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ヘッドホンとスピーカー

ヘッドホンの頭内定位について 投稿者:NY 投稿日:2014年 8月29日(金)23時47分49秒  

日本音響学会のQ&A 126 にへッドホン非日常的で頭内定位になるとあります。これについて、ご意見をお教えください。

http://www.asj.gr.jp/qanda/answer/126.html

1、ヘッドホンは頭内定位になるのか

ここには、ヘッドホンを用いると、頭内定位になるとあります。確かに耳位置に音像ができるのは間違いありませんが、私の体験では音像が頭幅に入ってしまうわけではありません。広大な演奏空間を感じることもできます。

さて、コンサートホール中央席で目を閉じれば、反響音が大半わけで音像は決して前にはできず、丁度耳のあたりにできていると感じ取れます。したがって、純粋な音響の体験手段としては、スピーカ再生よりヘッドホンの方がライブに近いと思いますし、逆に音像が必ず前にできるスピーカは非現実的であると思います。

2、ワンポイントマイク収録の場合、スピーカよりヘッドホンの方が、情報の再現に好ましいのではないか

いうまでもなくワンポイントマイク録音とは頭幅よりやや広く指向性マイクをハの字に開いてセットする録音法です。左右のチャンネルで録音された音は、そのままスピーカやヘッドホンの左右のチャンネルにて再生されます。

さて人間が方向を感じられるのは次の方法によってでしょう。
a)左右の耳に入射する音の音量差、周波数特性上の音質差
b)音源からの到達時間差
c)頭部伝達関数(これがある故に片耳をふさいでも音源方向がわかる)

ワンポイントマイク録音にはc)の要素はありませんが、ab)の要素はあり、ある程度は現実の耳に近似する情報が録音できることでしょう。

さて、スピーカ再生では、反対側の情報も耳に届きます。この結果、録音には存在した左右の時間差情報や音質差情報はめちゃめちゃになってしまうように思います。他方でヘッドホンでは左右の情報が混じることはありません。左右マイクの位相差や音質差がそのまま耳に届きます。いうまでもなく、音楽の現場では単に楽器が一つなっているわけではなくて、様々な方向からの反響が響いているはずです。それら響きの関係を、ヘッドホンの方が正しく鑑賞できるのではないでしょうか。そのために、ワンポイント録音である限り、私はスピーカ再生より濃密で広大な空間を感じることができます。

これについて、世の中にはいろいろ意見があるようで、一つご意見を聞かせていただけたらと思います。私は、ヘッドホンが頭内定位(耳元に音像ができそれが頭の幅の中に納まる)になるのは、ステレオ音像を左右チャンネル間の音量差だけで作っている場合に限るように思うのですが。

Re: ヘッドホンの頭内定位について 投稿者:志賀 投稿日:2014年 8月31日(日)06時03分44秒    
NYさん

> さて、コンサートホール中央席で目を閉じれば、反響音が大半わけで音像は決して前にはできず、丁度耳のあたりにできていると感じ取れます。したがって、純粋な音響の体験手段としては、スピーカ再生よりヘッドホンの方がライブに近いと思いますし、逆に音像が必ず前にできるスピーカは非現実的であると思います。

そうなんですか? 私にはちゃんと舞台方向から聴こえます。これはハース効果(先行音効果)によるものだと自分では納得しています。(もちろん視覚の影響も無視出来ないでしょうが)

つまり、反射音が結構大きいホールでも音源の方向は最初に耳に届いた音、つまり直接音が音源の位置として認識されるというのが音響学の定説のようですよ。そんなわけで、私はヘッドホンは苦手です。


しかし、これは主観に関することなので、どれが正しい聴こえ方というのは議論するようなことではないですね。

アンケートでもとれば傾向はわかるとはおもいますが。


Re: ヘッドホンの頭内定位について 投稿者:NY 投稿日:2014年 8月31日(日)15時00分53秒  
志賀さん

それではヤフーの知恵袋にでもコンサートでの前方定位感について、「体験談」をきいてみたいと思います(本格的な実験はできない)

もう一方についてはいかがでしょうか。私は、2番目の左右クロストークについてはヘッドホンの方にメリットがあると思うのですが。

Re: ヘッドホンの頭内定位について 投稿者:志賀 投稿日:2014年 8月31日(日)21時04分43秒  
NYさん

もちろん、スピーカシステムではクロストークは避けられませんが、私には特に不自然には感じられません。 それより、ヘッドホンでの頭内定位や独特の閉塞感の方が気になりリスニングルームではヘッドホンを使う気になりません。

Re: ヘッドホンの頭内定位について 投稿者:NY 投稿日:2014年 9月 1日(月)06時29分38秒  
志賀さん

いくつか

1)閉塞感や耳元に音像ができるというのは、機材を使う以上どうしようもない点で、これは慣れるしかありません。しかしながら、一定の我慢・なれを前提に音楽を聴くのがオーディオというものの本質であるならば、ヘッドホンも十分に正当な音楽受容手段ではあると思います。

2)コンサートで前に音像ができないという点について、知恵袋で聞いておりますが、みなさん「そんなあほな」という反応でした。これは私の聞こえ方が特殊なのかもしれません。ひょっとしたら、回答の段階では実際に聞いているわけではないので、(ステージが目の前にあるという)圧倒的な経験からそういっているのかもしれませんが。ふつうは私みたいにコンサートで目を閉じて聴く習慣を持っておられない方が大半なんで。(これ以上は厳密な実験をしないとわかりませんね。)

私は他人より頭内定位の不快感に敏感ではないのかもしれません。

3)スピーカシステムのクロストークについて

スピーカのクロストークが存在するから正しい音像ができるという意見もあります。

http://saitamaaudio.web.fc2.com/Binaural_recording/Binaural_recording.html

スピーカのクロストークのせいで、盤には収録されていた音像情報が消えてしまうという意見もあります。それを、根拠が明らかでない室内音響でごまかしているのが従来のスピーカで、結果として録音された情報と再生は似ても似つかないものだと、主張されます。逆にそれをありのままに聴取できるのがヘッドホンだだそうです。

(頭内定位の方からは、ヘッドホンは情報を耳に届ける能力はあっても、正しい再構成ができていないと評価できるでしょう)

http://homepage2.nifty.com/stereohall/3Dsound.htm

いずれが正しいのでしょうか

4)バイノーラル録音
上の方のリンクにはバイノーラル録音のサンプルがあります、言うまでもなく、録音系と再生系を同じ形にするという意味で理想的な方法ですが、スピーカとヘッドホンの両方の欠点をうまく解消できているとは思います。クロストークは存在せず頭内定位にもなりません(が前後方向の距離感までは再生できません)

さて、クラシックでよく使うワンポイント録音は、バイノーラル録音からダミーヘッドを取り除けばかなり近い形になると思います。もしワンポイント録音でバイノーラルに近い効果が得られるなら、ヘッドホンの欠点を一定は緩和できるかもしれないと思い始めているところです。


Re: ヘッドホンの頭内定位について 投稿者:志賀 投稿日:2014年 9月 3日(水)06時15分13秒    
NYさん

まず始めに、このような問題(音がどう聴こえるか)は主観の問題であり個人差も大きく、どれが正しい聴き方(聴こえ方)であるということはありません。いい替えれば、いみじくもNYさん自身が経験された(コンサートホールの音)ように、自分にはそう聴こえても他の人はそうとは限らないということです(当たり前のことですが)。

> 1)閉塞感や耳元に音像ができるというのは、機材を使う以上どうしようもない点で、これは慣れるしかありません。しかしながら、一定の我慢・なれを前提に音楽を聴くのがオーディオというものの本質であるならば、ヘッドホンも十分に正当な音楽受容手段ではあると思います。

上に書いたように、NYさんがそう思われるなら他人がとやかくいうことではないと思います。

> 2)コンサートで前に音像ができないという点について、知恵袋で聞いておりますが、みなさん「そんなあほな」という反応でした。これは私の聞こえ方が特殊なのかもしれません。ひょっとしたら、回答の段階では実際に聞いているわけではないので、(ステージが目の前にあるという)圧倒的な経験からそういっているのかもしれませんが。ふつうは私みたいにコンサートで目を閉じて聴く習慣を持っておられない方が大半なんで。

ちょっと別の見方をすると、オーディオの科学の「音像定位どうして決まるか?」のページ

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/soundimage.htm#audiosystem

「さて、以上はあくまで耳に音が達するまでに物理的な音情報がどの様に伝わるかを論じたものである。最近の、脳科学の進歩により、外界の知覚、(ここでは音像の形成)はストレートに物理情報を反映するものではなく、過去の記憶、(間違った知識などを含め)色々な知識、視覚情報などと脳内で結合し約0.1秒程度かかって形成されると言うことが明らかになっている。・・・・」と書いています。例えば、「ホールでは反射音の方が圧倒的に強いので音は周囲から聴こえてくるはずだ」と思い込んでいると実際そのように聴こえるかもしれませんよ。(学術的には先行音効果により直接音の方向を音源方向と感じると説明されています)

> 3)スピーカシステムのクロストークについて
> スピーカのクロストークが存在するから正しい音像ができるという意見もあります。
>

> http://saitamaaudio.web.fc2.com/Binaural_recording/Binaural_recording.html
>
> スピーカのクロストークのせいで、盤には収録されていた音像情報が消えてしまうという意見もあります。それを、根拠が明らかでない室内音響でごまかしているのが従来のスピーカで、結果として録音された情報と再生は似ても似つかないものだと、主張されます。逆にそれをありのままに聴取できるのがヘッドホンだだそうです。

> (頭内定位の方からは、ヘッドホンは情報を耳に届ける能力はあっても、正しい再構成ができていないと評価できるでしょう)
>

> http://homepage2.nifty.com/stereohall/3Dsound.htm
>
> いずれが正しいのでしょうか

ちょっと質問の意味がよく分からないのですが、何と何を比較してのことでしょうか? いずれにせよ、最初に書いた理由によりどちらが正しいかを客観的に結論づけることは出来ないでしょう。 スピーカーとヘッドホンとの比較なら、聴いた人がより現実に近いと思った方がその人にとって正しいのではないのでしょうか? 私の場合はスピーカーシステムの方を選びます。私だけでなく、この掲示板に投稿される方はほぼスピーカーシステムで聴いておられるようですよ。ただし、外ではイヤホンでiPodの音を聴き音楽を楽しんでいます。

> 4)バイノーラル録音
> 上の方のリンクにはバイノーラル録音のサンプルがあります、・・・

http://saitamaaudio.web.fc2.com/Binaural_recording/Binaural_recording.html

このページの最後の方にあるリンク集のバイノーダル録音の音源は面白いですね。私の聴こえ方は、左右への移動はよく分かります。ただし、前後感はやはりほぼ頭の位置で、前方にあるとは感じられません。2つ目の車の音は、耳よりかなり外から近づき頭内を横切りまた外へ遠ざかっていくように感じられます。

Re: ヘッドホンの頭内定位について 投稿者:NY 投稿日:2014年 9月 4日(木)00時58分57秒  
志賀さん

>> 1)閉塞感や耳元に音像ができるというのは、機材を使う以上どうしようもない点で、これは慣れるしかありません。しかしながら、一定の我慢・なれを前提に音楽を聴くのがオーディオというものの本質であるならば、ヘッドホンも十分に正当な音楽受容手段ではあると思います。
>
> 上に書いたように、NYさんがそう思われるなら他人がとやかくいうことではないと思います。

ただ、ヘッドホンも音響製品の一つとして、スピーカとの得失を比較できるとは思います。
(特長として次を把握しています。「最低共振周波数以下が再生できるので、振動板を軽くかたくできる」「小さな入力で大音量をとり出せる。」「クロストークがない」欠点として「耳の横で鳴らすので頭内定位になる確率が高い」というところでしょうか。

> ちょっと別の見方をすると、オーディオの科学の「音像定位どうして決まるか?」のページ
>
> http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/soundimage.htm#audiosystem
>
> に「さて、以上はあくまで耳に音が達するまでに物理的な音情報がどの様に伝わるかを論じたものである。最近の、脳科学の進歩により、外界の知覚、(ここでは音像の形成)はストレートに物理情報を反映するものではなく、過去の記憶、(間違った知識などを含め)色々な知識、視覚情報などと脳内で結合し約0.1秒程度かかって形成されると言うことが明らかになっている。・・・・」と書いています。例えば、「ホールでは反射音の方が圧倒的に強いので音は周囲から聴こえてくるはずだ」と思い込んでいると実際そのように聴こえるかもしれませんよ。(学術的には先行音効果により直接音の方向を音源方向と感じると説明されています)

こういうのもあるかもしれませんね。(似たようなケースは心理学でたっぷり勉強しました。)いずれにしても、私は普段はヘッドホンで聞かざるを得ないわけで、自然に「それが悪いものでない」と判断するバイアスがかかります。

上のリンクはべんきょうしてみますね。

>> 3)スピーカシステムのクロストークについていずれが正しいのでしょうか
>
> ちょっと質問の意味がよく分からないのですが、何と何を比較してのことでしょうか? いずれにせよ、最初に書いた理由によりどちらが正しいかを客観的に結論づけることは出来ないでしょう。 スピーカーとヘッドホンとの比較なら、聴いた人がより現実に近いと思った方がその人にとって正しいのではないのでしょうか? 私の場合はスピーカーシステムの方を選びます。私だけでなく、この掲示板に投稿される方はほぼスピーカーシステムで聴いておられるようですよ。ただし、外ではイヤホンでiPodの音を聴き音楽を楽しんでいます。

どなたかが、スタジオはクロストークを前提に音決めしているのだから、スピーカにはクロストークがある方が正しい、と主張しておられました。確かに普通のマルチマイク録音では、音像定位は音量だけで決めていますし間違いではないかもしれません。でもワンポイントマイク録音なら左右チャンネルに位相や音質差をつけくわけで、その場合は「クロストークがある方がいいという主張」がどうしても理解できないのです。(その場ではワンポイントマイク録音の話でした。)

その辺、何か情報を持っておられないかという趣旨でした。

>> 4)バイノーラル録音
>
> このページの最後の方にあるリンク集のバイノーダル録音の音源は面白いですね。私の聴こえ方は、左右への移動はよく分かります。ただし、前後感はやはりほぼ頭の位置で、前方にあるとは感じられません。2つ目の車の音は、耳よりかなり外から近づき頭内を横切りまた外へ遠ざかっていくように感じられます。

私も前方定位は感じません。前といっても精々顔の皮に張り付いているという感じです。ただ、空間感が巨大というか、頭幅でスピーカが鳴っていると感じる頭内定位の場合と違って、頭の存在が消えてしまうような感じはありますね。

耳元で鳴らすんだから、耳元に音像ができるのは仕方ないんじゃないかな、と思います。
バイノーラル録音のサンプルはもう一つ見つけました。ローランド社 こちらはワンポイントステレオマイクと比較があります。

http://www.roland.co.jp/recorder/CS-10EM/#about

確かに両方大きな差があります。ただしステレオマイクの方は音質も貧弱で、プロ用モノラルペアマイクを使ったわけではないようです。(ワンポイントステレオマイクだから、ステレオ感は左右CHの音質差だけで構成されているハズ)市販ワンポイントマイク録音と比較したらどうかなあと思っています。

Re: ヘッドホンの頭内定位について 投稿者:志賀 投稿日:2014年 9月 4日(木)14時04分3秒    
NYさん

> ただ、ヘッドホンも音響製品の一つとして、スピーカとの得失を比較できるとは思います。


はい。おっしゃる通りです。私の感じているメリット、デメリットを重要度順に挙げてみます。

まずメリットは、

(1) 外へ音が漏れないので周囲に迷惑をかけず大きな音が出せる。
 夜中に聴きたい場合は私も使っています。

(2) 逆に、外部ノイズの影響を受けないので集中でき小さい音も逃さない。従って、モニタリングに適している。

(3) 振動板を非常に軽く出来るので過渡特性がすぐれている。
  弾性制御領域を使っているので重低音を含め良質の低音が得られます。
(http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/9722dynamicspeaker.pdf
のV-9ページ参照)

(4) クロストークが生じない。
 これは私にとってそれほど重要とは考えていません。定位が悪くなるという人もいるでしょうが、もともとステージ音楽を聴く場合、目をつぶると楽器の位置がはっきり分かるわけでもないので。それと録音方式にもよるでしょうが、左右の情報はかなり手を加えられている場合が多いようで、これにこだわっても意味が無いと思っています。もちろん、バイノーダル録音の場合は重要でしょうが。

一方デメリットは

(1) 頭内定位となり、違和感がある。
これが私がヘッドホンを使わない最大の理由です。最近はNHKのコンサート番組をテレビモニターを見ながら聴く場合が多く、特に違和感が大きくなります。

(2) 中高音での周波数特性が乱れる。
これは、メリット(3)の裏返しで、弾性制御領域を使っているのでf0 以上の高音の音圧が低下し、又振動板と鼓膜の間の複雑な空間で生じる固有振動のため中高音の周波数特性が乱れる。このことは、例えば


http://sonove.angry.jp/index.html

このサイトの測定例を見るとよく分かります。一説によると、この固有振動を利用して高音の音圧の低下を補っているいると聞いたことがあります。つまり、機種によりかなり癖のある音となる。

といったところです。

> バイノーラル録音のサンプルはもう一つ見つけました。ローランド社 こちらはワンポイントステレオマイクと比較があります。
>
> http://www.roland.co.jp/recorder/CS-10EM/#about

さすがにプロが作っただけあって、バイノーダルの効果はなかなかのものですね。森の中の鳥の声などかなりリアルに聴こえます。この場合は自分が中心で周囲から音が聴こえる環境なので頭内定位は気になりません。音楽ソースは近くで録音したとみられるドラムの演奏だけで、ステージで演じるオーケストラ曲の場合どんな感じになるか聴いてみたいところです。

Re: ヘッドホンの頭内定位について 投稿者:NY 投稿日:2014年 9月 5日(金)01時27分47秒
志賀さん

> (2) 中高音での周波数特性が乱れる。
> これは、メリット(3)の裏返しで、弾性制御領域を使っているのでf0 以上の高音の音圧が低下し、又振動板と鼓膜の間の複雑な空間で生じる固有振動のため中高音の周波数特性が乱れる。


http://www.innerfidelity.com/content/more-stax-measurements-sr-009-sr-007-sr-507-sr-404-ltd-sr-404-and-sr-003

このSR-009 007 404使ってます。どれもハイが下がってるんですが、009は昔から言う理想のf特(1kターンで3db/oct落とす)にかなっているようにも思いますが。また、実装状態のスピーカよりかなり山谷が少ないようにも思いますが、いかがですか?(測定ではハイが下がっているようにみえるが、聴感はフラットややハイ上がりに聞こえる。それも不思議なところです。)

Re: ヘッドホンの頭内定位について 投稿者:NY 投稿日:2014年 9月 5日(金)01時42分16秒  

追加

このグラフの補正の根拠がどこかにあったはずですけど……見つかりません。

頭は集音効果がありまして、中高域が持ち上がる。ヨーロッパ規格にその分を除外したヘッドホンの理想周波数特性があると聞いたことがあります。それじゃないかしらと勝手に思っています。

Re: ヘッドホンの頭内定位について 投稿者:志賀 投稿日:2014年 9月 5日(金)06時28分53秒  
NYさん

>> (2) 中高音での周波数特性が乱れる。
>> これは、メリット(3)の裏返しで、弾性制御領域を使っているのでf0 以上の高音の音圧が低下し、又振動板と鼓膜の間の複雑な空間で生じる固有振動のため中高音の周波数特性が乱れる。

http://www.innerfidelity.com/content/more-stax-measurements-sr-009-sr-007-sr-507-sr-404-ltd-sr-404-and-sr-003
>
> このSR-009 007 404使ってます。どれもハイが下がってるんですが、009は昔から言う理想のf特(1kターンで3db/oct落とす)にかなっているようにも思いますが。また、実装状態のスピーカよりかなり山谷が少ないようにも思いますが、いかがですか?(測定ではハイが下がっているようにみえるが、聴感はフラットややハイ上がりに聞こえる。それも不思議なところです。)

まず始めに、この掲示板の冒頭の注意書きにあるように個人の主観を根拠とする議論はしないことにしています。議論の対象とするのは客観的な事実に限ります。この場合は紹介いただいたページのデータがそれで、その中のf特を見る限り(2)の特徴がよく現れていますね。

ただ、これらは皆静電型ですね。最初の投稿ではHD-800というダイナミック型のヘッドホンを使っているということだったので、ダイナミック型を念頭に置いて議論していました。静電型はボイスコイルが不要なので振動系全体の質量もほとんど0に出来るのでQが限りなく0に近く、むしろ抵抗制御型といってもいいですね。その場合(2)の欠点、特に高音での音圧の低下は少ないと思います。

凹凸について、「実装のスピーカーの凹凸」とは要するに部屋の定在波による凹凸のことですね。それなら、低音域では明らかにヘッドホンが優れています。低周波の固有振動は発生しないですから。ヘッドホンの場合は中高域の凹凸が問題となります。こちらはいわゆる「音色」に関係してくるので気になるところです。中高音の凹凸については、スピーカーもピンからキリまであるので何と比較するかが問題ですが、どちらもハイエンドということで(価格は大きく異なりますが)


http://shigaarch.web.fc2.com/electrostaticSP.html

この辺りと比較するとどうでしょう? といってもどちらが凹凸が大きいかというのも多分に主観の問題なので議論しにくいですね。

なお、理想のf特については知りませんでした。これもやはりちゃんとした根拠を示してもらわないとコメントしようがないですね。


Re: ヘッドホンの頭内定位について 投稿者:NY 投稿日:2014年 9月 5日(金)07時51分48秒  
志賀さん

>> このSR-009 007 404使ってます。どれもハイが下がってるんですが、009は昔から言う理想のf特(1kターンで3db/oct落とす)にかなっているようにも思いますが。また、実装状態のスピーカよりかなり山谷が少ないようにも思いますが、いかがですか?(測定ではハイが下がっているようにみえるが、聴感はフラットややハイ上がりに聞こえる。それも不思議なところです。)

> なお、理想のf特については知りませんでした。これもやはりちゃんとした根拠を示してもらわないとコメントしようがないですね。

弾性制御は、イヤホンだけでなくてヘッドホンもですか?どのiやパッドも結構スカスカですよ。

HD-800もつかってますが、SR-009の方がフラットでして……

ヘッドホンをスピーカの無響室特性と比べるのはフェアではありません。実際のリスニングルームにおいて、聴取位置で測らないと。

理想のf特は探してみます。ずいぶん昔からスピーカ再生時の室内のF特はこうあるべきだといわれてきたやつなんですが。(グラフは目に浮かぶんですが……どこにあったか?)

Re: ヘッドホンの頭内定位について 投稿者:志賀 投稿日:2014年 9月 5日(金)10時14分1秒  
NYさん

> 弾性制御は、イヤホンだけでなくてヘッドホンもですか?どのiやパッドも結構スカスカですよ。

イヤパッドのことですね。確かにヘッドホンの場合、空気漏れも大きく、f0 も比較的低いのでスピーカーに近いかもしれません。ただスピーカーのようにf0 でのインピーダンスピークがはっきりしないものが多く、抵抗制御型に近いかもしれません。かなり機種依存性が大きいのでは?

> ヘッドホンをスピーカの無響室特性と比べるのはフェアではありません。実際のリスニングルームにおいて、聴取位置で測らないと。

例えばこんな例もありますよ。私が時々引用させてもらう方のデータで普通の部屋で測っておられます。

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/position.htm

測定法等の詳細は引用先のサイト(http://seppotl.web.fc2.com/ )を参照して下さい。
しかし、いろんな例で比較し出すと切りが無いのでこれくらいにしておきます。

ただ、スピーカーの場合上のページに書いたように中心軸から外れると左右スピーカーからの音の干渉でf特にはっきりした凹凸が生じます。これに気づいている人はあるかもしれませんが誰もこれについて語ってないですね。干渉による凹凸と固有振動による凹凸はだいぶ性格が違うのであまりf特の乱れとして感じないのかもしれません(私もです)。

いずれにせよ、スピーカー再生にも色々問題があることはいうまでもありません。私がヘッドホンを使わないのは、何度もいっていますが頭内定位が気になるからです。


Re: ヘッドホンの頭内定位について 投稿者:NY 投稿日:2014年 9月 7日(日)01時01分3秒  
志賀さん

頭内定位とクロストークはあとで、周波数特性からです

○周波数特性のハイ下がり

まず高域を下げる「理想のf特」ですが、探したけど根拠は見つかりませんでした。中島平太郎氏の「ハイファイスピーカ」にあったと記憶していたのですが、違ったんですね。長岡鉄男氏が言っていたのかもしれません。長岡氏の本は捨てちゃったんで、ありません。記憶に基づいて再構成します。

「室内実装状態のスピーカの特性は、2khz以上を3db/octでだら下がりにするのを基本とする。許容誤差は300hz以下で+−5dbそれ以上で+−3db」、「スピーカの軸上特性がフラッなら、指向性の問題から室としての特性はおおむねこのようになる。低域は定在波が出たりして山谷が出やすいので甘くしてある」

そういうようなものだったと記憶しています。長い間これが常識だと思っていました。ホールの音響特性もオーケストラもハイ逓減ですよね。

別所の掲示板ですが、ヘッドホンの周波数特性は1khzに対し20Khzで10db下げるべきだと言されています。ヘッドホン屋のInnerFidelity(Tyll)とHeadRoomの両方がそう主張しているそうです(どちらもまだ見つけてません)

http://www.head-fi.org/t/621572/fr-graphs-neutral-yet-below-0-db/15

これも記憶で申し訳ないのですが、ツイータの10khz以上が1m軸上特性のように実際にフラ
ットで出力されているなら、出すぎに聞こえるはずだ、という雑誌記事も見たことがあります。

こういう周波数特性ハイ下がりが望ましいという主張は、単に個人の好みを言い立てているだけなのか、何か経験的な根拠があるのか、知りたいところではあります。(ヘッドホンのハイ下がりが、意図されたものなのか、物理的制約による必然なのかも。)ただし、私の耳にはSR-009もHD-800もグラフと逆にややハイ上がりに聞こえるんですが?世の中にはハイ上がりのイヤホンもあるんですよ。耳の集音効果を補完して実質フラットを実現していると称するER-4s。でも、これはかなりハイがかかっているように聞こえます。

○弾性制御の利用
SR-404を利用して35hz-40hz正弦波を再生し、イヤパッドに隙間ができないようにヘッドホンを押し付けた場合と、逆にわざと隙間を作った場合を比較しました。やはり隙間がある方が少し音が小さくなります。それほど大きな差ではありませんが。(音量差はアンプの目盛1/20に相当)

○先の、中島氏の本から、ヘッドホンのf0は8-10khzにあると思っていました。10k以上が暴れても、ダラ下がっても、あんまり音には関係ないと思います。まあ、これは古典的な本で、いまではちがうのかもしれませんが。

さて、f0がどこにあろうと、ヘッドホンの中高音再生で耳との間で反射や回折や干渉などがあって、周波数特性に山谷が出るのは事実でしょう。それに対して、今ではスピーカの無響室軸上1m特性は大幅に改善され、ヘッドホンのf特よりはるかにフラットなものができます。しかしヘッドホンは、その音がそのまま耳に届くのに対して、スピーカは耳に届くまでにさらに室音響が媒介しなければならないのです。無響室軸上1mで聞かれるスピーカは存在しません。それゆえ、室音響や左右の干渉をのぞいて、両方の裸のユニットだけを比べるのは、あまりフェアなやり方とは言えません。

問題は、ヘッドホンの山谷が、スピーカのオーディオルーム実装状態の山谷と比べ、どうなのかということです。そういう目で見るとSR-009もHD-800もHD-650も、素晴らしい中高域特性を実現しているようにおもうのですが。

http://www.innerfidelity.com/headphone-data-sheet-downloads

ただ、ヘッドホンのf特はよくわからないところが多いです。SR-404L メーカー発表(ウェブにありました。λ系はどれも似ています)

http://moonmadness.cocolog-nifty.com/uk/2009/05/stax-sr-404-lim.html

このサイトの測定とメーカ発表が違うんですよ。さらに頭や耳たぶや耳穴の集音効果ってのもありますし。

○スピーカの左右の干渉によるf特の山谷ですけど、正弦波やホワイトノイズ再生なら別、音楽を聴く場合はそれがモノラルでも、頭を揺らしてもわかりません。なぜなんでしょうねえ。共振性のピークならはっきりわかるのに?

機種によるのですが、聴取位置による違いが分かる場合があるのは耳の上下位置の方です。昔サテン音響の社長宅で、言われて上下数センチを合わせると、急に信じられないような奥行きがでるという体験をしたことがあります。盤はDGGのカラヤン/ブラームス3番。いろいろ試聴していると、上下位置での芯を持ったスピーカは、ハイエンド機に時々あるようです。そういうのは芯を外すと全然ダメになる。ユニットの位相管理が厳格にできているのかもしれません。ただ、私は家で基本6db/octのネットワークで3wayを組んでいるのですが、上下位置で芯はできません。

Re: ヘッドホンの頭内定位について 投稿者:KZM 投稿日:2014年 9月 7日(日)09時57分32秒  
NYさん

>こういう周波数特性ハイ下がりが望ましいという主張は、単に個人の好みを言い立てているだけなのか、何か経験的な根拠があるのか、知りたいところではあります。

残念ながら、すべてのお話が記憶や感想と言った感覚的なものばかりで、他者と議論できるレベルになっていません。

ヘッドホンやイヤホンの実測結果は、装着の状況によって変わってしまうので、正確な基準は作れません。仮に人間がヘッドホンを限りなくまっすぐ装着したときにイヤパッドにかかる圧力を規定したとしても、耳介の形も頭の大きさも人によって違いますから、そのような(人に対する)基準は意味を持ちません。

本格的なヘッドホンの実測では、ダミーヘッドで多数回測定し、分布を見て特性を算出します。もちろんこれは、そのダミーヘッドの耳介共鳴を前提とした結果ですから、あくまで再現性をもつ基準を作りたいからやることで、一人ひとりのユーザーが使ったときの特性とは違います。条件が違うので、メーカー発表と個人の実測結果が違うのには何の不思議もありません。

周波数特性のハイ下投稿者:WT 投稿日:2014年 9月 7日(日)10時29分33秒 NYさん

>まず高域を下げる「理想のf特」ですが・・・

これはリスニングルームの設計などをしている加銅鉄平さんの主張ですね。数多くの部屋を測定し、設計した経験則から割り出されたそうです。2kHz以上が3dB/octで下がっているのが良いとされてます。しかし、これはリスニング席でのF特の話であって、スピーカーの軸上のF特の話ではありません。ですからこれをヘッドフォンの理想F特として考えていいかどうか、若干の疑問があります。詳しくは、「リスニングルームの設計と製作例」(誠文堂新光社)に書いてあります

Re: ヘッドホンの頭内定位について 投稿者:志賀 投稿日:2014年 9月 7日(日)13時42分27秒    
NYさん

>「室内実装状態のスピーカの特性は、2khz以上を3db/octでだら下がりにするのを基本とする。許容誤差は300hz以下で+−5dbそれ以上で+−3db」、「スピーカの軸上特性がフラッなら、指向性の問題から室としての特性はおおむねこのようになる。低域は定在波が出たりして山谷が出やすいので甘くしてある」・・・
>そういうようなものだったと記憶しています。長い間これが常識だと思っていました。ホールの音響特性もオーケストラもハイ逓減ですよね。


これはワッチさんの投稿で出所は分かりました。そうだとしてもこのような特性はトーンコントロールでなんとでもなるんでは? トーンコントロールを使うのはいやだというマニヤもいるようですが。それと、ホールでの高音減衰は、吸音率が高音ほど大きいからではないでしょうか?

> 世の中にはハイ上がりのイヤホンもあるんですよ。耳の集音効果を補完して実質フラットを実現していると称するER-4s。でも、・・・

それはそうだと思います。以前にも書きましたが、空間の固有振動を利用してハイ上がりにしているという話は聞いたことがあります。実際こんな論文を見つけました。

http://auris.pu-toyama.ac.jp/PDF/ASJ20070927_2-2-1.pdf

これによると、HD200 というのがヘッドホンですがやはり外耳道の共振が2.5kHz くらいに有り、これが中音のレベルを上げているようです。

> ○弾性制御の利用
> SR-404を利用して35hz-40hz正弦波を再生し、イヤパッドに隙間ができないようにヘッドホンを押し付けた場合と、逆にわざと隙間を作った場合を比較しました。やはり隙間がある方が少し音が小さくなります。それほど大きな差ではありませんが。(音量差はアンプの目盛1/20に相当)


私の主観ですが、ヘッドホンや、特にイヤホンでは装着状態により音量だけでなく音質もずいぶん変わりますね。特に密閉型では空気漏れがあると低音の音圧がずいぶん低下するように感じます。これは主観というより、理論的にもそうなるはずです。

> ○先の、中島氏の本から、ヘッドホンのf0は8-10khzにあると思っていました。

最近のデータは以前にも紹介した

http://sonove.angry.jp/index.html

に沢山あります。一番周波数の低い位置のインピーダンスのピークが振動板の共振周波数f0に当たると思います。それより上にピークがあるのもありますがこれは空気室の共振ではないかと思います。

これを見るとイヤホンの場合f0は2〜3kHz くらいのが多いですね。ヘッドホンの場合はかなりばらつきがありますがスピーカと同じくらいでf0が100Hz くらいにあるのが多いようです。これは設計思想にもよるんだと思います。


>10k以上> が暴れても、ダラ下がっても、あんまり音には関係ないと思います。まあ、これは古典的な本で、いまではちがうのかもしれませんが。

10kHz 以上ならそうかもしれません。しかし、測定によるとむしろ10kHz 以下の中音域が暴れています。この音域は音色に大きな影響を及ぼすところなのでご意見には賛同できません。

ただ、静電型のイヤスピーカーなどは中高音の暴れもそれほどでなく、過渡特性はいいでしょうから、頭内定位を除けば、理想に近い電気音響変換器といってもいいかもしれません。

>・・・・両方の裸のユニットだけを比べるのは、あまりフェアなやり方とは言えません。

だから、前回の回答で実際のリスニングルームでの測定例をお見せしたつもりだったんですがね? 私は、スピーカーの方が臨場感を感じるのですがこれは周囲から適度の反射があることも一因かと思っています。

Re: ヘッドホンの頭内定位について 投稿者:NY 投稿日:2014年 9月 8日(月)21時28分39秒    
みなさま

まず私のポジションをご説明いたします。

私は皆さんのようなオーディオ研究者でもなくマニアですらないでしょう。大体文系ですし。マルケヴィッチのサイトを作ろうと、文献や盤集めをしているところで、再生音が貧弱でも音楽が一番派です。ここには、主観的意図としては議論をしに来ているのではなくて、疑問点を質問しに来ているわけです。

いま、私のようなポジションのものに、疑問を解いてくれるようなツールはありません。世のオーディオ書籍や雑誌は、宣伝以上のものではなく、素人の私にもはっきり異様と思えるような言説が堂々とまかり通っているのですから。それを超えるといきなり数式ばかり。

もちろん当方は一般サラリーマンですから、学ぶ時間などほとんどありません。それゆえ、紹介いただいた情報もきちんと見ることはすぐにはできません。アーカイブ合わせておいおい見させていただきます。

さて、周波数特性についてはよくわかりました。長年の疑問がいくつかとけ、ありがとうございました。これ以上は自分で計測し検証しないといけないのでしょうが、その余裕はありません。

ひとつ、ご紹介いただいたサイトのリスニングルームの実測値は素晴らしいのですが、長岡さんが各所で実測した結果はこのようなものではなかった記憶があります。彼の使っていたのは1/3オクターブのバンド幅の計測器ですが、それでもほとんどの計測結果に+−15dbほどの広い山谷がありました。こういうのよりはヘッドホンの方がましと思います。またフラット特性は計測器を使って相当根性を入れて取り組まないと達成できないのではないかと思います。

周波数特性はここまでにしましょう。本当に雑談レヴェルですね。

一番聞きたかったことの一つをお尋ねします。

普通の左右音量差だけで定位を作っているような録音なら、左右クロストークは定位を定位を悪化させるだけ、と言い切っていいでしょう。

しかしワンポイントマイク録音の場合は、どうなのかよくわからないのです。ワンポイントマイク録音の場合は左右チャンネルに位相差があります。カリオペとかエコーマシンも卓も使わない録音では、残響成分についてもこのことが言えます。

「現場の両耳で発生するはずの位相差を左右チャンネルに収録した録音の再生時に、クロストークはどのような影響があるのでしょうか。単に定位が悪化するだけなのか、音質とか音場感とか、より重大な問題が発生するのでしょうか。」(重大というのは私の主観的判断です。私も定位は重要視しません。)

次のように、クロストークは致命的な情報欠損をもたらすという主張もあります。

http://homepage2.nifty.com/stereohall/3Dsound.htm
この4と5

Re: ヘッドホンの頭内定位について 投稿者:志賀 投稿日:2014年 9月 9日(火)13時14分12秒    
NYさん

> さて、周波数特性についてはよくわかりました。・・・。これ以上は自分で計測し検証しないといけないのでしょうが、その余裕はありません。

そもそも計測結果は客観的事実です。自分でやったから正しいというものではありません。慣れないアマチュアが測ったデータより、論文等に公表されているデータの方が信頼出来ます。ちなみに私が考えている客観的事実とはこんなものです。

>いま、私のようなポジションのものに、疑問を解いてくれるようなツールはありません。

ポジションは分かりましたが、ここは「オーディオの科学」の掲示板であることをお忘れなく。投稿は歓迎しますが、お気に召さない回答が返ってきても悪く思わないで下さいね。ちなみに私は、理系人間ですがオーディオの研究者ではありません。あくまで趣味の範囲です。

> ひとつ、ご紹介いただいたサイトのリスニングルームの実測値は素晴らしいのですが、長岡さんが各所で実測した結果はこのようなものではなかった記憶があります。・・・ほとんどの計測結果に+−15dbほどの広い山谷がありました

ともかく実測値という以上その図を見せてもらわないと話になりません。失礼ながら、NYさんのこの手の話は記憶によるものばかりですね。私の推測ですが、言っておられるのは低音部分で定在波による凸凹のことではないですか? それなら、同じ方のデータで

http://seppotl.web.fc2.com/zht02/te0.html

ここに、定在波により周波数特性がどう変わるか詳しく調べられています。

あるいは、下でNYさん自身が紹介されているサイトの


http://homepage2.nifty.com/stereohall/setting.htm#定在波

このページの下の方(6.定在波の項)にも実測値があります。低音部はものすごく荒れていますね。定在波の影響です。

> 一番聞きたかったことの一つをお尋ねします。 普通の左右音量差だけで定位を作っているような録音なら、左右クロストークは定位を定位を悪化させるだけ、と言い切っていいでしょう。

普通、科学者ならちゃんとした根拠もなく言い切ったりしませんよ。 (リンク先参照)

> しかしワンポイントマイク録音の場合は、どうなのかよくわからないのです。・・・

この辺りは録音のセミプロであるNSさんにお任せです。(リンク先参照)

> 「現場の両耳で発生するはずの位相差を左右チャンネルに収録した録音の再生時に、クロストークはどのような影響があるのでしょうか。単に定位が悪化するだけなのか、音質とか音場感とか、より重大な問題が発生するのでしょうか。」 (重大というのは私の主観的判断です。私も定位は重要視しません。)

少なくとも高調波歪みや相互変調歪みは発生しません。位相、したがって定位には多少影響するかもしれませんが、よくいわれるように、クロストークにより「音が濁る」といったことはないでしょう。といっても「音が濁る」というのも主観的な表現で根拠がはっきりしません。多分混変調歪(相互変調歪)やノイズの混入に相当すると思いますがクロストークでは発生しません。もちろん濁ると信じている人ならそのように聴こえても不思議ではありませんが。

> 次のように、クロストークは致命的な情報欠損をもたらすという主張もあります。
>
http://homepage2.nifty.com/stereohall/3Dsound.htm
> この4と5

かなり独断的ですね。私は他人のホームページについて批判的なことは言わないことにしているので、これ以上はノーコメントです。

謝辞  投稿者:NY 投稿日:2014年 9月15日(月)11時21分55秒 返信・引用
皆様

失礼いたしました。紹介いただいた記事を十分に読み込まないのに、いろいろ質問したのは、確かにあまりほめられる態度ではありません。ただ、素人なりに言わせていただければ、過去記事は膨大で、どこに必要事項があるかなかなかわかりません。それゆえ。今後はもっぱら「どこにあるかお教えください」というポジションで投稿いたすことにいたしましょう。

 私としては、下の立場で自分の聞こえを相手に調べるしかないと思っています。

さて、私は自分の領域を未確立の身、領域を確立された方々に自己紹介などできるはずはありません。ただ、一つ気になった点を申し上げます。

もとより、あるグループは自分たちが依拠するするゲームのルールを自由に決められます。それゆえ、オーディオを「観察可能な客観性」という基準だけから扱うというやり方には、完全な正当性があります。ただし、オーディオという事象のそのすべてを扱おうとするなら、決して「観察可能な客観性」で終わることはないのです。

オーディオが客観的という基準だけで扱えないというと、ひとつにはオーディオは個人の主観的な選好に依存する消費財であるという点があります。さらにもっと本質的な点として、オーディオは音楽消費装置なのだという点があげられます。そして、音楽とは完全に主観的な心象だけからできているのです。

オーディオ機器の特性といったって、最終的には主観的な音楽の聞こえをどうするかということなのです。だからf得だって、大規模アンケートでは「暴れている方が好ましい」という主張も相当数みられるわけです(中島ハイファイスピーカより)またたとえば、あのバカバカしいケーブル騒動ですが、本当にそれが悪いのか。聴者が「よく聞こえれば」それが錯覚や暗示でもいいのじゃないかという意見には、否定できないところがあります。そもそも音楽とはそういうものですから。(ただしメーカが、それを暗示と分かっていて、それでも商売をするのはちょっと問題ですね。これはいわゆる記号消費で、どこでもやってますけど。)

だから主観性的なオーディオの取り扱い、または主観を加味したようなそれには、それなりの正当性もあると思います。そんなことをすれば、どんな結論も出せなくなり、わけがわからなくなってしまう可能性もあるのでしょうけど。哲学史と同じように。

主観と客観と 投稿者:WT 投稿日:2014年 9月15日(月)21時48分37秒 返信・引用
NYさん

多少誤解されているところがあるように思えます。

>オーディオは個人の主観的な選好に依存する消費財であるという点があります。ここに書き込みをされている人達は、オーディオを客観のみで判断しようとしている、と受け止めておられるように見えますがそれは違います。

 オーディオと言う趣味が(趣味というもの全てがそうですが)、主観を離れて存在し得ないことはここに書き込みをされている人達も重々承知している事柄です。

 ただこのサイトを主催されている志賀さんは、ここへの書き込みルールとして「出来るだけ客観的、物理的、科学的な側面から議論をしましょう」と言っているだけです。主観的な話は意味がないと言っているのではなく、それはまた別な所で話して下さいという事です。

 私も実はバリバリの文系出身ですから、紹介されている論文を読みこなすのはほぼ不可能です。しかし数式を読み飛ばしても、その論旨のアウトラインが読める場合もあります。要するにわかるところだけわかればいいじゃないか、という事です。所詮は趣味の知識であり、トリビアと変わりません。学者になるわけではありませんから、それで充分だと私は思っています。でも強い興味があれば、数学を一からやり直したっていいわけです。そういう人もいるでしょう。

脱線しましたが、脱線ついでにもうひとつ。

>音楽とは完全に主観的な心象だけからできているのです。

果たしてそうでしょうか?完全な主観であるならば一人の人間の心の中だけに生じ、消滅するのみです。非常に刹那的であり、また他人との共有は不可能になります。ただの主観ですからね。しかしバッハならバッハの、ベートーベンならベートーベンの音楽が時代を超えて変わらない価値を持ち続けられるのは何故でしょうか。それは主観でありながら客観であるという絶妙なバランスの上に芸術というものが成立しているからではないでしょうか。だからこそあたかも科学的真理のように時代を超えて音楽が生きているのだ、と思います。

Re: 謝辞  投稿者:RN 投稿日:2014年 9月15日(月)22時48分58秒 返信・引用
NYさん

> 音楽とは完全に主観的な心象だけ

例えば、ドとソの音は多くの人には綺麗に溶け合って聴こえるなどは物理的性質(周波数が2:3のような単純な整数比)と主観的な感覚とが結びついている、といったことがありますので、「完全に主観的な心象だけ」とは言い切れません。むしろ、ここでは主観的な印象等と物理量がどのように関係しているかにも興味を持っていて、「音の聴こえ方」

http://shigaarch.web.fc2.com/OldBBS/26soundfeeling.html

といった議論もされています。

要は「主観」に関することも、客観的な物理量等と合理的な根拠により関連づけて議論する限りはここでも議論の対象になると思います。

ただ、主観を述べただけではなかなか議論の対象にはならないということでしょう。

Re: 謝辞 投稿者:志賀 投稿日:2014年 9月16日(火)06時29分16秒
NYさん

私からも一言


>・・・・過去記事は膨大で、どこに必要事項があるかなかなかわかりません。それゆえ。今後はもっぱら「どこにあるかお教えください」というポジションで投稿いたすことにいたしましょう

過去録について

http://shigaarch.web.fc2.com/audioBBS.html

にはサイト内検索窓があり、ここにキーワードを入れ探せば話題が見つかります。

最近話題になった「クロストーク」についてもいくつかのページが見つかります。

ちなみに、


http://shigaarch.web.fc2.com/OldBBS/112crosstalk.html

このページの最後の部分

http://shigaarch.web.fc2.com/OldBBS/112crosstalk.html#conc1

には、上の疑問への答えも書いています。

> オーディオ機器の特性といったって、最終的には主観的な音楽の聞こえをどうするかということなのです。だからf得だって、大規模アンケートでは「暴れている方が好ましい」という主張も相当数みられるわけです・・・

私も、

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/HiFi.htm

このページに、「・・・・・また、高忠実度と言う点では半導体アンプに劣るにもかかわらず、真空管アンプのほうが良い音がするという人もたくさんいます。」と書いています

>あのバカバカしいケーブル騒動ですが、本当にそれが悪いのか。聴者が「よく聞こえれば」それが錯覚や暗示でもいいのじゃないかという意見には、否定できないところがあります。・・・・・

これがオーディオマニアの典型的な反応の一つですですね。それについては「お好きなように」というしかありません。おっしゃる通り、オーディオはきわめて主観的な趣味ですから。

ただ、これをいい出すと際限なくお金をつぎ込む羽目になりかねませんね。

ワンポイント録音

Re: ヘッドホンの頭内定位について-前方定位について 投稿者:NS 投稿日:2014年 9月 2日(火)10時08分33秒    
NYさん

> さて、クラシックでよく使うワンポイント録音は、バイノーラル録音からダミーヘッドを取り除けばかなり近い形になると思います。もしワンポイント録音でバイノーラルに近い効果が得られるなら、ヘッドホンの欠点を一定は緩和できるかもしれないと思い始めているところです。

ワンポイントとバイノーラルは原理が違いますので、ワンポイントにダミーヘッドを入れても、バイノーラルになるかというとなりません。

ワンポイントやバイノーラルなどのペアマイクは実際の音源の角度と音像定位の角度はずれます。中央は膨らみ、左右に行くに従ってギュッとつまった感じになります。ようするに魚眼レンズで見たようになります。これを専門用語で角度歪といいます。最初の図と2番目の図を参照(The stereophonic zoom By Michael Williams)。この図から中央部分の音像は大きくなり、考えているようなピンポイントに定位はしないのです。

この中央の膨らみで、前方中央定位が難しいと感じるのではないですか。この角度歪がもっとも大きいワンポイントの形式は、無指向性マイクを用いた方法です。

このごろのワンポイントマイクで収録と称しているものは、無指向性のDPA 4006を用いた録音です。ですから、中央に定位し難たい、前方に定位し難いのは、録音側に大きな原因があると思います。また、無指向性ですから、左右の到達時間、位相のみで定位感を出していますから、生身の人間ではありえないので、判断しにくくなると思います。この方式は響きが豊かですからねえ。バイノーラル録音も無指向性マイクを使っていますよ。

という事で大きな角度歪を聞いて判断して誤解しているのでは、と思います。

角度歪が小さいワンポイントの方式はNOSという方式で、きちんとセッティングすれば、
合唱団では、あたかも一人一人の口の位置や、中央に位置するシャープな定位が可能になります。しかし、この方式で収録しましたというインデックスは皆無です。この方式は単一指向性マイクを用いていますので、音量差と、左右の到達時間差、位相を加味した方法になります。こっちの方が人間の知覚に近くなります。

3番目にドイツ語の文献ですが各種ワンポイントマイクロホンの方式によりどのように定位するかの文献です。この表は、自分がオーケストラを見たときの左右の視野角、専門用語ではオーケストラ録音角(Orchester-Ausdehnungsbereich、Sterophonic Recording Angle、SRA)が60°のとき各位置がどのように定位するかを現しています。一番下のAB-Laufzeit-Stereofonie というのが無指向性をつかったAB方式で、両マイクの距離を離せばどのように定位するかを示しています。ごらんの様に無指向性のワンポイントは中央部が実際とは広く、左右周辺では詰まっていることがお分かりでしょう。

また、ヘッドホンでの聴集において体に密着しているので、音源は体の微妙な揺れと同じになります。実際の音源やスピーカーの試聴は、音源が固定されています。この体の微妙な揺れで音源の位置を確認しているわけですが、ヘッドホンではそうではない。このような原因もあると思います。




Re: ヘッドホンの頭内定位について 投稿者:NS 投稿日:2014年 9月 4日(木)10時16分1秒  
NYさん

重箱の底をつつくようでスミマセン。

> (ワンポイントステレオマイクだから、ステレオ感は左右CHの音質差だけで構成されているハズ)市販ワンポイントマイク録音と比較したらどうかなあと思っています。

音質差(周波数特性)だけにはなっておりません。左右マイクカプセルの距離は0cmになっておりません。頭の幅の距離があります。位相差(到達時間差)も入っておりますし、頭が中央に位置しているので音量差の情報も入っています。

Re: ヘッドホンの頭内定位について-前方定位について 投稿者:NY 投稿日:2014年 9月 5日(金)01時36分32秒  
NSさん

角度ひずみですか。新概念(*_*;

こないだ録音を真横から見てまして、なんでもフィリップス方式だそうですけど、指揮者の後ろ上空(最前列のへん)にワンポイント(3本マイクだった)、4階席の奥にもう一つワンポイントをセット。あとは近接マイクでした。この位置だと間口が広いんで、サイドはつづまるでしょうねえ。視覚同様にです。

NOV方式を明示した盤はもってませんが、フランス国営放送の盤(ortf式は単一指向マイクを120度に開き頭幅にセットする=なんでもバイノーラルを相当意識しているとか)は結構ありまして、すごい音場感です。デンオンの無指向性マイクを使ったワンポイントなんか真っ青です。

Re: ヘッドホンの頭内定位について 投稿者:NS 投稿日:2014年 9月 9日(火)08時58分35秒  
NYさん

>普通の左右音量差だけで定位を作っているような録音なら、左右クロストークは定位を定位を悪化させるだけ、と言い切っていいでしょう。


そうとはいえません。実際にパンポットを左右に動かした場合、定位が動きます。単一指向性マイクや、双指向性マイクを用いたXY方式の収録方式、これは左右マイクを上下にして、マイクカプセルの角度のみで左右の音量差のみ(音量差は指向性の特性を利用する)で定位をつける方法やMS方式のように無指向性のマイクと双指向性マイクをスタックし、マトリックス回路で左右の音量差で定位させる方法があります。これらの方法はマイク同士の間隔がないため位相差はゼロです。この方式の特徴(音量差のみ)はオペラなどの音源が移動する場合、移動するサマがよく分かるので好んで使われる場合が多いし、ビデオカメラのステレオ収録によく使われています。

>しかしワンポイントマイク録音の場合は、どうなのかよくわからないのです。ワンポイントマイク録音の場合は左右チャンネルに位相差があります。例えば、音源が真横にあるとして、頭幅17cmマイクが離れているとして、左右チャンネルで500hzがちょうど逆相になります。ヘッドホンの場合、この逆相の音は反対チャンネルに混ざりません。しかしスピーカの場合は混ざってしまうわけです。カリオペとかエコーマシンも卓も使わない録音では、残響成分についてもこのことが言えます。これがどういう影響があるのでしょうか。

これは、デノンの録音技術者の用語でいえば、フェーディング現象といいまして、マイクに間隔がある場合生じる現象です。この距離を離したペアマイクで信号を周波数スイープさせるとN×(λ/2)倍の周波数でディップが生じます(下図参照)。周波数特性を見ると櫛形にディップが生じます。これを嫌う人は双指向性マイクを使ったXY方式を使ったりしますが、録音はそう多くはありません。ここが重要なのですが、マイク間隔と楽器の音程がちょうどλ/2になる場合、その楽器が左右に揺れた場合、フッ、フッ、フッと途中音が途切れるようになります。逆位相で音が打ち消しあうからです。短波ラジオでフェーディングという現象が、これと似たようになるのが録音でのフェーディング現象といいます。前にも申したXYやMSは,フェーディング現象はありません。それは位相差がないからです。そのためモノラルとコンパチビリテイが優れています。ミックスしたとき位相差分が打ち消されないためです。

位相差のみのAB(無指向性)はマイク間隔のみで普通は40cm〜60cm離しますので、フェーディング現象は生じやすくなります。音源との距離が短いほど顕著です。

そのような現象がありますので、前述の不都合が生じないように録音側で対処していますので、音質とか音場感とか、より重大な問題が発生するのでしょうか。という心配は無用です。大した対処ではないです。セッティングの問題です。定位は録音品質に直接影響しますので重要です。

いろいろなペアマイクの方式がありますが、どのように定位させたいかは計算式(自作、文献を読めば可能)があるので、オーケストラの視野角から、ペアマイクのオーケストラ録音角とあわすために、マイクの開き角度や間隔は計算で求められます。


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