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ハイレゾソース録音は必要か?

最近、SACDや 192Hz、24bitのネット配信ソースなど、CDの規格(22.1kHz、16bit)を上回る規格のいわゆるハイレゾ(High Resolution)デジタル音楽ソースが手に入るようになっている。これらは、みな人間の可聴周波数の上限 20kHz 以上の音を記録出来ることを売り言葉の一つとしている。一方、厳密なブラインドテストでは20 kHz はおろか16 kHz以上の高音成分をカットしても気づかれないということが多くの実験で示されている。本当にハイレゾソースが必要なのかというのが今回の議論の中心である。なお、この話題は過去にも何回かとりあげられており、関連する主な過去録を挙げておくと、古い順に、SACDって何?次世代フォーマットCDの次は?CDの出力波形と音質CDの出力波形の修正ハイパーソニック効果CDの必要ビット数といったところです。この種の議論では、どうしても主観に訴える意見も多く、どれほど意味があるかわからないが、今回は出来るだけ客観的なデータのあるサイトへのリンクを重視して再録した。最後に、客観的なデータとして学術的なレベルで行われたブラインドテストの結果を紹介しておく。

20KHz以上は必要? 投稿者:SY 投稿日:2013年 8月 7日(水)00時01分6秒

愚問であれば無視してください。最近PCオーディオを始めたSYです。私の耳では、PCのテストオシレータで聞こえる上限は15Khzにも達していないのですが、ハイレゾ音源を聞くとたしかに違って(良し悪しは別として)聞こえます。また同一ソース(か不明ですが)DSD音源の方が聞きやすく感じます(長時間聞いていても疲れない)。サイト(オーディオの科学)をみて納得する事が多いのですが、実際に音源を聞いてみると違いがあるので・・自分自身では説明がつきません。

Re: 20KHz以上は必要? 投稿者:志賀 投稿日:2013年 8月 7日(水)09時27分31秒 SYさん

>愚問であれば無視してください。・・・・

愚問ではなくむしろオーディオの核心といってもいい疑問です。それだけに、掲示板で簡単に答えるのは難しいんですが、要点のみ答えますと、

まず第1に本当に聴き分けられているのか、つまりブラインド条件でも有意差があるかどうかです。自分(主観)では明らかに違うと思ってもブラインドで聴くと有意差なしという結果に終わることが多いからです。しかしこれは、実際にやってみないと何ともわかりません。ちなみにブラインドテストの方法はここに書いてあります。


http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/abx.htm

もう一つは、客観的に差が有ることが証明されたとして、その差が高音域の再生能力に起因しているかどうかという問題です。このサイトでも紹介していますが、他の条件を全く変えず、20kHz 以上をカットしてブラインドテストをすると有意差無しというのが学問的に証明されています。例えば、

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/NHKreport486.html

この他、CDの規格を決めるために行われた大規模なテストでも14kHz 以上をカットしても有意差が認められないという結果もあります。(大橋力著「音と文明」p.444-445 参照)
したがって、もしハイレゾとCDで客観的な差が有るとすると、その差は音域制限とは別の原因に求めるべきでしょう。デジタル音源の場合、例えばこんな原因も考えられます


http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/aliasingnois.htm

つまり、AD/DA変換やDSD化するときに何か問題が生じている可能性があるということです。

波形再現と考えれば20KHz以上は必要となりましょう 投稿者:NS  投稿日:2013年 8月 7日(水)15時08分32秒
   
ADコンバーターについて、折り返し歪の説明は1980年代の終わりのころにはこの説明で良いかもしれませんが、1990年代初頭、DATがコピー制限SCMSを導入したころに、64×fs(オーバーサンプリング)、4次か5次ノイズシェーピング、シングルビット、デジタルフィルターを搭載された製品が大半を占めました。

ですから、デジタルオーディオ萌芽期(民生用ではEIAJフォーマット、DAT初期)までは、志賀様の説明で良いかもしれませんが、折り返し歪は、現代で多用されているADコンバーターにおいて問題は生じていないと察します。128×fsのADは現在は当たり前に搭載されています。

さて、この文献を見ますと↓

http://www.tij.co.jp/jp/lit/an/jaja088/jaja088.pdf

Nはビット数、 オーバーサンプリング係数 k の関係となります。
SNR(dB) = ( 6.02 × N ) + 1.76 + 10 × log10(k) (3)
k = fs / (2 × fmax ), fs はサンプリング周波数、2 × fmax はナイキスト周波数。

つまり、サンプリング周波数が2倍になれば、量子化ノイズ(量子化歪み)が3dB改善されるということです。

44.1kHz16bitならば、約98dBのSNRですが、88.2kHz16bitの場合、約101dBとなります。

以前、Web Master様にBS放送の48kHz16bitとVC64というアップリングソフトでサンプリング周波数96kHz24bitに変換したデーターをDVD-Videoソフトとして、お渡ししたことが有ります。

もちろん、ディスクをパソコンで読もうと思っても不可能です。いうなればブラインドテストのようなものです。結果はアップリングソフトを使用したデーターが高音質に聞こえるという結果でした。

私もそう思いましたし、私の私感では、音像定位が明確になる、収録現場の雰囲気感がよく出てくるという感想を持ちました。

ここのBBSで、Web Masterさまが考察したように、ハイサンプリング、ハイビット化の結果、量子化ノイズ(量子化歪み)が低減したためではないかということになりました。彗眼と思います。デジタルにおいてノイズは歪みです。(量子化ノイズや量子化歪みをアナログ信号とデジタル信号を引き算したギザギザ波形をよく示されていますが、ギザギザとは聞こえず、ザーというホワイトノイズです。タチが悪いことに、アナログ信号によって混変調歪みのようにつきまとう)。ハイレゾになると、歪みが低減されるので違った音質になるのは当然です。可聴帯域内の量子化ノイズ、もしくは量子化歪みの差を聞いていると言って良いでしょう。ですから、超高域の有無による差を聞き分けているわけでは無いです。だって、私もSYさんも超高域は聞こえないのですから。

>また、再生装置は20kHz以上出力されている機種か、測定で確認された再生装置ですか?

パイオニアの論文では、被験者が20代で、聴覚は健常者と確認し、リボンツィーター付きのスピーカーシステムを使い、その周波数特性も載せていました。そのような環境でないと、20kHz以上の有無については言えないと思います。>>

私が常時使用しているマイクはノイマンのKM84iという代物です。70年代後半から80年代ぐらいまで、EMIやドイツグラモホンなどで多用されていた製品で、カラヤン+ベルリンフィル+イエス・キリスト教会のセッションでよく使用されていました。

このマイクロホンは設計が古いので、22kHzまではフラット、それ以上の高域はストンとレスポンスが落ちます。30kHzは無理でしょう(近現代曲のオケや、ブラスバンド、打楽器アンサンブルなどで確認。DPA4006でこれらの音源をFFT観察すると40〜50kHzのレスポンスがある。やっぱりハイサンプリングは必要だな)。

このマイクを使ってパイオニアのHS-DATや96kHz24bitや192kHz24bit対応のオーディオインターフェースを導入したのは2000年以降。当時はATX互換機自作PCを演奏会場にエッチラと持ち込んで予備のDATとパラで収録していました。

よく収録する演目は、ピアノリサイタル、バイオリンリサイタル、合唱団、バロックアンサンブルなどですが、ほとんど超高域は入っていません。しかも常時使用のマイクです。(バイオリンやチェンバロは近接で収録を試みると、超高域は存在します。)

それでも、演奏者や主催者にDATと、いうなればハイレゾを聞かせると、ハイレゾの方が良いと皆いいますね。CD-Rしか演奏者に渡せないのは悔しいですが。

ですから、音源自体に超高域が無い、マイクロホンが超高域のレスポンスを持ち合わせていないと言っても、ハイレゾと音質に差があるのは、可聴帯域内の量子化歪みの差が原因であろうと思われます。

ハイサンプリングの意義は、通常、デジタル録音において高域になるに従って、量子化ノイズはたしか、3dB/octぐらい上昇していますが、言い換えれば、高域は誤差が多くなっているということになります。ハイサンプリングになると高域の波形変換誤差が小さくなるので、高域もCDやDATフォーマットよりも伸びてきれいに聞こえるということも有ります。

20KHz 投稿者:SY 投稿日:2013年 8月 7日(水)19時58分14秒
 
みなさまのいろいろなご回答ありがとうございます。それぞれの見解があり、納得のいく説明があり大変勉強になりました。私の環境ですが、PC+USBDAC+ヘッドフォンという構成ですが、好きな音楽を聴くという点では満足しています。(ヘッドフォンオンリーなので脳内定位です^^;)私の娘(17)に先のテストオシレータを聞かせた時は18KHzまでは認識できていましたので、20Khzまでの再生が本当に出来ているかどうかは不明ですが近い値は出ているようです。

量子化歪みはたしかに納得のいく内容ですが、まだ自分の中で、体感と理論がかみ合っていない(消化しきれていない)状態です。仕事の分野は違いますが技術者魂に火が付いた感じで、自分で納得のいく結論を(こじつけでも)導きだしたいと思います。(盆休みにでもゆっくり考えようかと・・・)何等かの答え(言い訳?)が見つかりましたら、再び此処に書き込みたいと思いますので、その時は誹謗中傷の程よろしくお願いします。


Re: 波形再現と考えれば20KHz以上は必要となりましょう 投稿者:志賀 投稿日:2013年 8月 7日(水)20時28分28秒  
NSさん、GHさん

引用は省略しますが、確かに、表題のように「波形を正しく再現しようとすれば20kHz 以上の録音が必要となる」でしょう。GHさんが、紹介されたサイト


http://www.ishibashi.co.jp/academic/super_manual/tune.htm

の右の図は高調波を含んだ各楽器の音域を表しているということのようですが、右端は(高音側の上限)は全て約15kHz で切れています。じつは、これは何らかの理由で人為的にカットしたもので実際にはもっと高くまで伸びている楽器は沢山あります。具体的には

http://www.nhk.or.jp/strl/publica/labnote/lab486.html

このページのFig.5 に超高音を含む楽器の周波数スペクトルが載せてあります。各スペクトルの右端、色の薄い部分が20kHz 以上の成分で、実はこの報告はこの部分をカットしても誰も気がつかないということを証明したものです。もう一つ、データにリンクすることは出来ませんが14kHz以上をカットしても、耳自慢の音響エンジニアを含む多くの被験者が差を的確に聴き分けられないというものです。

だったら、20kHz 以上を録音しても意味がないということになりますね。ただハイレゾの場合はビット数にも差が有るので各種デジタル歪みが測定上小さくなることは当然でしょう。ただ、これがブラインド条件のテストでちゃんと聴き分けられるというデータにはお目にかかったことがないので(その逆はお目にかかったことはありますが)、私自身はかなり懐疑的です。しかし、この部分は主観の問題なので議論するつもりはありませんが。


よけいな話ですが 投稿者:TTB 投稿日:2013年 8月 7日(水)22時32分51秒  

私の耳の高音可聴限界は12-14kHくらいだと思います。もうだいぶ以前のこと、スピーカーにスイープ信号を入れ、F特の聴感測定をしていた時のこと、音が20kH付近になってくると聞こえなくなってくるのでボリュームをどんどん上げていきました。やはり聞こえません、と、たまたま近くにいた娘が「うるさーい、やめて」と叫んだのです。当時娘は10歳くらいだったかな、なるほど子供の耳はすごいんだな、ということを実感しました。人間の場合、視覚も聴覚も7歳くらいがピークであとはどんどん老化し劣化するそうです。

ネコがいるときにCDでヴァイオリン曲を聴いても平気な顔をしていますが、目の前で実際にひくと逃げます。ネコは50kHくらいまで聴けるらしいです。進化の過程において、大人の人間も高周波をきくことが必要であったらな、もうちょっと劣化が遅かったかも・・・

Re: よけいな話ですが 投稿者:RS 投稿日:2013年 8月 8日(木)08時29分22秒 TTBさん

これもよけいな話ですが・・・。

> 娘が「うるさーい、やめて」と叫んだのです。当時娘は10歳くらいだったかな、なるほど子供の耳はすごい

私が高校生のとき、帰宅して玄関に入ったとたんに「ヒー」という音が耳に飛び込んできました。初めて我が家にテレビが届いた日でした。テレビが置いてある部屋の戸が開いていて、玄関までFBトランスの15750Hzが聴こえてきたのですね。今では、10000Hzがやっとですが。

> ネコがいるときにCDでヴァイオリン曲を聴いても平気な顔をしていますが、目の前で実際にひくと逃げます

それは、別の原因では?・・・失礼。我が家にも3匹のネコがいましたが、私の下手なフルートでも逃げなかったような。フルートの方が高調波が少ない?ネコによる?

> 進化の過程において、大人の人間も高周波をきくことが必要であったらな、もうちょっと劣化が遅かったかも・・・

人間の敵や餌を識別するための主要な情報が20000Hz以下にあったということでしょうか。

Re: よけいな話ですが 投稿者:志賀 投稿日:2013年 8月 8日(木)09時58分14秒 TTBさん、RSさん、皆さん

話題が出たところでデータを紹介しておきます。

> 私の耳の高音可聴限界は12-14kHくらいだと思います。もうだいぶ以前のこと、スピーカーにスイープ信号を入れ、F特の聴感測定をしていた時のこと、音が20kH付近になってくると聞こえなくなってくるのでボリュームをどんどん上げていきました。やはり聞こえません、

添付の図は男女別の年齢による聴力の低下率(dB)です。出典は音響学ABC(技術堂出版)です。これによると男性の方が女性より低下が激しいようです。

老婆心ながら、自分でやる高音の聴力測定ですが、聴こえないからといってボリュームを上げすぎるとツイターのボイスコイルを焼き切ってしまう恐れがあるので注意する必要があります。

> ネコがいるときにCDでヴァイオリン曲を聴いても平気な顔をしていますが、目の前で実際にひくと逃げます。ネコは50kHくらいまで聴けるらしいです。

バイオリンのE線の周波数スペクトルがここにあります。

http://www.sasakivn.com/werkstatt/onkyoex/vnspectram.htm

残念ながら波形はありませんが、典型的なノコギリ歯のはずです。なんと50kHz付近まで倍音があります。弦を擦って発音するのが原因ではないでしょうか?

ただし、このページの結論部分は先の投稿に書いた理由により賛成出来ません。

RSさん

http://mahoroba.logical-arts.jp/archives/78

こちらにフルートのスペクトルと波形があります。

測定上限が20kHzで基音も違うので単純に比較は出来ないでしょうが、確かに高調波成分は低いですね。


Re: よけいな話ですが
投稿者:TTB 投稿日:2013年 8月 8日(木)19時59分42秒 志賀さん

ヴァイオリンの倍音がかなり上の方まで伸びていることは私も知っていました。が、女性と男性では耳の老化具合がこんなに違うとは知りませんでした、ショックです(笑)。

Re: 波形再現と考えれば20KHz以上は必要となりましょう 投稿者:GD 投稿日:2013年 8月16日(金)00時21分48秒  
志賀さん

> 引用は省略しますが、確かに、表題のように「波形を正しく再現しようとすれば20kHz 以上の録音が必要となる」でしょう。

楽器を録音する場合、オルガンの音のような正弦波が主なものと、ヴァイオリンの音のようなノコギリ波が主なものと、中心周波数が、同じでも要求される帯域は、異なってきます。 ヴァイオリンの音のようなノコギリ波は、高調波成分が多く含まれているので、再現するための帯域は、広く必要になります。のこぎり波は正弦波より格段に大きい値の高調波成分の正弦波を含んでいます。このFFTアナライザのスペクトルは、下記HPを見てください。 

http://www.digitalfilter.com/products/softoscillo2/standard/quick/quick04.html

CD音源が、20kHZまで低歪率で再現できるのは、正弦波だけで、ヴァイオリンの音のようなノコギリ波は、880HZでも高歪率で、10kHZ以上で、ノコギリ波は、全て正弦波になってしまいます。 しがって、波形を正しく再現しようとすれば、格段に大きい値の高調波成分を再現できる必要があります。

Re: 波形再現と考えれば20KHz以上は必要となりましょう 投稿者:TTB 投稿日:2013年 8月17日(土)08時16分59秒    
GDさん

ひとの耳は「波形」を聴くんでしょうか?矩形波やのこぎり刃は周波数特性だけでなく位相特性によっても波形が崩れます。波形のデータは崩れ方をとても明確に示してくれますが、その違いをわれわれは「聴く」ことができるんでしょうか?

やはり、ブラインドテストか 投稿者:GH 投稿日:2013年 8月17日(土)09時09分16秒  
私のように、再生装置はブラスマイナス3デシベルの測定で15kHz近辺で宜しいと考えるのと、20kHz以上必要と考えるかは、ブラインドテストしかないでしょうね。測定器で測って違っても人間の耳では判らないでは違いなしと判断して宜しいかと。15kHz近辺は昔の1970年代後半のカセットデッキで条件を満たしておりますね。

ブラインドテストを懐疑的に思う人もいるみたいですが、ならば永遠に検証不能でしょうね。

Re: 波形再現と考えれば20KHz以上は必要となりましょう 投稿者:GD 投稿日:2013年 8月17日(土)14時18分34秒  
TTBさん

> ひとの耳は「波形」を聴くんでしょうか?

波形の違いは、波形を形成している倍音成分が変わるので、音色が違って聴こえます。波形発信器で同じ中心周波数で、正弦波、三角波、ノコギリ波を発生させ、ヘッドフォンで聴くと音色が違って聴こえます。 

Re: 波形再現と考えれば20KHz以上は必要となりましょう 投稿者:RS 投稿日:2013年 8月17日(土)20時05分0秒  
GDさん

>波形の違いは、波形を形成している倍音成分が変わるので

波形が異なっていて、波形を形成している倍音成分が同じ音はありますよ?

Re: 波形再現と考えれば20KHz以上は必要となりましょう 投稿者:TTB 投稿日:2013年 8月17日(土)21時42分33秒  
GDさん

1.可聴範囲内で倍音成分が違えば音色が異なるのは分かります。

2.倍音成分が同じでも、位相特性が周波数に対し一様でなければ波形は異なります。この場合位相特性が一様か否かで音色の変化は感じられないのでは?

3.10kz以上の音では、人間の耳では(少なくとも私の耳では)サイン波ものこぎり波も差がわからないと思います。

Re: 波形再現と考えれば20KHz以上は必要となりましょう 投稿者:志賀 投稿日:2013年 8月17日(土)21時49分53秒  
GDさん

この問題は以前にも議論しています。


http://shigaarch.web.fc2.com/OldBBS/19SACD.html#20050612GD

ここでも説明していますが、波形を正しく再現することと、どのように聴こえるかは別問題ですよ。

先に挙げた

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/NHKreport486.html

の実験では20kHz 以上の音域をカットしても違いがわからないということです。弦の音色も人間は20kHz以下の高調波成分の分布によって聴き分けているんだと思いますよ。

Re: 波形再現と考えれば20KHz以上は必要となりましょう 投稿者:WT 投稿日:2013年 8月17日(土)22時39分23秒  
RSさん
波形が異なっていて、波形を形成している倍音成分が同じ音はありますよ?

お示しした3つの図は、どれも1Khzと1.5Khzをミックスした波形ですが、1.5Khzの位相をすこしづつずらしながらミックスして見たものです。仰るように周波数成分は同じですが波形が異なりました。
ありがとうございます 投稿者:RS 投稿日:2013年 8月17日(土)22時59分28秒

WTさん実験ありがとうございました。

倍音成分が同じで波形が異なる場合がある
ことは、例えば、α≠0のとき
f(x)=sin(x)+sin(2x)と
g(x)=sin(x)+sin(2x+α)
の差
f(x)−g(x)=sin(2x)−sin(2x+α)
が恒等的に0にはならないことから明らかですね。

Re: 波形再現と考えれば20KHz以上は必要となりましょう 投稿者:WT 投稿日:2013年 8月18日(日)20時31分39秒  
RSさん、志賀さん

ということはヒトは波形を聴いている(変な表現ですが)のではなく、倍音成分を聴くことで音色を聞き分けている、という理解でいいのでしょうか。

Re: 波形再現と考えれば20KHz以上は必要となりましょう 投稿者:RS 投稿日:2013年 8月18日(日)22時07分3秒    
WTさん

少なくとも、倍音の周波数が4KHzを越えると人間の聴覚機構からして位相情報は知覚できないので、波形は聴けないと思います。

倍音が4KHzより低い周波数の場合は位相を知覚する可能性がありますので、4kHz未満の倍音によって作られる波形は知覚できる可能性は無くもないですが。ただし、そのような文献は私は読んだことはありません。

もし、波形を知覚しているとしたら、耳元に届く音が直接音と反射音の合成になったとき、波形は崩れているはずなので、バイオリンがバイオリンとして聴こえなくなる、などの現象が生じるはずで、経験上そんなことは少なくとも私はありません。

Re: 波形再現と考えれば20KHz以上は必要となりましょう 投稿者:志賀 投稿日:2013年 8月18日(日)23時10分37秒    
WTさん

話題は「波形が違っても音色は変わらない場合があるか?」ということですが、2つの原因が混在しています。一つは、WTさん提供の、倍音の位相をずらして波形が変わる場合です。これについては以前

http://shigaarch.web.fc2.com/OldBBS/16phasedist.html

ここで議論したように、定説ではオーム・ヘルムホルツの法則通り音色は変わらないというもので、その原因も最近の神経生理学(?)で説明されているようです。ただし、基音が200Hz以下の低音では差が感じられるという報告が紹介されました。

http://www.jaist.ac.jp/library/thesis/is-master-2000/paper/mnishiza/paper.pdf

もう一つは、今の話題の発端である、可聴周波数外の20kHz以上の倍音成分をカットしても(もちろんオシロで見れば波形は大きく変わります)音色は変わらないというもので、これはNHKの研究報告

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/NHKreport486.html

で証明されているものと思います。

やはりですか。 投稿者:GH 投稿日:2013年 8月19日(月)09時16分49秒  

上記のNHKの研究報告を読みました。やはり20kHz以上の倍音成分は感知不能ですか。ごく一部の超人みたいな耳の持ち主は別としてです。一般的な耳の持ち主は20kHzどころか15kHzでも怪しいのではないのではないかと思います。50歳なら13kHz位までしか聴こえなくなりますから。

Re: 波形再現と考えれば20KHz以上は必要となりましょう 投稿者:RS 投稿日:2013年 8月19日(月)21時47分7秒  
WTさん

志賀さんが示された修士論文でも200Hzを越えると高調波の位相変化(波形変化)を知覚できないという結果が出ています。

人間は反射音を含む世界に生きています。そのような環境で「波形を知覚できる(一々波形が気になる)」ことは、人間の生存にむしろ有害なのではないでしょうか。同じライオンの声が反射環境が変わって違う波形になったのを「同じライオンの声」と同定するには脳の負担が大きくなります。場合によっては、処理が遅れてライオンに食われてしまう。
実際の耳は、耳の内耳の段階で波形情報(倍音の位相)を捨てることで、同定のための脳の負担を軽減しているのではないでしょうか。

Re: 波形再現と考えれば20KHz以上は必要となりましょう
投稿者:WT 投稿日:2013年 8月19日(月)22時16分4秒  
RSさん

>人間は反射音を含む世界に生きています。そのような環境で〜波形情報(倍音の位相)を捨てることで、同定のための脳の負担を軽減しているのではないでしょうか。

わかりやすいご説明ありがとうございます。仰るようにその方が厳しい生存競争の中で生き残るのに合理的ですよね

ある楽器の音色を決するのは 投稿者:OK 投稿日:2013年 8月20日(火)01時03分44秒  

ある楽器の音色を決するのは、倍音列の強度分布、すなわち波形の違いのみに求められるのではないという事は言うまでもない。音色を決める重要な要素としてはこの他にも”エンヴェロープ”つまり、音の立ち上がり_アタックの様子(通常、多くのノイズ成分が含まれるであろう)。_や、その後の持続と減衰の様子、また立ち下がり_リリースの感じ_を表した曲線にも求められるのである。さらにはこのような音の振幅の時間的特長の中にあっても、個々の倍音のエンヴェロープもまた独自な曲線を持ち得るのである。これはひとつの音が持続する中にあっての音色の変化として聴かれるであろう。この他にもアタックに含まれるノイズ成分の特徴や、ヴィブラートの有無、またその掛かり具合等によっても大きく影響されるであろう。我々が最終的に聴き分ける音響の条件とは、かなり錯綜としたものなのである

Re: ある楽器の音色を決するのは 投稿者:RS 投稿日:2013年 8月20日(火)07時13分57秒  
OKさん

>ある楽器の音色を決するのは、倍音列の強度分布、すなわち波形の違いのみに求められるのではないという事は言うまでもない。

もちろん、そのことは承知しております。私の書き方がやや厳密性を欠いたものであることは認めますが、ここの議論の主題は「倍音の位相変化は音色の違いとして知覚できるか」なので、例を引くにあたってエンベロープ等の他の要素については考慮しておりません。

Re: ある楽器の音色を決するのは 投稿者:OK 投稿日:2013年 8月20日(火)08時06分22秒  
RSさん

両耳強度差 は、高周波で重要。
両耳位相差 は、低周波で重要。1500Hz以下は位相差だけが手がかりとなる。
Sandel et Al. (1955) 実験: 1500Hz付近であやふや
1500Hz〜5000Hzで、真ん前からはずれても気付かない
二重理論 duplex theory とは、低周波では両耳時間差、高周波では両耳強度
差に基づくという考え。
<両耳ビート>
両耳ビート とは、両耳の周波数が少しだけずれてるときに、うねりやさえずりが聞こえることを言う。
物理的なビート(うなり)とは違う。神経系の中の相互作用である。
ニューロンの放電に、位相情報が保存されていることを示す。
周波数の差がゼロからゆっくり変化すると、
→音が周期的にその場所を移動してるように聞こえ
→音の大きさが変動し
→「粗い」感じになり
→二つの音に分離する
両耳ビートは低周波数での現象。
300〜600Hzで明瞭に聞こえる、1000Hz以上では非常に困難。

1500Hz以上の周波数では、基底膜において「微細構造 fine structure」が失なわれていて、包絡線の情報のみが用いられる。

したがって、日本音響学会では、両耳効果等により、位相が検知できるのは、1500Hz以下であるとのことが、定説になっています。ヴァイオリンの音質に一番影響を与えるのは、1500Hzから4500Hzの倍音なので、その範囲では、位相を考慮する必要がないと考えられる。

Re: ある楽器の音色を決するのは 投稿者:RS 投稿日:2013年 8月20日(火)11時01分15秒  
OKさん

> 日本音響学会では、両耳効果等により、位相が検知できるのは、1500Hz以下であるとのことが、定説になっています。

これは、基本波に対する高調波の位相の問題ではなく、左右の耳における基本波の位相のずれ(時間差)の問題ですね。ここでの議論とは少し異なる問題のように思います。

>ヴァイオリンの音質に一番影響を与えるのは、1500Hzから4500Hzの倍音なので、その範囲では、位相を考慮する必要がないと考えられる。

上の両耳の位相差の問題とこの話(多分、基本波に対する高調波の位相)とは論理的につながっていないように思います。

Re: ある楽器の音色を決するのは 投稿者:志賀 投稿日:2013年 8月20日(火)11時30分33秒  
OKさん

> ある楽器の音色を決するのは、倍音列の強度分布、すなわち波形の違いのみに求められるのではないという事は言うまでもない。音色を決める重要な要素としてはこの他にも”エンヴェロープ”つまり、音の立ち上がり_アタックの様子(通常、多くのノイズ成分が含まれるであろう)・・・・

お説ごもっともですが、「倍音列の強度分布、すなわち波形の違い」というのは間違いですね。ご指摘の”エンヴェロープ”等のいわゆる過渡特性やノイズ成分の特徴なども、物理的、電気的には全て波形の違いとして表現出来ますね。逆に言えば倍音列の強度分布のみでは波形は決まらないというべきです。

ここで今議論になっているのは持続音(定常音)の音色がほぼ高調波成分の強度分布で決まると言うことであって、音の出だしや衝撃音の音色は別に考える必要があるのはいうまでもありません。

これについては以前


http://shigaarch.web.fc2.com/OldBBS/16phasedist.html

ここでも議論しています

話題が私の意図とはずれてしまいましたが 投稿者:NS 投稿日:2013年 8月20日(火)17時40分23秒
   
なんだか誤解を生じさせたようです。私は楽器の音色と位相を論じたかったわけではなく、オーディオ機材の音質、さらに範囲を絞れば、ハイサンプリング・ハイビットとCDフォーマットによる音質変化の原因の推測は量子化歪み(ノイズ)の低減と書いたわけです。

評価は何らかの楽音を使わざる得ないので、「音色」と称しました。この音質変化を音色と書いたのが、あらぬ方向となってしまいました。 今後音質変化と言い換えます。

「音色」と使って書いた意味は、楽器の発する基音と高調波に量子化歪み(高調波歪みを含む)が加わるので、音色が変化する、さらに他の楽器も加われば、その歪みが加わり、複雑な様相を呈するのは容易に想像つくでしょう。聞くに耐えない音質になるのではないので音色と書きました。(何度も書きますが、音像定位と雰囲気感がハイサンプリング、ハイビットで改善される。変調音が低減されるので細部の音が再現されるのでそのように聞こえると思っています。)

量子化歪みを低減するにはハイサンプリング、ハイビットにするしかない。しかも、最近ではそれらのデバイスを使用した機材はDAは樋口一葉がお一人か、DAW用なら福沢諭吉数人でも手に入ります。

CDフォーマットよりも原理的に優れていて、入手しやすくなっているので、興味があるのなら、そっちの方に進んでいっても良いのではないかと考えて書きました。

文献検索ついでに、電通大の論文のリンクを貼っておきます。NHK,サンケン(マイク)、が協力したと書いています。音大の学生も。

これを読んだら、う〜ん、私と感覚が違う(笑い)。2009年3月。このBBS引用のNHK技研論文よりも新しい。

http://ir.lib.uec.ac.jp/infolib/user_contents/9000000355/9000000355.pdf

位相に関しては、デジタルの巨頭と、スピーカーメーカーの巨頭の対談。1977年。

http://www.acoust.rise.waseda.ac.jp/publications/happyou/radio/radio-1977may.pdf

デジタルの巨頭は高速1bitを開発している辺りから、そのままゴッソリ記録に残そうという考えに変わったようです。

http://www.amei.or.jp/information/AMEINEWS_MediaConte_Vol_29.pdf
http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstream/2065/5426/3/Honbun-4236.pdf

Re: 話題が私の意図とはずれてしまいましたが 投稿者:RS 投稿日:2013年 8月20日(火)23時55分4秒  
WTさん

> 「ハイレゾリューションオーディオの研究」は面白いですね。まだざっとナナメ読みですが、後で落ち着いてゆっくり読みたいです。

実験結果を見ると、そこまで高品質の音源は商用的にはあまり必要なさそうですね。ほんの一部の人しか良さを実感できなさそうです。(まだ拾い読みですが)

Re: 話題が私の意図とはずれてしまいましたが 投稿者:志賀 投稿日:2013年 8月21日(水)06時16分37秒
NSさん

いつも大変面白い報告の紹介有難うございます。よく見つけられますね。

> 量子化歪みを低減するにはハイサンプリング、ハイビットにするしかない。しかも、最近ではそれらのデバイスを使用した機材はDAは樋口一葉がお一人か、DAW用なら福沢諭吉数人でも手に入ります。CDフォーマットよりも原理的に優れていて、入手しやすくなっているので、興味があるのなら、そっちの方に進んでいっても良いのではないかと考えて書きました。

以前にも書いたと思いますがこの点は全く異存ありません。自分で録音される方は当然ハイレゾを使うべきでしょう。私はあくまで、一般ユーザーが手に入れることが出来るソースを再生する立場からの意見なので、NSさんとは少し見方が異なると思います。

> 文献検索ついでに、電通大の論文のリンクを貼っておきます。NHK,サンケン(マイク)、が協力したと書いています。音大の学生も。

http://ir.lib.uec.ac.jp/infolib/user_contents/9000000355/9000000355.pdf

この報告、まだざっと見ですが、かなり微妙な結果ですね。著者に何とか有意差を出したいというバイアスがかかっているような感想を持ちました。この結果を見ると、皆さんはともかく、年齢を考えると自分にとってはハイレゾは全く必要なさそうです。

> 位相に関しては、デジタルの巨頭と、スピーカーメーカーの巨頭の対談。1977年。

http://www.acoust.rise.waseda.ac.jp/publications/happyou/radio/radio-1977may.pdf

これは面白い対談ですね。最後のページに書いてある、日本の巨頭Y氏が可聴帯域外不要論だったとはちょっと驚きです。位相歪みも検知出来ないとも断言していますね。だいぶ古い記事ですが今でもそうなんでしょうかね?

ハイレゾリューションオーディオ用DACの音質に関する考察 投稿者:OK 投稿日:2013年 8月21日(水)08時27分5秒  

学会で定説になっていない学生の博士論文に感心している方々

ハイエンド・オーディオ商品として、限界性能への挑戦と音質へのこだわったDAC
デバイス性能、音質に関する考察を見てね。

http://www.tij.co.jp/jp/lit/ml/jajt042/jajt042.pdf

「周知の通り、192KHz、24ビット分解能はリニアーPCMフォーマットでの最上位のフォーマットで、DACデバイスがこのフォーマットに対応することは最低条件でもあります。しかしながら、“フォーマットに対応する”と“フォーマット相応の性能を有する”とは全く異なるもので、同じ192KHz、24ビット対応DACデバイスでもその性能、仕様を見極めないと本当に優れたDACデバイスかどうかの判断はできません」などDACに関する音質に関する考察が述べられています

学位論文は信用出来ないといっておいて、メーカーの宣伝臭のある資料を紹介するのはいただけません。

Re: 話題が私の意図とはずれてしまいましたが 投稿者:WT 投稿日:2013年 8月21日(水)12時38分55秒  
RSさん

>実験結果を見ると、そこまで高品質の音源は商用的にはあまり必要なさそうですね。

そうなんですよねぇ。SACDを聞いて24bit192KHzで録音を楽しんでいる自分としては、こういう結果は非常に困るんです(大笑)。強いてこの実験に難癖をつければ、16bitと24bitの差異について検証されてない。そこは突っ込みどころかなぁという気もします。

まじめな話、こうしたきちんとした実験をいろいろな所でやって欲しいなというのが私の個人的感想です。データを多く集めればそれだけ信頼性は高くなりますし、別の発見もあるかもしれませんし。ただNSさんの仰るように、どうも自分の印象と違う。先入観のない人がハイビットハイサンプリング音源を聞いたときに、何故似たような感想を持つのか、が不思議です。

Re: 話題が私の意図とはずれてしまいましたが 投稿者:RS 投稿日:2013年 8月21日(水)14時26分34秒  
WTさん

> そうなんですよねぇ。SACDを聞いて24bit192KHzで録音を楽しんでいる自分としては、こういう結果は非常に困るんです(大笑)。

私個人としては、ハイレゾリューションの音源は必要ないですが、それを聞き分ける聴覚を持つ人がどんな聴覚機構を持っているのか、ということには興味があります。NSさんが仰るように、超高域があることより量子化歪が減ることが重要としたら、耳そのものよりもむしろ脳に違いがあるのかもしれません。

Re: 話題が私の意図とはずれてしまいましたが 投稿者:NS 投稿日:2013年 8月21日(水)17時38分59秒  
RSさん

> NSさんが仰るように、超高域があることより量子化歪が減ることが重要としたら、耳そのものよりもむしろ脳に違いがあるのかもしれません。

私は耳そのモノも大きいと思いますよ。聴覚能力の個人差。極端な例からすると、我が母は補聴器を使う高齢であり、そのような対象者に試聴させても判断できないでしょうw。
母に話すといつも怒鳴っているようになる。話し終わったら、のどがガラガラ。

耳の疾患で聴力が減退した人も、製鉄所や板金加工でガンガン金槌でたたいてする大音響下の職場の人、歯医者さん、などなど、高域の聴集が怪しくなった人とか、劣化の差という事を考えれば個人差もありますし、生まれ持った耳の能力も違うと思います。

電通大レポートのまえがきに有るように、鼓膜、耳小骨間の関節、筋などの伝音系の硬化云々(p17)にあるように、年齢差だけでなくそれらの器官の硬さも個人差も有るように思えます。外部から見える耳たぶからして個人差が有る。

脳に違いがあるというのは、ちょっと言い方が違うと思います。訓練、経験ではないですか?

p99に書いてあるように被験者は音大生や、サンプル演奏したバイオリニストを集めてしたようですが、音大や音大出身者は専門に勉強しているから「耳が良いだろう」という勘違いから選んだのかと思います。特にサンプル演奏したバイオリニストは、自分の演奏は何処の観点を選んで聞いていたか知りたいところです。

オーディオマニアは、あそこを変えた、ココを変えた、位置を変えた、重しを乗せた、磨いた、塗った、などなど、それによって音質が変化したかを経験し、確認をする。けっして楽音を分析しているのではなく「音」の音質を聞いているということになる・・・・と思う。

この電通大レポートでDATフォーマットと192kHz24bitの差が聞き分けられなかったというのは、さもありなん。

RSさん、
このレポートを読んで、差がないからハイレゾはいらないやというのは早合点だと思いますし、その比較を聞いていないのに決断はまずいと思います。なぜなら、ハイレゾ配信がすでに始まっているからです。どうか、そのようなご決断はお待ちください。

録音、収録をしていないSYさん、録音収録しているOKさん、WTさんは、差があるよ、と暗に言っておられますし、また、私を含め、ハイレゾで収録しているOKさん、WTさんは、ハイレゾでマスタリングしたあと、CD-Rなどでサンプル配布をしなければならないので、どうしてもダウンサンプリングをしなければなりません。そのときに、劣化するという経験をいやというほど知ります。(ディザの種類や、量、またはノイズシェーピングをするか、なるべくハイレゾマスターに近づけるように苦労する。)楽器自体に超音波が含まれていないピアノでも、差があります。特にアタック音がハイレゾの方が生に近くなります。

聴力テスト
投稿者:WT 投稿日:2013年 8月21日(水)22時15分40秒  
GHさん

>50歳なら13kHz位までしか聴こえなくなりますから。

あまりそういう決め付け方はしないほうがいいと思います。個人差は結構あるのですよ。可聴周波数域チェッカーというソフトをご存知ですか?

http://masudayoshihiro.jp/software/mamimi.php

ご存知かもしれませんが、これでご自分の耳のチェックをしてみてはどうでしょう。面白いですよ。私は15000Hzまで聴こえました。私の年齢は54歳です。

Re: 話題が私の意図とはずれてしまいましたが 投稿者:NS 投稿日:2013年 8月26日(月)17時53分46秒  
志賀さん

>> 位相に関しては、デジタルの巨頭と、スピーカーメーカーの巨頭の対談。1977年。

http://www.acoust.rise.waseda.ac.jp/publications/happyou/radio/radio-1977may.pdf
>
>これは面白い対談ですね。最後のページに書いてある、日本の巨頭Y氏が可聴帯域外不要論だったとはちょっと驚きです。位相歪みも検知出来ないとも断言していますね。だいぶ古い記事ですが今でもそうなんでしょうかね?

現在のデジタルの巨頭は、全人類の音響遺産に対して、以下のように考えが変化しています。

“文明人”の感性に頼って良いものか最近MPEG(Moving Picture Encoding Expert Group)など人間の聴覚や視覚特性を積極的に利用した音や映像の高能率符号化方法が数多く提案され,既にビデオCD やDVD − V 等の符号化に使われ始めている。これらの規格・標準化作業は当然いわゆる先進国主導で行われている。眼鏡や拡声器が当たり前の生活をして、知らず知らずのうちに聴覚や視覚が衰えてしまった,“文明人”の目や耳を使って高能率符号化を評価したり,方式を決定してしまってよいものであろうか。地球上には目や耳の優れた人々がたくさんいるはずである。新しいシステムこそこれらの人の力を結集して人間が本来持っていた優れた感性を満足する仕様にしなければならない。次世代オーディオが人々の英知と感性を結集して,優れた聴覚・視覚能力をも十分満足する符号化方法などが実現できれば,と期待している。

http://www.acoust.rise.waseda.ac.jp/publications/happyou/jasjournal/jas-1996.pdf

Re: 話題が私の意図とはずれてしまいましたが
投稿者:RS 投稿日:2013年 8月26日(月)22時17分19秒  
NSさん

http://www.acoust.rise.waseda.ac.jp/publications/happyou/bunken.html

は、論文のアーカイブですが、ご紹介されている論文はその中の社団法人電子情報通信学会信学技報 2006年(平成18年),3月
THE INSTITUTE OF ELECTRONICS, TECHNICAL REPORT OF IEICE
INFORMATION AND COMMUNICATION ENGINEERS

   [特別招待講演]文化の多様性を支える音響技術       山ア芳男‡
  †早稲田大学国際情報通信研究科

のことですか?

Re: 話題が私の意図とはずれてしまいましたが 投稿者:志賀 投稿日:2013年 8月27日(火)22時13分29秒
NSさん

> 現在のデジタルの巨頭は、全人類の音響遺産に対して、以下のように考えが変化しています。・・・・・

情報有難うございます。Y氏の意見、高ビットレートDSDの開発者として当然の意見だと思います。録音側に立てば、現在では安価かつ容易に使えるハイレゾ録音を利用するのは当たり前で、聴いて差がわからなくても、可聴帯域外の情報も記録しておくことはそれなりに意味があることだと思います。

ただ、ユーザーとして本当にメリットがあるのかどうかは別問題ですね。端的に言えば、同じソースをCDとハイレゾ規格で録音した音楽を厳密なブラインドテストで聴き分けられたという報告がない限り何ともいえないのではないでしょうか? これまで見られる報告では20kHz以上の成分をカットしても有意差が生じないというのがほとんどですね。例の電通大の報告でも1例有意差(p<0.05)が出ていましたが、被験者は17才の女性で、この場合も再試行をやると有意差が得られなかったようです。フォーマットの違いによる差もないようです。個人差があるとしても、少なくとも我々の年代のものが被験者になってもとても聴き分けられるとは思えません。

ただし、この実験では高音をカットするとき可聴域に影響を与えないように細心の注意を払っているようですが、実際には例えばサンプリングレートを落とす操作をすると可聴域に影響が出る可能性もあるんではないでしょうか? 有意差が出るとすれば,NSさんもおっしゃるように、こちらの方の可能性が大きいような気がします。

また、実際的には、市販のCDと一般に手に入るSACDやハイレゾ配信などのハイレゾソースを聴き比べると、やはり後者に軍配が上がる可能性は大でしょう。CDは規格に余裕がないことなど、いろいろな理由で音質のばらつきが大きく、ハイレゾソースはそれなりに注意深く作られているでしょうから当然だと思います。

私のささやかな経験では、優秀なエンジニアが関与した優秀録音のCDは決してハイレゾソースに劣るとは思えないのですが? まあ、これは主観の問題なので議論するようなことではないですが

Re: 話題が私の意図とはずれてしまいましたが 投稿者:TTB 投稿日:2013年 8月27日(火)22時45分13秒 志賀さん

>CDは規格に余裕がないことなど、いろいろな理由で音質のばらつきが大きく、・・・

色々な理由とは何でしょうか?

Re: 話題が私の意図とはずれてしまいましたが 投稿者:RS 投稿日:2013年 8月28日(水)08時40分17秒  
志賀さん

> ただ、ユーザーとして本当にメリットがあるのかどうかは別問題ですね。

私も、同感です。音響資料としての記録と一般消費者の「音楽を楽しむ」ための記録では必要とされる音響品質がおのずと異なるでしょう。

Re: 話題が私の意図とはずれてしまいましたが 投稿者:志賀 投稿日:2013年 8月28日(水)09時01分15秒 TTBさん

>>CDは規格に余裕がないことなど、いろいろな理由で音質のばらつきが大きく、・・・

>色々な理由とは何でしょうか?

これは難しい質問ですね。

市販のCDの音質のばらつきが大きい、というより、これはと思う高音質のCDには滅多にお目にかからない。というのが私の印象なんですが、TTBさんはいかがですか?

もしそうだとすると、低音質の原因を全てCDの規格の余裕のなさに押しつけることは出来ないでしょう。つまり、それ以前のソースにばらつきがあるということです。

となると、その原因を考える必要があるわけですが、これはあまりに多く、とりあえず「色々」といってごまかしたわけです。

以下は誰でも思いつく常識的なことですが、思いつくまま挙げてみますと、

まず、制作に関わった人の能力の問題。感性、技術力を含めてです。CDは最も一般的な手段なので、いろんな人が制作し、中には音質などどうでもいいという人もいるでしょう。

次に、用いた機材の問題。収録した場所の音響、マイク、録音機器、特にテープ録音の場合は劣化もあるでしょう。この辺りのことは、復刻版は別にして、最近の録音では問題ないかもしれません。

まだまだあると思いますが、これらが全てプラス方向にマッチして優秀録音盤が出来るんではないでしょうか?


Re: 話題が私の意図とはずれてしまいましたが 投稿者:TTB 投稿日:2013年 8月28日(水)19時13分52秒
志賀さん

私は志賀さんの見解がCDのフォーマットそのものに問題があると誤解していました。おっしゃる内容は私なりに理解していると思いますが、同感です。

> もしそうだとすると、低音質の原因を全てCDの規格の余裕のなさに押しつけることは出来ないでしょう。つまり、それ以前のソースにばらつきがあるということです。

そうですね、たとえばSACDであれば何でも音がよくなるというものではありません。その前のマスタリングされたもの次第ですよね。(ま、巷ではSACDだから音がよいと言っている方、あるいはそうPRしている製作者が多くいますが・・・)

> まず、制作に関わった人の能力の問題。感性、技術力を含めてです。

制作に関わった人の感性と言う箇所、まったく同感です。これには、ハードの良し悪しはあまり関係ないと思います。stereo最初期の録音に今聞いても悪く無い録音はかなりあります。私の経験している範囲では、たとえば

DECCA ショルティ/ウィーン 指輪
CBS ワルター/ニューヨークフィル 大地の歌
RCA ミュンシュ/ボストン サンサーンス 交響曲3番

等です。

これらはもう50年前以上の録音ですが、今聞いても(CDにリマスターされたものですが)素晴らしいものと感じます。もちろん、物理的特性、F特、Dレンジ、歪感、ノイズなどは最新録音には及ぶべくもありませんが、音楽の鑑賞には大きな支障はありません。

歴史を考えると、アナログ後期(70年〜80年)の録音は初期よりむしろ良くない物が多い、という印象がありますが、平均点で見れば、録音の品質、と言うか音質はハードの進化と共に良くなっていると思います。現在の録音はですから平均点で見ればいいとは思いますが、いいものが沢山増えたかと言えば、ちょっと疑問で、やはり最終的には製作者の感性によるものが大きいのではないでしょうか。

SACDとかハイレゾ・ハイビットといっても一番肝心なこれがないと、意味がないと思います。

Re: 話題が私の意図とはずれてしまいましたが 投稿者:志賀 投稿日:2013年 8月29日(木)10時22分50秒
TTBさん

> stereo最初期の録音に今聞いても悪く無い録音はかなりあります。

> 現在の録音はですから平均点で見ればいいとは思いますが、いいものが沢山増えたかと言えば、ちょっと疑問で、やはり最終的には製作者の感性によるものが大きいのではないでしょうか。

そうですね。私も初期のCDで結構いい音のを持ってます。例えば LONDON ショルティー/シカゴのマーラー交響曲3番などです。

古くはないですが、室内楽ではDENONのAliare シリーズなどいいですね。これを聴いてそれまであまり好きでなかった古楽器の良さに気づかされました。

管弦楽では Philips が出している小澤/サイトウ・キネンのCDなどは安心して聴けます。

これらは皆ほぼ同じスタッフが制作に携わっているようですね。

といっても最近はほとんどCDは買っておらず、家ではもっぱらBSの音楽番組を録画して聴いています。一度はまると映像無しではもの足りなくなります。

CDはiPodに取り込みもっぱら外で聴いています。


ハイレゾ配信 投稿者:NS 投稿日:2013年 8月30日(金)14時41分31秒  

まだまだいっぱい有ります。

http://www.rakuten.ne.jp/gold/dtc/topics/hightreso/index.html

ハイレゾ音源に意味はないか 投稿者:WT 投稿日:2013年 8月31日(土)20時44分57秒  

NSさんご紹介の「ハイレゾリューションオーディオの研究」や、NHK技研の論文も、ヒトには20kHz以上の超高域はまず聴こえないだろうと言う結果なんですが、自分としてはそれで片付いたとは思えないところがあります。

SACDが世に出た時にその音質がどう評価されたかというと、「なんとも芯のないぐにゃっとした音」「CDに比べてホールの空気感が感じられる」といったものが多数を占めました。私が雑誌やオーディオ系のサイトで読む限り、「CDより高域が伸びている」という評価を下した人は、ほぼ皆無でありました。

芯のない音、空気感があるといった評価は、実はSACDの初期において私も感じました。機器が違い、聞く環境が違っても、何故多くの人が同様の評価をしたのか。もし聞き分けることが出来ないのであれば、評価はバラバラにならなければおかしいはずです。やはり某雑誌でケーブルの評価を数人の評論家でやった記事を読んだ事がありますが、てんでんばらばらでした。同じケーブルについてある人は「高域が強調されている」と言い、別な人は「高域が下がっている」と評してました。これは聞き分けることが出来なかった左証でありましょう。

以上のことはSACDに関する事例ではありますが、ハイビットハイサンプリング音源についてもある一定方向の評価が多数を占めています。NSさんの仰るように、ビットレートの違いを聞き取っているのかもしれませんが、よくわかりません。

いくつかの論文ではハイレゾ、ハイサンプリング音源を聞き分けるのはほぼ無理だろうと言う結論ですが、まだもう少し研究してみる余地はありそうに思えます。

Re: ハイレゾ音源に意味はないか 投稿者:RS 投稿日:2013年 8月31日(土)22時08分11秒  
WTさん

> ハイビットハイサンプリング音源についてもある一定方向の評価が多数を占めています。 いくつかの論文ではハイレゾ、ハイサンプリング音源を聞き分けるのはほぼ無理だろうと言う結論ですが、まだもう少し研究してみる余地はありそうに思えます。

「無意味」と言っている人はいないのではないでしょうか。志賀さんや私のように「自分にとって必要ない」と思っている人は多いとは思いますが。

「ある一定方向の評価」というのがちゃんとしたブラインドテストでは出てきていませんが、まだ実験事例が少ないので研究の余地はあるでしょう。

Re: ハイレゾ音源に意味はないか 投稿者:WT 投稿日:2013年 9月 2日(月)11時04分3秒  
RSさん

>「無意味」と言っている人はいないのではないでしょうか。自分にとって必要ない」と思っている人は多いとは思いますが。

はい、そのように仰って頂いてます(笑)しかしハイレゾ音源が大多数の人に聞き分けられないとした上での「必要ない」という選択と、大多数の人が聞き分けられるとしたうえでの「必要ない」という選択では、かなり意味が異なってくるように思います。

 オーディオは趣味ですから(仕事の人もいるでしょうが)どこまでお金と時間を投資するかは、一人一人の価値観によるでしょう。100万円の現金を、すべてオーディオに使う人もいれば20万だけ使って残りは旅行に使うとか、カメラと半々に使う、あるいは海外の演奏会に行くとか、様々ですね。それでも違いがわかるかわからないかはオーディオを楽しむ上で、上記のような選択に大きな影響を与えるとは思います。

>「ある一定方向の評価」というのがちゃんとしたブラインドテストでは出てきていません。

そうなんですよね。私が読んだ某雑誌のケーブルの評価のように、皆てんでんばらばらな評価だったら、ただの気のせいで片づけられます。しかしハイレゾ音源は、私も含めた不特定多数の人の評価が申し合わせたように一定方向に偏ってます。でも科学的手法を用いた評価では差が出ない。このギャップを埋めるものが何なのかがわからないんですね。

Re: ハイレゾ音源に意味はないか 投稿者:RM 投稿日:2013年 9月 2日(月)23時02分44秒  
WTさん

難しく考えるまでもなく、これって典型的なプラシーボ効果の例だと思いますが。

ハイレゾ音源が対象だから、評価がポジティブ方向に偏っているだけで、対象が不可逆圧縮音源だったら、逆にネガティブ方向に偏るだけだと思います。

Re: ハイレゾ音源に意味はないか 投稿者:IRN 投稿日:2013年 9月 3日(火)08時52分34秒  

私は、ハイレゾをCDクオリティにダウンコンバートした弦楽四重奏曲で一人ブラインドテストをして効き分けられませんでしたが、ハイレゾ音源はやはり音が良く感じるので好んで購入しています。

ところが、先日LPで良く聴いていたミンシュ・パリ管の幻想交響曲が出たので早速購入したところ、これは残念な結果でした。

ハイレゾ音源とCD音源の違いは人の耳に聴こえない超高域が有る無しの問題ではなく、マスター音源の 24bit をCDの 16bit にする時のダイナミックレンジのための調整など別の原因ではないかと思っています。ハイレゾ=高音が出ている と考えると間違えるような気がしてなりません。

Re: ハイレゾ音源に意味はないか 投稿者:WT 投稿日:2013年 9月 3日(火)10時01分37秒  
RMさん

>典型的なプラシーボ効果の例だと思いますが。

SACDなどは「100KHzまで再生、可聴帯域120dBのダイナミックレンジ」とその性能を謳いあげておりました。単純なプラセボ効果であれば、そうした文句の刷り込みによってSACDを聞いた人の評価は、「CDより高域がすごく伸びている」「CDよりDレンジが広い」となるはずです。でもそんな評価をした人はほとんどいなかった。実際ふたを開けてみると「CDより音がソフト」「空気感がある」等、前宣伝からは想像しなかったような評価が多数を占めました。そこがプラセボ効果とは断じきれないものがあるんじゃないかと思うのです。それはハイレゾ音源も同じですね

Re: ハイレゾ音源に意味はないか 投稿者:RS 投稿日:2013年 9月 3日(火)14時06分9秒    
WTさん

> プラセボ効果とは断じきれないものがあるんじゃないか

確かに帯域制限により波形に異常が生じる可能性はあります。例えば、矩形波をフーリェ展開すると「ギプスの現象」と言われるオーバーシュートのような特異点が現れます。これは、帯域を無限大にすれば無限小(時間的に)の4点(1周期当り)となり無視できますが、可聴域に帯域制限する(フーリェ級数を途中までで切る)と可聴域内のオーバーシュートとして現れます。

帯域を可聴域のずっと上まで広げることにより、このオーバーシュートの主要周波数成分は可聴域外になると考えられます。

SACDなどのハイレゾ音源の音がCDの音よりソフトである原因がこれによるものかどうかは分りませんが、数学的な(理論的な)違いは生じているわけです。

SACDとケーブルの心理効果 投稿者:志賀 投稿日:2013年 9月 4日(水)11時12分12秒  

ハイレゾ音源についてのお話が続いていますが皆主観による意見や評論家の意見ばかりで特にコメントすることはないんですが、少し以前のRMさんの投稿

http://8317.teacup.com/shigam/bbs/6209

それに対するWTさんの返答

http://8317.teacup.com/shigam/bbs/6212

について、ちょっと興味があるのでコメントします。

確かに、「RM」さんのおっしゃる通りSACDの性能ははCDより高いので、プラセボ効果としては、表現はともかく、ほとんど全ての人にプラス方向に働くでしょう。それに対し、ケーブルの場合は、どのようなケーブルがいいのか、科学的な根拠がなく意見はばらばらです。当然プラセボ効果も一定方向に収斂せず評価もばらばらになるでしょう。

実は最近HPのケーブルの項を補強すべく「ケーブルの電磁気学」というページをアップしました。ただし、まだ未完成な部分があり本文にはリンスさせていません。少し難しいですが参考にして下さい。こちらです。


http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/13904emtheoryofcable.pdf

ここで標準ケーブルとして例示しているのは、ほぼ普通のACコードと同じ寸法で、20kHくらいではほとんど減衰しません。もし本当に聴いて違いがわかるとすれば、よほど変わった仕掛けが必要でしょう。

むしろ、価格と評論家などの総合評点の相関を調べると面白いことがわかるかもしれません。


Re: ハイレゾ音源に意味はないか 投稿者:NS 投稿日:2013年 9月 4日(水)16時52分7秒  

> こうした逸話は枚挙にいとまがないですよね〜。私も学生時代に現役のレコーディングエンジニアの先生から、ハイサンプリング録音にたずさわった時の事をききました。某ミュージシャンがプレイバックの音を聴いて、「こんなシンバルは聴いたことがない!」と驚いていたそうです。

>ただ、こういう話をいくら集めても科学的データにならないところがもどかしいですね。

色々な文献でのブラインドテストの方法がおかしいのではないかと思います。試験時間が1時間や1日そこらでは、短いのでは? 体調のこともあるし。

Re: ハイレゾ音源に意味はないか 投稿者:IRN 投稿日:2013年 9月 5日(木)08時27分14秒  
NS さん、おはようございます。

> ところで、IRNさん、どのようなダウンサンプリングソフトを使用したのですか?

soundengine というフリーソフトでダウンコンバートしました、以前UPしたリンクですが、実際の様子は以下のとおりです。

駄耳証明 ダブルブラインドテスト(二重盲検法) -- 2011.8.21
http://illuminum.cocolog-nifty.com/led_light/2011/08/post-e08e.html

なお、比較サンプルにシンバルなど打撃音は入っていないので、S/N面でかなり有利(ダウンコンバーと後に有利)な条件だと思います。

なお、後日談ですが、若い知人(30代:オーディオ経験は浅い)を招いてタンノイ IIILZ(自作箱:サブウーハー付き)にパイオニアのリボンツイーターを付けたスピーカーシステムで数回に聴き比べてもらったところ、24/196 と 16/44.1 の評価は 16/44.1 の方を良い音との印象を受けたとのことです。(統計手法ではありません、ソースを明かさず4回ほど聴いてもらった後の種明かし後の感想です。

Re: ハイレゾ音源に意味はないか 投稿者:志賀 投稿日:2013年 9月 6日(金)16時25分16秒    
IRNさん

ブログ読ませてもらいました。オーディオの科学も引用してもらって恐縮です。

ブラインドテストの体験談大変興味深く読ませてもらいました。実際こういうことなんだと思います。確かに違いが聴き取れたと感じて回答しても後で統計を取ると、当てずっぽうに答えた人と変わらない結果になってしまうということのようです。これと関連して、ブラインドテストに批判的な、ハイパーソニック効果(*脚注参照)の提唱者が書いた「音と文明」という本の関連部分を一部省略して掲載しておきます。

著者も高音をカットしても音質差としては感じられないことは認めているわけですが、いわゆるハイパーソニック効果についてはまだ評価が定まらないようですね。

大橋力著 音と文明p.444-446 より引用

「・・・・1980年前後、PCM方式によるデジタルオーディオの実用化に先だって、どの周波数までの高周波成分が音質に影響を及ぼすかを評価する実験が日本を中心にしていくつも行われた。その中に、日ごろ20kHz以上の超高周波成分の効果を認めそれを活用しているスタジオ・エンジニアたちを含む被験者群を使った厳密性の高い大規模な実験があった。世界的に権威を認められることになったその実験の結果は、音楽の中の高周波成分の有無が人間に音質差として検知されうる限界は14 kHz止まりであり、16 kHz以上の高周波成分の有無は人間には音質の差として感じられないというものだった。同じ目的のもとに・・・。これらが、初めて登場した民生用デジタルオーディオにおける標本化周波数の規格32 kHz、44.1 kHz、48 kHz の根拠になっている。

 これらの実験およびその結果と、それを背景にした専門研究者たちの姿勢は、実験の被験者になったとりわけ優れた感覚をもつ一部の真撃なスタジオ・エンジニアに対してその鋭敏な感覚を事実に反して否定するという作用を及ぼした。その結果、忍び難い悩みにつき落とされ体調を崩すといったまったく不当で深刻な悲しむべき事例さえ導いている。そうした状況に身近に接していた私は、論文に掲げられたデータが十分に整備された実験から導かれ権威ある理論に裏付けられた知見であることを承知していながら、この鉄壁の権威に疑義を呈しそれを実験的に検証しようとすることにほとんどためらいを感じることはなかった。・・・、20 kHz はおろか50 kHz をこえ200 kHz になんなんとする「知覚圏外の音」こそ己に固有の味創りのエッセンスであり、非言語性の内観として、その効果は自明の真実に他ならないからである。同時にそれは、ある種の感覚感性をもつスタジオ・エンジニアやミュージシアンたちとの問で「以心伝心」で共有された体験知でもあった。この実態を山城祥二と同じ生命体の中に棲む科学者大橋力から観ると、これほど自明な体験的事実を現行の研究手法が検出できないならば、それは、研究手法それ自体の限界の存在を視野に入れ、その克服を測らなければならないことを意味する。」

*ハイパーソニック効果

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/highlimit.htm#HPsonic

Re: ハイレゾ音源に意味はないか 投稿者:RS 投稿日:2013年 9月 6日(金)22時29分55秒    
志賀さん

大橋> 20 kHz はおろか50 kHz をこえ200 kHz になんなんとする「知覚圏外の音」こそ己に固有の味創りのエッセンスであり、非言語性の内観として、その効果は自明の真実に他ならないからである。

言い切っちゃってますねー。

実験方法を再検討しようということは合理的な思考ですが、このような書き方では科学とは違うものになってしまいます。

「内観として、その効果は自明の真実」

こんな言葉は科学者は普通使わないですね。実験方法を疑って掛かるけど、自分の内観は自明の真実と言い切るのではもはやオカルトです。

Re: ハイレゾ音源に意味はないか 投稿者:志賀 投稿日:2013年 9月 7日(土)07時33分49秒    
RSさん

> 大橋> 20 kHz はおろか50 kHz をこえ200 kHz になんなんとする「知覚圏外の音」こそ己に固有の味創りのエッセの真実に他ならないからである。

私もまさにご指摘の個所(さらに付け加えると「・・・真撃なスタジオ・エンジニアに対してその鋭敏な感覚を事実に反して否定する・・・」も)に強い違和感を感じました。著者はかなり思い込みが激しい方のようですね。情熱はともかく科学者としての資質に疑問を感じます。まあ、勢い余って筆が滑っただけかもしれなせんが?

Re: ハイレゾ音源に意味はないか 投稿者:RS 投稿日:2013年 9月 7日(土)09時59分7秒  
志賀さん

大橋> 「・・・真撃なスタジオ・エンジニアに対してその鋭敏な感覚を事実に反して否定する・・・」

そうですね。ここも???です。

> 勢い余って筆が滑っただけかもしれなせんが?

それにしても、科学者を標榜するなら「勢い余って」はいけません。

Re: ハイレゾ音源に意味はないか 投稿者:WT 投稿日:2013年 9月 7日(土)19時11分35秒  
志賀さん、RSさん

大橋> 20 kHz はおろか50 kHz をこえ200 kHz になんなんとする「知覚圏外の音」こそ己に固有の味創りのエッセンスであり、非言語性の内観として、その効果は自明の真実に他ならないからである。
※ RSさんの書き込みから引用)

私自身はこうした表現に対してさほど違和感を感じていません。著書のタイトルが、「音と文明」ですからエッセイみたいなものでしょう。個人的な思い入れを書いたのだと私は解釈しています。これが研究論文か何かの結論で書かれてたら、そりゃないんじゃないかと思いますが。

Re: ハイレゾ音源に意味はないか 投稿者:RS 投稿日:2013年 9月 7日(土)19時42分38秒  
WTさん

> 「音と文明」ですからエッセイみたいなものでしょう。

そうでもないようですよ。Amazonの「商品の説明」では
内容紹介
現代人が生きる都市の音環境は,現世人類が発祥した熱帯雨林と大きく異なる.自分には聞こえない音にこそ,脳への重要な働きがあるのだ.最先端科学が教えるところと,アフリカ,バリ島などで得た驚くべき音響工学的データにより,現在の音環境からの脱出が,文明を左右する重要課題であることを論証する.生涯をかけた渾身の労作.

内容(「MARC」データベースより)
「音の環境学」という新しい学問分野の創設を宣言した書。最先端科学技術を駆使して熱帯雨林の音やガムラン音楽が脳に与える活性を調べることにより、音響学の常識を打破し、アナログ世界の持つ本質的重要性を明らかにする。

となっています

Re: SACDとケーブルの心理効果 投稿者:RM 投稿日:2013年 9月 8日(日)09時56分7秒 WT様 志賀様

当方の先の投稿の本論部分については、志賀様が適切に補足して頂き感謝しております。これは本質的な話ではないので、書くべきかどうか少し悩みましたが、WT様がおっしゃられていた「ソフトな音」や「空気感」という声も、「SACDを聴いている」という認識の上で出てきたものであれば、そういうものが出てきても、別に不思議ではないかなというのが個人的な印象です。

誤解のないように申し上げておきますが、志賀さんがこのサイトで「ケーブルで音が変わる」という人の意見や体験について批判や否定をするつもりがないのと同様に、当方もWTさんやその他の方々の否定や批判をする意図はありません。また、記録やマスタリングという観点から見たハイレゾ録音の有用性について否定するものでもありません。

Re: ハイレゾ音源に意味はないか 投稿者:RM 投稿日:2013年 9月 8日(日)12時31分57秒  
RSさん

>> 色々な文献でのブラインドテストの方法がおかしいのではないかと思います。試験時間が、1時間や1日そこらでは、短いのでは?

> 多分、時間というより、意識的に何かを聴き分けようとすることによる心理学的な状態が聴覚に悪い?影響を与えているような気がします。

> 音のブラインドテストである、ということを隠してブラインドテストをすると、また違った結果になるかもしれません。


様々な分野の、匠とか名人と言われる人は、視覚、触覚、嗅覚、味覚のいずれの感覚を使ったものにせよ、短時間で集中力を高めて、シロウトではまるでわからないようなわずかな差異をも素早く見出します。

これは私の主観なんで科学的とはいえませんが、聴覚だけが例外になるとはちょっと思えません。これまで実施されてきた音響技術に関するブラインドテストには、当然多くの音響関係のプロも関与したものも含まれており、そこで「有意差なし」ということは九分九厘そうであろうと考えています。

ということでなかなか議論は収束しませんが、まとめの代わりに僭越ながら、私自身が議論の途中で投稿した意見へのリンクをを付けておきます。

この中でも述べているように、やはりブラインドテストでないと水掛け論になるばかりなので、以下に、これまでに見つけた学術的なレベルでのブラインドテストの結果をまとめて紹介しておきます。

  参考資料 ハイレゾとCDについてのブラインドテスト

1. ハイレゾリューションオーディオの研究

http://ir.lib.uec.ac.jp/infolib/user_contents/9000000355/9000000355.pdf

これは電通大に提出された博士学位論文で、かなり長大である。内容はpdfファイルの4枚目に書いてある日本語の概要を見てもらえば分かるが、通常の音楽ソースではフォーマット(48kHz 24bit、192kHz 24bit、2.8MHz DSD(SACD))による差は見出せなかった。

   

   2. Audibility of a CD-Standard A/D/A Loop Inserted into High-Resolution Audio Playback

http://drewdaniels.com/audible.pdf

アメリカオーディオ協会(AES)誌に掲載された報告で、英文でもあるのでアブストラクトを意訳すると、

「SACDおよびDVD Audio、いわゆるハイレゾ再生装置のアナログ出力をCD規格である 16bit 44.1kHzに変換する電子回路を通した音と、元のハイレゾプレーヤーの出力音とをABX法によるブラインドテストで比較し有意差の有無を調べた。被験者は、プロの録音技術者、学生、オーディオマニアなどを含む。再生装置としては、コンデンサースピーカーを含むいわゆるハイエンドシステムを使った。テストは一年以上に渡って行なった。その結果、通常の音量
(85dB SPL)で聴く限り、どのような被験者に対しても、どのようなシステムを使っても、CD音質とハイレゾ音の差は検出されなかった。ただし、CD規格では非常に音量を上げた(+20dB)ときのみノイズが聴こえる場合がある。」

なお、具体的なテスト結果は、被験者のトータルは554人で、正答者276名
(49.82% 以下276/554 と記す)、その内、オーデエンジニア 246/467(52.7%)、女性 18/48(37.5%)、15 kHz 以上の高音が聴こえる人 116/256 (45.3%)、14〜25歳の若者 116/254(45.3%) で、統計誤差範囲内でグループの違いに関係なく有意差無しという結果であった。

   3. 24-Bit vs. 16-Bit Audio Test - Part II: RESULTS & CONCLUSIONS

http://archimago.blogspot.jp/2014/06/24-bit-vs-16-bit-audio-test-part-ii.html

これはネットを利用したブラインドテストで、比較するのは96Hz-24bitのハイレゾ音源と、これにディザを付けて16bit にダウンコンバートした後、再び24bitに戻した音源をネット上に公開しブラインドでどちらであるかを当ててもらうという方法。

結果は最後の方に書いてある


In a naturalistic survey of 140 respondents using high quality musical samples sourced from high-resolution 24/96 digital audio collected over 2 months, there was no evidence that 24-bit audio could be appreciably differentiated from the same music dithered down to 16-bits using a basic algorithm (Adobe Audition 3, flat triangular dither, 0.5 bits).

のように、区別出来るという証拠は得られなかった。

このようにブラインドテストでハイレゾとCDを聴き分けた例は見当たりませんでした。

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