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ダブルブラインドテスト

機器の音質を客観的に評価するにはブラインドテスト(出来ればダブルブラインドテスト)が不可欠である。ここでは、ダブルブラインドテストの説明一人で出来るダブルブラインドテストの方法ダブルブラインドテストの実施例を紹介する。その間に話題になったギターケーブルの音についても収録している。

ダブルブラインドテスト 投稿者:PKP 投稿日:2012年 4月10日(火)13時49分0秒  
質問です。

ケーブルを変えても音が変わらないというのは

1.人間が変化に鈍感、心理的作用で気づかないだけなのか、

2.ケーブルを変えても、周波数特性等、データとして収集しても変化しないということなか。

どちらでしょう?

Re: ダブルブラインドテスト 投稿者:KZM   投稿日:2012年 4月10日(火)21時32分32秒  
PKPさん

順を追って考えればわかります。

ある物理的条件を変えたとき(今回はケーブルを変えた)、例えば温度の影響によりわずかでも銅線の抵抗値が変わっていれば、本来は何かしらの違いが見えてもよいはずです。
しかし、測定器の感度不足や、その他の要因によって条件の差が埋没してしまうと、測定器では捉えることができなくなります。

そのようなときにも人間は変化を感じることがあります。そこで、変化を感じたことは思い込みでなく外界からの刺激によることを裏付けるために、ダブルブラインドテスト等により思い込みの影響を排除します。その結果やはり差を検出できなかったとすれば、変化を感じたことは思い込みだったと結論づけられます。

すなわち、この問いの答えは1と2の二択ではなく、1と2を合わせたものです。

・人間も測定器も、感度不足により物理的な差を捉えられなかった(鈍感)。
・さらに人間は思い込みのバイアスにより間違った結果を出すことがある。(心理的作用)

人間は時として、測定器よりも高感度な測定ができることがあるのは事実です。しかし、人間が本当に測定対象を正しく捉えているかをよくよく吟味しないと、せっかくの高感度を活かせません。人間測定は感度は高いが精度は低いと理解すると、いろいろな場面で役に立つと思います。

Re: ダブルブラインドテスト 投稿者:志賀 投稿日:2012年 4月11日(水)15時00分56秒PKPさん

KZMさんのいわれる通り、この二者択一では答えられません。

具体的にケーブルについていうと、

周波数特性については、例えば


http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/cableexp.htm

ここに示したように、自己インダクタンスや表皮効果で高域で減衰が生じますが、それは30mもの長いケーブルでも20kHz以上で、数mのケーブルでは20kHz以下の可聴周波数帯では完全にフラットといえます。歪みなどは人が感じるとされている1% より遙かに小さく、ケーブルを変えることによる音質の変化は考えられません。

それにもかかわらずケーブルで音が変わるという人がたくさんいることも事実です。これは、雑誌などで喧伝されている「オーディオ界の常識」が頭にしみこんでおり、変わると信じて聴くと実際に変わって聴こえるということです。こういう現象は最近の心理学や脳科学では至極当たり前のこととして知られています。

そこでブラインドテストをやるとどうなるか? ご存じの通り有意差は出ません。

ここで注意する必要があるのは、有意差が出ないということは、ブラインドで聴くと被験者が差を感じなくなってしまうのでなく、差を感じてAかBと答えているのにも関わらず正解とは関係なく、当てずっぽうに答えたのと同じ正答率50%前後となってしまうということです。

すなわち、差を感じても聴き分けられているわけではないということです。

ちなみにここでいうブラインドテストとはABX法のように、銘柄を当てるテストでなく、差が聴き分けられているかどうかのみを調べるテストのことです。

具体的には


http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/abx.htm

こういった方法です。

(無題) 投稿者:PKP 投稿日:2012年 4月11日(水)19時04分41秒  
KZM  さん 志賀さん、

詳しい説明ありがとうございます。もやもや感はまだ少しありますが、だいぶ解消されました。自分はオーディオマニアではありませんが、曲を作ったり録音したりしています。

これはスピーカーケーブルでの実験ですが、例えば、楽器用ケーブル(ギター用とかベース用とか)はよく音質比較がされます。スピーカーケーブルは当然フラットでしょうが、楽器ケーブルはフラットに作られてないということでしょうか?自分は楽器ケーブルはフラットではなく銘柄、型番ごとに周波数特性等が違うんかな?と思っております。でも、言葉だけで、このケーブルはこんなだ!というデータは見つけることができませんでした。実は楽器ケーブルも思い込み???なのかな、と。ちょっと疑心暗鬼です。

この話題についての応答は文末へ

一人で出来るダブルブラインドテスト

ダブルブラインドテストに関して 投稿者:OM 投稿日:2012年 5月 9日(水)00時04分56秒  

試験者も被験者も答えを知らない状態であれば、ダブルブラインドテストと呼べると解釈していますが、問題は無いでしょうか?

第1のブラインドは、被験者の思い込みを排除するためで、被験者に真偽を知らせないこと。

第2のブラインドは、試験者の挙動で被験者が真偽を知ってしまうことを防ぐため、直接の試験者にも真偽を知らせないこと。

ブラインドが2つなので、ダブルブラインドテストと呼ばれていると思っています。

私のダブルブラインドテストの解釈が正しければ、大半のCDプレーヤーに付いている「ランダム選曲ボタン」を使えば、簡単にダブルブラインドテストが実行できそうだと思われます。

1)まず、サンプルを焼いたCD−Rを準備します。
2)例えば、同じ曲を12Bit,13Bit,14Bit,15Bit,16Bitでビット制限を行った音源をCDに焼きます。
3)目をつぶって、「ランダム選曲ボタン」を押します。
4)ビット数(勿論、対応する曲順でもOK)を決めたら、目を開けます。
5)曲順が表示されているので、その曲順とビット数を紙に書きます。
3〜5を繰り返すのですが、肝心なのは、一度止めてから目をつぶって「ランダム選曲ボタン」を押すことです。

最初だけ「ランダム選曲ボタン」を押して、「ランダムだから」と続けるのは、テストになっていません。多くのCDプレーヤーの「ランダム選曲ボタン」は、既に演奏した曲を省きます。つまり、最初に目を開けた時の曲順が1であった場合には、それ以後は「曲順1は無い」ことを被験者が知ることになります。

このテストを行うことで、自分がどの程度のBit数まで聞き分けができるかを判定することができます。

この例では必要Bit数でしたが、歪率を変えたCDや、真空管特性とトランジスタ特性の歪を持たせたCDを用意することで、様々なテストが可能だと思います。

Re: ダブルブラインドテストに関して 投稿者:IMA 投稿日:2012年 5月 9日(水)06時19分55秒  
OMさん

> 試験者も被験者も答えを知らない状態であれば、ダブルブラインドテストと呼べると解釈していますが、問題は無いでしょうか?

⇒キーオープンまで誰も(本人も)結果を知らない事になりますのでダブルブラインドテスト と解釈して問題は無いと思います。

 OMさんの方法は、連続して聞き取りを行いますので、
  @音量が同一である。(等ラウドネス曲線の影響を受けない)
  A頭の位置(耳)が一定である。(音の干渉の影響を受けない)

 のでブラインドテストの信頼性が高まると思います。

Re: ダブルブラインドテストに関して 投稿者:OM 投稿日:2012年 5月 9日(水)08時20分12秒  
IMAさん

>キーオープンまで誰も(本人も)結果を知らない事になりますのでダブルブラインドテスト・・・

説明が甘くて、申し訳無いです。「CDプレーヤーの表示する曲順とサンプルの対応=キー」がオープンされている状態であっても、ダブルブラインドテストが成り立つと思っております。もし、キーを秘密にしないとならないのであれば、他人にCDを焼いて貰わないとならなくなります。しかし、キーを知っていてもダブルブラインドテストが成り立つのであれば、自分自身でテストができます。

勿論、目を開けるまでは「これは16Bitで間違いない」でも目を開けた瞬間に「いやいや12Bit,12Bit,12Bitに決まってるやん」とする人はいてます。でも、そんな人をほったらかしにするなら、キーがオープンでも大丈夫なはずです。(そんな人は、どれほど明らかな事実を目の前に持ってこられても「自分の耳は良い」と言いますので、相手するだけ時間の無駄です。)

曲順とサンプルの対応がわかっていても、試験者も被験者も「目を開けるまでは曲順を知らない」ので、ダブルブラインドテストになると思っております。
いかがでしょうか?

Re: ダブルブラインドテストに関して 投稿者:IMA 投稿日:2012年 5月 9日(水)23時06分20秒  
OMさん

⇒目をつぶって「ランダム選曲ボタン」を押し、試験者も被験者も「目を開けるまでは曲順を知らない」のですから、ダブルブラインドテストは成立すると思います。


Re: ダブルブラインドテストに関して 投稿者:志賀 投稿日:2012年 5月10日(木)12時05分12秒    
OMさん

> 私のダブルブラインドテストの解釈が正しければ、大半のCDプレーヤーに付いている「ランダム選曲ボタン」を使えば、簡単にダブルブラインドテストが実行できそうだと思われます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
> このテストを行うことで、自分がどの程度のBit数まで聞き分けができるかを判定することができます。


このご提案、ダブルブラインドテスト(DBT)という条件はクリアしていると思いますが、色々問題がありそうです。

まず、比較の対象を2種類以上にするのはハードルが高すぎます。例に出されたビット制限についていえば、仮に変わったと感じてもそのビット数まで当てるのは至難の業と思います。このような場合、有意差の有無を統計的に判定するのが難しく結論が出にくいのではないでしょうか? やはり音質差を調べるにはABXテストがよく考えられた方法だと思います。


http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/abx.htm

以下この方法に従うとして、人の手を借りずにDBTを行うための提案です。

まず、ランダム選曲機能は同じ曲は2度選択されないという条件が入っているならランダムという条件を満たしません。なぜなら、AとBの比率が初めからわかっている場合、その比率に応じて曲が現れるはずだというバイアスがかかります。

そのため、A,Bの比率も被験者にわからないようにする必要があります。例えば数枚のCDに乱数表に基づき総数が同じになるよう(出来れば20個ほど)A,Bを焼いて置き、そのCDの番号をシールで隠しておきます。

この複数のCDを十分シャッフルして1枚を選択しCDに掛けます(ランダム選曲機能は使う必要は無い)。テスト後シールをはがし、作った時のリストと比較し正答率を求め有意差の有無を調べます。

A,Bをどのビット数にするかについていろいろな組み合わせが考えられ、結構面倒ですが人の手を借りることが出来ればもっと簡単になると思います。


また、IRNさんがやられたように、完全ランダム再生機能のあるパソコンソフトを使い表示をビデオで撮っておくというのもいいですね。

いかがでしょう?

Re: ダブルブラインドテストに関して その2 投稿者:志賀 投稿日:2012年 5月10日(木)14時56分37秒    
OMさん,皆さん

先ほど、OMさん提案のDBTの簡便な方法について色々問題点を指摘しましたが、別の観点からみると、特定の対象について面白い使いかたが出来るのではないかということに気がつきました。

具体的な例としてビット制限を取り上げます。この場合、CD規格は十分高音質であると仮定し、ビット数をどこまで下げたら、音質が劣化するかのみに注目します。

初めに高音質のCDをよく聞き込んでおきます。その後で、例えば 10Bit,12Bit,14Bit,15bit、16Bit 程度のかなり極端にbit数の小さいサンプルも交え、ご提案の方法でテストをします。ただ、答えは何bit であるかを当てるのでなく、最初に聴いておいた正規CDの音質に比べ、「変わらない」、「変わる」(当然劣化ですが)のみを答えます。 それを集計し、あるビット数を境に劣化の傾向がはっきりすれば、その被験者が聴き分けることが出来るbit数が推定できるというものです。


仮にその閾値が14bitであったとすると、16bit のCDで十分だということになると思います。

なお、bit制限や歪みを加える音源をシミュレートするソフトはOMさんの了解を得たら私のHPで公開させていただきます。

Re: ダブルブラインドテストに関して 投稿者:OM 投稿日:2012年 5月10日(木)21時00分29秒  

>具体的な例としてビット制限を取り上げます。

元々は、何かを明らかにしようと思って作ったソフトウェアではなく、ビット制限などで「自身の限界を知る」ための設計しております。

>正規CDの音質に比べ、「変わらない」、「変わる」(当然劣化ですが)のみを答えます。

この使い方をして貰おうと思っておりました。

しかし、

>OMさん提案のDBTの簡便な方法について色々問題点を指摘しました

私の方も、面白い使い方ができることに気がつきました。

こちらの方は、「今から文章を書いて、今日中にアップできるかな?ソフトの開発は、日曜日まで無理かな?」な状態ですので、取り敢えず、ビット制限や歪率の聞き分けに使えるソフトウェアを公開しましょうか。

>bit制限や歪みを加える音源をシミュレートするソフトはOMさんの了解を得たら私のHPで公開させていただきます。

お手数をお掛け致しますが、よろしくお願い致します。

−−−−−−ソフトウェア注意点
Wav形式(44.1kHz 16Bit Stereo)しかサポートしません。
Windows Media PlayerでCDからリッピングした場合には、WMP独特のファイル形式になりますので、サポートしておりません。
iTunesでリッピングするか、WMPのWavファイルをAudaCity等で読み込んで、別名でセーブしたファイルをご利用下さい。

Re: ダブルブラインドテストに関して
投稿者:OM 投稿日:2012年 5月10日(木)22時18分15秒  
志賀さん、IRNさん

>完全ランダム再生機能のあるパソコンソフトを使い表示をビデオで撮っておくというのもいいですね

これこそ、PCにさせてしまえば良い仕事です。

こんなソフトは如何でしょうか?

1(後述).比較する2つの曲を決定する。
2(PC).2つの曲(例えば、AとB)をランダムに選んで、1〜10、ないしは、1〜20の番号だけを付けたファイルを作成する。
3(人間).CD−Rに焼く。
4(人間).CDを再生して、「曲1>A」「曲2>B」「曲3>B」の様に、紙に書いて残す。
5(人間).ソフトウェアを起動し、各曲に対してどちらを選んだかを入力する。
6(PC).採点結果(笑)を表示する。

【曲の決め方】
A.比較する曲を自分で決める場合
「俺は、24Bitが必要だ!」って方は、元ファイルと14Bitにビット数を制限したファイルを選びます。
「歪が0.01%を超えるのはオーディオ製品じゃない!」って方は、元ファイルと歪率1%のファイルを選んでみて下さい。

「真空管のアンプは、歪が柔らかいけど、トランジスタは嫌な歪」って思っている方は、真空管の25%歪のファイルとトランジスタの25%歪を聴き比べると面白いです(ええ、25%です。2.5%でもなければ、ましてや0.25%ではありません。)。

回答は、曲Aと曲Bになります。
B.原音と劣化音源のペア作る場合
ビット数制限(10〜15Bit)、三極間特性の歪(1〜10%)、指数関数歪(1〜10%)、フェーズシフトからランダムに選んだ劣化音源と原音をペアにします。
回答は、原音と劣化音源になります。
C.テーマ別の場合(別名:違いの分かる男)
「俺は、違いの分かる男だ!」と宣言します。
PCからの質問に答えます。
「16Bitと14Bitでは、16Bitの方が良い音である(Y/N)」
「真空管とトランジスタなら真空管の方が良い音である(Y/N)」
「歪率5%と歪率15%なら歪率5%の方が良い音である(Y/N)」
PCは、違いの分かる男(笑)なら、区別ができるはずの音源を用意します(例えば、真空管25%歪とトランジスタ25%歪)。

回答は、良い音と悪い音になります。

Cは、質問を上手く設計することができれば、非常に面白くなります。しかし、相当に難しいと思われます。

Re: ダブルブラインドテストに関して 投稿者:志賀 投稿日:2012年 5月10日(木)22時22分24秒    
OMさん,皆さん

>>bit制限や歪みを加える音源をシミュレートするソフトはOMさんの了解を得たら私のHPで公開させていただきます

> お手数をお掛け致しますが、よろしくお願い致します。

それでは、OMさんが作られたシミュレーションソフトのソースと使い方を紹介します。

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/distortion.htm#simulation

ここからダウンロードして使ってみて下さい。

ダブルブラインドテストの実施例(ブログ)

Re: ダブルブラインドテストに関して 投稿者:IRN 投稿日:2012年 5月 9日(水)08時31分54秒  

志賀先生、皆さま、はじめまして IRNと申します。

いつも拝見し勉強させて頂いておします。いつも有用な情報をありがとうございます。

さて、私も一人ブラインドテストを、以下のブログに記したような方法で行ってみました。

http://illuminum.cocolog-nifty.com/led_light/2011/08/post-e08e.html

方法は、ハイレゾ音源とCDクオリティの音源を各5曲ずつ計10曲をPC上の foober2000 のプレイリストに入れ、ランダム再生し、そのPC画面をパナソニックLX3というデジカメのムービーで撮影し、テスト中は自分では何が再生されているか分からない状況とし、そこで記録した自分の答え(直前に再生したものと同じか違うか・・・便宜的にAとBとに書き分けています)とその後ムービー再生して得た正解の記録とを比較するというものです。(ちょっと1曲が長すぎましたが・・・)

この時の結果は駄耳証明となりましたが、wav 以外のハイレゾ音源を加工できるソフトが見つかれば他の音源でも試してみたいと思っています。年齢不詳で通していますが、オーディオ歴は40年以上でこの年齢の影響が(個人差)が強く影響していると感じています。若い人なら違いを聴き分けられるかみしれませんね。28の息子にテスト参加をオハーしましたが、拒否されてしまいました (^^;

Re: ダブルブラインドテストに関して 投稿者:志賀 投稿日:2012年 5月10日(木)11時53分58秒  
IRNさん

ブラインドテストのブログ興味深く読ませていただきました。ABX法の典型的な適用例ですね。

人手を借りないため、パソコン画面を被験者が見えないようにしてビデオを撮っておくというのはいいアイデアですね。いただきです。

またブラインドの被験者が、どのように感じながら回答をしているかの記述も大変興味深く読ませていただきました。

なお、結果については私の思っていた通りです。十分注意深く作られた高音質のCDであればCD規格内でも、それ以上のハイレゾ録音とくらべて遜色ない音質が得られ、ブラインドで比較しても聴き分けできないだろうと思っています。特に、成人以上の年齢では。


Re: ダブルブラインドテストに関して 投稿者:IRN 投稿日:2012年 5月12日(土)22時23分5秒  
志賀先生、OMさん、ほか皆さん、こんばんは。

拙ブログへのご訪問ありがとうございました。

このテストで事前に一番注意した点は、使用した DAC に入力形式を示すインジケーターが無いため、音源はたしかに 24bit/192Hz で DAC もそれに対応していますが USB から正しく出力できているかという点でした。パソコンの設定でどこかにミスがあると どこかで 16/44.1 などにダウンコンバートされてしまうからです。

そのため、ブラインドテストは自分でメインのシステムと呼ぶ方で行いましたが、それとは別のサブシステムで使っている DAC が入力形式に応じて LED が点灯し 14/44.1、24/96、24/192 などが分かるため、そちらであらかじめ ASIO ドライバー動作時に USB から 24/192 が出力されていることを確認し、本番時でも経路を入念に確認し問題が無いとして行いました。(普段はあまり頓着せず聴いていますが、何かの操作時や別の DAC を接続したときなどをきっかけに設定が予期せず変更されていることがあるからです)

なお、インジケーターなしの DAC でテストを行ったのは、そちらのグレードが高いので違いが分かる可能性が少しでも高いのでは、という理由です。

ギターケーブルの音

(無題) 投稿者:PKP 投稿日:2012年 4月11日(水)19時04分41秒  
KZM  さん 志賀さん、

詳しい説明ありがとうございます。もやもや感はまだ少しありますが、だいぶ解消されました。自分はオーディオマニアではありませんが、曲を作ったり録音したりしています。

これはスピーカーケーブルでの実験ですが、例えば、楽器用ケーブル(ギター用とかベース用とか)はよく音質比較がされます。スピーカーケーブルは当然フラットでしょうが、楽器ケーブルはフラットに作られてないということでしょうか?自分は楽器ケーブルはフラットではなく銘柄、型番ごとに周波数特性等が違うんかな?と思っております。でも、言葉だけで、このケーブルはこんなだ!というデータは見つけることができませんでした。実は楽器ケーブルも思い込み???なのかな、と。ちょっと疑心暗鬼です。

Re: (無題) 投稿者:志賀 投稿日:2012年 4月12日(木)22時07分22秒    
PKPさん

> 例えば、楽器用ケーブル(ギター用とかベース用とか)・・

ケーブルだけで聴いて違いがわかるほど周波数特性を変えるのは難しいですよ。ただ、私自身は使ったことがなく、どんな構造なのか、長さはどれくらいなのか、受け側の入力インピーダンスはどうなのか、といったことも知らないので何ともいえません。

詳しい方フォロー願います


Re: (無題) 投稿者:KZM   投稿日:2012年 4月13日(金)23時19分6秒  
PKPさん

>楽器ケーブルはフラットに作られてないということでしょうか?

エレキギター用の出力ケーブル(いわゆるシールド)は、再生機器よりもかなりハイインピーダンスで出力することが多く、受け側もそれを想定して1MΩなどのハイインピーダンス入力になっています。

伝送線路全体がハイインピーダンスですので、構造や線間容量の影響を受けやすく、条件によっては高域が落ちることがあるかもしれません。また、頻繁に抜き差しするので端子の劣化が早く、状態の悪さに気づかずに使っていると何かしら問題が出ることもあります。

意図してフラットに作られていないというよりは、場合によりそうなってしまうことがあると解釈できます。

Re: ダブルブラインドテスト 投稿者:OM 投稿日:2012年 4月15日(日)10時14分26秒  

エレキギターのピックアップの周辺を電気的に表現すると、下の図になります。数式が邪魔くさくなるので、ピックアップ内部のコイル成分は無視させて下さい。なお、ケーブルやアンプ内にもコイル成分が有るはずですが、こちらは、通常(よほど妙な設計をしない限り)無視できます。
 
ケーブルのコンデンサは、大体60~100pF/mぐらいで、ギター用のケーブルだと短い場合で1.5m、長い場合には10mぐらいだと思いますので、100pF〜1000pFの範囲になるはずです。
アンプは設計によって大幅に変わりますが、10pFを割っていることは無いと思います。ギターを引くことで生じた電圧v1が、アンプに入るまでに色々とあってv2になってしまいます。このv2を増幅していくので、v1とv2の間の関係を見れば良いことになります。

間の数式をぶっちぎって結論を書くと
v2 = (r2 + 1/(2πf(c1+c2)))/(r1+r2 + 1/(2πf(c1+c2))) v1
となります。
周波数(f)が数式に入っているので、周波数の関数になることがわかって頂けると思います。ケーブルのc1が、c2との足し算になっていることに気づいて頂ければ、お話は終わりです。

もし、c2が小さい場合には、ケーブルのコンデンサが音質を支配します。逆に、c2が大きい場合は、ケーブルのコンデンサの影響は、相対的に小さくなります(それでも効くと思います。)。

結論としては、
1)エレキギターの音質は、ケーブルによって変化する。
2)しかし、質よりも長さの方が影響が大きい。
3)アンプの構造で音質が変化するが、ケーブルの影響の出方も変化する。
最終)ピックアップ・ケーブル(主に長さ)・アンプの組み合わせで、音質が変化する。
となります。

>言葉だけで、このケーブルはこんなだ!

そんな言葉を信じることよりも、私の書いた結論を信じるよりも、何より自分で試してみることです。

「最高の音質」などの美辞麗句に騙されて、高いだけで効果のないケーブルを買うのは、単なる無駄です。しかし、「ケーブルの質は関係ない」と書いてますが、もしかしたら、本当に質が関係しているかもしれない。その場合、「ケーブルの質は関係ない」と思い込んで聴いてしまうと、折角の良い音を逃してしまうかもしれない。

「自分の耳を信じる」ことが何より大事やと思います(まさにダブルブラインドテストをすれば良いです。それで良いと判断できるケーブル、ないしは、ケーブルとアンプの組み合わせがあるなら、それを選択すれば良いと思います。)。

志賀注 「自分の耳を信じる」ことが何より大事やと思います
この一文は括弧内の注釈文を読まないとメーカーに踊らされているマニアの言い分と同じなので誤解を招きますね。OMさんほ百も承知のことだとは思いますが。


ケーブルも含めてアンプで、このぐらい音が変わります。

http://ameblo.jp/haradayukinori/entry-10903836860.html

これですが、インピーダンスを合わせたからハイ落ちが無くなったんじゃなくて、エレキギター専用のアンプを持ってきたからハイ落ちが無くなったと解釈すべきやと思います。

もし、私が、アンプを設計するなら、インピーダンスマッチングなんて完全に無視して、下の図の回路を使うと思います。

これで、ケーブルの影響を相当に低減できるようになります。

Re: ダブルブラインドテスト 投稿者:OM 投稿日:2012年 4月15日(日)12時50分46秒  

あ〜〜あ、数式間違えてしまいました。本質的な議論に違いは無いし、コイル成分を無視した時点で精密に式を出しても仕方ないので、ほったらかします(笑)。

>エレキギター専用のアンプを持ってきたから

ちょっと言い方が曖昧でした。「ハイインピーダンス受け=エレキギター専用入力」なんで、インピーダンスマッチングって言葉が先行してますが、実際には、「エレキギター専用アンプ」ってのがキモだと思います
とするオーディオ・ビデオ信号用電線。


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