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ステレオスピーカの音は濁って聞こえる?

すぐ下の投稿に書いてあるように、この話題は以前議論した前方定位ヘッドフォンの話題から派生したものです。ただ、前方定位ヘッドフォンに関しては、実際にそれを試用してみないと何ともいえないので、それに関する投稿は省いてあります。

ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 投稿者:TT 投稿日:2011年12月17日(土)17時10分35秒

以前、前方定位ヘッドホンで大変参考になる意見をいただき、ありがとうございました。その後、改良を重ね音質の面でも調整方法を見つけて、ほぼ完成状態となっています。

その音を聞いている内に気になってきたのですが、どうしてスピーカの音とこんなに音質が違うのだろうかと言うことです。考えられる点としてスピーカの場合、左右逆チャンネルの音が顔を回り込んで時間差を持って耳に入るために、それぞれの本来のチャンネルの音に加わってかなりの歪となっているのではないかということです。

そこで、実験として顔のすぐ前に座布団を縦に置いて左右の音の回りこみがほとんど起きないようにした所、前方定位ヘッドホンと同様のすっきりした聞き易い音になりした。このような点を過去に考察されたことがあるでしょうか?

また、この歪を測定するためにステレオスピーカを使ってモノラル音源で耳の位置に相当する部分に2本のマイクを設置して合成し歪を測定したような測定結果は無いでしょうか?
もっともサイン波では歪として測定できないと思いますが。

Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 投稿者:IMA 投稿日:2011年12月17日(土)19時53分22秒
TTさん

音が濁る言うのでしょうか、私も同じような経験をしています。ビートルズのマジカル・ミステリー・ツアーのイントロ部分ですが、ヘッドホンでは、右からベースの音がハッキリと出ていますが、スピーカーのリスニングポイントではベースが聞き取れません。

しかし、右スピーカーに近づいて行くとベースの音が聞こえます。右スピーカーからベースの音は出ているのですね。スピーカーは、左右の音が混ざり合い耳に達しているためにこの様な現象がある様です。

これを音のマスキング現象と呼ぶのかも知れません。「マスクトスペクルの保存条件に基づくラウドネス回路の特性設計に関する考察」日本音響学会誌46(1990)、736―756等の論文もある様です。

また、音の干渉も発生しますので、音が濁る一つの要因かもしれません。その点ヘッドホンは、左右の音が混ざることなく聞こえますのでスッキリした音なのだと思います。

Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 投稿者:KZM 投稿日:2011年12月18日(日)09時51分23秒
IMA さん

クロストークによる不具合を解消するために、定位制御では両耳までのHRTFの差を考慮したマトリクス処理を施します。今日試しに片chのみ鳴らして片方の耳だけで聴いて音量を比較すると、大体8dB〜10dBくらいの差があるようでした。

テストして気になったのは、音を出している方と反対の耳だけで聴くと、全然音が出ている向きに定位しないことです。直接音によるマスキング等よりも、部屋の反射の影響が支配的のように思われます。無響室ではまた違った結果になると予想します。

この話に関連して以前から疑問なのは、2ch再生でもクロストークの影響は明らかなのに、マルチチャンネルサラウンドでクロストークを考慮している例が見られないことです。

後ろからの音が感じ取れて臨場感が増すことは確かではあるものの、いくつものスピーカを同時に鳴らせば部屋の反射と相まって色々な音がごちゃ混ぜで聞こえます。クロストークが無視できるような超狭指向性スピーカを使ったとしても、耳は二つですのでマルチチャンネル音声を完全に分離して聴くことはできません。

マルチチャンネル再生の方向と同じマイク配置で取得した音場を再現するのでなく、映画などで編集された音源では、マルチチャンネルによる臨場感とはなんとなく周囲から鳴っているのをそう感じているだけなのでは。いわば、本来の定位感のS/Nが悪いのを音量差でカバーしているような印象です。

Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 投稿者:IMA 投稿日:2011年12月19日(月)06時32分16秒
KZMさん、TTさん

> 今日試しに片chのみ鳴らして片方の耳だけで聴いて音量を比較すると、大体8dB〜10dBくらいの差があるようでした。 テストして気になったのは、音を出している方と反対の耳だけで聴くと、全然音が出ている向きに定位しないことです。

音が空気中を伝わる場合様々な現象がある様です。確かに、部屋の反射の影響もありますね。

一つの事項に執着するとその時点から全体が見えなくなり。正解から遠のく事が多いと思います。自然科学に対する回答は、数値化やグラフ化で示されると思います。

TTさんのご質問の「ステレオスピーカーの音は濁って聞こえる」を数値化するアイデアは現在見つかりません。また、HRTは初めて聞いた言葉でした。ネットで調べてみましたが、ここに解決のヒントがあるかも知れませんね。

Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 投稿者:TT 投稿日:2011年12月19日(月)09時38分13秒
IMA さん

左右のクロストークの音質の劣化は低音部分では位相差の影響が現れにくいので、低音部分の現象は原因が違うように思います。もしかしたら部屋で定在波が発生しデッドポイントになっているかもしれませんから試聴位置を部屋の中央ではなくて左右や前後に移動することで解決できないでしょうか?

KZMさん
> クロストークによる不具合を解消するために、定位制御では両耳までのHRTFの差を考慮したマトリクス処理を施します。

> マルチチャンネル再生の方向と同じマイク配置で取得した音場を再現するのでなく、映画などで編集された音源では、マルチチャンネルによる臨場感とはなんとなく周囲から鳴っているのをそう感じているだけなのでは。

私もマルチチャンネルは音質を悪くし定位がめちゃくちゃになると思うので聞きたいと思ったこともありません。雰囲気で音楽を聞いている人やライブで派手な音が好みの人には受けるでしょうから、メーカは売れれば何でもありで、これはこれで良いとしてます。

マトリクス処理は私も始めて聞きましたから調べて見ましたが、確かにクロストーク解消に効果があると思います。

前方定位ヘッドホンがほぼ完成して初めて気付いたことが多くあるのですが、マトリクス処理って表面上の対策で本質の改善にはなっていないように思います。この処理をしたとしても、今度はこの音が逆チャンネルから耳に入ってきてやはり音を濁すことになるはずです。

それに加えて、音楽ソースにもよりますが座布団で左右の音を分離した場合は奥行きのある音になっていたり、スピーカより外側で音が聞こえると思います。通常スピーカで聞く場合は耳は右のスピーカと左のスピーカの位置を認識してこの間の直線上に音は圧縮されます。しかし、座布団で分離すると耳は左右のスピーカの位置を認識できなくなって元の音源に入っていた情報から位置を認識するようになります。

右だけの音は右から聞こえ、2本のマイクで拾った音は左右のマイクの設置距離からできる遠近の情報まで再現して奥行きが聞き取れるようになります。生演奏の音に近い音質で聞くには左右の分離をすることがどうしても必要になってくると思うのですがどうでしょうか? 私としては吸音材を張った板を顔の前に置いて音楽を聴きたいと思っているところです。

Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 投稿者:IMA 投稿日:2011年12月19日(月)23時05分8秒
TTさん

先ほど、ヘッドホンとスピーカーを聞き比べました。曲はカーペンターズのスパースターで、間奏時のキーボードが左右に移動する部分で評価しました。

ヘッドホンでは、明確に右左に音が移動しています。しかし、スピーカーでは濁り現象がみられました。スピーカーでもリスニングポイントを前に移動していくとヘットホンの音の様に左右の分離が良くなります。また、座布団有り無しでは、有りが分離が良くなります。音が空間を伝わる為にクロストーク(反射を含めて)が発生しているようです。

スタジオ録音時は、個々の楽器にマイクがセットされ、左右そして中央のバランスを加味してステレオ録音として商品化されていると思います。

ヘッドホンは左右の音が混ざり合う事はありませんが、実際のコンサートホールでは、右位置の楽器の音も左耳が聞いています。従ってスピーカーの音の方が実際の音に近いかも知れません。

Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 投稿者:TT 投稿日:2011年12月20日(火)09時01分4秒
IMA さん

>スタジオ録音時は、個々の楽器にマイクがセットされ、左右そして中央のバランスを加味してステレオ録音として商品化されていると思います。ヘッドホンは左右の音が混ざり合う事はありませんが、実際のコンサートホールでは、右位置の楽器の音も左耳が聞いています。従ってスピーカーの音の方が実際の音に近いかも知れません。

ごもっともです。クラシック以外、コンサートホールではほとんどがスピーカを使って聞くことになるのでスピーカで普通に聞くことがコンサートホールの音になると思います。

生演奏では音源は1つでこの音が右と左の耳に届いているので左、右のスピーカから出る音がクロストークで交じり合って聞く状態は生演奏と音質が全く違って聞こえるはずです。

私も多くの評価の高いスピーカを聞いてきて確かに良い音だとは思いますが、この音は正に生演奏の音だと思ったことが1度も無い理由を今回初めて理解したように思います。

今これを書き込みながら考えたことですが、もしかして良い音のスピーカとはクロストークで変化した音質をある程度補正するような周波数特性を持ったスピーカではないだろうかと?

Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 投稿者:志賀 投稿日:2011年12月22日(木)10時33分57秒
TTさん、皆さん

ステレオ再生でのクロストークによる音の濁りが話題になっていますが、濁って聴こえるかどうか個人の主観なので何ともいえませんが、音が変わって聴こえる原因はいろいろ考えられます。

> その音を聞いている内に気になってきたのですが、どうしてスピーカの音とこんなに音質が違うのだろうかと言うことです。

まず、イヤホンやヘッドフォンとスピーカーの違いは、なんといっても周波数特性が大きく違うことです。

イヤホン、ヘッドフォンはスピーカーと違い、低音は空気漏れさえなければ超低域までの再生は容易ですが高域再生が苦手で、早く減衰します。これは、振動板の動作が慣性制御でなく弾性制御になっているためです。 詳しくは


http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/9722dynamicspeaker.pdf

このページの最後の部分を見て下さい。

また、イヤホンの場合、イアピースを含めた耳内部の空気の固有振動により、中音域から高音域にかけてf特に大きな乱れが生じます。具体的には

http://sonove.angry.jp/index.html

こちらのサイトにたくさんの測定例がありよくわかります。

余談ながら、インピーダンスの測定もされており、ほとんどの場合、f0 ピークは見られないか小さく、機械抵抗だけで十分小さなQ値が得られます。これは振動系の質量が小さいためです。従って、電気制動はあまり必要なく駆動するアンプのDFは小さくてもいいということです。


> 考えられる点としてスピーカの場合、左右逆チャンネルの音が顔を回り込んで時間差を持って耳に入るために、それぞれの本来のチャンネルの音に加わってかなりの歪となっているのではないかということです。

スピーカーによるステレオ再生時にクロストークにより歪みが生じるかどうかですが、空気の非線形による高調波歪みや混変調歪みはほとんど生じず、これが音を濁す原因とは考えにくいですね。ただ、左右の音の干渉は生じるのでf特に結構大きな凹凸が生じます。このページをご覧下さい。

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/position.htm

なお、左右の耳に入る音に時間差があることは自然音を含め通常あることで、音源の定位感に関係しますが、歪みとして感じることはないと思いますが? もっともこれは個人の主観なので何ともいえませんが。

> そこで、実験として顔のすぐ前に座布団を縦に置いて左右の音の回りこみがほとんど起きないようにした所、前方定位ヘッドホンと同様のすっきりした聞き易い音になりした。

上の考察より、中央に座布団を置くなりして、クロストークを無くすとf特が変化し、また定位感も変化するので音が変わって聴こえことはあり得ますね。

Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 投稿者:TT 投稿日:2011年12月22日(木)18時40分10秒
志賀さん

> なお、左右の耳に入る音に時間差があることは自然音を含め通常あることで、音源の定位感に関係しますが、歪みとして感じることはないと思いますが? もっともこれは個人の主観なので何ともいえませんが。

私の今回の前方定位ヘッドホン製作に関して、今までの聴覚の常識に関して重大な間違いがあるのではないかと言うことから出発しています。人が1つの音を聞こうとする時、前方であればどこからの音でも濁って聞こえることはありません。しかし、注意して聞いている音以外の音は濁って聞こえることに気付きました。

人は1つの音を聞く時、眼と同様に左右の耳の焦点を合わせることができるのではないかと言う仮説を立てました。左右の音の大きさと、わずか時間ズレを調整して一致する部分を探し聞くことによって左右の位置と遠近感を得ているのではないかと考えています。ですから、過去に行なわれた音響に関するデータは実際に人が聞いている音質と大きく掛け離れていると思うのです。

つまり、2つのスピーカで聞いている時の音質はクロストークによって生じる障害は、1つの音源から出る左右の耳の位置で生じる時間差と違って重大な音質の変化となっているのではないかと考えます。

クロストークによる音質への影響は高音領域で大きく現れるはずですから、実際に座布団実験で比較して聞いてみますと、バイオリン等の高音成分を多く含む音源で著しく現れます。

そうして、私個人の見解では明らかに座布団ありの音質が本来のバイオリンの生演奏に近いと思うのですがいかがでしょう

Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 投稿者:KZM 投稿日:2011年12月22日(木)19時45分0秒
TTさん

> つまり、2つのスピーカで聞いている時の音質はクロストークによって生じる障害は、1つの音源から出る左右の耳の位置で生じる時間差と違って重大な音質の変化となっているのではないかと考えます。

ステレオマイクで収録した音をLRスピーカで再生した場合、本来混ざっていない音を再生側が混ざるのは、原理的によくないという話はわかります。

しかしながら、ステレオ再生ではそのような状態であっても音像が前方に定位しクロストークにより格段に音質が劣化したとは感じません。その方法が本来ナンセンスであれば、聞くに堪えないほどに音質が劣化するでしょう。また、クロストークの面では理想的なヘッドホン再生において、いくら周波数特性を補正しても前方定位は実現しません。

逆にヘッドホンで多少クロストークを付加しても、音質はそれほど落ちません。完成したという前方定位ヘッドホンがどういうものかわからないので、これは既存のヘッドホンの話です。

影響があることは認めるものの、クロストークがヘッドホンとの根本的な差異を生じるかは慎重に考えるべきです。

また、モノラル音源をLRスピーカで再生すると、音源は中央に定位します。この場合に吸音材で中央を分離したときどのように聞こえるでしょうか?

吸音材によりヘッドホンと同一の条件になるならば、音源は前方中央に定位しなくなるようにも思えます。機会があればやってみてください。現在我が家ではこのような実験は困難なのです。

Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 投稿者:TT 投稿日:2011年12月22日(木)21時15分12秒
KZMさん

> その方法が本来ナンセンスであれば、聞くに堪えないほどに音質が劣化するでしょう。また、クロストークの面では理想的なヘッドホン再生において、いくら周波数特性を補正しても前方定位は実現しません。

確かに劣化と言う表現は違うかもしれません。しかし、座布団テストで比較すると明らかに音質が違います。ミキサー経験から、高音部で周波数特性が上がったり下がったりしているように聞こえます。

通常のヘッドホンでは耳はヘッドホンがある位置を認識して、その位置を結んだ直線上に音源があるように聞こえ頭内定位となります。しかし、2本のマイクで拾った音やバイノーラル録音では、ある程度音源が前方にあるように聞こえます。

前方定位ヘッドホンでは耳がヘッドホンの位置を認識できないように音の物理特性を変換することで、元の音源が持っている左右の少しの位相のズレを認識し遠近を聞き取ることができるようにしています。

> 逆にヘッドホンで多少クロストークを付加しても、音質はそれほど落ちません。

>また、モノラル音源をLRスピーカで再生すると、音源は中央に定位します。この場合に吸音材で中央を分離したときどのように聞こえるでしょうか?

もちろんモノラル音源は中央に定位します。2つのスピーカで聞く場合は耳は2つのスピーカの位置を認識して全ての音はこの2つのスピーカを結ぶ直線上に定位します。

前方定位感を出すためにクロストークを加えることができるソフトや音響効果機能を持ったMP3プレーヤーがあります。前方定位ヘッドホンで切り替えて聞くと、クロストークを加えると全ての音は前方の一定距離にあるように聞こえ、また音質もスピーカで聞いていると同様になることを確認しています。

頭部伝達係数の事で議論しているの? 投稿者:NS 投稿日:2011年12月22日(木)23時32分8秒

いろいろとステレオワンポイント録音の理論本を読んだり、実践をやっておりますが、理論本には再生時において左右スピーカーのクロストーク(クロストーク歪という単語は江川三郎がはじめて名付けたか?)は考慮に入れられておりません。

ですから、ヘッドホンでは頭部伝達係数は関係なくなるので音像定位や雰囲気感が異なって来るのは当然のことです

Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 投稿者:TT 投稿日:2011年12月24日(土)08時41分59秒
志賀さん

> また、イヤホンの場合、イアピースを含めた耳内部の空気の固有振動により、中音域から高音域にかけてf特に大きな乱れが生じます。

初期の調査でSONYのイヤースピーカ開発担当者へのインタビュー記事で耳内部での定在波が発生する内容を記憶していますし、ほとんどのヘッドホンで反射と振動で機種固有の癖のある音質のなると理解しています。これを嫌うためにプロ用のハイエンドヘッドホンはほとんどがオープンエアー型となっていて、スタックスのイヤースピーカでは吸音材に囲まれたオープンエアー型になっているようです。

Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 投稿者:OM 投稿日:2011年12月24日(土)12時30分49秒
皆様

> 定位制御では両耳までのHRTFの差を考慮したマトリクス処理を施します。

こちらの図3が、わかり易いですね。

http://www.nttdocomo.co.jp/binary/pdf/corporate/technology/rd/technical_journal/bn/vol13_1/vol13_1_020jp.pdf

実際には、マトリクスのH11やらH12が単純な数値ではなく伝達関数になりますが、原理を可視化してわかり易くしてくれていると思います。

しかし、このHRTFまで用いる必要は有るのでしょうか? 合成音の場合には、「自分でオーケストラの配置を決めて再生」とかのお遊びができると思います。しかし、実際の音楽で、このHRTFを用いる意義が有るとは思えません。

1.HRTFのパラメーターの測定
インパルスが測定できれば良いのですが、空気圧のインパルスを発生することが難しいので、普通はサインウェーブ数波の応答特性を測定することになると思われます。さらに測定値からパラメータを計算するのは、非正方行列の疑似逆行列を用いることになりますが、この辺りの話になると、「一流の研究者」と呼ばれる人達でも必要なデータの精度とかを勘違いしていることが多いです。そのため、十分な精度でパラメーターが測定できているのかが、疑問です。測定にそれほどの時間は必要が無いですし、「安全側を見て、十分な測定を行う」って人も少なくないですので、この問題は無茶には影響しない可能性も有ります。

2.個体差
HRTFは個人で異なります。この時点で、かなり怪しくなってます。

3.録音
各楽器を、全く別に録音することは少ないと思います。サックスフォンなら、140〜150dbの音圧レベルとなる出口にマイクを置けば、レベル調整をした時点で他の楽器の音は痕跡程度になると思います。しかし、大半の楽器の場合には、横の楽器の音が混ざります。さらに、ピアノとか固定されている楽器でなければ、その時々で位相が異なる混ざり方になります。HRTFで補正している量よりも大きな音量で混ざるのであれば、HRTFを用いる意義は無いと思われますが、如何でしょうか?

>通常のヘッドホンでは耳はヘッドホンがある位置を認識して、その位置を結んだ直線上に音源があるように聞こえ頭内定位となります。

いえ、そんなことは無いです。右耳の真横で「耳元で囁く」声と、左耳の真横で「耳元で囁く」声を聞かされたことが有ります。CDを女の子に貸した後ゴニョゴニョで取り返せて無いこと、さらに悪いことにジャケットで買ったので、題名などがわからなくて申し訳無いです。

90年代前半頃にマライアキャリーの近くに置いて有った、ジャケットの良い(笑)女性ボーカルです。どなたかご存じでしたら、補足して下さい。

買って帰って、誰もいないはずの家で聴いてました。すると、誰もいないはずなのに、右耳の横で囁かれた。ビックリして右を向くと、頭の後ろ(=さっきまで左耳の有った場所)から囁き声。振り返ると、誰もいない。狐につままれた如く、しばし呆然。我に返って、同じ曲を再生してみたら、録音エンジニアの悪戯に引っかけられていたことに気がつきました。

Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 投稿者:OM 投稿日:2011年12月25日(日)08時19分44秒

上の投稿の【いえ、そんなことは無いです。】の前は、

>2つのスピーカで聞く場合は耳は2つのスピーカの位置を認識して全ての音はこの2つのスピーカを結ぶ直線上に定位します。

をリファーしないと、意味が通じないです。失礼しました。m( 彡 )m

Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 投稿者:TT 投稿日:2011年12月25日(日)08時54分51秒
OMさん

>「2つのスピーカで聞く場合は耳は2つのスピーカの位置を認識して全ての音はこの2つのスピーカを結ぶ直線上に定位します。」をリファーしないと、意味が通じないです。

これは通常の録音をされた音源に対して言えることです。録音データに対して最近のデジタルミキサーでは時間処理を加えて擬似空間効果を加えることができることは充分承知しています。ステレオイヤホンでバイノーラル録音された音源を聞くと額の辺りまで前方に音像が移動することも経験済みです。

しかし、この前方定位ヘッドホンを使用してみて、これらの手段では奥行きのある音空間を再現できず、生演奏のような響きを聞くことはできないことを私自身気付かされました。

通常の2本のマイクを使った録音音源で、録音された情報から音空間を再現できる手段があることを知って頂ければありがたいです。

Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 投稿者:TT 投稿日:2011年12月25日(日)20時02分47秒
KJさん

> ここは何時から製品宣伝板になったんですか。

恐れていた通り、やはりそう思うよね。私としては販売について宣伝するつもりは無かったのですが、成り行きでこんなことになってすみません。

今現在考えていることは、スピーカで同様のことができないか可能性を追求する必要があるのではないかと言うことを皆さんに考えて頂きたいと思っています。きわめて困難な問題ですが、どこかに解決のヒントが見つかるかもしれません。録音データの操作は元の情報を壊すだけです。

近い状態が座布団テストです。人の耳は目の焦点と連動しているようで、目の焦点に音源があるように認識しようとします。これをなくす為にデッドな部屋で薄暗くして、オーケストラ等(オーケストラと歌手や協協奏曲でも良い)の前後の定位がある音源を少し時間を掛けて注意深く聞いてみてください。時間が経つに従って耳の焦点が合ってきます。

恐らくある程度の前後の定位と、非常に解像度の高い音質(フルオーケストラの中の1つの楽器の音色を聞き取ることができるような)を認識できると思います。

(無題) 投稿者:KJ 投稿日:2011年12月25日(日)21時10分8秒
TTさん

座布団はやってみました。定位が変わるような気はします。特に左右で逆相成分を加えて編集したソースでの左右分離が良くなったり定位がはっきりした気がしました。座布団が頭の前にあるので特定周波数帯が吸音され聞こえ方が変わるのか、それともプラシーボであるのか、私自身測定器ではありませんので何かを断定できるようなものでもなく、判断が付きかねます。

Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 投稿者:WT 投稿日:2011年12月26日(月)12時59分55秒
TT さん

ステレオスピーカーで再生した場合、

>左右逆チャンネルの音が顔を回り込んで時間差を持って耳に入るために、それぞれの本来のチャンネルの音に加わってかなりの歪となっているのではないか

左右のスピーカーの位相干渉と時間差の干渉により、歪が生じているとのご主張と理解しました。

しかし私はこのご主張にあまり賛成できません。というのも、IMAさんの仰るように、一つの楽器から発生される音は当然左右の耳に到達するからです。しかもそれだけではありません。現実のコンサートホールにおける音を考えてみますと、一つの楽器から発生した音は左右だけでなく上下、前後からの反射音を伴って私達の耳に到達しています。

右にあった楽器の音は左の壁に反射し、左の耳に入ってきたその反射音は同時に右の耳にも入ります。同時に直接音も右に入ります。これが上下、前後とあらゆる方向にあります。ですからクロストークによる歪があるとするならば、生の音はとんでもなく歪だらけにならなければなりません。

逆にスピーカーのクロストークがなくなれば音質は向上するでしょうか? 例えばステレオ録音された一本のバイオリンのCDをモノラルモードにして左右どちらかのスピーカーのみで再生します。このとき、二本のスピーカーで再生した時よりも生々しく歪なく豊かな音が聞こえてくるでしょうか。答えは勿論、否です。

ですから、TTさんの仰るクロストークで歪が生じる、との解釈には無理があると私は思います。ただし、ヘッドフォン再生の方が定位はいい、とは思いますが。

卓上でピュアオーディオ? 投稿者:TT 投稿日:2011年12月26日(月)14時19分7秒 WTさん

少し前の説明を読んでくださるようお願いします。

非常識な方法ですが音源の情報を、スピーカでそのまま音として再現する1つの方法を考えてみました。この方法はコンサートの様な音やオーディオルームで好みの音に作り上げるような方向と正反対で、ピュアな音質、録音会場の音質を限られた環境で聞きたい人への提案です。

2つの小型スピーカをテーブルの上に置きます。スピーカのすぐ前に座布団を置きます。スピーカがかなり小さい場合は座布団の上でも良い。2つのスピーカの間に座布団を挟んスピーカから座布団が充分前に出っ張るようにしてくっつけます。この状態で音を出してみましょう。

座布団から少し離れても、左右に偏った音はスピーカよりかなり外側で聞こえるはずです。この時低音は無理ですが、中低音まで左右の音が分離されて耳に入っていることを示す物です。

つまり、左右のスピーカのクロストークが相当少なくなっていることになり、通常の2つのスピーカで聞く場合と音質がかなり違うと思います。そうして、録音時の前後の定位が聞き取れるようになっていると思います。

前後に移動するテスト音源で試して、前後の移動を確かに聞き取ることができました。こんな方法も1つのオーディオの聞き方として、ありではないかと思うのですが時間がある方は1度試して見られるようお勧めします。

(無題) 投稿者:KJ 投稿日:2011年12月26日(月)15時16分10秒

私にはこう聞こえたという個人的な官能評価結果を元に論理を組み立てても不毛ではないでしょうか。ご自分でそう聞こえるなら、それはご自分にとっての真実ですのでそれを外野から違うと言っても詮無いことですが。

Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 投稿者:WT 投稿日:2012年 1月 5日(木)21時14分16秒

TTさんの「スピーカー再生ではクロストーク歪が生じ、結果音が悪くなる」という主張を私なりに検証してみました。

そこで、次のような実験をしました。

@ 2つのスピーカーの間に吸音性のクッションをはさみこみ(以下これを『仕切り』と呼ぶ ことにします)、念のためその有無での周波数特性を測ります。

A この仕切りの有無により、セパレーションがどのくらい変化するのかの測定。

B 最後に主観的評価です。

使ったスピーカーは10cmウーファーを使った自作2ウエイです。

このスピーカーの周波数特性を示します。今回の検証に周波数特性そのものはたいした意味はありません。しかし特性の滅茶苦茶なとんでもないスピーカーを使っているのではない、という事を明らかにしておくためです。

写真のような状況でまずSP単体の周波数特性を測り、次にそのままの状態で仕切りのクッションをSP間に挟んでF特を測りました。これを見る限り、ほとんどF特的な変化は見られません。

尚、測定ソフトはMyspeaker,測定用マイクはベイリンガーのECM8000です。





 
Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 2 投稿者:WT 投稿日:2012年 1月 5日(木)21時34分42秒

次に、マイクを変えて(ECM8000は1本しか持っていない為)クッションの仕切りがある場合と無い場合とでどのような音量差があるのかを測定しました。片方のchからピンクノイズを再生し、それを2本のマイクで収録してみました。左右のスピーカーの距離はSPの中心から中心で測って26cm。マイクとスピーカーの距離は約50cm。左右のマイクの距離は約26cmです。使用したマイクは録音用マイクですが、ECM8000と肩を並べられるくらいフラットな周波数特性を持っています(Audio-Technica AE5100)

一枚目のグラフは仕切りが無い場合の左右の差。レベルメーターで見るとこの差は3.4dBです。二枚目は仕切りがある場合です。こちらは9.1dB。確かに仕切りが無い場合に比べてセパレーションが良くなっている事がわかります。



← 仕切り無し



← 仕切り有り

Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 3 投稿者:WT 投稿日:2012年 1月 5日(木)22時27分30秒

最後に主観的評価です。要するに個人の感想ですね。科学を標榜するこのサイトにはふさわしくない書き込みかもしれませんが、あえて書かせていただきます。

評価には24bit,192khzのレートで録音してきたひぐらしの音を使いました。自分で録音してきたものなので、現場の状況が良くわかっているからです。

このような小型SPの間隔を単純に狭めた場合、再生音は中心に集まってしまい、ステレオ感がありません。しかし、間に仕切りのクッションをいれると音場は広がってステレオらしい音になります。この点において仕切りは非常に有効であると思いました。しかし歪感が極端に減ったり、音質が極端に変化したような印象はありませんでした。

だから録音現場に最も近い音場を再生しているか、といえば私はノーだと感じました。

左右のSPの距離をとって(約90cm)若干内側に振り、聴取位置を前後に動かしながら探っていくと、非常に録音現場に近い音場感が得られたポイントがありました。そこは何のことはない、オルソンタイプの聴取位置でした。

左右を広く取った場合の音場感はSPの並びを上から見た場合、楕円形のような形になるように思いました。対してSP間を狭めて間にクッションを鋏むと、SP間を中心にして円を描くような音場が出現します。どちらがいいかは個人の好みと思います。

もうひとつ、SPの下に毛布を敷いて反射を押さえてみましたが、音に生気がなくなり、好ましいものではありませんでした。

以上はすべて私個人の感想です。同じ実験を他の人がしたら違う印象を持つかもしれません。趣味のオーディオですからそれぞれ好ましい方向を目指せばよいと思います。

TTさんに苦言を呈すようですが、一応(失礼!)ここは科学を標榜するサイトです。可能な限り科学的な話題を扱おう、というのが主催者である志賀さんのコンセプトです。

TTさんの発言のほとんどがご自身の推測を根拠としておられます。ですから、個人的なサイトで「好みの音に作り上げるような方向と正反対で、ピュアな音質、録音会場の音質を限られた環境で聞きたい人への提案です」と仰るのはよいとしても、ここではいかがなものでしょうか。ここでそれを言うには、もっと多くの科学的なデータを積み上げなければいけないと思います。

主観が悪い、というのではありません。趣味ですから自分が楽しければそれで結構。私も音がいい、と思えば科学的説明がつかなくてもやりますし、やってます。ただそれが科学的真理であるかどうかは別問題、とも思っています。

Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 2 投稿者:TT 投稿日:2012年 1月 6日(金)09時42分19秒
WTさん

> 左右のスピーカーの距離はSPの中心から中心で測って26cm。マイクとスピーカーの距離は約50cm。左右のマイクの距離は約26cmです。

> 一枚目のグラフは仕切りが無い場合の左右の差。レベルメーターで見るとこの差は3.4dBです。二枚目は仕切りがある場合です。こちらは9.1dB。確かに仕切りが無い場合に比べてセパレーションが良くなっている事がわかります。

実験ありがとうございます。

私は現在測定装置を持っていないので非常に参考になります。私の経験からもっと周波数特性にはっきり現れると確信していたのですが、面倒でしょうがもう1度測定してみて頂けないでしょうか?

マイクの位置を耳の間隔と同じ18cm程度の位置(片側に9cmずらした位置)にして、片方のマイクで座布団有りで測定し、次に同じマイクの位置で座布団なしで測定をしてみて頂けないでしょうか。

座布団有りでは、片側のスピーカの音が吸収されるので音圧レベルも下がると思いますが、どの程度下がるかも知りたいと思います。

Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 3 投稿者:TT 投稿日:2012年 1月 6日(金)12時19分12秒
WTさん

書き忘れてしまいましたが、音は両方のスピーカーからモノラル音源でお願いします。両方のスピーカーからの干渉が問題ですから両方のスピーカーから同時に音を出さないとクロストークの影響は知ることができません。

もう1つ、座布団テストは音場を調べているのではなくて、音質がどちらが自然で原音に近いかどうかを比較して頂きたかったのすが。ただ、鳥の鳴き声のような複雑でない波形では影響が現れ難いと思います。

Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 投稿者:WT 投稿日:2012年 1月 6日(金)13時24分1秒
TT さん

>もう1度測定してみて頂けないでしょうか?

これ以降はご自身で測定してみることをお勧めします。SPの測定というものは少し条件が変わっただけでデータは大きく変化します。したがって私の測定データも絶対的なものではなく、このSPをこの条件で測定した結果現れたデータです。それに他人のデータに頼っていろいろ判断して良いものでしょうか。実行不可能な(例えばastralaudiosoundさんご紹介の有名ヴァイオリンのブラインド試聴)ものは別としても、SPのF特測定ぐらい少しお金を出せば充分可能です。測定用のマイクは1本5000円くらいですし、SP測定ソフトも5000円で手に入ります。オーディオインターフェイスも2万も出せば充分です。
もし、音の物理現象を少しでも知りたいと思うならば、そのくらいの投資はしましょう。出来ればオシロやミリバル、発振器もそろえてください。

理科の教科書に載っているカエルの解剖図をいくら見ても、実際に自分で解剖して見るのとでは雲泥の差があります。物を知る、とはそういうことです。

クロストークの測り方も音響関係の本などを読んで勉強してください。どうもご自身では特に勉強をせずに想像だけで語っているようです。

>音質がどちらが自然で原音に近いかどうかを比較して頂きたかったのすが・・・

私は『SPの下に毛布を敷いて反射を押さえてみましたが、音に生気がなくなり、好ましいものではありませんでした』と書きましたが読んでませんか?言い方を変えるならば、床面に吸音性のものを敷いて反射を抑えたら、原音から遠ざかった、ということです。

補足しますと、これは絶対的な法則ではなく、ケースバイケースで結果は変わります。

>鳥の鳴き声のような複雑でない波形では影響が現れ難いと思います

測定器を持っていらっしゃらないのに波形を見たのですか?念のために申し上げますと、今回私の使った音源はひぐらしです。これは鳥ではありません。

Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 投稿者:KZM 投稿日:2012年 1月 7日(土)02時29分40秒
TTさん

> しかし、2本のマイクで拾った音やバイノーラル録音では、ある程度音源が前方にあるように聞こえます。

主観的な内容を少しでも排除するため、この部分を整理します。

バイノーラル録音をヘッドホンで聞いても、定位するのは精々こめかみあたりまでで、LRスピーカでモノラル音源を鳴らしたときのような正中面の定位は経験がありません。TTさんも「ある程度」と言われているように、ここでいう前方定位とは正中面への定位のことを指しているのではないのでは?

>> また、モノラル音源をLRスピーカで再生すると、音源は中央に定位します。この場合に吸音材で中央を分離したときどのように聞こえるでしょうか?

> もちろんモノラル音源は中央に定位します。

これは、上に書いたことに関連して「もちろん」では済まされません。もしクロストークがないLRスピーカ再生を実現させた場合、それは音源方向からのHRTFを畳みこんだヘッドホン再生と等価です。

上に書いたように、HRTFを畳みこんだとしても正中面への定位は得られませんから、LRスピーカでモノラル再生したときのような定位感とは全然違うことになります。

また、市販の音楽ソフトは極力クロストークをなくして聴くべき、という主張は当たっていないように思います。市販のソフトは、一般的な視聴環境、すなわちクロストークがある環境でモニターされ、良く聞こえるように編集されているからです。それをクロストークレスな環境で聴くことは、ソフトの意向に忠実とは言えません。

マルチチャンネルもサラウンド環境で良く聞こえるように作られていますから、以前の書き込みはマルチチャンネルを無碍に否定するわけではなく、「マルチチャンネルで臨場感が高まったとしても、原音に忠実になったからではない」という意味です。

>> 現在我が家ではこのような実験は困難なのです。

>テレビでもステレオ番組であれば座布団テストは可能ですが無理でしょうか?

なんとかテストしてみました。感想としては、吸音材によるセパレーションにより若干正中面への定位がなくなり、左右に広がった感じはしました。

Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 投稿者:TKS 投稿日:2012年 1月 7日(土)03時49分53秒
TTさん

2chスピーカーの再生によるアコースティック・クロストークは減らせるなら減らすべきだと思います。そうすれば録音されたソースの音場がより忠実に再生されると考えられるからです。クロストークは不必要な余計な情報であり、原音忠実再生には大きな障害でしょう。

ただ、座布団では残念ながら効果は薄いと思われます。この問題はオーディオ評論家の故長岡鉄男氏が熱心に研究されていました。氏の結論はスピーカー・マトリックス再生により、クロストークをキャンセルして3次元的音場を再現するというものでした。

TTさんも一度試されてはいかがでしょうか。スピーカー・マトリックスの概要を簡単に述べれば、フロントのSPは通常どおりで、小型のリヤSPを2本用意して、アンプの右のプラスの出力端子から右リヤSPのプラス端子にコードをつなぎ、右リヤSPのマイナス端子から左リヤSPのマイナス端子にコードを接続、左リヤSPのプラス端子からアンプの左プラス端子につなぎます。輪ができる感じです。リヤSPはとりあえず真横の位置で良いと思います。そこから好みで前後に移動させます。こうすると左リヤSPからは1/2(L−R)、右SPからは1/2(R−L)という信号が再生され、左の耳には(−R)という信号が入ることでクロストーク分の(R)の音がキャンセルされるという理屈とのこと。完全なキャンセルは不可能ですが、私は大きな効果があると感じています。私には定量的には示せませんが。一応、マトリックス再生はBTL出力アンプと真空管アンプ、ヘッドホン出力では絶対に不可で、最悪、事故の恐れもあるそうですからご注意ください。

Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 投稿者:TT 投稿日:2012年 1月 7日(土)14時23分4秒
KZMさん

>市販のソフトは、一般的な視聴環境、すなわちクロストークがある環境でモニターされ、良く聞こえるように編集されているからです。

その通りだと思います。

最近の音楽ソースのこのような処理は前方定位ヘッドホンでは非常に障害になります。中には3D効果を出すために時間処理を含めた音源の加工までしたものがあるようで、このような音楽ソフトは定位と音質を壊し聞くに耐えない音となる場合があると予想しています。

しかし、2本のマイクで録音された2chソースでは、私が予想もしていなかった効果を生み出すことを思い知らされました。

ギターの響きは弦の音とボディーの響きを奥行きを持って、ピアノでは弦の音と響盤の響きを聞き取ることができるかのような、生演奏そのものの音色を再現できるようです。
さらにオーケストラの各楽器を生演奏を聴いている時のように容易に聞き分けることができます。ただ、あまりにも生々しい解像度が高い音質となるために、リラックスして音楽を楽しむと言うより演奏家を目の前にしたような緊張感のある音楽鑑賞となります。電子楽器では効果はないでしょうが、生楽器を使った演奏はクロストークなしで前方定位で聞くことができればオーディオ装置の進歩になると考えています。

Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 投稿者:OM 投稿日:2012年 1月 7日(土)17時38分38秒
TTさん

以前も気になったのですが、
2012年 1月 7日(土)14時23分4秒>耳は正確にその位置を認識し
2011年12月22日(木)21時15分12秒>2つのスピーカで聞く場合は耳は2つのスピーカの位置を認識して全ての音はこの2つのスピーカを結ぶ直線上に定位します。

この前提、間違えてませんか?「そうなると思い込んでいるために、そう聞こえているだけ」かどうか、検証した方が良いと思います。

少なくとも、私の定位の知覚様式とは異なっています。前提が間違えていると、その先の議論の意味が無くなってしまいます。

Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 投稿者:TT 投稿日:2012年 1月 7日(土)18時25分4秒
TKSさん

>2chスピーカーの再生によるアコースティック・クロストークは減らせるなら減らすべきだと思います。そうすれば録音されたソースの音場がより忠実に再生されると考えられるからです。クロストークは不必要な余計な情報であり、原音忠実再生には大きな障害でしょう。

> この問題はオーディオ評論家の故長岡鉄男氏が熱心に研究されていました。氏の結論はスピーカー・マトリックス再生により、クロストークをキャンセルして3次元的音場を再現するというものでした。

全くその通りで、クロストークが原音忠実再生には大きな障害になっていると思います。顔のすぐ前に座布団を立てて左右の音を分離して比較した場合、このクロストークの影響は無視できるどころか音質を大きく変えてしまっていることは明らかです。

長岡鉄男氏に関しては、過去に電波科学等の月刊誌で大胆な提案をしておられることに注目していましたが、クローストークがなくなることで3D音場が可能であると言う主張は知りませんでした。

クロストークは左右の耳の距離による音の時間差であり、この時間差は人が音源の距離を認識する時間差と同じとなって、前方定位認識を妨害していると考えられます。さすが、経験を積んだ音響専門家だったことを改めて認識しました。補助スピーカーを使うクロストークキャンセルは、今回調べて見ましたが効果は確かに大きいと思います。時間が取れたら実験してみたいと思います。

ただ、この方法が根本的な解決に決してならないだろうと推測しています。人の聴覚は単に耳の穴だけで音を聞いている訳ではなく、そんなに簡単にだまされるようなことはなく、恐らく補助スピーカの位置を認識してそこからの音であることを聞き取ることができ音質に悪影響を与えるであろうと推測します。

いずれにしてもクロストークのないスピーカー再生の可能性について、今後の課題として皆さんで考えてくださるようお願いします。実現するとすれば、恐らく非常識でとんでもない手法になると思います。

Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 投稿者:志賀 投稿日:2012年 1月 7日(土)22時56分13秒
TTさん

管理人からちょっと一言


>・・・クロストークが原音忠実再生には大きな障害になっていると思います。顔のすぐ前に座布団を立てて左右の音を分離して比較した場合、このクロストークの影響は無視できるどころか音質を大きく変えてしまっていることは明らかです。・・・

TTさんは盛んにクロストークが音を濁すといっておられますが、その根拠はご自身の主観のみではないですか?

現に2,3の人がが、座布団実験を行って、定位感が変化しても音質が劣化するとは言っておられませんね。この時点ですでにクロストークが音を濁すという見解は客観的事実とはいえません。

物理的に考えても、空気中を伝搬する音波は重ね合わせの原理がなりたち、位相が変わることがあっても歪みを生じることはありません。

一般論としてですが、オーディオが似非科学になりがちなのは、自分の考え出した理論を自分の主観のみで検証したつもりになるということがしばしばあるからです。

客観的事実であると主張するには、測定で根拠を示すか、ブラインド条件で聴感実験をやらないと駄目ですね。

もっともこの場合は、音質は変わっても不思議でないので、ブラインドテストは難しいですが。

誤解のないよに付け加えますと、自分にはこう聴こえる、とことわった上でのご意見なら参考になるので否定するわけではありません。

ちょっと厳しいですが、この掲示板はあくまでオーディオの科学の掲示板であることをお忘れ無く。


Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 投稿者:TT 投稿日:2012年 1月 8日(日)11時15分55秒
志賀さん

確かにそうです。

誰も認められないのでれば、私の思い込みだと言われても仕方ないです。科学的根拠があると考えて、皆さんに検討をお願いしたのですがデータを私の方で明確に示すことができないのですらどうしようもありません。

Re: ステレオスピーカの音は濁って聞こえる? 投稿者:志賀 投稿日:2012年 2月 5日(日)15時32分33秒
TTさん,皆さん

このタイトルでの議論は一応収束したようですが、新しい情報を教えてもらったので紹介しておきます。

ステレオスピーカーシステムでのクロストークの影響を学術的に検討した報告です。

http://www.lab.kochi-tech.ac.jp/fukulab/research/Doc/2010/1100343.pdf

方法は、ステレオ再生時に生ずるクロストークをシュミレートした信号をヘッドホンで聴き、クロストーク成分を変化させて(故意に大きくして)聴感に与える影響を調べています。

結論はやはり、人間の聴覚はクロストークには鈍感で、クロストーク成分をかなり(通常の2倍以上)大きくしても定位感には影響するものの、音質には影響しないということのようです。

これとは別に、イヤホンの場合もケーブルによってクロストークが生じるという報告もあります。(こちらはアマチュアのブログ)


http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-67.html

カニズムはイヤホンやヘッドホンのケーブルは通常アース線を左右共通にしているようですが、この抵抗成分から発生する電圧がクロストークの原因となります。これはキルヒホッフの法則から導ける現象でアンプやイヤホンのインピーダンス、ケーブルの抵抗値によって変わり、聴感に影響するかどうかは分りませんが、かなり大きく(-30〜-50dB 程度)なるようです。

このクロストーク電圧は対となる回路では逆相となりステレオスピーカーシステムとは反対に左右の音量差を増大する方向に働きます。


ということで、最後の投稿が結論のようです。

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