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ブラインドテストの投稿について

この掲示板に「自分でブラインドテスト(正確にはDouble Blind Test 以下 DBT と呼ぶ)をしたら差があった」という投稿が時々あります。これについては原則的に取り上げないことにしてますが、以下の投稿はかなりまじめに取り組んでおられる報告と判断し、あえて取り上げ、それでもやはり「なぜこういう場所で議論するにはふさわしくない」かということを理解してもらう一助としたいと思います。

Re アンプの試聴テスト 投稿者:志賀 投稿日:12月31日(土)10時04分4秒
SZ  さん

<ブラインドでの試聴結果に興味があり、以下のような実験をし、中間結果が得られました。先生言う所の科学的見地からのご意見をいただけませんでしょうか?また、統計的に見て差の有無はあるのでしょうか?>

・・・・・・・・・・・・

なかなか面白い結果ですね。このデータだと統計を取るまでもなく CさんやDさんは100% 正解ですね。黄金の耳の持ち主なんでしょう。

私自身ではとてもこうはいかないので、

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/ampblind.htm

に今まで公開されているブラインドテストの結果を紹介し見る人の判断に任せています。けっして「アンプの音質など誰にも分からない」などといっているわけではありません。

ところで、ブラインドテストについては、信頼性が最大の問題です。特に施検者も機種を知らないといった「ダブル」ブラインドになっているかなども重要です。しかし、信頼性についてネット上の掲示板で議論すると、失礼でもあり、板が荒れる原因にもなります。ということでこれ以上のコメントは差し控えさせて頂きます。

そこで提案ですが、その実験の方法や結果の詳細を出来れば雑誌に投稿されるか、それが無理ならご自分のホームページに公開して下さい。もし業者関係の方なら出所を明らかにする必要があります。

それを見させて頂いた上で、私が信頼できそうだと判断し、承諾が得られるなら上のページにリンクを張らせて頂きます。なを、このページの最下段にありますように雑誌の記事といえども、また私の意見に沿うような結果であっても、採用しない場合もあります。

また、全くの個人のHPの場合、このご時世、ネット上の情報だけで信頼性を判断するのは大変困難であるということも含み置き下さい。

なお、統計的な取り扱いをする場合このように数台のアンプを一度に取り扱うと難しくなりはっきりした結論が出ない恐れがあります。できれば、ABX法に沿って実施されることをお薦めします。方法は

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/abx.htm

に書いてあります。


途  中  略


Re ブラインドテストのデータ 投稿者:志賀 投稿日: 1月 8日(日)06時44分15秒   引用
SZ さん

<とりあえず、アップしておきました。
http://hsuzu.hp.infoseek.co.jp/  '(すでにリンク切れのようです)

拝見させて頂きました。
被験者はSZさん自身ですね? この結果を見るとずいぶん良い耳をしておられますね。プロとしてやってこられたようですが、さすがだと感服しました。

このような実験と結果が公開されるのはおおいに歓迎するところです。

少し気づいたところを、書かせて頂きます。細かいことのようですが、結果に直接関係なさそうでも,差し支えない範囲で周辺の条件などを記しておくことはデータの信憑性を増すためにも大事なことだと思っています。私ならこうするということで聞き流しておいて下さい。

被験者についてのデータ:年齢、性別、経験など

アンプの素性(こちらで調べてみました):マッキンのアンプは半導体ながら出力トランスを使用するというかなり個性的な設計ですね。KENWOOD の R-SX シリーズというのはいわゆるミニコンポの一部ですね。AB級動作(最大出力20W)とA級動作を切り替えて使えるというのが特徴ですね。それぞれの価格も興味あるところです。

ソース:ソースによって結果が結構違いますね。具体的にはどんなソースか興味あるところです。

最後の R-SA7 と R-SG7 は自身がないのでパスというのは、この場合は鈴木さんの耳を持ってしても聴き分けにくいということですか? こういう場合も全く同じ方法で実施するとどうなるかをやってみるのは信憑性を増す上で大事なことだと思います。

以上、取りあえずこんなところを知りたい(多分他の方も)思った点です。


Re:立ち会い検証会の提案 投稿者:志賀 投稿日: 1月16日(月)08時51分55秒   引用  編集済
SZ さん

<あと、いくつか問題があります。ブラインドでの結果は非常に差が小さいことを述べていますので、アウエーは避けたいです。理由は、もし有意差を出せない場合、そこで>ディ・エンドとなってしまい、つまらない結末となることが予想され>るからです。こちらのスタンスとしては、差が出るまで頑張るという>ことです。それほど小さい差なら、と言われそうですが、HPでも書いてあるようにそれが趣味だからです。>

いみじくも、差が出るまで頑張るといわれましたね。それから、有意差がでない場合はつまらない結果といわれましたね。もし、この程度では差が出ないはずと思う施検者が、差がわかるはずだと主張する被験者にたいし、頑張って試験方法を練り上げれば結果が大きく違う可能性がありますよ。実は物理の実験でさえ、結果が実験者の先入感に支配されることもあります。このような微妙な実験ではなおさらです。学術的な論文なら経験あるレフェリーがおり、実験方法などに問題があれば掲載が拒否されます。

正直言ってSZさんのケーブルについての実験結果を見て何か問題がありそうだと感じています。しかしそれが何処かということをネット上の情報だけから指摘するのは不可能です。また、掲示板上で議論すれば荒れてしまうのは火を見るより明らかです。そんなこんなで、先の「コメント」になるわけです。このHPもある程度の基準を守りたいので、今後個人のブラインドテストの結果は一切取り上げないことにします。

結局、投稿者は納得されていないようなのですが、私に言わせれば例えばケーブルのテストでは切り替えに使用するリレーの接触抵抗などが非常に重要ですが、これについては何も触れられていません.。また、何とか差を出したいという人が主催するブラインドテストは、都合のいいデータだけを採用することなども考えられ、信用できません。正しい知識を持った公正な第三者が主催する必要があります。そうでない場合、これが学術論文なら「実験条件が明示されていないので掲載不可」ということになるでしょう。

また、昨今の世情を考えると、業者がデータを捏造し投稿するということも可能性として排除出来ません。

それやこれやで、やはりこういう場で議論するにはふさわしくない話題です。

ところで、私が二言目にはDBTの結果でないと信頼出来ないといいながら、個人で行ったDBTは信用出来ないというのは矛盾しているではないかと指摘する向きもあるかもしれません。しかし、そうではなく、個人で実施し、その結果をネット上で公開ししただけの結果では、上に述べたような理由で、私を含め第3者を納得させる客観的なデータとは見なせないと言うことです。では、DBTを行うのは意味がないか? そうではありません。これは他人を説得する目的でなく、自分自身が「思いこみの影響を受けていないだろうか?」ということを確かめるためには大いにやる価値があります。是非そういう疑問を持った人はやってみて下さい。ただし、厳密なDBTというのは大変難しいものですが。

なお、HP上で聴いて分かるような差が無いだろうと主張している場合、決してブラインドテストの結果を根拠としているわけでありません。物理特性上の差が、従来認められている人間の聴覚の検知限を遙かに下回っているかどうかを判断の基準としています。この点誤解をしている人が多いようです。

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