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高調波と倍音

高調波についての質問 投稿者:RY 投稿日: 2005年9月 9日(金)15時35分19秒

周波数成分から各基本周波数の比率を求めたいとおもっているのですが、高調波の性質がわかりません。

基本周波数f0、第n次高調波で、f0とnで第n次高調波の大きさを表す一般的な式などはあるのでしょうか?

もしあれば教えてください。

Re 高調波についての質問 投稿者:志賀 投稿日: 9月 9日(金)19時31分47秒
RY さん

第n次高調波の周波数なら

両端固定(弦楽器など)、両端解放の1次元振動体の場合は第n次高調波は単純に f0*n
一端固定・一端解放(管楽器など)1次元振動体の場合はf0*(2n-1) です。

もちろんこれは理想的な場合で現実には少しずれるかもしれません。
強度は振動を与える位置により異なるので決められません。
2次元振動体(太鼓など)の高調波は整数式では与えられません。

といったところです。


Re: Re 高調波についての質問 投稿者:ryo 投稿日: 9月12日(月)10時06分32秒
志賀さん

両端固定と一端固定、一次元と二次元振動体で高調波成分の周波数がことなるとは知りませんでした。

単純に倍数になると思っていました。

もしよろしければ、各高調波成分の大きさが基本周波数の大きさに対して一般的にどのような関係になるのかが知りたいのですが教えていただけないでしょうか?

一定分布や正規分布になるのでしょうか?

Re 高調波についての質問 投稿者:志賀 投稿日: 9月12日(月)18時40分7秒
RY さん

<各高調波成分の大きさが基本周波数の大きさに対して一般的にどのような関係になるのか>が知りたいのですが>教えていただけないでしょうか?>

高調波成分のスペクトル強度のことですね?

それなら前スレに書いたように一概にはいえません。
例えば、ギターの弦をどの位置ではじくかによって音が変わってきます。
中央付近を弾くと基音成分が大きく端に近いところを弾くと高調波成分が相対的に強くなります。

太鼓の場合も同様です。バチの堅さによっても変わってきます。ソフトな棒で叩くと基音成分が大きく、堅い棒で叩くと高調波成分が強くなります。

楽器の演奏者は経験的にこのことを知っているはずです。


一奏者として 投稿者:KI 投稿日: 9月12日(月)22時27分1秒

弦楽器を触る者なので、下の志賀さんのお話について少し

celloを弾くとき、弓をどの位置に乗せるかというのは非常に重要なことです.。指板と駒の中間から少し駒に近いところが基本の位置となっています。そこから「駒より」(弦の端に近い)にすると少し固くしっかりした音が出て、大きな音を出しやすいのでffでの打ち込みなどに多用します。ただし、弾き始めに少しガリッという音が入ってしまったり、音量は出ても柔らかさに欠けるためこちらばかりで弾くわけにはいきません。反対に、指板に近い方で弾くと柔らかく滑らかな音が出るので、そういう音を要求する場面では多用します 位置を指板の上にまでもってくる奏法をスルタストと言います

一般に、少し指板よりの方が弾きやすいと感じることが多く、ついつい音が弱くなってしまうことがあります 意識して駒よりに、と心がけてやっと正しい位置に持ってこられるような感じです。 また、よく響く位置は楽器によっても違うので、基本の位置が上下にずれていることはよくあります 僕の楽器は定位置が少し上気味になっているので、スルタスト気味にしてしまったりと周りに迷惑を掛けてしまうことも多いです

Re: Re 高調波についての質問 投稿者:RY 投稿日: 9月13日(火)14時12分43秒   引用
志賀さん

そうですか、一概に言えないのなら、正確に基本周波数の比率を見つけ出すのは難しそうなですね。

もう少し勉強して、いろいろ試してみたいと思います。

Re: Re 高調波についての質問 投稿者:RZ 投稿日: 9月20日(火)20時08分13秒
RY さん

< 正確に基本周波数の比率を見つけ出すのは難しそうなですね。>

難しいというよりも,物理的に,基本周波数に対してどの高調波がどの程度の比率で重なっているかがその音の音色を決めているので,音色の違う音はみな違う比率になっている訳です。ですから,もとも,「決まった比率」というものが無いのです。特定の楽器を特定の奏法で奏いた場合に初めてその比率は決まるということです。

KI さん

< celloを弾くとき、弓をどの位置に乗せるかというのは非常に重要なことです>

これは,他の弦楽器,例えばギターでも同じですね。硬い音を出すときにはコマ近くを強く弾く,軟らかい音を出すときには弦の真ん中近くを弾く。そして,ハーモニクスという奏法は,弦のある特定の高調波(完全にそれのみではないですが)を鳴らす奏法です。

志賀さん

< 2次元振動体(太鼓など)の高調波は整数式では与えられません。>

以前に,「振動モード」のときにお示しした

http://aitech.ac.jp/~inomoto/ino/taiko/d_vib1.html

に円形の膜(太鼓など)の振動モードの図がありますが,基本的に,これらのモードの振動が高調波の振動になります。その振幅比率は,志賀さが書かれているように,叩く位置などにより変わります。

上記のページによると、高調波の周波数比は志賀さんが書かれている通り、ややこしい値になっています。

1 ………(基本周波数)
1.5933
2.1355
2.2954
2.6531

高調波や倍音という言葉は定義が曖昧で誤解して使っている人も多いようである。とりあえず理化学事典(電子版)を見ると、

高調波:一定の周波数fをもつ(正弦波でない)波をフーリエ分解したとき,周波数が基本周波数fより高い成分をいう.周波数nfのものをn次高調波という.』

倍音
上音のうち,周波数が基本音の整数倍のものをいう.弦の振動による音はだいたい倍音構成になっているが,板や膜の振動の場合の上音は倍音にならな』(ここで上音という言葉を使ってあり、基音より高い成分のことをさすがあまり一般的に使われていない)

とある。

上の議論に出てくるように、高調波
(上音)の周波数が基音の整数倍となるのは弦楽器など特殊な場合のみで、太鼓などの平面楽器、音声、自然界の音などの高調波(上音)は一般的には簡単な整数比では表せない。正確には高次振動モードというべきであろう。

なお、オーディオ機器の非直線性によって生じる高調波は全て倍音関係にある。ここを参考に!


http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/distortion.htm

真空管アンプなどで高調波を多く含んでいるから「いい音」がするという人もいるが(これは主観なので否定しようがない)あくまで原音には無い歪んだ音を「いい音」として感じているということである。

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