲振動波の伝搬速度はその波長の関数となり、棒に固有の一定値とならない。したがって、高調波は、それぞれ固有の速度で伝搬するので、単純に高調波を重ね合わせる(Fourier展開)方法が使えないので一般解は求められず、個々の問題についての特殊解を求められるだけである。
------------------------------------------------------------
という趣旨の記述があります。速度が波長の関数になるとどういうことになるかといいますと、普通、管の気柱振動や弦の振動の場合管中や弦上の波の速度が波長によらないので、波長が1/2になれば周波数が2倍になるのですが、そうならないで、たとえば波長が1/2になったら周波数が3倍になる、といったことが起きることになります。

Re 棒の自由振動 投稿者:志賀 投稿日: 6月 5日(月)06時10分11秒
RS さん

<長い棒を伝搬する屈曲振動波の伝搬速度はその波長の関数となり、・・・・>

一般論としては、音速は周波数の関数となります。これを分散関係といい波動の基本的な性質です。正確には、角振動数を波数(=2π/波長)の関数で表した式のことで、これが直線関係(1次関数)の場合比例係数が音速になります。固体中の音速の場合、分散関係が直線からずれる(音速が一定値からずれる)のは波長が原子間距離に近づいたときで、実際にはテラヘルツ(10^12Hz)の範囲になります。屈曲振動の場合何か特殊な事情があるんでしょうか?(引用された文献のどこに記述がありますか?)

空気の場合も可聴音やいわゆる超音波の場合、音速は周波数によらず一定と考えていいはずですよ。


Re2 棒の自由振動 投稿者:AC 投稿日: 6月 5日(月)10時09分10秒
志賀さん、

横レス、すみません。

<空気の場合も可聴音やいわゆる超音波の場合、音速は周波数によらず一定と考えていいはずですよ。>

これは、その通りだと思うのですが

<一般論としては、音速は周波数の関数となります。>

??? 「音速は周波数に依存しません」の誤りでは?

それから志賀さんの書かれた内容は粗密波のことで、屈曲振動の場合は全く事情が異なるのでは無いでしょうか? 私も理科好きさんの投稿を読んで、かなり衝撃を受けました。pdfは長いのでまだ読んでいません。時間を見つけて少しずつ読んでみたいと思っています。

Re3 棒の自由振動 投稿者:志賀 投稿日: 6月 5日(月)12時33分12秒
AC さん

<??? 「音速は周波数に依存しません」の誤りでは?>

いえ。固体を伝搬する音速は理科好きさへのレスに書いた通り波長が原子間距離に近づくと一般に減少します。ただし、その周波数はテラヘルツ(10^12 Hz) の領域なので音というよりフォノン(音子)の伝搬速度といった方が誤解を招かないかもしれません。空気中を伝搬する場合はその周波数に達する前に吸収が強くて伝搬しなくなると思います。

結論として常識的な意味では音速は周波数に依存しないといってもいいかもしれません。


<それから志賀さんの書かれた内容は粗密波のことで、屈曲振動の場合>は全く事情が異なるのでは無いでしょうか?>

どういう意味で事情が異なるといっておられるのかよくわかりませんが、棒のたわみ振動については解が求められており、高調波の振動数は基底振動の整数倍にはなりません。2次は2.756倍、3次が5.404倍となります。これはもちろん音速が変わるのが原因ではありません。


Re: 棒の自由振動 投稿者:RS 投稿日: 6月 5日(月)22時00分7秒
志賀さん

<屈曲振動の場合何か特殊な事情があるんでしょうか?>

弦と棒の根本的な違いは、弦の復元力が張力(変位に関わらず一定と仮定している(*))であるのに対して、棒の復元力が撓み応力(変位、というより、曲がりの曲率により変る)であることでしょう。定性的に考えれば、弦の一点に力を加えるとその点で折れ曲がったような変形をします(弦は曲げ応力が無いと仮定している)、つまり、変形はその一点のみに現れるが、棒の場合には一点に力を加えても、周りに変形が及ぶことです。曲率が小さく(高い高調波に)なればその応力も強くなります。その辺りが「特殊な事情」ではないかと思います。

<引用された文献のどこに記述がありますか?>

135ページですね。自由−自由 棒の振動については、137ページから138ページにかけて解がでています。

<高調波の振動数は基底振動の整数倍にはなりません。 2次は2.756倍、3次が5.404倍となります。>

私も私がお示した本の結果には意外な感じがしています。上記の志賀さんの示された解の導出について書いてある文献を教えて頂けませんか?

Re2: 棒の自由振動 投稿者:志賀 投稿日: 6月 6日(火)00時32分10秒
RSさん

<弦と棒の根本的な違いは、弦の復元力が張力(変位に関わらず一定と>仮定している(*))であるのに対して、棒の復元力が撓み応力(変位、というより、曲がりの曲率により変る)であることでしょう。定>性的に考えれば、弦の一点に力を加えるとその点で折れ曲がったような変形をします(弦は曲げ応力が無いと仮定している)、つまり、変形はその一点のみに現れるが、棒の場合には一点に力を加えても、周りに変形が及ぶことです。曲率が小さく(高い高調波に)なればその応力も強くなります。その辺りが「特殊な事情」ではないかと思います。>

言っておられることがもう一つよくわかりませんが(弦の振動との比較に関して)棒のたわみによる振動の復元力が変形の曲率に比例することにより、音速が波数の関数になってしまい振動数が単純な整数倍では与えられないということのようですね。私も紹介された文献で始めて知りました。

固体物理の方では、横波振動を考え、これはずれ剛性率だけで音速が決まり、マクロな波長の音速は一定と考えてよく、実際横波超音波の音速は周波数によらず一定です。もちろん縦波(圧縮)振動の音速も一定です。そういう意味でたわみ振動というのは確かに特殊な振動といえますね。

ところで,その振動数ですが、例の文献を読むと、両端自由で左右対称の振動モードの振動数が、Cを定数として近似的に、

f〜Cx3^2、C×7^2、C×11^2、・・・

左右逆対称の振動モードの振動数は、

f〜C×5^2、C×9^2、・・・・

で与えられ、基底振動が C×3^2、第2高調波が C×5^2、第3がC×7^2、・・・、といった具合で、従って、第2高調波と基底振動の比は 5^2/3^2=2.777・・・、第3高調波と基底振動の比は 7^2/3^2=5.444・・ (つまり 3^2=9 というのは基底振動数に対する比ではなく、基底振動数がこの値に比例するという意味のようです)

それに対し、数値計算による正確な解はそれぞれ2.756、5.404 ということのようです。この値は西巻正郎著『電気音響振動学』(コロナ社)p.72 から取ったものです。

いずれにしろ整数比ではありません。解の導出についてはほとんど書いて無く件の文献の方がずっと詳しいです。


Re3: 棒の自由振動 投稿者:RS 投稿日: 6月 6日(火)00時46分13秒
志賀さん

<棒のたわみによる振動の復元力が変形の曲率に比例することにより、音速が波数の関数になってしまい振動数が単純な整数倍では与えられない>

そうです。そのことを言いたかったのです。

トライアングルの音程感 投稿者:RS 投稿日: 6月 6日(火)01時13分48秒   引用

これまでの議論で、トライアングルの音程感が無い原因として、

○棒のたわみ振動の高調波は整数比でない。
○細い棒の場合、基本音はほとんど音として 空中に放射されない。 (インピーダンスミスマッチ)
○三角に折曲げることにより、長さの1/3の片持ち梁の振動モードも入って来る。

以上のことから、トライアングルの音は非整数比の高調波が殆んどになる。

ということが原因と考えられる、ということのようですね。

Re4: 棒の自由振動 投稿者:志賀 投稿日: 6月 6日(火)09時03分7秒
RS さん

音速が波長の関数になるというのは私にもちょっと意外だったので考えてみました。

両端自由のたわみ振動の伝搬速度は件のpdfのp.135 の 96式です。ここで、kは波数で波長の逆数、rは棒の半径です。すると、k>>r では音速 c は一定値 になりますね。これが普通教科書に書いてある棒を進行する横波音波の速度です。これは波長に依存しません。

逆の場合、つまり波長が棒の直径より十分長い場合には音速が波長に反比例することになります。

棒全体がたわむ固有振動を求める場合、定在波なので例えば節の位置は動きませんが、音速は、定在波を+方向進行波と-方向進行波の干渉の結果生ずると考えた場合の形式的なものと考えて良いと思います。

笛などの管の中の空気の振動の場合はやはり音速は一定だろうと思います。ただし、境界条件の曖昧さから固有振動数はわずかに理論値からずれるようです。


オルガンの最低D音 投稿者:志賀 投稿日: 6月11日(日)13時50分49秒

先にUpしたツアラトストラの冒頭部分オルガンの他コントラバスの並奏があるんではないかとの指摘を受け、別の例を探してUpしておきました。

最低D音ですが第4高調波まではピタリの位置にピークがあります。オルガンは片側閉管だと思っていたのですが思い違いのようです。

http://shigaarch.web.fc2.com/6607PianoC0.html

こちらです


Re: オルガンの最低D音 投稿者:RS 投稿日: 6月11日(日)21時17分57秒
志賀さん

<オルガンは片側閉管だと思っていたのですが思い違いのようです。>

両方あるようですね。発音部分は開口部で、これは金管も同じですね。もう一端は閉じたものと開いたものがあるようです。

バスドラムの高調波 投稿者:志賀 投稿日: 6月11日(日)22時25分5秒
RSさん 皆さん

低音楽器のスペクトルにバスドラムのスペクトルを加えました。当然高調波は整数倍ではありません。

http://shigaarch.web.fc2.com/6607PianoC0.html

ちなみに手元の音響工学のテキストで、円形膜の固有振動数を調べているとき「太鼓の皮などはこのようなモードが多数入り混じった振動をし、それらの周波数は互いに簡単な調和関係にないから一定の高さの感覚を与えず、いわゆる無調音になる」と書いてありました。

木管楽器

木管楽器の低音成分 投稿者:志賀 投稿日: 6月14日(水)09時29分28秒
RS さん

<<音響工学のテキストで、・・・>>

<なるほど、ちゃんとあるんですね。図書館で探してみましょう。>


この本には、色々な楽器の周波数スペクトルが載っています。
基音はC3かC4 が多いのですが気の付いた特徴は、
(1) 床に置く、あるいは支持する楽器はいずれも超低音(20〜40Hz)にブロードなピークがある。恐らく床鳴りでしょう。
(2) 不思議なことに、フルートやオーボエ、バズーンといった木管楽器にも超低域にピークがある。
(3) 管楽器も全て第2高調波は出ている。ただし、第3高調波よりレベルの低い楽器もある。特にクラリネットが顕著。

といったところです。


Re: 木管楽器の低音成分波 投稿者:HD 投稿日: 6月14日(水)13時44分31秒
志賀さん、皆さん:

< (2) 不思議なことに、フルートやオーボエ、バズーンといった木管楽器にも超低域にピークがある。>

各楽器のコンチェルトのカデンツァの所で確認しました。確かにかなり低い所にまで出ています。 音の出る瞬間に出るのか、持続音の途中ででも出るのか興味あります。

Re3: 木管楽器の低音成分 投稿者:RS 投稿日: 6月14日(水)23時06分22秒
志賀さん

不思議ですね。奏者が呼吸する時にでも出るのでしょうか?

Re4: 木管楽器の低音成分 投稿者:AC 投稿日: 6月15日(木)20時46分17秒
志賀さん、皆さん:

< (2) 不思議なことに、フルートやオーボエ、バズーンといった木管楽器にも超低域にピークがある。>

手持ちのFFTで、フルートやオーボエのwavファイルを確認しましたが、超低域のピークは観測されませんでした。恐らく楽器とは関係のない別の要因ではないでしょうか?

例えば、以下に様々な楽器のドライソース(無響室での録音)があります。

http://www.ymec.com/hp/pref/dry.htm

管楽器の超低域成分 投稿者:志賀 投稿日: 6月17日(土)09時49分31秒   引用  編集済
AC さん

<手持ちのFFTで、フルートやオーボエのwavファイルを確認しましが、超低域のピークは観測されませんでした。恐らく楽器とは関係のない>別の要因ではないでしょうか?>

私も実際のCDでフルートやファゴット、比較のためトランペットの独奏部分を切り出して比較してみました。どの場合も30ー50 Hz 付近にブロードなピークがありますがやはり木管の場合の方がレバルが高いように思います。といっても基音に比べると -20 dB くらいなので実際に影響を与える程度かどうかわかりません。トランペットの場合 -50dB くらいしかありませんでした。

まだまだ例が少ないので一般的とは言い難いですが、木管の方が超低域のレバルは高いように思います。 もちろん原因は何かわかりません。


<例えば、以下に様々な楽器のドライソース(無響室での録音)があります。>

こちらの方は確かにあまり低域は出ていませんね。

木管楽器の低音成分
投稿者:志賀 投稿日: 6月20日(火)12時35分48秒

について、
まだ事実確認も出来ていないと思いますが作業仮説を提出します。

木管楽器は、吹き口で空気振動を発生させ、一方閉管、管側穴を解放端とする定在波が音程音色を決めると考えます。この時、管の先も解放端となっており管長からきまる1/4波長定在波を常に発生している。

この場合、管長を L とすると f=340/L/4。従って管長1mなら85Hz、2mなら42.5 Hz となります。

トランペットなどの金管で低音成分が出ないのは、弁で管長を替えているため。もちろんトロンボーンは管長そのものを変えているためということになります。

如何でしょう?


Re: 木管楽器の低音成分 投稿者:RS 投稿日: 6月20日(火)22時49分47秒
志賀さん

<木管楽器は、吹き口で空気振動を発生させ、一方閉管、・・・>

オーボエやクラリネットなど木管楽器の吹き口(歌口)は開放端ではないかと思います。例えば、長さ約70cm
のオーボエの最低音はB♭(約233Hz波長1.46m)で管長の倍つまり両端開放の共振周波数ですね。

<管側穴を解放端とする定在波が音程音色を決めると考えます。この時、管の先も解放端となっており管長からきまる1/4波長定在波を常に発生している。>

途中に穴が開いている管の気柱がその管の全長の倍あるいは4倍の波長の音に共振するというのはあるのでしょうか?

Re: 木管楽器の低音成分 投稿者:AC 投稿日: 6月21日(水)00時39分54秒
志賀さん

<木管楽器は、吹き口で空気振動を発生させ、一方閉管、管側穴を解放端とする定在波が音程音色を決めると考えます。この時、管の先も解放端となっており管長からきまる1/4波長定在波を常に発生している。>

金管楽器を含めた管楽器は基本的にクラリネットを除いてすべて開管楽器(両端が開)であり、管長の二倍の長さの波長を持つ基本周波数が得られます。(クラリネットは閉管楽器なので管長の4倍)。例えば、フルートの長さは約65cmですのでフルートの出せる最低音は、262(Hz)≒340m/Sec÷(0.65m×2)、つまりピアノの中央のCとなります。オーボエに関しては、理科好きさんの書かれたとおりです。それ以下の音はどのように吹いても出ません。

クラリネットは閉管楽器なので、他の(同じ長さの)管楽器に比べオクターブ低い音が出ます。また偶数倍音の割合は非常に小さくなります。

金管楽器も開管楽器(扱い)なので、最低音の計算方法は、上のフルートと同様です。


Re2: 木管楽器の低音成分 投稿者:志賀 投稿日: 6月21日(水)06時04分8秒
ACさん、RSさん

引用はしませんが、

早速手厳しい反論が来ましたね。何しろ手元にある楽器といえばピアノと子供達が昔使っていたトロンボーン、リコーダーくらいしかないもので細かい構造がわかりません。 が、しかしまだ件の作業仮説を捨てるわけではありません。

まず一般論として定在波が起こるのは音響インピーダンスにミスマッチングがある場所で音波が反射し反射点が2点あればその間の長さに応じた周波数で音が強め合うわけです。この時教科書に書いてあるような単純な閉端なら同位相、解放端なら逆位相となりますが、例えば閉館部に穴が空いておればどうなるか?反射は起こりますがその位相はどうなるでしょう?

楽器の場合かなり複雑で両端解放といえども左右(上下?)両端の反射点は非対称で1/4波長の定在波が振幅は微少でも生じる可能性はあると思います。(必ずしも1/4 でなく、1/4と1/2 の中間かもしれません)

もちろんメインの基音は管の一端と側穴の反射で生じる定在波の周波数に共鳴するように吹くことにより出るんでしょうから一般に言われている、閉端、解放端として説明出来ると思いますが、今問題にしているのは、基音に対して -20dB 以下、-40dB 程度の微少な振動なので簡単なモデルでは説明出来ないと思います。

結局、実験またはCDの音の解析などを通じ、周波数が基音と相関しない楽器の長さだけで決まる低音のモードが観測されるかどうかにかかっています。

というわけで、観測事実として否定されない限りまだ件の作業仮説は却下しないことにしておきます。

RSさん

<途中に穴が開いている管の気柱がその管の全長の倍あるいは4倍の波長の音に共振するというのはあるのでしょうか?>

はい上の考察から楽器には反射点がいくつも考えられるので強弱は別にして定在波のモードはいくらでも考えられます。

低音成分は空調では? 投稿者:NS 投稿日: 6月21日(水)08時48分47秒
良くあることですが、低音成分は空調ノイズではないですか? おおよそ、その辺の50Hz以下の周波数帯域にでてきます

Re: 低音成分は空調では? 投稿者:志賀 投稿日: 6月21日(水)11時48分23秒
NS さん

<良くあることですが、低音成分は空調ノイズではないですか? おおよそ、その辺の50Hz以下の周波数帯域にでてきます。>

その可能性もありますね。注意して解析すれば分かると思います。楽器の音と相関がなければ単なる低音ノイズということになります。

Re: 木管楽器の低音成分 投稿者:RS 投稿日: 6月21日(水)22時02分45秒
ACさん

<金管楽器を含めた管楽器は基本的にクラリネットをア除いてすべて開管楽器(両端が開)であり、管長の二倍の長さの波長を持つ基本周波数が得られます。(クラリネットは閉管楽器なので管長の4倍)>

ややっ!!クラリネットは閉管楽器なのですか。知りませんでした。ネットで見ても確かにそう書いてありますね。

参考:http://kou-sa.xrea.jp/music/wood/clarinet/clarinet.html

同じリード楽器でも、オーボエとの違いは1枚リードか2枚リードかの違いしか考え付かないですが、不思議ですね。同じ1枚リードのサキソホンなどはどうなのでしょう。

Re: 木管楽器の低音成分 投稿者:AC 投稿日: 6月21日(水)23時08分50秒
RSさん

同じリード楽器なのに開管(開開)となるか閉管(閉開)となるかは、リードの枚数ではなく、本体が円錐か円筒かによって決まるようです。因みにサキソフォンは円錐なので開管楽器です。

Re: 木管楽器の低音成分 投稿者:RS 投稿日: 6月21日(水)23時28分33秒
AC

<本体が円錐か円筒かによって決まる>

なるほど、そうなのですか。

オーボエが円錐ということは、リード部分まで滑らかに細くなっていて、音響インピーダンスの段差が無いので反射が起きにくいということでしょうか。そして、クラリネットはリードのところで急に細くなるということでしょうか。一方、フルートの場合は歌口の部分も結構大きな穴になっているので、円筒に近くても開開になる。なるほど

Re3: 木管楽器の低音成分 投稿者:RS 投稿日: 6月21日(水)23時50分42秒
志賀さん

<例えば閉館部に穴が空いておればどうなるか?反射は 起こりますがその位相はどうなるでしょう?>

閉管部に穴がある場合は、フルートやリコーダで穴を半分開けたような場合に相当すると思います。その場
合、音程は、完全開口より低くなります。

フルートの場合、左端(頭部管の反射板)から17mmのところに歌口の中心があります。これくらいの位置に開口部があると、基本波の波長に比べて十分に短いので、反射板での基本波の反射は無視できるのではないでしょうか。つまり、反射板と歌口の圧力は等しいと考えてよく、閉管としての反射は無視できる程小さく、むしろ、歌口での負の反射だけを考えれば良いように思えます。

実際、フルートを自分で吹いてみても、C音以下の音が出ているようには聴こえません。

ティンパニー ドラム

バスドラムの高調波(再) 投稿者:志賀 投稿日: 6月11日(日)22時25分5秒
RSさん 皆さん

低音楽器のスペクトルにバスドラムのスペクトルを加えました。当然高調波は整数倍ではありません。

http://shigaarch.web.fc2.com/6607PianoC0.html

ちなみに手元の音響工学のテキストで、円形膜の固有振動数を調べているとき「太鼓の皮などはこのようなモードが多数入り混じった振動をし、それらの周波数は互いに簡単な調和関係にないから一定の高さの感覚を与えず、いわゆる無調音になる」と書いてありました。

ティンパニーのスペクトル 投稿者:志賀 投稿日: 6月15日(木)14時18分33秒
もUp しておきました。

http://shigaarch.web.fc2.com/6607PianoC0.html

これを見るとバスドラムと同じく円形膜の振動モードの理論値とほぼ一致しています。

ティンパニーの音程がバスドラムより分かり易いのは単に周波数が高く聴覚の感度の違いによるものではないでしょうか?


Re: ティンパニーのスペクトル 投稿者:RS 投稿日: 6月17日(土)13時44分30秒
志賀さん

<ティンパニーの音程がバスドラムより分かり易いのは単に周波数が高く聴覚の感度の違いによるものではないでしょうか?>

それもあると思いますが、オルガンのD音のピーク(39Hz:かなりシャープ)やC音(32.7Hz:こちらはややブロード)および、ティンパニの基音C2(約130Hz:ややブロード)に比べて、バスドラムの基音(37Hz?)のスペクトルのピークはかなりブロードになっています。これも音程感のなさにつながっているように思います。(音程差は周波数の比で感じるので、対数目盛上で比較するのは妥当と思います。)

Re: ティンパニーのスペクトル 投稿者:NS 投稿日: 6月19日(月)12時01分47秒

<バスドラムの基音(37Hz?)のスペクトルのピークはかなりブロードになっています。これも音程感のなさにつながっているように思います。>

釈迦に説法になると思いますが、FFTの計算条件にも関係しますよ。

Re: Re: ティンパニーのスペクトル 投稿者:RS 投稿日: 6月19日(月)21時38分50秒
NSさん

例えば、どのような計算条件が関係すると考えられますか?

Re3: ティンパニーのスペクトル 投稿者:志賀 投稿日: 6月20日(火)07時58分1秒
RS さん

それでは私から。

FFTでのピークの幅は、サンプル波形、およびFFTの時間窓の長さで決まります。
これはご存知だと思いますが、純音のスペクトル幅がデルタ関数になるのはどちらの時間窓長さも無限大の時のみです。

数学的証明はさておき、WaveGene で37Hz(10秒くらい)のサイン波を作り、WaveSpctra で、FFTのサンプルデータ数(FFTの窓時間長に当たると思います)を替えてみるとわかります。

例に出しているバスドラムのスペクトルはサンプルデータ長最大(分解能最大)ではありません。最大にするとピークが分裂しますがこれが本当かどうかよくわかりません。いずれにせよ、純音の幅よりずっとブロードなのは間違いないと思います。


Re: Re3: ティンパニーのスペクトル 投稿者:HD 投稿日: 6月20日(火)13時04分47秒

< 数学的証明はさておき、WaveGene で37Hz(10秒くらい)のサイン波を作り、WaveSpctra で、FFTのサンプルデータ数(FFTの窓時間長に当たると思います)を替えてみるとわかります。>

FFTの最少周波数分解能は、サンプリング周波数÷サンプルデータ数と言うことですから例えば、クロック44.1KHzの場合サンプルデータ数を65,536にすれば分解能 0.67Hzという事になりますが、PCの速さ(CPUのクロック周波数?)で設定出きるサンプルデータ数の制限はあるのでしょうか?
低域は8,000以下では駄目みたいですね。 サンプルデータ数は最低16,000要ると言う感触です。

Re4: ティンパニーのスペクトル 投稿者:志賀 投稿日: 6月20日(火)17時50分42秒
HD さん

<FFTの最少周波数分解能は、サンプリング周波数÷サンプルデータ数と言うことですから例えば、クロック44.1KHzの場合サンプルデータ数を65,536にすれば分解能 0.67Hzという事になりますが、PCの速さ(CPUのクロック周波数?)で設定出きるサンプルデータ数の制限はあるのでしょうか?>

分解能については定義によりますがそれでいいと思います。実際にWaveSpectraで解析すると(横軸、縦軸をリニア表示にして、横軸の帯域を狭くするとよくわかります)半値幅がその倍の1.5Hzくらいになります。

サンプルデータ数の制限はリアルタイムで解析するときはあると思いますが最近のGHz オーダーのCPU では可聴周波数帯では問題にならないんではないでしょうか?


<低域は8,000以下では駄目みたいですね。 サンプルデータ数は最低16,000要ると言う感触です。>

44.1kHz のサンプリング周波数だと1サンプルが22.6x10^(-6)sec、従って 30 Hz の正弦波を5波長分含むためには約7000、10波長だと15000個必要なのでそんなものだと思います。

Re5: ティンパニーのスペクトル 投稿者:志賀 投稿日: 6月21日(水)11時43分23秒
RS さん

<バスドラム(37Hz?)とオルガン(39Hzの例)では計算条件、特に、時間窓の長さはかなり異なるのでしょうか?>

記録を取っていなかったのですが、多分時間窓長さは双方サンプルデーター数32768、0.78sec だったと思います。


Re6: ティンパニーのスペクトル 投稿者:RS 投稿日: 6月21日(水)21時55分36秒
志賀さん

<<バスドラム(37Hz?)とオルガン(39Hzの例)では計算条件、特に、時間 窓の長さはかなり異なるのでしょうか?>>

<記録を取っていなかったのですが、多分時間窓長さは双方サンプルデーター数32768、0.78sec だったと思います。>


ということは、計算条件はほぼ同じと見てよいでしょうか?そうすると、やはり本当にバスドラムの方がオルガンよりブロードなのではないでしょうか?

<例に出しているバスドラムのスペクトルはサンプルデータ長最大(分解能最大)ではありません。最大にするとピークが分裂します>

このことから考えると、二つの基本周波数を持つのではないかと考えられます。そして、これは推測ですが、バスドラムには2枚の革が張ってありますが、その二つの革の固有振動数が異なっていてそれが原因なのではないかとも考えられます。

Re: いろいろまとめて 投稿者:志賀 投稿日: 6月22日(木)06時37分38秒
RSさん

<<例に出しているバスドラムのスペクトルはサンプルデータ長最大(分解能最大)ではありません。最大にするとピークが分裂します>>

<このことから考えると、二つの基本周波数を持つのではないかと考え>られます。そして、これは推測ですが、バスドラムには2枚の革が張ってありますが、その二つの革の固有振動数が異なっていてそれが原因なのではないかとも考えられます。>


よくわかりません。別の例では分解能を上げると何か構造が出てきますが2つに分裂するという感じではありません。

Upした例であえて分解能を落としているのはピークの微細構造が意味があるかどうか疑わしいということもあります。


<ややっ!!クラリネットは閉管楽器なのですか。知りませんでした。ネットで見ても確かにそう書いてありますね。>

楽器か閉管か開管かを分類するのはどれだけ意味があるのかわかりません。クラリネットといえども理想的な片側閉管の場合出てこないはずの2倍の高調波が大きく出ています。ただ、第3高調波より少し低めの場合が多いようで閉管的特徴が有るといった程度ではないでしょうか?

<閉管部に穴がある場合は、フルートやリコーダで穴を半分開けたよう>な場合に相当すると思います。その場合、音程は、完全開口より低く>なります。>

多分反射波の位相がずれ見かけの反射位置が変化するんではないかと思います。

<フルートの場合、左端(頭部管の反射板)から17mmのところに歌口の中心があります。これくらいの位置に開口部があると、基本波の波長に比べて十分に短いので、反射板での基本波の反射は無視できるのではないでしょうか。つまり、反射板と歌口の圧力は等しいと考えてよく、閉管としての反射は無視できる程小さく、むしろ、歌口での負の反射だけを考えれば良いように思えます。>

反射板の構造がどんなものかよくわからないので間違っているかも入れませんが。

歌口を開管部と見なしていいんでしょうか?
この部分で音圧振動を作り出しているとすると開管部と見なすのは無理があるように思いますが? また反射板が文字通り音圧を反射するところならむしろ閉管部と見なすべきではないでしょうか?(理想的な開管部は音圧振動が0で流速振動が最大となる位置だと思います)


<実際、フルートを自分で吹いてみても、C音以下の音が出ているようには聴こえません。>

もし、話題にしている管長によって決まる低音のことを言っておられるなら聴いて分かるようなレベルではないと思います。録音をしてFFTで調べないとわからないでしょう。

ティンパニとバスドラムの音程 投稿者:HD 投稿日: 6月22日(木)11時50分10秒

ヤマハのサイトですが、商売の話ではないので紹介させて頂きます。

尚、ティンパニの最低音はD1と言うことですから、約70Hzでしょうか。

http://web.archive.org/web/20060117003441/http://www2.yamaha.co.jp/u/naruhodo/17timpani/timpani2.html

Re: いろいろまとめて 投稿者:RS 投稿日: 6月22日(木)22時17分34秒
志賀さん

<よくわかりません。別の例では分解能を上げると何か構造が出てきますが2つに分裂するという感じではありません。>

バスドラム以外で、2峰性になるものが無ければ、バスドラム特有の構造(共鳴体2つ)を疑うのが自然なような気もします。オルガン、ピアノの低音弦、ティンパニ(これは、下の胴の部分の空気の体積振動があるかもしれません)はほぼ単一の共鳴体と考えてよさそうですし。

<楽器か閉管か開管かを分類するのはどれだけ意味があるのかわかりません。>

気柱の共振という点では本質的に区別する必要は無いかもしれませんが、楽器としては、オクターブ下まで出るか出ないかは、かなり本質的ではないでしょうか?それと、高調波の出方も違いますし。

<歌口を開管部と見なしていいんでしょうか?>

少なくともフルートに限って言えば、良いのではないでしょうか。

<この部分で音圧振動を作り出しているとすると開管部と見なすのは無理があるように思いますが?>

フルートの歌口は、音圧振動を作り出しているのではなく、気流振動をつくり出しているのだと思います。

<管長によって決まる低音のことを言っておられるなら聴いて分かるようなレベルではないと思います。>

そうかもしれません。ただ、どの程度の差を想定されているのか判りませんが、20dB程度の差だと、振幅にして1/10なので、耳もとで鳴れば聴こえそうな気もします。特に、フルートの最低音の1/2程度の音だと耳の感度もかなりありそうですし。

Re: いろいろまとめて(横レス) 投稿者:AC 投稿日: 6月22日(木)23時01分6秒
志賀さん ちょっと横レスですが。

<楽器か閉管か開管かを分類するのはどれだけ意味があるのかわかりません。>

楽器の構造&用途という観点から、閉管と開管では全く違います。

閉管であるクラリネットは、他の開管の管楽器に比べ、オクターブ低い音が出ます。また、クラリネットは奇数倍音を持つ楽器なので、運指(指の使い方)やキーの配置&数が開管楽器とはかなり異なります。(第二倍音&第四倍音を使えないので、運指が非常にややこしくなるわけです)。従ってクラリネットは閉管楽器、他の楽器は開管楽器、というふうに明確に区別可能です。

Re2: いろいろまとめて 投稿者:志賀 投稿日: 6月22日(木)23時42分41秒
RS さん

<バスドラム以外で、2峰性になるものが無ければ、バスドラム特有の構造(共鳴体2つ)を疑うのが自然なような気もします。>

いずれにせよ構造が原因だとは思いますが、2つの共鳴体は内部の空気で強く結合しているので単純に2峰になるかどうかよくわかりません。チューニングによってかなり変わるのかもしれませんね。

<<楽器か閉管か開管かを分類するのはどれだけ意味があるのかわかりません。>>

<気柱の共振という点では本質的に区別する必要は無いかもしれませんが、楽器としては、オクターブ下まで出るか出ないかは、かなり本質的ではないでしょうか?それと、高調波の出方も違いますし。>

なるほど。その楽器の最低音が全長の約4倍波長であれば片側閉管、2倍波長だと両方開放と分類するわけですね。確かに、クラリネットはフルートとほぼ同じ長さのようですが最低音が1オクターブ低いですね。

Re4: いろいろまとめて 投稿者:志賀 投稿日: 6月23日(金)06時24分51秒
RS さん

<<ここに栓をして完全に閉端にしたらどうなるんでしょうか?>>

<そのままでも反射板のところは「完全な閉端」です。しかし、17mmしか離れていないところに、歌口という大きな穴があるので、C音程度の音だと、波長が長い(1.30m)、言い換えれば変化が遅いので、反射板付近の圧力は歌口から逃げてしまいます。反射板付近で圧力が上がらないとそこでの反射は起きません。>


この件了解しました。やはり手元に現物がないとだめですね。

ポイントは、フルートの場合歌口が流速振幅の腹部になり、クラリネットではリードが音圧振幅の腹部になるということでしょうかね? 後者の場合、偶数倍音もかなり出ているのでそう単純でないかもしれませんが。


Re2: いろいろまとめて(横レス) 投稿者:志賀 投稿日: 6月23日(金)06時29分53秒
AC さん

<楽器の構造&用途という観点から、閉管と開管では全く違います。>

はい。この件は理科好きさんへのレスに書いたように分類の根拠はわかりました。

<クラリネットは奇数倍音を持つ楽器なので、運>指(指の使い方)やキーの配置&数が開管楽器とはかなり異なります。(第二倍音&第四倍音を使えないので、運指が非常にややこしくなるわけです)。従ってクラリネットは閉管楽器、他の楽器は開管楽器、というふうに明確に区別可能です。>

倍音の奇偶性ですが、クラリネット曲のFFT解析をしてみると、偶数倍音も結構強く出ています。確かに奇数倍音が偶数倍音より強い場合が多いですがその逆もあるようです。しかしフルートの場合は奇数倍音の方が強い例は見あたりませんでした。

つまり、倍音成分の解析だけから言うと、クラリネットの場合、閉管楽器の特徴は示しているものの教科書的な片方閉管のスペクトルとはほど遠いといったところだと思います。まあ当たり前のことかもしれませんが。


<これについては、以前示しましたドライソースの中にフルートとクラリネットがありましたが、実際にFFTソフトで直接読み込んで確認(つまりスピーカとマイクを使用せずに)しても数十Hz?の部分にはピークより-50dB程度のレベル(暗騒音レベル?無響室レベル?)しか観測されませんでした。-50dBというのは楽器音とは全く関係ないと言っていいように思いますがどうでしょうか?>

はい。あのソースでは低音ピークは見られませんね。元々この件は、音響学会編のいわば権威あるテキストのデータに木管楽器のみ低音にブロードなピークが見られたので自分でも半信半疑ながら皆さんの意見を聞いてみた次第です。ここに収録されているデータでたまたまノイズが出ていただけの可能性も大です。

ただ、それ以外にも実際にピークがある例もあるので、その場合ピーク位置に何か意味があるかどうか調べているという段階です。1/4 定在波は少々あやしい作業仮説であまり拘るつもりはありません。また、金管楽器との比較検討も出来ていません。要するに事実確認も出来ていない段階なのであまり議論を先行させるのは? というところで、自分で言い出しておきながら何ですが、この問題はしばらく置いておきましょう。

Re: Re2: いろいろまとめて 投稿者:HD 投稿日: 6月23日(金)09時52分51秒

< ところで、素朴な質問ですが、歌口側の端末処理はどうなっているんでしょうか? 反射板やヘッドスクリューが付いているようですがこれはかなりスカスカ(開放に近い)と見なしていいようなものなんでしょうか? ここに栓をして完全に閉端にしたらどうなるんでしょうか?(音が出ない?)>

ご参考になりますでしょうか。

http://www.yamaha.co.jp/edu/student/brassband/m-piace/mokkan/clarinet/c-point.html

http://www2.yamaha.co.jp/u/naruhodo/07flute/flute2.html

Re: Re2: いろいろまとめて 投稿者:HD 投稿日: 6月23日(金)12時40分51秒

先のサイトに、木管楽器の発音原理に、「奏者が息を吹き込むことで、楽器の発音体(リードやエアリード)が振動し、管体内の空気柱に疎密の波が起こります。空気の波は管の外との境界(ベルの端面やトーンホール)で反射して、今度は管体を逆方向に進み、発音体に圧力を与えます。この押す・戻すの繰り返しのバランスが取れると安定した振動となります。そして、この空気柱の振動の一部、つまり反射した残りが下界へと放射され、それが耳に届いて音として聞こえるのです。」と書かれてますが音階を決める「穴」も反射すると考えられ「穴」からは反射の残りしか出ない(?)とか、「リコーダの発音の仕組みがまだ完全に解明されていない」等の記述に驚きました。

Re3: いろいろまとめて 投稿者:志賀 投稿日: 6月23日(金)21時24分0秒
HD さん

http://www2.yamaha.co.jp/u/naruhodo/07flute/flute2.html
http://web.archive.org/web/20060510103100/http://www2.yamaha.co.jp/u/naruhodo/07flute/flute2.html

ごのサイト大変分かり易く書いてありますね。
といいたいのですが、吹き口(音源)が流速の振動を作り出しているのか、それとも音圧の振動を作り出しているのか、という観点から見るともう一つはっきりしないですね。リコーダーの解説を見ると音圧、つまり閉端に相当すると読めますが、フルートの場合はどちらともとれる記述ですね。


たまたま本屋で最近出たブルーバックスの「音の何でも実験室」という本にも楽器の原理が出ており、管楽器の端末は同じ楽器でも、あるときは閉管的に、別のモードに対しては開管的に振る舞うことがあり得るように書いてありなかなか難しそうです。演奏者はこの辺を経験的に心得微妙な音色を出すのかもしれませんね。

Re4: いろいろまとめて 投稿者:RS 投稿日: 6月23日(金)23時01分16秒
志賀さん

<ごのサイト大変分かり易く書いてありますね。 といいたいのですが、吹き口(音源)が流速の振動を作り出しているのか、それとも音圧の振動を作り出しているのか、という観点から見るともう一つはっきり しないですね。>

おっしゃる通りですね。というより、このページは、誤解を招きやすいページです。フルートなどの発音原理を説明している動画は、まるで、管の中を進行波が進んでゆくようなものになっていますが、これは明らかに間違いです。

また、「管体内の空気柱に疎密の波が起こります。」との記述も、フルートの歌口における記述としては、間違いで「流速の正負の振動が起こります。」が正しいです。

リコーダのところでの「完全に解明されていない」などの記述はまずいです。「完全に」というような用語は、現象の科学的な記述には軽々しく使ってはいけない用語です。「〜の範囲では解明されているが、その範囲外では明確でない」といった記述をするべきなのです。

バスドラムの音程感 投稿者:RS 投稿日: 6月23日(金)23時07分42秒

バスドラムの音程感が低い原因として、

バスドラムそのもののスペクトルがブロードである。

も、重要な原因の一つと考えてよいのではないかと思います。
----------------------------------------------
私個人は、実験家ではないのですが、志賀さんが提供してくださるデータに基づいて、いろいろと物理的推測して見ることは、とても面白いです。

バスドラムとティンパニ 投稿者:RS 投稿日: 6月24日(土)23時18分41秒

バスドラムのスペクトルのピークがブロードである原因としては、二つの発音源をもつこともあると思いますが、もう一つ考えられます。これは、ティンパニにも共通なのですが、胴の部分に直径1cmくらいの穴があることです。革を叩くとかなり激しくこの穴から空気が出入りします。このため、ここでのエネルギーロス(抵抗成分、1次微分項)があり、これがあると共振のQが下がりブロード化します。バスドラムやティンパニのピークがオルガンやピアノほど鋭くないのはその辺りも関係していそうです。

Re:バスドラムとティンパニ 投稿者:志賀 投稿日: 6月25日(日)10時09分36秒
RS さん

<バスドラムのスペクトルのピークがブロードである原因としては、・・・>

この件議論をする前にもう少しデータを取ってみました。

http://shigaarch.web.fc2.com/6607PianoC0.html

ここに加えておきました。如何でしょう。


Re2: バスドラムとティンパニ 投稿者:RS 投稿日: 6月25日(日)19時28分25秒
志賀さん

なるほど、初期はブロードで余韻はシャープになっているんですね。余韻の周波数が最も共振しやすい周波数で、時間とともに、他の周波数が担っていたエネルギーがその周波数に集まってくる、といったような感じですね。上記のページに書かれているように、初期は確かにブロード過ぎて音程は判りそうにありませんね。

最初のバスドラムのスペクトルは、h, m, e, tのどの位置でのものだったか興味があります。

Re3: バスドラムとティンパニ 投稿者:志賀 投稿日: 6月25日(日)21時25分25秒
RS さん

<余韻の周波数が最も共振しやすい周波数で、時間とともに、他の周波数が担っていたエネルギーがその周波数に集まってくる、といったような感じですね。>

というより、減衰しやすい(Qの低い)振動は早く減衰し楽器の基本的な構造から来る安定な(Qの高い)振動が生き続けるんだと思います。

ここで注意してほしいのは Top の部分は別として、m→e→t と進むにつれてピーク位置がわずかに低周波数側にシフトし余韻部分でD0音に相当する37 Hzに落ち着く傾向が見られることです。

私の推察ですが、最初は胴の部分を含む楽器全体が振動するモードになっており最後は胴の部分は静止し膜と内部の空気のみが一体となって振動する基本モードで安定化するんではないかと思います。胴に空けた小さな穴はこの振動モードのQをきめる重要なファクターかもしれません。


Top部分はほとんどトーンバースト状態なのでスペクトル幅が広いのは数学的には当然のことですね。

Re4: バスドラムとティンパニ 投稿者:RS 投稿日: 6月27日(火)23時06分11秒
志賀さん

<Top部分はほとんどトーンバースト状態なのでスペクトル幅が広いのは数学的には当然のことですね。>

そうですね。打楽器のような楽器の場合、時間窓をどう取るかでかなり違ってきますね。

まとめ

このページはいろんな話題を含んでおり私なりに整理してみました。

遠鳴り現象: これについては諸説が出たが、どちらかというと物理的なことより聴覚の性質を含めた心理的な原因が大きいという説が有力でした。その中で、「音程感が感じやすい楽器の音が遠くまで聴こえるのではないか?」という説が出て楽器の音程感の話題がはずみました。以下に各楽器毎にその特徴をまとめてみました。

ピアノ:一般に音程感のある楽器だが最低音付近の音程はつかみにくい。その原因は「放射インピーダンスの関係から基音のスペクトル強度が弱いのではないか?」 という説が出され実際にスペクトル強度を測定するとその通りであることがわかった。

棒の振動:トライアングルの音程がとりにくいという話から始まり、棒の撓み振動の性質に話が及んだ。その結果、高調波は整数倍でない。これはたわみ振動の場合の特徴で音速が周波数によって変化することで説明出来ることがわかった。高調波が基音の整数倍でないと音程がわかりにくいという説が出され
音響学のテキストにもその旨の記述があると指摘された。それでもシロホンなどで特に音程がとりにくいということは聞かないのは何故?

ドラム、ティンパニー:どちらも2次元振動膜であり高調波は整数倍でないがティンパニーの方が音程感があるようだ。 スペクトルを見るとどちらも高調波はほぼ理論値通りに出ている。バスドラムの基音はブロードなので音程がとりにくいのでは? ただしブロードなのは最初の衝撃音のみで長く響かせばそれほどブロードでない。

管楽器:管楽器には両端解放
(フルートなど)と片方閉管(クラリネットなど)楽器に分類されている。教科書的には片方閉管の筒のばあい奇数次高調波のみが出るはずだが実際の楽器では全ての整数倍高調波が出ていることがわかった。ただ、クラリネットの場合奇数次高調波の強度の方がやや強い。また、出しうる最低音の波長がクラリネットの場合管長の4 倍、フルートの場合は2倍 である。これが、閉管楽器と開管楽器を分類する基準となっているようである。

全体として、 整数倍高調波がはっきり出ている場合音程感がつかみやすいという説が出され、音響工学のテキストにもそう書いてあるが、以上のように個々の楽器を調べると必ずしも整数倍高調波の有無が主因とは言い切れない。

私見では、まず聴覚の性質から音程が分かり易い音域があり、基音がその範囲でシャープなピークを示す
(そのためにはある程度持続性が必要) といった条件の方が重要でないかと推察する。

木管楽器の低音成分: 少し話題がはずれるが上記テキストにあった各種楽器の周波数スペクトルを見ると木管楽器の場合基音より低周波側にブロードなピークが見られた。これが木管楽器の特徴といえるかどうか、いえるとしたらその原因は? ということが話題となったが、結局データ不足で結論はでていない。たまたま、低域ノイズが紛れ込んでいた可能性も高い。


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