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聴覚の特性

オーディオマニアはダイナミックレンジの圧縮(コンプレッション)や混変調歪みなどの非線形歪みを嫌うが、実は人間の耳の特性はコンプレッション効果や非線形性が組み込まれているという話。前半は耳小骨反射といい、大音響が入ってきたときの防御作用、後半は耳音響放射という、微小信号を聴くとき耳の感度を上げるための一種の機械的フィードバック作用の副産物のようである。

   耳小骨反射

Dレンジとリミッター 投稿者:WT 投稿日:2012年 2月16日(木)13時55分34秒  
NJさん、NSさん、志賀さん

ちょっと脱線気味の話ですが・・・。

耳の機能について調べてましたら偶然、耳小骨反射というのを知りました。いくつかのサイトを調べましたら、人間が大きな音(おおむね90dB〜100dB以上)の連続音(40ms〜160ms以上)を聞くと耳小骨を取り巻く筋肉が収縮し、蝸牛への伝達を制限するそうです。繊細なつくりの内耳の有毛細胞にダメージを与えにくくする為の反射だそうです。

簡単に言ってしまうと、これはリミッターですね。つまり私達は大きな音を聞いているときはリミッターを通して聞いているわけです。オーケストラ等、大きな音を出す音源を小さな音で再生、聴取した場合に違和感を感じるのは、この耳のリミッターが動作しない事が一つの原因であると考えられるのではないでしょうか。

近年、デジタル録音が当たり前になって録音側のDレンジは非常に大きくなりましたが、再生側における最大再生音量は大して変わっていません。110dBもの音圧を家庭内で再生できる人は、環境や機器の制限があってほとんどいないはずです。

つまり再生音量が原音よりも小さい場合は、リミッターをかけてあげたほうが聴感上は生で聞いた感じに近くなると言う事です。例としては、花火、爆竹などの音はそのまま録音再生すると非常に生音と乖離した音になります。しかし、コンプレッサーをかけて再生すると、生で聞いた印象にずいぶん近づきます。

言い方を変えると、私達オーディオマニアが嫌うリミッター/コンプレッサーは、再生音量が生より小さい場合は使った方が聴感上、生音に近づくということです。こうした考え方は、高忠実度再生とは何かという根本的な問題になりますが、こうした人間の耳のメカニズムの面からもDレンジや再生音量を考える必要があろうかと思った次第です。

WTさん 投稿者:NJ 投稿日:2012年 2月16日(木)16時57分47秒
   
>こうした人間の耳のメカニズムの面からもDレンジや再生音量を考える必要があろうかと思った次第です。<

その通りです。ただ、それについて音響工学ではラウドネス特性のことしか触れておりません。何か良い本は有りませんかねえ。

Re: Dレンジとリミッター 投稿者:NS 投稿日:2012年 2月17日(金)00時10分29秒 WTさん

> 言い方を変えると、私達オーディオマニアが嫌うリミッター/コンプレッサーは、再生音量が生より小さい場合は使った方が聴感上、生音に近づくということです。こうした考え方は、高忠実度再生とは何かという根本的な問題になりますが、こうした人間の耳のメカニズムの面からもDレンジや再生音量を考える必要があろうかと思った次第です。

うーん、書いていらっしゃる事は経緯、発展の歴史からすると逆とおもいます。また花火、爆竹の再生例を用いた考察も逆とおもいます。

録音盤や磁気テープを使っていた時代は、自然界のダイナミックレンジが非常に大きいのでそれらしく聞こえるようにリミッター/コンプレッサーを使ってなんとか収めた。この録音部分ですでにダイナミックレンジの情報は失われています。そのようなソースを使った再生だったので小さい音を聞きやすい音量、すなわちフレッチャー・マンソン、もしくはラウドネス曲線でいえば、高音低音が豊かに聞こえる音量範囲で聞けた,または聞いたと言うことです。ff時のピークを磁気飽和を利用してソフトにつぶし、ppを少しレベルを上げて録音する。ですから、これが生音に近いと言うのとは違います。だって、ピークをつぶして聞きやすい平均音量に上げて加工しているのですから。それらしく心地よい領域に鳴らしているにすぎない。

生音に近いと言うのならば、音量も同じにすべきだとおもいます。リミッター、コンプレッサーのエフェクターも目的は同じですが、実際の磁気テープ録音の磁気飽和は偶然にも聴感上分かりにくいリミッター、コンプレッサーになっていたわけです。ですから、平均音量が上がるから、耳に心地よい領域で再生される。(だからアナログはデジタルよりも音質がよいと誤解される。)

例に出されている花火、爆竹の音がショボイのは実音量で再生していないからではないでしょうか。そういう場合はリミッター、コンプレッサーを掛けずに再生側のボリュームを大胆に大きくする、実音量相当にするのが本当ではないでしょうか。そうすれば、聞いた時と同じラウドネス特性に耳が聞こえていますから、本物と遜色が無いように聞こえるはずです。

この10年間で安価にようやくダイナミックレンジがそのままに入る記録ができるようになったのですから、その再生に挑戦しようというのが音基地外のサガです。
しかし、ほとんどの場合、聞く人も含めてさまざまなのですから、最低の装置でそれらしく鳴らしてもらうという事を前提に市販メディアを作っているという事も知っていなければなりません。

そういうことだから手に入る市販品はある程度見限って、わたしは生録に精を出しているわけです。こういうことをやり始めてナマのダイナミックレンジのすごさが身に沁みます。

前にも書きましたが、ダイナミックレンジをそのままに他人に渡すと、音量が小さいといわれる事があります。そのときは音量を大きくしてほしいと言います。苦情をいう人の話を聞くと、ラジCDのような小さい再生機でならしているのですよ。これはどうやっても無理です。出力は最大2000mW!というような機械では実Dレンジが入ったソース再生は無理なんです。そのときは、いいオーディオ機器をそろえるか、よいイヤホンで聞いてくださいねというしかないのです。

このごろは、説明するのが面倒なので、渡す時は曲ごとに音量を調整しています。つまり、1公演内で編成の大きさが異なる曲ごとに音量を調整しています。たとえば、古典派の交響曲とロマン派全盛時の交響曲という2曲の公演があったとしましょう。収録する時は編成の大きな方に合わしますが、そのままの音量でCDなどに主催者側に渡すと、1曲目の古典派の交響曲がえらく小さい音量となってしまいます。このときは古典派の交響曲を丸ごと大きくします。その交響曲だけでもダイナミックスをいじらない。1公演全体を見ると、ダイナミクスをいじっているようにしています。いやそうせざる負えない。

一応、この文章はライブ演奏再現、原音再生主義と現実の狭間を前提に書いております。

Re: Dレンジとリミッター 投稿者:WT 投稿日:2012年 2月17日(金)09時21分16秒 NJさん

こうした中耳のリミッター機能は、解剖学の分野になりますね、とある医療従事者の方から教えていただきました。そのせいでしょうか、あまりオーディオ関係では話題になりませんね。しかし聴覚心理にも深く関わる事なので、本来ならもう少し掘り下げて研究すべき問題じゃないかと個人的には思ってます。かなり医学分野にまたがった領域ですから、音響心理系の学者さんでは研究が難しいのかもしれません。

NSさん
>生音に近いと言うのならば、音量も同じにすべきだとおもいます・・・中略・・・偶然にも聴感上分かりにくいリミッター、コンプレッサーになっていたわけです。ですから、平均音量が上がるから、耳に心地よい領域で再生される。(だからアナログはデジタルよりも音質がよいと誤解される。)

私もまったく同意見です。本当の意味で高忠実度再生を目指すなら、再生音量は生音を基準に考えるべきだと思います。ですからオーケストラの再生などではピークで110dB程度の音圧を出せなければと思います。人間の中耳に備わったリミッターが作動するくらいの音量でなければ生らしさを感じないと思います。

−しかし、住環境や機器の限界でそこまで出せる人は非常に限られてきますね。耳のリミッターが作動しない音量領域で聞いている人がすごく多い。しかしそういう人たちでさえ録音ソースにはりミッターのかかっていないものを求めます。だから不自然に感じられてリミッターのかかったアナログソースを良しとしているではと思うわけです。

ですから、小音量で聞いている人たちにはりミッター/コンプレッサーを使う事で生で聴いたような感じに近くなる(耳のりミッターが作動したような)のであれば、物理的には高忠実度再生でなくても、聴感上の高忠実度再生になるのではないか。そういう意味ではリミッター/コンプレッサーも目に敵にするほど悪いものではないだろう、というのが私の考えです。しかし私も録音の際はリミッターをかけませんね(笑)

Re:Dレンジとリミッター 投稿者:NJ 投稿日:2012年 2月17日(金)11時46分16秒 WTさん

>解剖学の分野<

解剖学ですか。それなら聞くあてがあります。実は高校の同級に医者が居て、別の同級の医者に言わせれば「生きてる人間の役には立たない医者」解剖学者なんです。しかも脳に詳しいらしい。彼氏ならきっと知ってるでしょう。

その何とやら言う器官についてはいろいろ訊きたいことがあります。例えば予期せぬ大音量に遭遇したときと、よく知っている楽曲を「そろそろffだぞ」とおもって聴く場合とで作用は同じか、それとも心理作用のため異なるのか、その器官は瞬時に働くのか時間遅れがあるのか、遅れがあるとすれば音の様態とどう関係するのか、等々。

すぐというわけには行かないと思いますが、彼氏と連絡が取れれば解明できると思います。

RE:Dレンジとリミッ 投稿者:WT 投稿日:2012年 2月17日(金)21時38分54秒 NJさん

>その何とやら言う器官についてはいろいろ訊きたいことがあります・・・

ある程度の持続音でないとそうした耳小骨反射は起きないそうですが、その事についてはこちらのサイトに書いてあります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E8%80%B3

で、どのくらいの音圧からそうした反射が起きるのかについてはこちらのサイトにありました。
http://www.hotweb.or.jp/shirato/ototest2.html

耳小骨 投稿者:NJ 投稿日:2012年 2月17日(金)22時24分28秒  
WTさん

大ざっぱにはわかりましたが、オーディオで議論するとすればもっと詳しいデータも欲しいですね。

それと、少なくともお教え頂いた資料から判断すると、ラウドネス特性は耳小骨反応を含んでいる(耳小骨反応が起きた後のデータである)可能性が大きいです。即ち、ラウドネス特性は単一周波数の持続音で測定していると思われ、それなら90dB以上の音圧では耳小骨の筋肉の収縮が起きた後のデータということになります。

ま、アノDr.に我々でも理解できるような入門書があるか聞いてみます。それとラウドネス特性の測定法を確認する必要が有りますね。もし予想通りであれば、オーディオではラウドネス特性だけに留意すれば良いことになるでしょう。

Re Dレンジとリミッター 投稿者:WT 投稿日:2012年 2月17日(金)23時49分34秒 NJさん

>オーディオで議論するとすればもっと詳しいデータも欲しいですね

仰るとおりです。医学的にはあのくらいで充分(耳が聞こえているかいないかを検査する為に耳小骨反射を確認する)なのかもしれませんが、どの程度コンプレッションしているのか、とか音圧の上昇に連れてコンプレッション比率も増大するのかとか、個人差はどうか、周波数依存があるのかとか、オーディオ的見地からするといろいろ知りたいことはありますね。もしかするとすでに学問的には明らかになっているのかもしれないんですが。

耳小骨 投稿者:NJ 投稿日:2012年 2月20日(月)18時38分46秒  
WTさん

以下は、小野測器という会社のHPから抜き出した資料です。

>音の大きさは主として音の強さに依存しますが、その周波数や持続時間にも依存し、持続時間が 150 〜 300 ms の間で定常状態と感じます。 そこで、定常音について、正常な聴力を持つ人が、その音と同じ大きさに聞こえると判断した 1 kHz の純音の音圧レベルの値を、“音の大きさのレベル” P(phon、フォン)と定義します。周波数による人間の聴感の変化に関する測定は、フレッチャー・マンソン(Fletcher-Munson)に始まり、1957 年にロビンソン(Robinson, F)らによって再測定がなされました。以下図 6-2 は、ロビンソンらが測定した正当な聴覚を持つ人が等しい大きさに感じる純音の音圧レベルと周波数の関係を示した曲線で、等ラウドネス曲線あるいは等感度曲線と呼ばれています。なお、ロビンソンらが測定した等ラウドネス曲線には大きな誤差が含まれていることが分かり、2003 年に新しい等ラウドネス曲線が ISO 226 として国際規格化されています。図では旧等ラウドネス曲線を青色で、新ラウドネス曲線を赤色で示し対比させています。(図は省略)<

というわけで、大音響が発生して40〜160msecの間に耳小骨の作用で耳への音圧を軽減した状態で、人は音の持続時間が 150 〜 300 ms の間で定常状態と感じ、定常状態で等ラウドネス曲線を測定するわけですから、この曲線には耳小骨反応が織り込まれていると思います。 従って、オーディオにおいては、等ラウドネス曲線に留意すれば、耳小骨反応はネグって良いと思われますが、如何でしょうか。

新ラウドネス曲線他 投稿者:WT 投稿日:2012年 2月20日(月)21時35分58秒  
NJさん

>この曲線には耳小骨反応が織り込まれていると思います。

あの曲線を横軸で見ればそうだと思います。しかし、あれは1kzにおける10dB、20dB、30dB・・・の音圧を基準に同じ大きさに聞こえる他の周波数の値を出しているわけですね。ですから、1kz90dBの音圧と1Khz100dBの音圧には10dBの差があるように聞こえる、というグラフではないわけです。そういう意味では耳小骨反射がすべて反映されているというわけではないと思います。

Re:耳小骨 投稿者:NJ 投稿日:2012年 2月21日(火)14時44分39秒    
WTさん。

私は、等ラウドネス曲線というのはなるほど巧く出来ている。大体、純音の振動のエネルギが同一だとした場合、振幅は周波数の二乗に逆比例する(だったっけ)ので、低周波では鼓膜の振幅が大きくなって耳は重労働だなあ、ラウドネス特性があるのは自然の摂理だ、人間だけでなく、動物にもあるに違いない、と思っていました。

耳小骨の話しを聞いたとき、成る程、ほかに聴感的な神経の作用があるかもしれないが、ラウドネス特性を生む機械仕掛けがそれか、と思ったわけです。

>あれは1kzにおける10dB、20dB、30dB・・・の音圧を基準に同じ大きさに聞こえる他の周波数の値を出しているわけですね。ですから、1kz90dBの音圧と1Khz100dBの音圧には10dBの差があるように聞こえる、というグラフではないわけです。<

その通りです。フォンの定義は、1,000Hzにおいてある音圧を聴き、それと同じ大きさに聞こえる音の大きさをフォンという、と言うことです。1,000Hzの90dBの音と同じ大きさに聞こえる音は90フォンであり、100dBの音と同じ大きさに聞こえる音ならば100フォンです。1,000Hzの音圧を基準にしてチャートを作ったに過ぎない。それで、注意すべきは、「100フォンは90フォンの10倍の大きさに聞こえる」とは、何処にも書いていない。つまり、10フォンの差はどの位のエネルギ(あるいは音圧)差であるかを示す特性曲線はあるが、10フォンの差をどの位の音の大きさの差に感じるか、というチャートは無い、ということです。人間は100フォンの音の大きさをを90フォンの10倍とは感じていないかも知れない。何倍に感じるかを示すチャートもない。

もう一つの疑問点は、耳小骨筋の動作が40ms〜160msというのは、私は「動作の遅れ時間」と読み取りましたが、文章が曖昧なため、「動作時間の範囲」を示すとも受け取れます。
等ラウドネス曲線は聴感が定常状態に成った後(150〜300ms後)のデータであるから、40〜160msが動作遅延の意味ならば耳小骨の働いた結果を含み、動作時間の意味ならば含まない、と言えるでしょう。

さらなる疑問は、耳小骨筋が働くときに時間遅れがあるとすれば、それまで音はどう聞こえるか、という問題。何の障害物もなく内耳に達するのではないかと思います。それでは耳小骨筋が働いた結果何dBくらい音が圧縮されたのか、圧縮特性はどうなのか(リニアかノンリニアか)、周波数特性はあるのか、など、聞きたいことは山ほど有ります。

いずれにしても、私が言うところの、「忠実な再生の重要条件は実演大の音量による再生である」ということには関わりないと思います。実演同等の音圧であれば、音圧を受けた耳の働きも、実演を聴いているときと同じに働くでしょうから。引っ掛かるのは、理由を「等ラウドネス曲線」と限定したような言い方をしたことで、正確に表現すれば、「例えば等ラウドネス曲線の影響」と言うべきでしょう。

耳小骨の働きは、御説のように、先に述べたような、オーディオに関連して解明すべき事項が多いと感じております。

Re:耳小骨 投稿者:WT 投稿日:2012年 2月21日(火)21時14分21秒  
NJさん

>疑問点は、耳小骨筋の動作が40ms〜160msというのは、私は「動作の遅れ時間」と読み取りましたが、文章が曖昧なため、「動作時間の範囲」を示すとも受け取れます。

私は動作の遅れ時間としか受け取ってませんでした。これより短い音だと、筋肉が反応する前に音が終わってしまうのではないかなと。でも仰るように動作時間の範囲とも取れますね。 あとわからないのは、耳小骨反射で蝸牛に伝える振幅を制限したとして、その信号を受け取った脳がどのような分析をしているか、なんですね。もしかすると脳のソフトウエアで圧縮された信号を元の大きさに感じるように伸張しているかもしれません。

>いずれにしても、私が言うところの、「忠実な再生の重要条件は実演大の音量による再生である」ということには関わりないと思います。

はい。私もそう思いますし、NSさんもそのように主張されてますね。この点についてはどなたも異論はないと思います。

   耳音響放射

聴覚 投稿者:KJ 投稿日:2012年 2月22日(水)20時16分57秒  

人間の聴覚について自身が耳鼻科医である山本智矢さんが、有名な「今日の必ずトクする一言」
http://www3.coara.or.jp/~tomoyaz/higaax06.html#060304
嗚呼、ヒトの耳は歪んでいるのか!!のナゾ
で耳音響放射について述べていらっしゃいます。耳鼻科医院では耳音響放射を利用した聴力検査機が既に使われているとのこと。

聴覚というのはなかなか奥が深いようです

Re聴覚 投稿者:WT 投稿日:2012年 2月23日(木)14時45分50秒  
KJさん

ご紹介のサイトを読みました。私にはちょっと難しかったので他のサイトもあわせて読んで少しですが理解できました。音を聞くメカニズムとは実に複雑で巧妙に出来ていますね。

ご紹介のサイトに出てくる「歪成分耳音響放射」というのが私には良くわからないのですが、以前ここのサイトで議論された「差音」とは違うのでしょうか?

Re聴覚 投稿者:KJ 投稿日:2012年 2月23日(木)20時13分47秒  
WTさん

数年前に突発性難聴とメニエールのダブルパンチで耳を壊し、その時に耳関係の色んなサイトを検索していて偶然行き当たったサイトでした。幸いにも主治医の的確な治療により3年かかって元の聴力まで戻りました。

内耳の有毛細胞は外部の音を変換するマイクの役割のみならず、脳からの信号を音として放射するスピーカーの役割も持っているという事実には私も驚きました。

それよりも、経験や訓練により聴力を回復できる可能性があると言うことで、当時はすごく元気づけられた記憶があります。

Re: Re聴覚 投稿者:KZM 投稿日:2012年 2月23日(木)23時37分18秒  
KJさん

> 内耳の有毛細胞は外部の音を変換するマイクの役割のみならず、脳からの信号を音として放射するスピーカーの役割も持っているという事実には私も驚きました。

常時耳音放射をしている人がいるのは事実です。しかし、非常に珍しいケースで、誰でもそうというわけではありません。なのであまり話題に上がりません。

耳音響放射 投稿者:WT 投稿日:2012年 2月23日(木)23時54分17秒  
KZMさん

え?それは違うと思いますよ。耳音響反射があることで聴力の有無を検査しているわけですから。ですから難聴の方にはない(もしくは少ない)そうです。

http://kahoku-jibika.jp/nantyou/nantyou04.html

Re: 耳音響放射
投稿者:KZM 投稿日:2012年 2月23日(木)23時59分44秒  
WTさん

常時"耳音放射のことを言っています。検査の話とは全然意味が違います。

Re: 耳音響放射 投稿者:WT 投稿日:2012年 2月24日(金)01時02分40秒  
KZMさん

あ、そうですか。それは失礼しました。ということは耳音響反射とは普通、ある特定の音に対して起きる現象なんですか?

Re: Re聴覚 投稿者:志賀 投稿日:2012年 2月24日(金)21時00分42秒  
KZMさん、WTさん

> 常時耳音放射をしている人がいるのは事実です。 しかし、非常に珍しいケースで、誰でもそうというわけではありません。

この話知ってはいましたが、詳しくありません。非常に珍しいケースというのは本当ですか? なにか確かな出所はありますか?

Wikipedia
http://en.wikipedia.org/wiki/Otoacoustic_emission

を見てもそのようなことは書いてないようですが?

いずれにせよ興味ある現象ですね。この話を聞いて思い出すのは、昔自作などもした超再生ラジオです。若い方はご存じないかもしれませんが、要するに検波前の高周波回路に発振寸前まで正帰還を掛け感度を上げる方式です。もちろんかけ過ぎると発振してしまいます。この耳音響放射も似たところがありますね。

また面白いのは差音が検出されるということです。これは、入力波には差音成分はないので検出されやすいのでしょうが実際に差音が発生している客観的な証拠といえそうです。やはり、聴覚器官にはかなりの非線形があるように思います。当然歪みも伴うでしょう。人間の聴覚が歪みには比較的鈍感なのはそのせいかもしれません。

以上思いつくままです。


Re: 耳音響放射 補足 投稿者:志賀 投稿日:2012年 2月25日(土)07時48分2秒 WTさん、KZMさん

そのあと少し調べて見てKZM さんとWTさんのすれ違いの原因がわかったような気がします。

耳音響放射には2種類有り、外部音がないときでも放射する自発的耳音響放射(spontaneous otoacoustic emissions)と外部音に反応して生じる誘起耳音響放射(evoked otoacoustic emissions)です。前者は異常な現象でありまれにしか見られないのに対し、後者は健常者であれば誰にでも観測される現象だと言うことだと思います。

いかがでしょう?


超再生ラジオの例えでは前者は発振を起こしてしまった状態で異常であり、後者は発振寸前で正常に働いている状態といったところでしょうか。

Re: 耳音響放射 投稿者:WT 投稿日:2012年 2月25日(土)12時10分2秒  
志賀さん

成る程、そういうことですか。「自発的耳音響放射」で調べましたら確かに以下のサイトに書いてありますね。
http://atlantic2.gssc.nihon-u.ac.jp/kiyou/pdf11/11-397-402-Ishizu.pdf

しかしその発生率については、以下では約20%というデータがあります。異常な現象とは言えない出現率だと思います。データが少なくてまだ学説としては出現率は確定されてないのかもしれませんね。

http://ir.library.tohoku.ac.jp/re/bitstream/10097/20705/1/M2H042407.pdf

しかし左右の耳に差があったり、性差があったりというのは初めて知りました。自分よりかみさんのほうが音の違いに敏感だったりするのは案外科学的な裏づけがあるのかもしれません。マニアとしては面目丸つぶれですが(笑)

Re: 耳音響放射 補足 投稿者:KZM 投稿日:2012年 2月26日(日)11時11分20秒 志賀さん

> 耳音響放射には2種類有り・・・

はい、そういうことです。なので"常時"と強調したのが伝わっていなかったのでしょう。
少々調べてみると、SOAEも聴覚検査の中で取り扱われるようです。確かどこかで稀なケースと見た覚えがあったものの、今回調べた範囲ではSOAEが出る割合のはっきりした数値は見つけられませんでした。

このように聴覚の特性は、微小な音から、巨大な音まで聴き分けるという人類生存のために適した特性を持っているが、オーディオ的観点からすると、かなり大きな非線形歪みを伴い、高忠実度というにはほど遠い。また、ダイナミックレンジも 0 dB、音圧にして 2×10-5Pa から、100dB(約 2Pa )と非常に広いようだが、0dB の音が聴こえるのはノイズレベルがほとんど0の環境で、耳音響放射を伴う内耳の増幅作用の助けを借りてかろうじて聴こえるレベルで、通常のノイズレベルではとても検知できないことも知っておくべきだろう。

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