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アンプの出力と歪率

OMさんの逆説的オーディオ論 アンプ編です。少々シニカルな論調ですが有用な情報がたくさん含まれているので収録しました。

数字が良いほど音が悪い(その2) 投稿者:OM 投稿日:2011年 5月 8日(日)13時20分19秒  
続いてアンプ。

>ところで、この項の『アンプ(ただし、中級程度以上の半導体アンプ)によって大した差がない』という主張は、オーディオマニアの常識とあまりにもかけ離れているようで、ひんしゅくをかっているようです。』

と志賀さんがトップページで仰っていらっしゃいますが、逆だと思います。『トランジスタならアンプによって大した差がない』が常識で、高い物が売れないと困る人達が長い年月かけて「アンプで音が変わる」と喧伝してきただけだと思います。

まず、必要なパワーを考察します。

よほど恵まれた方でなければ、6畳〜10畳程度のリスニングルームだと思います。6畳でスピーカーまでの距離は約1.5mで、10畳でも2.5m〜3mで、それ以上取ると背面の壁までの距離が無くなって壁の影響を強く受けてしまいます。普通のスピーカですと、90dBm/W程度の能率は有ります。

ちょっと小さめのスピーカーでも、85dBm/Wの能率は出るはずです。ステレオでセンターに定位する音源は+6dBですから、90dBm/W〜96dBm/W程度のスピーカーだとして計算すれば良いことになります。

低音も含めて無響化すると1千万円を越えると思いますが、10畳で完全デッドな部屋で3mの距離で聞く場合には約-10dBですから、普通のスピーカーで86dB/Wとなります。6畳で反射が有る場合なら、100dB/W〜110dB/Wぐらいの勘定になるはずです。

「この曲さえ聴ければ、残りの一生を重度の難聴として暮らしても良い」ぐらいの覚悟で聴くのでなければ、PeakToPeakで100dB、平均で90dBかそれ以下の音量で聴いているはずです。10畳完全デッドでも20W、6畳なら10mW〜300mW程度のパワーで十分なはずです。

私の場合で、6畳に90dBm/WのスピーカーでPeakToPeakで100mwの平均40mWで、100dBmWのスピーカーならPP10mWの平均4mWで聴いています。ちなみに、私の甲子園の年間指定席が応援団のラッパ隊の真横ですが、満員の甲子園よりも大きな音でオーディオを聴いていても100mWで十分です(流石に、六甲颪とか一打サヨナラの場面だと、甲子園の方が音が大きいですが)。

「低音を鳴らすのにエネルギーが必要」と言う人が多いですが、これが非常識で、「音を鳴らすのには、さほどエネルギーは必要としない」が一般常識です。少なくとも私の世代だと、理科の教科書のテレビに関する説明で、「鈴虫は、小さなエネルギーで大きな音を出している。音のエネルギーは、映像のエネルギーに比べて遙かに小さい。」旨の記述が有りました。

この時点で、「電源ケーブルは電力エネルギー云々」、「スピーカーケーブルは低音のエネルギー云々」、「アンプの電源ユニット云々」が、議論の対象にすらならない事象だと明らかですね。

しかし、今日は「数字が良いほど音が悪い」なので、これらは置いといて、アンプの出力電力とノイズについて考察してみます。ターゲットは1kW(笑)のアンプです。

まず、理論限界ですが、
http://ja.wikipedia.org/wiki/熱雑音

より、雑音レベルは、-131dBm以下には下がりません(液体窒素に沈めるタイプのアンプでなければ)。ボリュームも含めてプリアンプの雑音を10kΩの抵抗1本分に抑えることは、ほぼ不可能ですが、仮に10kΩ分の熱擾乱雑音(昔は熱擾乱雑音と呼んでたと思うんですが、何時の間に、熱雑音に変わったんですかね???)で計算してみます。

10kΩの抵抗1本の熱擾乱雑音が、1.84μV = -118dB/(2V PeakToPeak信号) です。アンプが1kWで必要な電力が10mW、せいぜい100mWですから、S/N比は68dB、78dBとなります。

さらに、これは波形のPeakToPeakに対するS/N比ですから、平均の音量(と言っても、一番音の大きな場面の平均)と比較すると、58dB〜68dBです。当然、ホワイトノイズが聞こえる結果になります。

アンプは、1〜2W、どんなに余裕をみても10Wあれば十分で、それ以上の出力のアンプは百害あって一利なしですね。

Re: 数字が良いほど音が悪い(その2) 投稿者:AS 投稿日:2011年 5月 8日(日)20時07分18秒  
OMさん

私もかつてブログで同じような計算と結論を述べたことがありました。一般家庭のリスニングルームの広さで、大抵のSPの能率は80dB〜95dB/W/mの範囲内ですから、アンプの出力は50W+50W(8Ω)で十分と書いた記憶があります。あまりに大出力だと、それだけヴォリュームを絞ることになりますし。だからこそ、出力を欲張らない真空管アンプやA級動作のトランジスタアンプの存在理由があります。

Re: 数字が良いほど音が悪い(その2) 投稿者:OM 投稿日:2011年 5月 8日(日)23時54分49秒  
ASさん

>大抵のSPの能率は80dB〜95dB/W/mの範囲内ですから、

そうですね。「名機と呼ばれた」と言い切って差し支え無いであろうスピーカーで、
Altec 612 103dB/W/m
Tannoy Autograph 96dB/W/m
JBL 4343 93dB/W/m
こんなレベルですね。

>アンプの出力は50W+50W(8Ω)で十分

寺の住職でオーディオファンてな恵まれた方も希にはいらっしゃるので、民生用で50Wまでは必要かも知れませんね(百数十畳の本堂を、夜になるとオーディオルームにしてるって例を知ってます。)。

>「聴き手である人物が現実には捉えていない(感知していない)にもかかわらず、さも自分は捉えていると錯覚・思い込みをして、自分は凄い耳(聴覚)の持ち主なのだとの自己満足に浸りたいだけ」

正にその通りだと思います。そんな人達から金を稼ごうとする【布織り職人】が多くて困ったもんです。さらに、【裸の王様】達は、ダダをこねるんですね。

自分は凄い耳(聴覚)の持ち主なのだと思い込みたい。
自分は凄い耳(聴覚)の持ち主でなければならない。
当該の現象が無くては困る。
当該の現象を存在させるために、何でも言う。

普通の論理的思考の逆で、子供が「おもちゃを買って貰うまで、好き勝手言う」のと同じレベルですから、ダダでしか無いです。でも、本人は、論理的だと思っている(笑)。さらに困ったことに、【布織り職人】さん達は、我々みたいな人に王様が論破されると商売あがったりなので、【こね切ったダダ】を王様に擦り込むんですね。

典型例は、「違いがわかるシステムとわからないシステムがあって、さらに、違いがわかる人とわからない人がいる」ってフレーズです。「自分は違いがわかる耳の持ち主だ。だから、違いがわかる高級なシステムを持っているんだ。」と思い込みたい王様達に、これほど効き目の高い言葉は無いです。一番困ったことは、ダダですから、論破しようと何しようと、延々と続きます。折角のオーディオの【科学】掲示板なのに、論理的な議論が進まずに、ダダをこねる人達とあやす(笑)人達の会話になるのは、勿体ないことだと思います。

Re: 数字が良いほど音が悪い(その2)
投稿者:志賀 投稿日:2011年 5月10日(火)12時46分42秒
OMさん

>アンプは、1〜2W、どんなに余裕をみても10Wあれば十分で、それ以上の出力のアンプは百害あって一利なしですね。

害といえば、とりあえずは価格がベラぼーに高くなることですね。まあ、それがよい心理効果を生み出すということはあるんでしょうが?

技術的な面でいえば、歪み率に関しては、AB級、B級アンプの場合では低出力ほど歪み率が増加する傾向があるので小さい(普通の)音量で聴く場合、スペック上は大出力アンプは不利ですね。ただ、ちゃんとした半導体アンプであれば、THDは人間が聴き分けられる限度よりはるかに小さいのが普通なので聴いてわかるような差は生じないでしょう。

ただノイズについては、無音時にスピーカー(トウィターやスコーカ)に耳を近づけて聴くと恐らくどんなアンプでも大なり小なりノイズが聴こえるでしょうから、比較することは出来ますね。恐らく、ノイズの主因はお書きのような単純な熱雑音でなくボリュームの辺りとか別のところにあるんではないかと思います。とすると、単純にハイパワーだからノイズが大きくなるとはいえないですね。まあ、当たり前のことですが。

それより、これが主題なのですが、ハイパワーがよいとする理由として、例えばステップ信号れなどを入れると出力段に瞬間的に大電流が流れるので、電流供給能力を大きくするべきだという,なんとか博士(名前を忘れました)の説が一時期はやったからではないかと想像します。

もしスピーカシステムに何らかの理由で純容量性負荷があればスルーレートの高い(周波数帯域の広い)アンプだとあり得ることだと思います(確か測定例も見たような記憶があります)。ただし、この電流はボイスコイルに流れるわけではないので音に影響するとは思われません。

いずれにせよ最近は聞かなくなった話で、すでに否定されているんではないかと思います。 どなたかご存じの方はありますか?

Re: 数字が良いほど音が悪い(その2) 投稿者:IK 投稿日:2011年 5月10日(火)15時08分38秒  

>それより、これが主題なのですが、ハイパワーがよいとする理由として、例えばステップ信号れなどを入れると出力段に瞬間的に大電流が流れるので、電流供給能力を大きくするべきだという,なんとか博士(名前を忘れました)の説が一時期はやったからではないかと想像します。

> いずれにせよ最近は聞かなくなった話で、すでに否定されているんではないかと思います。 どなたかご存じの方はありますか?

私は「オーディオマニア」というほど機材に凝ってはいませんし、「ナントカ回路」とか言われてもちんぷんかんぷんな人間です。

{電流供給能力を大きくするべきだという,なんとか博士(名前を忘れました)の説が一時期はやったから}

マッティ・オタラ氏ではないかと推測しております。私は、いわゆる「オタラアンプ」の系統のアンプを使っています。(プリメインですが)数値とかどうとか、という事に関しては疎いのでコメントは差し控えますが、実際に聞くと私好みではある音質で購入しました。キャラクターとしては、どんなスピーカーでも締まる音質にするタイプと認識しています。(低能率スピーカーではオタラアンプとそうではないアンプで差がつきます)現在でもオタラアンプの系統を製造しているメーカーはあるようです。(海外製になります)

Re: 数字が良いほど音が悪い 投稿者:OM 投稿日:2011年 5月10日(火)16時03分52秒 志賀さん、TMOさん、皆さん

>単純にハイパワーだからノイズが大きくなるとはいえないですね。

いえ、ハイパワーのアンプは、必然的にハイゲインですので、ノイズが大きくなります。まあ、ローパワーのアンプは、ローゲインでもハイゲインでも設計できますから、わざわざ入力のボリュームで絞ってからハイゲインで増幅して小さな出力を出すアンプなら、ハイパワーのアンプよりノイズを大きくすることもできます。

Re: 数字が良いほど音が悪い(その2) 投稿者:志賀 投稿日:2011年 5月10日(火)18時10分34秒  
IKさん

>>{電流供給能力を大きくするべきだという,なんとか博士(名前を忘れました)の説が一時期はやったから}

>マッティ・オタラ氏ではないかと推測しております。

そうでした。オタラ博士です。思い出しました。有難うございます。

Re: 数字が良いほど音が悪い(その2) 投稿者:OM 投稿日:2011年 5月10日(火)18時46分50秒  
志賀さん、IKさん

>マッティ・オタラ氏ではないかと推測しております。

オーディオで「博士」と付くと、またディプロマミル(金で博士号を買った人)かと眉に唾を付けて調べてしまいましたが、真っ当な博士号でした(笑)。日本で言うなら、東工大を卒業して、大学院から東大の工学部で勉強して、東大で博士号を貰ったって感じです。

マッティ・オタラ博士の理論ですが、当時は誰も気付いてなかった(=優れた)ことですが、今となっては当たり前に実現できるので、それほど気に掛けられていないのだと思います。

トランジスタ技術の1977年2月号の特集が「第2世代のオペアンプ」で、マッティ・オタラ博士の理論に関する記述が有りました(名前は出てなかったと思いますが)。今なら、オーディオ用と名乗っているのであれば、2万円で10Wのアンプを買っても、博士の理論に適合したアンプになっていると思います

Re: 数字が良いほど音が悪い(その2)
投稿者:OM 投稿日:2011年 5月10日(火)23時32分53秒  
皆さん

>今なら、オーディオ用と名乗っているのであれば、2万円で10Wのアンプを買っても、博士の理論に適合したアンプになっていると思います。
としましたが、調査不足でした。

マッティ・オタラ博士の主張は、
1963年 TIM(Transient Intermodulation Distortion)って歪みが、聴感に影響が強いから、高いスルーレイトのアンプが必要だよ(◎:当時は、誰も気付いてなかったが、現在は、ほぼ全てのアンプが博士の主張を満たしているので、TIMが聴感に影響を与えることは無い。)。

1976年 IIM(Interface Intermodulation Distortion)って歪みが有るが、これはフィードバック量を減らすと良くなるよ(×:後に否定されて、理論上はIIMは起こりえるが、IIMを起こすほどの逆起電力を発生するスピーカーは存在していない。他の分野で問題になることは有っても、音響には影響無い。)。

1979年 PIM(Phase Intermodulation Distortion)って歪みが有って、位相の直線性が失われるよ(△:有るには有るみたいです。でも、位相の直線性はそれほど重要でないとの結論が出たばかりで、さらに、このPIMによる位相のずれは、僅かに2ns程度です。)。

ってことで、最初のTIMだけ考慮すれば良く、それなら、2万円で10Wのアンプで事足ります。
TIMを抑えるためには、ある程度は電流を出せるアンプが必要になります。
IIMが音響に影響が有って抑えようとする立場を取ると、凄い電流が必要となります。
でも、IIMは関係無いので、ある程度の電流で済むことになります。

う〜〜〜〜ん、フィードバックが悪影響って主張は、こんな所から出てたんや。

Re: 数字が良いほど音が悪い(その2) 投稿者:志賀 投稿日:2011年 5月11日(水)06時32分46秒  
OMさん

> 1976年 IIM(Interface Intermodulation Distortion)って歪みが有るが、これはフィードバック量を減らすと良くなるよ(×:後に否定されて、理論上はIIMは起こりえるが、IIMを起こすほどの逆起電力を発生するスピーカーは存在していない。他の分野で問題になることは有っても、音響には影響無い。)

> IIMが音響に影響が有って抑えようとする立場を取ると、凄い電流が必要となります。
> でも、IIMは関係無いので、ある程度の電流で済むことになります。


大変勉強になります。私もだいぶ分かってきました。問題はIIM歪みですね。

「IIMを起こすほどの逆起電力を発生するスピーカーは存在していない。」ということですが、IIM歪みとスピーカーの逆起電力の関係がいまいち分からないんですが? そもそも、IIM歪みそのものがはっきりしません。

想像では、IIM歪みを減らすには:NFBを減らす必要がある(なぜか?) → DF が低下する → 裸の内部抵抗を減らす必要がある → 大電流供給能力が必要

ということで、低インピーダンス負荷でもTHDが増加しない高出力アンプが必要という理屈のような気がしますが? いかがでしょう?

Re: 数字が良いほど音が悪い(その2) 投稿者:OM 投稿日:2011年 5月11日(水)07時52分49秒  
志賀さん

>、IIM歪みとスピーカーの逆起電力の関係がいまいち分からないんですが?

昔フィードバックを無くす方が音が良いと言い出した時に、「何をアホなこと言うてるんやろ?」と思ったんですが、その時の考察が、ほぼ当を得ていると思います。

【IIM歪みが無視できる理由】
IIM歪みに関することですが、オペアンプの基本がわかっているとの前提に立って説明します。そうでなければ、お絵かきが必要なんですが、朝は無理です。

741型オペアンプで、3番ピン(Non-Inverting Input)に入力電圧を加えて、6番ピンが素直に出力、6番ピンからの出力を抵抗で分圧して2番ピン(Inverting Input)に戻している回路を考えます。所謂、非反転増幅回路の典型です。他のピンの回りは、常識的な回路だとして下さい。

2番ピンと3番ピンの間に少しでも差が有れば、出力に反映されて3番ピンに戻って来ますので、2番ピンと3番ピンの電圧は等しくなります(バーチャルショート)。しかし、これは増幅度が十分に有る場合で、増幅度が低い場合には、バーチャルショートは成り立ちません。

ここで、フィードバックを無くすと言い出した時の説明が、「スピーカーの逆起電力がフィードバックループを戻って音質を低下させる。」でした。

まずは、低周波。
低周波では、スピーカーからの逆起電力が、6番ピンに戻って来ます。
最終段のプッシュプル回路が、その電力を吸収するために、電流を増やします。
最終段のトランジスタのベースエミッタ間電圧が、増加します。
その分だけ、電圧が変化しますので、フィードバックループを戻って、最終段のベース電圧を上昇させて、元の電圧に戻します(フィードバックループの正常な動作で、逆起電力を抑える力になってますから、ダンピングファクターの値が上昇します。)。

続いて、高周波。
高周波になると、裸の増幅度が低下してますから、バーチャルショートは成り立っていません。
この場合、フィードバックループを通じて逆起電力が戻ってくると、そのまま増幅されて出力に出てくることになります。
しかし、20kHz近辺(広帯域アンプなら、それよりも上の周波数)で、大きな逆起電力(単なる電圧ではなく、ベースエミッタ間電圧を顕著に変化させるほどの電力)を発生するスピーカーは有りません。

【IIM歪みが有った場合に、大電流アンプが必要な理由】
>想像では、IIM歪みを減らすには:NFBを減らす必要がある(なぜか?) → DF が低下する → 裸の内部抵抗を減らす必要がある → 大電流供給能力が必要

>ということで、低インピーダンス負荷でもTHDが増加しない高出力アンプが必要という理屈のような気がしますが?

そのロジックで、大電流アンプを設計したのだと、私も思います。これに関しては、、、、、、、時間が無いので、後ほど、、、、、、、、、

朝の20分で書いたので、乱文ご容赦下さい。


参考図  オペアンプ(741)非反転増幅回路

Re: 数字が良いほど音が悪い(その2)
投稿者:志賀 投稿日:2011年 5月11日(水)11時01分0秒  
OMさん

> 続いて、高周波。
> 高周波になると、裸の増幅度が低下してますから、バーチャルショートは成り立っていません。この場合、フィードバックループを通じて逆起電力が戻ってくると、そのまま増幅されて出力に出てくることになります。 しかし、20kHz近辺(広帯域アンプなら、それよりも上の周波数)で、大きな逆起電力(単なる電圧ではなく、ベースエミッタ間電圧を顕著に変化させるほどの電力)を発生するスピーカーは有りません。


だいたい分かりました。有難うございます。

要するに、位相のずれた信号がフィードバックし発振気味になり、結果として、過渡歪みが発生する可能性があるということでしょうか? 

Re: 数字が良いほど音が悪い(その2) 投稿者:OM 投稿日:2011年 5月11日(水)12時43分39秒  
志賀さん

やっぱり、20分で書いた文章は、ロジックをストレートにし切れて無いですね。誤解を招く文章で申し訳ないです。

>位相のずれた信号がフィードバックし発振気味になり、結果として、過渡歪みが発生する可能性があるということでしょうか? こんな感じの、
>ただ通常のスピーカーの特性から、そのようなことは起こらないという主張ですね?

逆起電力のアンプへの影響は、志賀さんの考察で問題無いかと思います。

なお、高周波領域で生じる逆起電力が非常に小さいことには、磁気回路が関与してます。

次に、IIM歪ですが、逆起電力がアンプへ与える影響の中の一部、それも相当に細かな成分です。

IIM歪とは、PN接合への付加電圧の変化に伴う静電容量変化の影響がもたらす歪です。1Aしか出せないアンプの出力を、無理矢理1Aの高周波電流で揺さぶった場合には、発生する可能性が有るかと思います。聴感に影響が出るとは、とても思えません。

Re: 数字が良いほど音が悪い(その2) 投稿者:OM 投稿日:2011年 5月11日(水)20時41分55秒  
志賀さん

朝の忙しい時間とか、昼休みだと、まとめるだけの時間が無いですね。
結論を書いておきます。

【TIM歪み】
聴感に強い影響が有り、当時としては先進的な考え方で、アンプの進化を促した。現在では、ごく一部のアンプを除いては、TIM歪み対策が取られている。
【PIM歪み】
位相歪みの一種であるが、微少であり、聴感上の影響は無視できる。
【IIM歪み】
スピーカーからの逆起電力に依って発生する歪みの一種で、PN接合に寄生する静電容量の電圧特性に依存して発生する。この歪みを引き起こすほどの逆起電力を発生するスピーカーは存在しないため、無視して良い。この歪みを論拠に、大電流を謳うアンプが発売されているが、ほぼ無意味。
【無帰還アンプ】
フィードバックループに影響を与えるほどの逆起電力を発生するスピーカーは存在しない。無理な設計になるため、様々な弊害が有ると予想される(少なくとも、値段が高いって弊害は有る)が、実効は薄い。

【副作用】
「オープンループの特性が良くゲインがそこそこのアンプに、軽くフィードバックをかけるのが良い。」これはある意味正しいと言えます。

歪み率、高周波特性、ダンピングファクターの3つを極端に上げようとすると、ハイゲインアンプに深いフィードバックをかけることになります。ハイゲインにするためには、出力段の前を極端なハイインピーダンスにする必要が有ります。この場合、浮遊容量の少しの変化で、裸特性が大きく変化します。

ICではなくディスクリートで組むなら、浮遊容量は、コントロールできません。その結果、左右で周波数特性が違うアンプになる可能性を否定できません。また、温度やちょっとした電圧の変化で、全く違う周波数特性になります。フィードバックループで押さえ込むのですが、色々と問題が生じやすいです。そのため、負荷変動などに弱くなります(Aのスピーカーだと普通に動くのに、Bだとリンキングして、Cだと発振するとか、温度が変わると発振するとか)。

抵抗と周波数特性や温度特性の良いコンデンサを出力の前段に入れてやることで、これらの弊害を減らすことができます(それでも、下手な設計者だと、負荷変動に弱いアンプにしてしまうけど)。逆に、オープンループのゲインを落とし過ぎた場合には、電流をジャブジャブと使わないと、歪み率が悪化します。

極端な低歪み率・極端な電流供給能力・極端なダンピングファクターを求めるのではなく(どれも、極端な値は不要ですから)、必要十分な値にとどめているアンプが一番良いと思います。

何事も、「過ぎたるは及ばざるがごとし」だと思います。

Re: コクのある音 投稿者:OM 投稿日:2011年 5月27日(金)07時51分3秒  
TTBさん、志賀さん

>いわゆる音質は、周波数レンジの広さでなく、中高音の歪み率特性で決ると思うんですが、どういう特性がどういう音をもたらすかはまったくわからないですね。

志賀さんにしては珍しく、数字に囚われてしまってますね。この掲示板に発言するようになって直後に、わざと歪みを加えるプログラムを作ったんですが、それ以後、色々と実験しています。

その結果、「歪み率なんて、音質に何の影響も無い」と言い切っても良いかと思います。

例えば、古い録音(1960年ぐらいのジャズかクラシック)に3%程度の歪みを加えて、さらに、ダンピングファクターの小さなアンプで出力します。 すると、高音は歪みで補強されて、低音はダンピングで補強されますので、少し音量を下げた時に、丁度バランスが良くなります。実際に、こんなセッティングで、素晴らしい音を出している場合も見たことが有ります。また、「透明感のある声」と評される女性ボーカルの大半でも、2%や3%程度の歪みでは、透明感は失われません。

「良い音とカタログデータは、何一つ関連が無い。」「カタログデータを見る人は、先入観だけで判断して、音を聞いて無いから、碌な音を出さない。」

>私の感じた品だの、コクだのは物理量にすると何になる

「品」とか「コク」ってのが私には伝わりませんが、ご自分にとって良い音を出すための基本は有ります。

まず、ご自分の言葉で表現される方は、音を聴いてらっしゃいますので、その音を覚えていると思います。スピーカーのセッティング等を変えて、その音に近づく方向性を見極めて、さらにセッティングを煮詰めれば良いと思います。やってはならないのは、先入観を持つことです。
【「歪率もなかなか素晴らしい」から「歪みのないクリアーな音になるはず」】としてしまうと、先入観に囚われてしまいます。

まず音を聴く。
「クリアーな音だった」、、それならばとデータを見て、「○○に優れる(アンプ/スピーカー)だから、もしかしたら、○○とクリアーさは関連が有るかも」と判断すれば良いと思います。

なお、マッキントッシュ(アンプではなく、PC)をお持ちでしたら、わざと歪ませるプログラムをお送り致します。「歪みが大きな機材を使うと、音が濁る」って先入観は、ほぼ間違い無く吹っ飛びます。

Re: コクのある音 投稿者:志賀 投稿日:2011年 5月27日(金)17時17分21秒  
OMさん

> 志賀さんにしては珍しく、数字に囚われてしまってますね。

そうですかね? 私の議論は常に自分個人の主観に基づくのではなく、ブラインドで行なわれたと思われるデータに基づいているんですがね。つまりいつも数字でものをいっているわけです。この場合は

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/distortion.htm#feeling

などが参考になります。確かに、高調波歪みに対しては結構鈍感ですね。3%程度なら、このデータから見てもわからないかもしれません。しかし、仮に私が3%程度の高調波歪みが聴き分けられないといっても、マニアからはおまえの耳が駄耳だと一蹴されるだけですね。変らないということを証明するには自分なら1%の歪みでも聴き分けることが出来るという強者にブラインドでテストして初めて本当かどうかわかるんだと思いますよ。変らないと思っている人にテストしてもほとんど意味がありません。

Re: コクのある音 投稿者:志賀 投稿日:2011年 5月27日(金)21時55分27秒  
OMさん

> この掲示板に発言するようになって直後に、わざと歪みを加えるプログラムを作ったんですが、それ以後、色々と実験しています。 その結果、「歪み率なんて、音質に何の影響も無い」と言い切っても良いかと思います。

今度は純粋な質問なんですが、そのプログラムではどのような歪みを加えるんでしょうか?

特定の高調波歪み? あるいは非線形に伴う全ての歪みを発生させるんでしょうか?
具体的に高調波歪みに見合う相互変調歪みも入っているんでしょうか?


RE: コクのある音 投稿者:BK 投稿日:2011年 5月28日(土)11時05分35秒  

横から失礼いたします。以前ここが少し荒れていたときに1,2度書き込ませていただいた者です。

>志賀さんにしては珍しく、数字に囚われてしまってますね。

以前から拝見するに、管理者さんは、主観に左右されやすい定性よりも定量的な考え方を重んじてきておられるので、数字を基本に考えられるというのは終始一貫していると思います。

歪みが、主観的な音質に良い方向に作用するか悪い方向に作用するかの議論は別として、「高音は歪みで補強されて、・・・中略・・・、丁度バランスが良くなります。」とのことですから、「歪み率なんて、音質に何の影響も無いと言い切っても良いかと思います。」というのは理路が合わないように思います。

>「良い音とカタログデータは、何一つ関連が無い。」

一般論として、カタログデータに、それ程細かい情報を求めるのは無理かもしれませんが、「何一つ関連がない」と言い切るのも無理筋と思います。管理者さんも「いわゆる音質は、周波数レンジの広さでなく、中高音の歪み率特性で決ると思うんですが、どういう特性がどういう音をもたらすかはまったくわからないですね。」と書かれているように、定性的な概念である音質を特性で説明するのは、現段階ではなかなか難しいことかもしれませんが、いずれ将来的には少しずつ解明されていくべき(そして解明可能な)テーマであると私は信じたいですね。もちろんそのためには、「良い音」というものを、ある程度多くの人々に共通する言葉で定義する作業が必要ですが

Re:コクのある音 投稿者:TD 投稿日:2011年 5月29日(日)13時33分29秒  
OMさん

> その結果、「歪み率なんて、音質に何の影響も無い」と言い切っても良いかと思います。

皆さんこの飛躍し過ぎた表現に違和感があるのではないですか?私は音マニアではありませんが時々自分がどの程度の歪み率が認識できるかテストすることがあります。

志賀さんが仰っているように高調波歪みを発生する機器は相互変調歪みも発生すると言う前提にたって2トーン信号を用いて歪みを聞く事で判断しますがIMD3が-40dB(1%)程度になれば確実に歪みを認識できます。シングルトーンで高調波を発生させてもあまりわかりません。

音楽や言葉のように複合音で音が構成された場合は認識率はかなり低下しますが10%も歪めば相当数の人は歪みを認識できるでしょう。
「歪み率が音質に何の影響もない」というのであれば音質の定義が異なっていると思われます。

Re: コクのある音 投稿者:OM 投稿日:2011年 5月29日(日)18時24分57秒  

2.歪みの知覚

まずは、純音の歪みです。

何でも良いので、オーディオ用のソフトを起動します。
「1kHz 0.95FullSwing(ないしは、-0.4dB)」の信号を作って、2kHzないしは3kHzの信号を足した信号を音楽CDフォーマットで出力します。
「1kHz 0.95 + 2kHz 0.00095(-60.4dB)」が2次歪み0.1%を含む信号で、「1kHz 0.95 + 3kHz 0.0095(-40.4dB)」が2次歪み1.0%を含む信号です。
若い方ならもう少し成績が良いと思いますが、オッサンで
0.2% : 歪みとして聞こえる場合は、ほとんど無い
0.3% : 歪み成分が耳の感度の高い周波数で、音量も上げていて、偶然集中力も上がった場合だけ
0.5% : 認識できる場合も有るが、認識できない場合も有る。
1.0% : ほぼ全部の組み合わせで認識できるが、認識できない場合も有る。耳が良いつもりだったのに、1%の歪みがわからなくて、オッサン大ショック。
ぐらいの成績だと思います。また、音量を下げると、成績も下がります。純音のフルスイングだけで構成されている曲が有るのかどうかは知りませんが、少なくとも多くは無いと思います。従って、10dBほど音量を下げた場合の成績の歪みに抑えていれば、純音を含む音楽に関しては、歪みが影響しないと思われます。

続いて、音楽への歪みの影響ですが、これを評価することはかなり難しいです。何が難しいかと言うと、例外が非常に多いので、「○○%以下なら影響無い!」と言えないです。

まず、音声ですが、透明感の有る美しい声と評されることが多い女性ボーカルを複数集めて、歪ませてみました。なお、真空管のシミュレーションですので、偶数次歪みです。

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/distortion.htm#feeling

で、「耳の良い5%の人が検知できるレベル」とされているのが6%ですが、5〜6%の歪みで「声が濁った」と感じるボーカルもいれば、「誰でもが検知できるレベル」の14%を越えて20%ぐらいの歪みでも声が濁らないボーカルもいてます(音が変わっていることは知覚できますが、濁りはしない)。音楽は、それこそ千差万別です。クリッピングを起こさないギリギリまで歪ませた場合(30%ぐらい)でも、「原音より歪んだ」と知覚できないグループもいます(歪み切ってる音を使うグループです。)。

比較的わかり易いのが、バイオリン等の弦楽器です。偶数次高調波歪みを加えて行くと、「歪んだ/艶のある」音に変化します。
面白いことに、歪みを加えて行くと「C3 + 高調波」が「C4 + 低調波」に変わる音が有ります。しかも、この知覚は、スレッシュホールドを境にする二者択一で、中途半端が有りません。音階が1オクターブ変化するので、完全に知覚可能です。さらに、スレッシュホールド近傍ギリギリの音を含む録音も有ります。この場合、少しの歪みで、音が変わったことを知覚ができることになります。

「耳の良い人でも3%に歪みが限界なのに、1%の歪みを知覚できる俺って凄い!」と思い込みたい所ですが、さにあらず。少し時間を置いてから曲を聴くと、「C4 + 低調波」に変わりません。スレッシュホールドレベルが、気分や体調で変化してる様子です。「C3 + 高調波」であるか「C4 + 低調波」であるかが、歪みなどのオーディオ性能ではなく、その日の体調で決まる音すら有りました。【歪みにより「C3 + 高調波」が「C4 + 低調波」に変わる】って認識をお持ちの方って、何人ぐらいいらっしゃるんでしょうか?

全部整理すると、
A)音楽なんていらない、純音を大音量で聴くのが幸せな方:0.3〜0.5%
B)純音を多用する音楽が好きで、さらに、その純音が濁るのが許せない方:1.0%前後
C)オクターブの認識ギリギリな音を含む特定の音楽が好きで、そのオクターブが変化するのが許せない方:1.0%前後
D)弦楽器の曲が好きな方:3%前後
E)ボーカルが好きな方:6%前後
F)ヘビメタ大好きな方:20〜30%?
たぶん、AとCの人は居ないと思います。
Bの方も、極々少数でしょう。
BやCの変わり者を相手にする場合でも、1%の歪みを議論すれば良いことになります。
これに対して、実際のオーディオシステムの歪みは、中音域ならカタログデータでも1%を割り、実音量だと0.1%前後だと思われます。
スピーカーやアンプのカタログデータの歪み率を持って、出てくる音の性格を云々することは、できないと思います。
特にパワーアンプの場合ですと、たった10%の歪み率(カタログ値)だと、歪んでいると認識できる人はほとんどいないと思います。
パワーアンプのフルパワーを使う構成になっている場合は、ほとんど有りません。
従って、カタログ値よりも低い歪み率になります。
これを考慮すれば、10%のカタログ値でも、全く問題無いと思われます(勿論、フルパワーを使う場合には、問題になりますが、)。

最後は、「歪みの利用」です

Re: コクのある音 投稿者:OM 投稿日:2011年 5月29日(日)19時40分19秒  
3.歪みの利用

JBLの4343だったと思うのですが、「トランジスタアンプを使う場合には、1Ω前後の抵抗を直列に入れて下さい」と注意書きがして有ったと聞いてます。真空管アンプと比べて低音が薄く感じるので、わざとダンピングファクターを低下させて、低音を補填していたらしいです。

真空管アンプを作っている方に、「その回路やと、歪みが大きいんで、バイアス値変えた方がエエと思うで。」と言ったことがあります。
「その辺のLPの録音年代見てみ。 演奏してる連中が聴いてた音と同じだけ歪んでるアンプやないと、味が出えへん。」と返ってきました。「原音に忠実」の「原音」を「演奏した音」とするならば、歪みの有るアンプは性能が悪いことになります。しかし、「原音」を「演奏者が意図した音」とするならば、歪みの無いアンプは性能が悪くて、適度な歪みが有るアンプこそが性能が良いと言えます。

「低ダンピングファクター」や「高歪み率」は、絶対に有ってはならないってレベルで忌み嫌われていますが、有った方が好ましい場合も有ります。また、「高歪み率」を嫌わないとならない場面で有っても、実歪み率で3%、せいぜい1%の歪み率を問題にすれば良いはずです。

実歪み率で1%だと、カタログ値で5%とか20%とかの話になるはずですが、カタログ値で0.001%の話にされてしまうことが多いです。長年に渡ってオーディオ業界が「低歪み率」を喧伝した結果、大半の方が「0.1%の歪みは大きい」と思い込んでいるようです。

Re: コクのある音 投稿者:志賀 投稿日:2011年 5月30日(月)15時41分32秒
OMさん

OMさんの言っていること、少々表現が過激の感がありますが、基本的にはここに書いている私の考えと同じです。

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/HiFi.htm

特に多くのマニアが、この方が性能がいいという(定性的な)理屈を信じ、主観で判断し音質が向上したと検証したつもりになっているのに反し、あえて忠実度を下げ、本当に差が聴き分けられる限度を探るという方法は大いに参考になります。

ただし、管理人として言わせてもらうと、表現に奇を衒ったところが多々あり、いろいろ誤解を招いていますね。もう少しシンプルに表現してほしいものです。

そこで、少し質問をさせて下さい。


> まず、音声ですが、透明感の有る美しい声と評されることが多い女性ボーカルを複数集めて、歪ませてみました。なお、真空管のシミュレーションですので、偶数次歪みです。

ということは、相互変調歪みも入っていると考えていいんですか?以前も質問したんですが答えて貰っていません。

> 面白いことに、歪みを加えて行くと「C3 + 高調波」が「C4 + 低調波」に変わる音が有ります。しかも、この知覚は、スレッシュホールドを境にする二者択一で、中途半端が有りません。

低調波が聴こえるというのは実音(実際にスペクトルが成分がある)でなく、聴感でそう聴こえるということですね?

> これに対して、実際のオーディオシステムの歪みは、中音域ならカタログデータでも1%を割り、実音量だと0.1%前後だと思われます。

これって本当ですか? 例えば半導体アンプの場合など

http://www38.tok2.com/home/shigaarch/OldBBS/75distortionfeel.html#ampdistortion

ここにあるデータのように小出力の方が歪み率は大きくなるんですが?

>実歪み率で1%だと、カタログ値で5%とか20%とかの話になるはずですが、カタログ値で0.001%の話にされてしまうことが多いです。

上の質問と同じですが何か具体的な測定例があるんですか?


Re: コクのある音 投稿者:OM 投稿日:2011年 6月 2日(木)01時01分1秒  
志賀さん

>相互変調歪みも入っていると考えていいんですか?

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/distortion.htm


の計算式で、b=2,c=0とした時と同じ歪みを与えてますので、相互変調歪みも入っているはずです。

>低調波が聴こえるというのは実音(実際にスペクトルが成分がある)でなく、聴感でそう聴こえるということですね?

残念ながら、「低調波を含む音」を聴く訓練は受けておりませんので、「低調波を含む音」がどんな響きを持つのかが、わかりません。

論理的に考えて、C3の音階の音がC4の音階として知覚されるまで歪みを与えても、C3の周波数成分は残っているはずなので、「C4+低調波」と記述しました。

楽器の音は複雑ですので、単純な音で実験しました。
440Hz 0.5V + 880Hz 0.5V
を、私は440Hzの音階として知覚しますが、これに強い偶数次歪みを加えると、440Hzの成分が残っていても880Hzの音階として知覚しています。

>http://www38.tok2.com/home/shigaarch/OldBBS/75distortionfeel.html#ampdistortion
>ここにあるデータのように小出力の方が歪み率は大きくなるんですが?

小信号時の歪み率の増加は、ノイズだと思います。
左側がS/N比100db、右側がS/N比110dbとすると、ほぼ計算値と一致しますので、間違い無いと思います。
プッシュプルのクロスオーバー歪みですが、元々がそれほど大きく無い(エミッタフォロアなので、完全帰還と考えることができます。)ことと、NFBループの内部ですので、かなり小さい歪みになると思います。
小信号時(8Ω10W以下)の特性は、
左側は、歪み率0.005% S/N比100dB
右側は、歪み率0.001% S/N比110dB
だと思います。

Re: コクのある音 投稿者:志賀 投稿日:2011年 6月 2日(木)18時24分6秒    
OMさん

>・・・ の計算式で、b=2,c=0とした時と同じ歪みを与えてますので、相互変調歪みも入っているはずです。

了解しました。その場合の結果が

投稿日:2011年 5月29日(日)18時24分57秒
に書いておられる。

「全部整理すると、
A)音楽なんていらない、純音を大音量で聴くのが幸せな方:0.3〜0.5%
B)純音を多用する音楽が好きで、さらに、その純音が濁るのが許せない方:1.0%前後
C)オクターブの認識ギリギリな音を含む特定の音楽が好きで、そのオクターブが変化するのが許せない方:1.0%前後
D)弦楽器の曲が好きな方:3%前後
E)ボーカルが好きな方:6%前後
F)ヘビメタ大好きな方:20〜30%?
たぶん、AとCの人は居ないと思います。
Bの方も、極々少数でしょう。
BやCの変わり者を相手にする場合でも、1%の歪みを議論すれば良いことになります。」

という所ですね。この値なら、私が紹介している、

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/distortion.htm#feeling

この報告とほぼ同じですね。だったら、

投稿日:2011年 5月27日(金)07時51分3秒の"「歪み率なんて、音質に何の影響も無い」と言い切っても良いかと思います。”とはいえませんね。

ここで、以前紹介された歪み検知限界に関する学術論文を紹介しておきます。

http://acousticsg.shinshu-u.ac.jp/acoustics/paper/EA03_01.pdf

結論はやはり同じくらいです。

小電力時の歪率増加 投稿者:MK 投稿日:2011年 6月 7日(火)00時43分56秒  
志賀さん、皆さん、こんにちは。

小電力時の歪率増加に関してですが、
Po<2Wでは傾き=-0.5位になっていますので、パワーアンプの雑音の影響で、
Po>2Wのほぼ0.002%の部分は測定器の発振器の歪ではないでしょうか

Re: 小電力時の歪率増加 投稿者:志賀 投稿日:2011年 6月 7日(火)20時26分8秒 MKさん,OMさん
MKさん、OMさん

おっしゃる通りでした。図に示したのは以前紹介したA級アンプ(左)とAB級アンプ(右)の 歪+ノイズ 特性ですが、0.1W(8Ω) 時の値を全てノイズとしノイズ電圧を求めると左が380μV 右が 54μVとなり、全出力範囲で一定として出力電圧に対する比を計算すると図の赤色点線のようなりました。つまり10W以下の増加はほとんど全てノイズによると考えられます。従って、A級アンプの場合は10W辺りから非線形歪みが増加し、AB級アンプでは測定限界に達しているものと思われます。


左図 A級アンプの歪み率+ノイズ特性
右図 AB級アンプの歪み率+ノイズ特性

赤点線は低出力時の値が全てノイズと仮定した時の値。

そう思って手元にある千葉憲昭著「オーディオ常識のウソ・マコト」を見ると確かにアンプの低出力時の見かけの歪み率の増加はクロスオーバー歪み(その昔はそう考えられていたようですが)でなくノイズの比率の増加で説明すべきだと書いてありました。

どうも私の勉強不足だったようです。失礼しました。

参考: 真空管アンプの出力-歪率 特性は、ここで見られます。

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/ampblind.htm#vacume

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/5510takesuedvsp.jpg

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/5510otldisvsp.jpg

Re: 小電力時の歪率増加 投稿者:OM 投稿日:2011年 6月 8日(水)07時59分35秒 志賀さん、MKさん、皆さん

>Po<2Wでは傾き=-0.5位になっていますので、パワーアンプの雑音の影響で、

【傾き-0.5 = コンスタント ≒ 雑音】
が、私の長年の解釈だったんですが、きちんと検証したことが無かったので、言い切って頂けると安心できます。

しかし、この辺りの話は、原因がクロスオーバー歪みであれ、0.01%〜0.1%程度の話です。1〜5%程度の話からすると、どちらが原因で有っても、結論に影響は無いと思います。

「【1〜3%の歪みが聴感に影響する】と物の本に書いてあるから、1〜3%」でもなく、「オカルト系オーディオ屋が【0.0001%の歪み】を問題にしているから、0.0001%」でもなく、論より証拠で、実際に実験をして結論を導き出すことが重要だと思います。

実験を行うための準備をしていますので、しばらくお待ち下さい。今回は、Windowsでプログラムしますので、皆さんもご参加下さい。


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