前回の話題はハイパーソニック効果で、高音再生が何処まで必要か、いい換えればサンプリング周波数に関する議論であった。ここでは、それから派生して、PCMソース(CD)の場合に必要なビット数についての議論である。議論を通じて、科学的に意味がある実験とはどういうものかも論じている。 なお、投稿の中には、アマチュアがデジタル録音する時に望ましいビット数と混同する発言があるが、ここではあくまで通常の音楽を通常の聴き方(ピアニッシモのパートを故意に大音量て再生するような不自然な聴き方をしない)で再生する場合に必要なビット数を問題にしている。
必要bit数 投稿者:OM 投稿日:2011年 3月 7日(月)20時48分57秒
随分前ですが、
http://8317.teacup.com/shigam/bbs?page=6&
http://8317.teacup.com/shigam/bbs?page=7&
ペンディングにしておいたbitの問題が解決しましたので、報告します。
>それほど大きな音で聴く方では有りませんが、私の通常のボリュームだと、12bitは最初から判別が可能で、その後も100%判別可能でした。
>これまでの検討から10bit前後になると予想していたのですが、やけに値が良いなと思ったら、Audacity、AppleTV、デジタルアンプの何れかが、信号を補正した可能性が有りました。
Audacityが余計なお節介を焼いておりました。AppleTVやデジタルアンプなら交換する機材が有るのですが、元の信号を作る時点でのエラーでしたので、自作のソフトでbitを切ってみました。
実験では、余計なお節介が入らないように、アンプはアナログです。また、1kHzの純音の波形をデジタルオシロで見て、AppleTVが変なことをしていなことは、確認しております。なお、私の通常のボリュームで、オシロの波形から計算してpeak to peakの波形が入った場合で100mW程度の電力を90db/W/mのスピーカーに入力してます。
以下、結果です。
1kHz純音
7bit 明らかにわかる
8bit なんとか認識できるが、困難
9bit 純音と区別が付かない
ボレロ(出だし)
11bit 認識可能
12bit かなり困難で有るが、認識可能
13bit この曲だけ繰り返して聴いていたので、1個所の特徴を覚えて、それ以後は、なんとか認識可能。しかし、事実上は、認識不可能
ホテルカリフォルニア
8bit 明らか
9bit 認識可能
10bit 辛うじて認識可能
11bit 非常に困難であるが、なんとか認識可能
12bit やるだけ無駄と判断
ってことで、12bitでほぼ十分で、ボレロのように極端なピアニシモのパートが有る曲を考慮しても13ないし14bitで十分でした。
驚いたのは、楽曲よりも純音の方が少ないbitで済んだことです(私に「純音だけ聞いてるのは嫌」って性格が有ることを考慮しても、不思議です。)。そこで、簡単な検証をしてみました。
Windowsを起動するのが邪魔臭いので、MacのNumbersの式です。もし、Excelで式が異なる場合には、修正して下さい。
A1:1〜16(利用するbit数を入力する。)
B2:0
B3:=B2+1(コピーしてBの列を埋める。以下、C列等も同様。)
C2:Sin(B2/44100*2*PI()*1000)
D2:Sign(C3)*Floor(Abs(C3)*Power(2,$A$1-1)+0.5,1)/Power(2,$A$1-1)
E2:C2-D2
F2:Abs(E2)
G2:E2*E2
H2:C2*C2
F135:Average(F2:F134)
G135:Average(G2:G134)
H135:Average(H2:H134)
i135:Log(G135/H135)*10
各列、および、セルの値は、B列:Sample番号、C列:アナログ原音信号、D列:量子化信号、E列:量子化誤差、F列:誤差絶対値、G列:誤差電力、H列:原音電力、i135:原音に対する誤差信号(db) を意味しています。
A1のセルに「8」を 入力した時点で、誤差信号は原音に対して-50db程度しか有りません。人間の能力から考えて、この辺りが認識限界だと言うのは、妥当な線だと思います。
う〜〜〜〜〜ん、SACDもDVDAudioも、その他のHighBitやHighSampleRateも、不要でしたね。
結局、この辺りも、ジッターと同じく、裸の王様商売だった様子です。SACDプレーヤーを買った私も、いてこまされてしもうた一人ですけど、、、、、、、、、、
Re: 必要bit数 投稿者:志賀 投稿日:2011年 3月 8日(火)10時37分53秒
OMさん
面白い実験ですね
> 1kHz純音
> 7bit 明らかにわかる
> 8bit なんとか認識できるが、困難
> 9bit 純音と区別が付かない
実は同じような実験が以前に投稿されています。
http://shigaarch.web.fc2.com/OldBBS/101CDandSACD.html#SACD
こちらです。投稿者は16bitでは不足でより高ビット数が必要ということを主張しておられるように取れますが、見方を変えると逆になります。つまり、標準の16bit を0dBとすると、-42dB の正弦波は下位 9 bit -48dB の正弦波は 下位 8 bit をフルに使って録音した音を聴くのと同じになります。
投稿者は「聴感上では注意深く聞くと−40 dB(〜 9 bit)でも歪が感じられ、−50dB(〜8 bit)あたりからははっきりと歪んでいるのがわかります。」といっておられるので、OMさんの主観による判断とほとんど同じになります。
> ってことで、12bitでほぼ十分で、ボレロのように極端なピアニシモのパートが有る曲を考慮しても13ないし14bitで十分でした。驚いたのは、楽曲よりも純音の方が少ないbitで済んだことです(私に「純音だけ聞いてるのは嫌」って性格が有ることを考慮しても、不思議です。)。
音源が音量に大きな差が有る音楽の場合、微小音を注意深く集中して聴くことになるので、さらに大きな分解能(ビット数)が必要になるというのは不思議ではありません。
>
> う〜〜〜〜〜ん、SACDもDVDAudioも、その他のHighBitやHighSampleRateも、不要でしたね。結局、この辺りも、ジッターと同じく、裸の王様商売だった様子です。SACDプレーヤーを買った私も、いてこまされてしもうた一人ですけど、、、
結局、現在の 44.1 kHz、16bit のCD規格は十分余裕を見た規格ということになります。実はCD規格を決める時、欧州系の技術者は13bit くらいで充分と主張したのに対し Sony が反対し現在の16bit に落ち着いたという歴史があるようです。
もう一つ、だいぶ前にMK さんという方が同じような実験をされ、ここに投稿されたことがあります。確か、さらに少ないビット数で充分だという結果でしたが、過去録を作る前なので正確に覚えていません。ご本人がこれを見られたらよろしくお願いします。
追記
こちらにありました。やはり同じような結論でした。「さらに少ないビット数で充分だという結果でしたが、」←これは私の記憶違いでした。
http://shigaarch.web.fc2.com/OldBBS/23CDetc.html#mk
Re: 必要bit数 投稿者:OM 投稿日:2011年 3月 8日(火)23時17分46秒
>標準の16bit を0dBとすると、-42dB の正弦波は下位 9 bit -48dB の正弦波は 下位 8 bit をフルに使って録音した音を聴くのと同じになります。
ボレロでも、ピアニシモのパートでボリュームを上げてフォルテぐらいまで持ち上げれば、もう少し下のbitまで認識できると思います。しかし、そんなことをしたら、フォルテシモのパートで、前に座ってられなくなります。
また、純音の実験で各bit数の音に1分も持たなかった私ではなく、根性の有る方なら、9bitは認識できるかと思います。10bitも若い女性なら可能性は有るかと思いますが、オッサンには無理だと思います。
正弦波が少ないbitで済む理由が、もう一つ有りました。純音の場合、p−pで計算したパワーが正味でスピーカーに加わります。音楽の場合には、p−pで計算したパワーよりも、10db前後低くなります。そのため、正弦波の実験の時には、通常のボリュームよりも10db程度下げてました。
まあ、全部を考慮しても、10〜11bitも有れば、純音の再生には十分だと思います。
音楽の聞こえ方は、振幅の小さい高音が飛んで詰まった音になるかと思ったら、意外にも、高域が騒がしくなりました。こちらのリンク
http://shigaarch.web.fc2.com/OldBBS/23CDetc.html#mk
で、MKさんが仰っている通りでした。
>これよりもっとビット数を減らした時は雑音は波形から創造されるようなギザギザ(?)した感じではなくて、音楽は普通通りに流れ、それに雑音が混ざっているという感じでした。
bitが足らないと、高域にノイズが重乗した感じになります。
HighBitやHighSampleRateを売ろうとしている連中は、CDの音が滑らかではない(ギザギザした感じ?)と主張しますが、これも、単なる【まやかし】でしたね。CDの20kHz1bitの画像とHighBitの20kHz数bitの画像を見せて、画像から客が受ける印象を強調しているのだと思います。
>欧州系の技術者は13bit くらいで充分と主張した
「必要かつ十分」を見極めることができる、至極真っ当な技術者だと思います。
しかし、ギリギリだとD/Aの出力に付けるアナログフィルターの設計が厳しくなりますので、SONY側の主張も理解できます(アナログと比べて圧倒的なダイナミックレンジだって宣伝するための政治的な要因の方が大きかった様な気がしますが、ここは、良心的に解釈しときましょ。)。
アナログのダイナミックレンジは、どんなに良いピックアップとアンプを持って来ても、新品のLPを使って何とか60db、数回聴いたLPだと50db程度に落ちると言われています。
もし、人間の耳が16bitを認識できるなら、アナログの時代に「名機」と呼ばれるシステムは存在し得なかったと思います。
Re: 必要bit数 投稿者:NS 投稿日:2011年 3月14日(月)11時20分43秒
OMさん
自然界、もしくは、人間の可聴ダイナミックレンジの考慮をすっ飛ばした考察ですね。
また、アナログ磁気録音の特性と特徴もお忘れになっている。さらに重要なのはフレッチャー・マンソンのラウドネス曲線が考察に入っていないのはまずいですね。
Re: 必要bit数 投稿者:KZ 投稿日:2011年 3月16日(水)09時31分18秒
>欧州系の技術者は13bit くらいで充分と主張したのに対し Sony が反対し現在の16bit に落ち着いたという歴史があるようです。
当時、フィリップスは、14bit DACしか持っていなかったという事情です。CDの初期、確か二次のノイズシェーピング(ΣΛ変調)を用い、16bit相当としていました。
Re: 必要bit数 投稿者:WT 投稿日:2011年 3月16日(水)10時32分51秒
フィリップスでもソニーとは別に光ディスクを試作していたようですし(詳細は知りませんが多分13〜14bit程度)、その頃の技術レベルとしては16bit精度のDAコンバータを製造することはほぼ不可能でしたから、フィリップスとしては現実的な選択をしたかったのでしょうね。CDプレーヤーが市販された後もずいぶん長い事、「真の16bit分解能を持つDAコンバータはない」と言われてました。
Re: 必要bit数 投稿者:AS 投稿日:2011年 3月16日(水)17時19分19秒
CD黎明期の話、懐かしいですね。
ビット数増加とともに音質向上目的で開発され進歩してきたデジタルフィルターですが、民生用CDプレーヤーで最初に搭載したのは YAMAHA CD-X1
だったと記憶しています。2倍オーバーサンプリング(88.2kHz)。
各社のプレーヤー第1号機が18〜25万円で発売されて以降、どのメーカーが真っ先に10万円を切る機種を出すか注目されていましたが、それも CD-X1 でした。
Re: 必要bit数 投稿者:MA 投稿日:2011年 3月17日(木)18時23分49秒 OMさん
いつも録音する側からではDAT等の16bitではとても余裕がなくローレベルでの歪やノイズが大きいですよ。マスタリング後の音源なら結果として16bit以内に収まるのでしょうが、それを基準に話をされたら困ります。
磁気テープレコーダーは0db+15dbクリップが規格になっていますが、ソフトクリップなのでリミッターが効いているのと同じです。
http://www.maroon.dti.ne.jp/makihara/
Re: 必要bit数 投稿者:OM 投稿日:2011年 3月20日(日)11時05分45秒
NSさん
>自然界、もしくは、人間の可聴ダイナミックレンジの考慮をすっ飛ばした考察ですね。
いえ、この辺りからわかると思いますが、
>ボレロでも、ピアニシモのパートでボリュームを上げてフォルテぐらいまで持ち上げれば、もう少し下のbitまで認識できると思います。
人間の可聴ダイナミックレンジの考慮を100%入れております。
私は細かな説明をすっ飛ばす傾向が有りますので、どの辺りの記述でそう感じられたのかを仰って頂ければ、再度説明させて頂きます。
しかし、何をどう考慮しても、12~14bitが限界ってことは変わらないと思います。HighBitを勧める店員、HighBitを生産するメーカー、HighBitの方が音が良いと主張する方々、これまで見た全てで、「音が滑らか」と表現しています。
しかし、実際には、8bitからbit数を増やしていくと、高域のノイズが徐々に減ります。
「16bitは高域にノイズが聞こえるが、24bitになると静かになる」と言った方を一人たりとも見たことが有りません。何よりもこれが、「HighBitは音が良い」が、単なる勘違いである証拠だと思います。
Re: 必要bit数 投稿者:OM 投稿日:2011年 3月20日(日)11時08分9秒
KZさん
>フィリップスは、14bit DACしか持っていなかったという事情です。
これは、High bitやHigh Sample Rateの高価な機器を売りたい人が作った、後付の事情だと思います。
私が、小学校3年生だったか4年生だったの頃、少ない小遣いから買った本に、既にD/Aコンバーターは載ってました。中学校でモトローラ−の4001シリーズ(CMOSデジタルIC)のカタログを手に入れて、自分でD/Aコンバーターを設計してます。D/Aコンバーターは、小学生が理解でき中学生が設計できる程、非常に簡単な回路です。
さらに言えば、8bitのD/Aコンバーターさえ有れば、2個並列につないで、下位8bit側の出力を256分の1にすれば、極々簡単に16bitのD/Aコンバーターが完成します(この方法は、下位のMSBが桁溢れして上位のLSBに繰り上がる時に生じやすい歪みを防止するために1台ずつ調整が必要なので、1台だと問題にならないですが、大量生産すると人件費はかかります。)。
この程度のことは、情報が少なかった1975年前後の中学生ですらわかることです。D/Aコンバーターは本当に簡単な回路で実現できますので、デジタルは難しいとかの偏見を捨てて、ご自分でD/Aコンバーターを設計してみて下さい。
V=IR
さえ知っていれば、小学生にすら組める回路で、当時のフィリップスが組めないはずはあり得ません。
>フィリップスは、14bit DACしか持っていなかったという事情です。
は、事実なのかも知れませんが、14bitしか必要無かったので14bitしか作らなかったと考えるのが妥当でしょう。高価なHighBitやHighSmaplingを売りたい悪徳商人が、その事実を悪用しているだけでしょう。
(続く)
Re: 必要bit数 投稿者:OM 投稿日:2011年 3月20日(日)11時11分36秒
ちなみに、D/Aコンバーターの歴史を調べてみました。
http://www.analog.com/library/analogdialogue/archives/39-06/data_conversion_handbook.html
の「Chapter 1: Data Converter History」です。わかり易い明瞭な英語で書かれているので、ご一読下さい。
戦争中に5bitのD/Aコンバータが、実用的に利用されています(pp1.10)。CDの生まれる10年以上前の69年には、12bitのDACが、実験ではなく実用レベルで販売されています(pp1.25)。
70年代初頭には、たった44.1kHzではなく、20MHz8bitのDACが市販されています(pp1.34)。
1977年には、18bitのDACが市販されています(pp1.46)。
1979年に規格が策定されたCDが、たったの16bitを実現できないはずは有りません。
万が一、フィリップス社が16bitのDACを設計できなかった所で、AnalogDeveices社・バーブラウン社・レイセオン社、それこそ協力企業のSONYから買えば済む話です。
>確か二次のノイズシェーピング(ΣΛ変調)を用い、16bit相当としていました。
これも、HighBitを売りたい人達の作り話です。
DACは当時の小学生でも理解できる程度の原理ですが、オーバーサンプリングは、現在の理系の大学院を卒業する人達でも、大半の方が理解に相当な時間がかかるほど難しい原理に基づいています(原理そのものなら、ある程度の人がわかると思いますが、設計できるレベルで理解するとなると、かなり少数だと思います。)。さらに、原理が難しいだけでなく、当時の技術では、実現することも難しい回路でした。
つまり、簡単に実現できるたったの2bitを稼ぐための回路では無いんです。
44.1kHzでD/Aコンバートを行った場合、有害な超音波(44.1kHz)をアナログ回路で取り除かないとなりません。
このフィルターの設計は、難易度が高いだけでなく、個々の部品の精度も要求されます。
しかし、2倍(88.2kHz)、4倍(176.4kHz)にすることで、フィルターの設計や制作が、飛躍的に楽になります。
設計が難しく(金がかかる)マスクを作る必要が有る(金がかかる)が、一度作ってしまえば写真の焼き増し同様に幾らでも大量生産が可能(沢山作るほど、設計やマスクの費用が希釈される)なデジタル側に注力して、1台毎の調整(1台なら安いけど、沢山作れば多額の費用がかかる)を不要にするのは、真っ当な設計者なら誰でも考えることだと思います。
店員の言うことを盲目的に信じるのではなく、「自分でCDプレーヤーを設計したら」と考えると、「フィリップスが14bitしか持ってなかったために14bitを主張したが、本当は16bit以上が必要だ」が、とんでもないデマだとわかると思います。
仮にD/Aコンバータの設計が出来なくても、「自社で無いなら、買えば良い」ってことは誰でもわかると思います(当時、突出して値段の高かったバーブラウンで5千円〜1万円で、他は1個単位ですら2千円ですので、経済的な理由でないことも明らかです。)。
オーディオ店の店員が、このことに気がついていないのなら、全く持って情けないことだと思います。しかし、気がついて無い人よりも、欺してでも売ってやろうって人の方が、圧倒的に多いと思います。
腕が無いにしろ欺して売ろうとしているにしろ、「フィリップスが14bitしか持ってなかったために14bitを主張したが、本当は16bit以上が必要だ」などと言っている店員が居る店では決して買わないことを、強くお勧め致します。
Re: 必要bit数 投稿者:OM 投稿日:2011年 3月20日(日)11時14分9秒
MAさん
>いつも録音する側からではDAT等の16bitではとても余裕がなくローレベルでの歪やノイズが大きいですよ。
録音時だと16bitで足らないのは、当然だと思います。
随分前(1月12日)ですが、
>私も、録音時は、ハイビット・ハイサンプリングの方が良いと思いますよ。
と発言しております。
通常で20dbぐらい、ライブ録音だと30dbぐらい、再生専用機器と録音用機器で必要なダイナミックレンジに差が有るってのは、アナログの時代もデジタルの時代も変わらないと思います。
さらに、
>ソフトクリップなのでリミッターが効いているのと同じです。
と仰っている通り、アナログテープでの過入力歪みはエレキギターのオーバードライブで、デジタルの過入力歪みはディストーション(古い例で、ごめんなさい。)ですので、デジタルの方がダイナミックレンジの影響が顕著だと思います。
科学の実験とは 投稿者:志賀 投稿日:2011年 3月21日(月)08時10分37秒
このところ、PCM録音のビット数と音質についての議論が続いていますが、「オーディオの科学」の立場からコメントしておきます。
科学実験でのデータは客観的であることが絶対条件です。主観による感想は参考になる場合はあってもそれを根拠に議論することは間違いです。
オーディオ装置の音質の違いは、下のリンク先で述べているようにいろいろなレベルがあります。
http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/copernican.htm#origins
ここで、科学の対象となるのは(1)のケース(実際に物理特性(周波数特性、歪み率等)の差が人間の検知限を上回る場合)です。このような場合は、本当に科学の方法を心得た方がやるなら、特にブラインド条件にこだわることはありません。
このような場合、故意に性能を低下させ、音質劣化を招く要因の臨界値を知ることが第一歩です。
PCM録音で何ビット必要かという問題を考える時、まずやるべきことは、ビット数を減らして行った時、何ビットで音質劣化が生じるかを調べることです。OMさんの実験
http://8317.teacup.com/shigam/bbs/4830
はまさにこれに当たります。さらに、以前に投稿があったMKさんの実験
http://shigaarch.web.fc2.com/OldBBS/23CDetc.html#mk
もそうで、WTさんの実験
http://shigaarch.web.fc2.com/OldBBS/101CDandSACD.html#SACD
は、意図は別のところにあったようですが、結果的には、ブラインド条件を付けて正弦波についての音質劣化の条件を調べたのと同じになります。
いずれの場合も、1kHz くらいの正弦波では、8〜9 bit 音楽信号では12〜13 bit くらいが臨界ビット数になるというと同じ結果が出ており十分客観性のあるデータといえると思います。
もちろん、規格を策定する時には十分余裕を持たすのが望ましいわけですが、これは別の問題です。
このような実験結果を批判される場合はまずご自分で確かめられることをお薦めします。ただし、思い込みの強いマニアがやる場合は先入観を排除するためブラインド条件が必須となります。
また、録音をする場合は、過大入力によるクリッピングを避けるため、高ビット領域を使わなくてすむよう、十分な余裕を持った高ビットA/Dコンバータを使う方が望ましいことはいうまでもありません。
Re: Re: 必要bit数 投稿者:NS 投稿日:2011年 3月21日(月)12時07分46秒
OMさん
>「16bitは高域にノイズが聞こえるが、24bitになると静かになる」と言った方を一人たりとも見たことが有りません。
ボリュームをあげてみてください。
高域ノイズは聞こえますよ。24bitと明らかな違いですし、ノイズといっても量子化歪みといった方がよいと思います。高域成分の大きい楽器だとわかりますね。生に近いのがどちらかということになります。
むかし、SBMアダプターが発売された時、-80dBの1kHzサイン波を入力して内蔵DATとSBMで録音したのを比べてみましたが、明らかな違いでした。
これが乱暴な論ですが、ボレロについてです。
市販の音源はどのような加工をおこなっているのをご存じですよね。そのままのダイナミックレンジで市場に出すことはありません。ピークリミッターやコンプレッサーを使ってダイナミックレンジを圧縮しています。放送もしかり。
なぜこのようなことをするのかというと、家庭で聞く場合は、実音と同じ音量で聞かれることはほとんどありません。概して小さい。
そのためpppの場合聞こえないという苦情もでてきます。また、ピークをつぶさずにそのままのダイナミックレンジで提供すると平均音量が小さく、これまた苦情がでます。特に1W+1WのポータブルCDプレーヤで内蔵スピーカーを聞く人には困りました(苦笑)。平均音量が小さいのでボリュームを目一杯あげたら、fffで盛大に音が割れてしまうという事態になります。
きちんとした環境で実音量と同様の音量で再生できたら、おおお〜〜、すごい!ということになります。パワーアンプのピークが一瞬100Wを超えてもうるさく感じません。このような環境だったら小音量時の低ビットは、忸怩たる思いが浮かびます。
また、OMさまは、アナログも書き込みをされていますので、磁気記録方式のオープンテープの特性や、デジタル録音の違い、その加工(エフェクト)方法、ラウドネス特性を考慮に入れないと片手落ちです。
アナログが良音質に聞こえる理由はテープサチュレーション特性が聴感上、人間の耳の特性に不思議とマッチしており、いくらレベルを上げて録音しても歪感が悪くならない様に感じてしまうのです。ですから、平均音量が上げられますので、ラウドネス特性上、高音低音の音ヤセの少ない領域で聞くこととなり、デジタルよりアナログの方が音質はよいと、感じてしまうのです。
このような事柄は、デンオンのデジタル録音機を開発した人が、CD発売前夜からアナログとデジタルの音質の違いであると断言していました。また、デジタルでもアナログ録音特性のシミュレーションをすればアナログと似た様な音質にも出来ますとも言っていました。
事実、ポップス関係は100%リミッター、コンプレッサーを多用しているのが、レベルメーターと波形編集ソフトで見るとよく分かります。また、同じクラシックの曲でアナログ録音のマスターを使用したCDとデジタルマスターを使用したCDを波形編集ソフトで見比べると、ピークの出方や平均音量の違いがはっきりわかります。
ということで、必要bit数については誤解されています。わたしは、デジタル録音を初めて5年後ぐらいに上記の事にようやく気づきました。
わたしはオープンテープの時代、ビデオテープを使ったPCMプロセッサーの時代(このとき14→16bitにした時音質がより生に近づいた)、DATの時代、DAW(192kHz24bit)の時代を経ていますが、ようやくここまで来たかという実感は、DAWに移行した時ですね。
でも、これをCDフォーマットに変換するとバイオリンの艶やかさや金管の輝き、ピアノのアタック音がそぎ落とされるので、如何にそれらしく変換するダウンサンプリングのハードやソフトを選択するのか悩む所です。
ですからDVD-Audioなどのハイレゾリューションのフォーマットが世にでてきた時、しかも個人でも作成できるとわかった時、非常にうれしかったと記憶しております。
売らんがためにDVD-Audioを発表したというのが第1の目的ではなく、瑞々しい音楽と音響の世界を提供したかったのがそもそものはじめであり、何をするにしても経済がつきまとうのですから、儲け主義と勘違いするのは仕方がないかなと思います。
音声でのダイナミックレンジを圧縮している曲を聴く、オーデイオに全然興味ない人には、12bitでも充分でしょうね。しかし、生録をやりますと、わたしが書いてあることが実感してわかりますよ。市販のレベルメーターの動きと全然違うということが。
Re: 必要bit数 投稿者:OM 投稿日:2011年 3月27日(日)01時05分43秒
HighBitが必要だと仰っている方々は「俺は24bitまで聞こえる」と主張している様な気がしますが、ここは控えめに「20bitまで聞こえる」と主張しているとしましょう。20bitですから、ダイナミックレンジは、120dbですね。
90dbのボリュームで聴いているとするならば、-30dbの音が聞こえると主張していることになります。人間の耳でギリギリ聞こえるとされる0dbの音は、周りが極端に静かで、隣で声を出されたら大轟音が聞こえたと勘違いする環境に於いて、やっと聞こえる程度の音です。そんな小さな音の1000分の1のエネルギーの音を、かなり大きなボリューム(p-pで90dbだと平均は約80dbで、パチンコ屋の中の騒音)の中から聞き出せる人だけが、「20bitまで聞こえる」んです。
HighBitが必要だとの意見が如何に荒唐無稽なことであるか、おわかり頂けたでしょうか?ちなみに、パチンコ屋の店内で小さな羽毛がふわりと落ちた時の音が認識できる人なら、「16bit全て必要」を主張をする権利が有ります。
もう一つ、「Aperture error」って考え方が有ります。
http://en.wikipedia.org/wiki/Analog-to-digital_converter
「ADC resolutionin bit」の表は、A/D・D/AコンバーターのLSBの1分のエラーと同じエラーを生じるJitterを表しています(予想通り、12〜13bitで、人間が認識できるJitterの限界値である1μsになっています。)。
44.1kHz16bitで110ps、192kHz24bitで0.1psとなっています。
(110 × 10^-12) / (1/44100) × 340 = 0.0016 (m/sec)
(0.1 × 10^-12) / (1/44100) × 340 = 0.0000015 (m/sec)
44.1kHz16bitが必要な方は、1秒間に1.6mm動くと音が変わることが認識でき、1秒間に1cmも動けば音が濁って聞こえるはずです。
192kHz24bitが必要な方は、1秒間に1.5μmの移動で音が変わって、1秒間に1mmも動けば音楽がグチャグチャに聞こえる人です。
「12bitまでしかわからない」って人は、音楽を聞いている耳の良い人で、「HighBitが必要だ」と主張している人は、店員の言葉しか耳に届いておらず音楽が1音も耳に入ってないのですから、もの凄く耳の悪い人だと思います。
Re: 必要bit数 投稿者:KZ 投稿日:2011年 3月28日(月)21時47分48秒
OMさん
>「12bitまでしかわからない」って人は、音楽を聞いている耳の良い人で、「HighBitが必要だ」と主張している人は、店員の言葉しか耳に届いておらず音楽が1音も耳に入ってないのですから、もの凄く耳の悪い人だと思います。
昔、AMラジオで音楽を聴くことが出来なければ、何で聞いても分からないと言ったような乱暴な意見が有りました。確かに、感動は音楽を聴いている環境が重要ですが、故にAMで充分と言うことでもないでしょう。
12bitでも充分に音楽を聞くことが出来るとは思いますが、音楽が演奏されている環境を聴き取るには不足していると思います。
Re: 必要bit数 投稿者:AS 投稿日:2011年 3月29日(火)14時05分34秒 KZさん
> 12bitでも充分に音楽を聞くことが出来るとは思いますが、音楽が演奏されている環境を聴き取るには不足していると思います。
OMさんは自ら実験されてお書きになっています。
きつい言葉を使われているとはいえ、「実際にやってみた」結果からのものですので、その点で説得力があります。
KZさんが反論なされるのでしたら、OMさんに対抗出来る内容の実験をなさってからではないでしょうか?
志賀さんの先のコメント
『科学の実験とは 投稿者:志賀 投稿日:2011年 3月21日(月)08時10分37秒』
にある通りです。
Re: 必要bit数 投稿者:MK 投稿日:2011年 3月30日(水)00時39分15秒
皆さん、こんにちは。
私の経験では、音の出ている時は8ビットでも充分ですが、曲間の無音のところで変な雑音がしました。
12ビットでは16ビットとの違いは分かりませんでした。したがって、現行のCD規格で充分だと思いました。
以上は15年位前の実験です。光で受けて、左右に分け、ビットを指定して減少して、信号フォーマットにし、光で送る装置を作りました。
いまでは、PCがありますので、このような実験は簡単にできるのではないでしょうか。確か、1ビットでも雑音の中から音楽が聞こえたと思います。
ただ、録音したり編集したりする所ではレベルを失敗したら大変でしょうから24ビット必要なのかなあと思います。
Re: 必要bit数 投稿者:志賀 投稿日:2011年 3月30日(水)08時35分7秒
MKさん
お久しぶりです。MKさんの以前の投稿よく憶えています。
> 確か、1ビットでも雑音の中から音楽が聞こえたと思います。
これは面白いですね。1bit でも音楽が聴こえるということは、単純にはDSDのビットレートを44.1kHz まで下げたときの音ともいえるんでしょうね
そうだとしたら、DSDのビットレートの臨界周波数を調べるというのもやってみる価値がありそうです。PCM の臨界ビットレート(fs×ビット数)と比較するのも面白いですね。
皆さん、
ということで、腕のある人はやってみませんか?
注:DSD http://ja.wikipedia.org/wiki/Direct_Stream_Digital
> ただ、録音したり編集したりする所ではレベルを失敗したら大変でしょうから24ビット必要なのかなあと思います。
おっしゃる通りです。これは、CDやSACDなどの再生専用のデジタルメディアとは分けて考える必要があります。この辺りのことを混同しておられる人もあるようです。
Re: 必要bit数 投稿者:OM 投稿日:2011年 3月30日(水)21時38分52秒
MKさん
自分で実験してから、志賀さんにMKさんの実験結果を指摘して頂きました。結果は、ほぼ一致しておりました。
通常の科学では、同じ条件で同じ結果が出た場合に、「再現性が認められた」として、結果の妥当性を評価します。
しかし、音楽など感性に関することだと、どうしても先入観に囚われてしまいます。自分が耳が良いと思い込みたい人は「16bitは軽々聞こえるはずやから、16bitの方が音が良い」と結論しがちですし、「信用できる人の結果やから、12bitまでのはず」と思い込んでしまった人は、13bitまで聞こえていても12bitと結論しがちです。
今回は、独立した結果で結論が一致したのですから、「再現性が認められた」として良いかなと思います。
>確か、1ビットでも雑音の中から音楽が聞こえたと思います。
富士通のFM−8で、A/Dコンバーターから音楽を入力して、それを1bit化し、リレーをオンオフするお遊びが有りました。1bitの音楽信号どころか、リレーが接触するときの音ですら、元の音楽がわかるレベルでした。勿論、雑音だらけです(笑)。
>ただ、録音したり編集したりする所ではレベルを失敗したら大変でしょうから24ビット必要なのかなあと思います。
録音時は、再生よりも広いダイナミックレンジが必要だと思います。
大学に入る頃、周囲に「バンドやりたい」って人が溢れます。「ギターやりたい!」とか「ボーカルやりたい!」って人は多いのですが、「ミキサーやりたい!」って人は希です。「コンソール扱えるんやから、やらんかい!」と何度もミキサーをやらされてます。
アマチュアバンドのライブだと、リハーサルの時の最適音量より-10dbぐらいボリュームを絞ります。当時、アマチュアバンドが録音するのは、都合でライブを聴けなかった人に後で聞かせるためでしたので、カセットテープが大半でした。
+6dbでも相当に歪みが目立ちますので、余裕を見て-10dbぐらいに設定してました。
それだけ余裕をみても、ライブでノってしまうと音量がオーバーするので、(観客が気付かないようにじわじわと)ボリュームを絞ることが有りました。
しかし、「こいつら根性無いわ」って連中だと、リハーサルよりも-10dbぐらい音量が下がります。都合、30〜40dbは余裕が欲しいと思います。
Re: 必要bit数 投稿者:OM 投稿日:2011年 3月31日(木)15時35分21秒 志賀さん
>DSDのビットレートの臨界周波数を調べるというのもやってみる価値がありそうです。PCM の臨界ビットレート(fs×ビット数)と比較するのも面白いですね。
面白そうですね。
>腕のある人はやってみませんか?
回路設計が、やっかいですね。
デジタル側は、ちょっとやっかいで済むレベルなんですが、アナログ側が、相当にやっかいです。
上は2.8MHzなので、12db/Octのフィルターで痕跡ほどしか残りません。しかし、電磁波で飛んでしまうので、入力と出力をシールドしないとなりません。仮に、下を100kHzまで実験するとした場合には、12db/Octでは、相当量のデジタルノイズが残ります。
36〜48db/Octのフィルターで、入出力間のシールドをするならば、ちょっとした手間とお金がかかります(何より、ノウハウが必要)。
金額的には2〜3万円程度で言うほど大きく無いですが、得られるのが「実験できました」なので、元々ノウハウを持っている方でないと実行は難しいかと思います。
Re: 必要bit数 投稿者:志賀 投稿日:2011年 4月 3日(日)11時36分39秒
OMさん
> 仮に、下を100kHzまで実験するとした場合には、12db/Octでは、相当量のデジタルノイズが残ります。
それも含めての臨界ビットレートを知ることもそれなりの意味はあると思います。
> 金額的には2〜3万円程度で言うほど大きく無いですが、得られるのが「実験できました」なので、元々ノウハウを持っている方でないと実行は難しいかと思います。
そうかもしれませんね。