目次へ戻る

ハイパーソニック効果

この問題は「オーディオの科学」雑学帳"高音再生はどこまで必要か?"

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/Audio.htm

にも取り上げているが、かなり専門的な話であり、素人が論じても簡単に結論が出る話ではなさそうである。また学会レベルでも毀誉褒貶(きよほうへん)がはげしく、定説とは言い難い。今回の議論もすでに「オーディオの科学」で述べた以上の結論がえららたわけではないが、いろいろ貴重な情報も見られるので再録しておく。なお、原論文に対する私のコメントはここに書いておきました

なお、超音波の知覚については後半の部分で論じている。


高音はどこまで必要か? 投稿者:WT 投稿日:2010年12月30日(木)23時26分28秒 OMさん

高域をどこまで必要か、という議論はこのサイトの過去ログ(SACDって何?)の後半で話題になりました。それも含めて個人的な意見を述べたいと思います。

まず、スピーカーの再生能力ですが、例えば「再生周波数 35Hz〜20kHz」とカタログに書いてあったとしても、20kHz近辺のレスポンスがどの程度あるのかはわかりません。1kHzと比べて10dB以上落ちている可能性もあります。逆に20kHzまでフラットなレスポンスをもっているスピーカーの場合、20kHz以上がスッパリ切り落とされたような特性になるわけでもないはずなので、自然とカタログデータの高域限界は25kHzとか30kHzになってしまうと思います。それを「不要な高域まで再生するサギまがいの・・」とまでは言えないのではないかと思います。

こんなことはOMさんやこのサイトを読まれている方からみたら当たり前すぎて馬鹿馬鹿しくなるでしょうが、たまたまOMさんの書き込みを見たあまりハードに詳しくない人は言葉の表面のみの理解になる可能性があります。

次に大橋力教授の提唱している「ハイパーソニック理論」があります。

http://www.brh.co.jp/seimeishi/journal/49/talk_index.html

これはご存知かもしれませんが、20kHz以上を人は感じ取っていることを脳波を通じて証明しています。人は無意識のうちに可聴帯域外を感じ取っているらしいのです。

この大橋教授への反証としてNHKのブラインドテストが上げられることがありますが、このNHKの実験では脳波は測定しておらず、20kHz以上が聞こえたか聞こえないかというテストですので本当の意味でのハイパーソニック理論への反証にはなっていません。
 
私の知る限りではハイパーソニック理論への確かな反証というのは見たことがありません。しかし一方でこの理論を基に「高忠実度再生には可聴帯域外も絶対必要」という学問的な認識がされているとも思えません。総合的には「可聴帯域外まで再生する意味もありそうだ」、というところが今のところの大方の認識ではないでしょうか。ですから可聴帯域外まで再生させようとするスピーカーの販売はサギである、というのはチト言い過ぎではないか、と私は思っています。

Re: 高音はどこまで必要か? 投稿者:KZM 投稿日:2010年12月31日(金)09時07分8秒 WTさん

>次に大橋力教授の提唱している「ハイパーソニック理論」があります。・・・

世間の認識ではハイパーソニック効果が企業の宣伝などであたかも学会で認められているようなことになっているようです。実際は、アレは大橋一派が自説を展開しているだけで、それ以外の有識者には、はっきりいってまったく認められていません。

ではなんではっきり否定する人がいないかというと、もはやトンデモ系の話なので、まともに取り扱っても学会で相手にされないからです。類似する事例としては、京大のアキシオン探索があります。企業にとってはハイパーソニック効果があったほうが売り文句が増えるので、わざわざ否定するような実験はしません。

「脳波を測った」というといかにも科学的に証明したように見えますが、これは間違いです。実際に脳波を測っている研究者に聞いたところ、全脳で有意水準5%で検定したとして、聴覚野、視覚野…などと複数の分野で「すべて出ない」確率は簡単に50%を割るため、どこかしらで反応が見られてもおかしくないことになります。

ハイパーソニック効果はそもそも聴覚野以外で反応が見られたという報告であり、その時点でNGです。そんなことはいくらでもあり得るからです。超音波を聴覚で検出した研究はいくつかありますが、知る限りでは本当に超音波を検出したと言えるかはかなり疑問です。

また、超音波が聞こえる人がいるかどうかと、アルファ波が出るかどうかは別の話です。NHK技研の実験は、聞こえるかどうかの実験であり、ハイパーソニック効果とは直接は関係ありません。実際にNHK技研に行って質問したところ、「聞こえないことを完全には否定できない」という結論であり、それ以上の話ではないそうです。

幼稚園児くらいの年齢なら30kHzが聞こえる人はざらにいますから、人間が聞こえる帯域を記録するという意味では50kHzくらいまでは意味があります。しかし、それと超音波を音楽媒体に記録する必要があるかはまた別の話です。

Re: 高音はどこまで必要か? 投稿者:AS 投稿日:2010年12月31日(金)11時51分19秒

ハイパーソニックでアルファ波が誘起されるとの宣伝文句が使われていますね。でも、16kHz以上の帯域がカットされているFM放送での音楽を聴いても、あるいは、20kHz以上は再生できないスピーカーで聴いても、心地よければアルファ波は出るでしょう。

逆に、被験者Aにとって聴いてもアルファ波が出ない音楽を、その音楽とは無関係な音源のハイパーソニックを追加して聴かせたらどうなるのでしょう?

その場合に、もし、ハイパーソニック効果なるもので被験者Aにアルファ波が検出されるとしたら、それは「音楽の効果」と言えるのかなと思います。

Re 高音はどこまで必要か? 投稿者:WT 投稿日:2010年12月31日(金)18時32分7秒 KZMさん

私は学者ではありませんからハイパーソニック理論の学問的価値について正しい評価を下すことは出来ません。一方でオーディオマニアとしてカタログ等についてはかなり目を通しているつもりです。KZMさんは「ハイパーソニック効果が企業の宣伝などであたかも学会で認められているような・・・」と仰ってますが、スーパーツイーターやSACDプレーヤーの宣伝文句にハイパーソニック理論の文字を見つけたことはありません。その他オーディオメーカーが超高域再生の必要性を謳うのにハイパーソニック理論を売り文句にした例を私は知りません。知らないだけかもしれませんが、具体例はおそらくほとんどないでしょう。この意味でKZMさんの「ハイパー・・・は企業が宣伝文句として使っている」という理屈は成立しないと考えます。

ハイパーソニック理論の文献は以前は
http://www.jmf.or.jp/japanese/houkokusho/kensaku/2006/pdf/17sentan_11.pdf
ここにありましたが、残念ながら今はリンク切れになってます。ホントはKZMさんやASさんに読んでいただきたかったのですが。内容については詳しくは覚えていません。なにせ100ページを超える論文でしたし、私では読みこなせない所も多々ありましたので。
しかし音楽信号に超高域がある場合とない場合で、α波の出かたが有意に違い、再現性も充分にある、といった内容であったと記憶しています。

>ハイパーソニック効果はそもそも聴覚野以外で反応が見られたという報告であり・・・

大橋教授もヘッドフォンで可聴帯域外までの音を聞かせても反応がないからヒトは聴覚で超音波を検出しているのではないと言ってますね。体表面で感知しているのではと推測しています。そういう意味では矛盾はないと思います。

>超音波が聞こえる人がいるかどうかと、アルファ波が出るかどうかは別の話です。NHK技研の実験は、聞こえるかどうかの実験であり、ハイパーソニック効果とは直接は関係ありません。

その点では私はKZMさんとまったく同じ認識です。

Re 高音はどこまで必要か? 投稿者:OM 投稿日:2010年12月31日(金)22時50分29秒

>次に大橋力教授の提唱している「ハイパーソニック理論」があります。リンク先ですが、眉唾ものですね。
>人間の耳では聴こえないはずの20kHzを超える高周波成分を、幅広い帯域で、グッと持ち上げると、なぜだか何とも妖しく、いい感じの音になる。我々の外道な響きの音楽には、もってこいというわけです(笑)。


LPの時代に、20kHzを越える高周波成分を再生できる装置を持っていた人は、極々限られた数だったはずです。さらに、RIAA回路は20kHzを越えると6db/octで落ちて行きます。

>それ以外の有識者には、はっきりいってまったく認められていません。

音響学会を見に行きましたが、完全に無視されている様子ですね。

Re 高音はどこまで必要か? 投稿者:WT 投稿日:2011年 1月 2日(日)15時12分5秒 OMさん

>LPの時代に、20kHzを越える高周波成分を再生できる装置を持っていた人は、極々限られた数だったはずです

この話は、録音現場(レコーディングスタジオ)での話だったと記憶しています。ですからLPを再生しての話ではないですね。

>音響学会を見に行きましたが、完全に無視されている様子ですね

そうした話は、「高音はどこまで必要か」というこの話題とはあまり関係ないように思います。ハイパーソニック理論そのものについて「こういう点がおかしい」「理論的矛盾がある」というのならわかりますが。

「つまはじきにされているあいつの話なんか、信用できるわけないだろう」と言ったような内容では科学を標榜するこのサイトにふさわしい発言ではないと感じます。

大きな会社ではよく見かけますが、立派な仕事をしていても四面楚歌になっている人もいますし、たいした仕事もしていないのに注目を集めている人もいます。勿論たいした仕事をしていなくて四面楚歌になっている人もいます。要するに仕事内容と、注目されるか否かはあんまり関係ないだろう、ということです。

ハイパーソニック理論 投稿者:TMO 投稿日:2011年 1月 5日(水)23時47分11秒  

先のWTさんの書き込みのリンク先の記事を読んだだけですが、面白そうですね。ただ、元の論文読んでみないと何ともいえませんが、いくつか気になる点はありますね。

1: どのような条件で、脳波を測定しているのか
脳皮質電位は心電図と比較して圧倒的に小さな電位ですから、きちんとノイズを拾わないように、シールドされた部屋で測定されているのかどうか。つまり評価に値する脳波が測定できているのかということです。また、α波は後頭葉主体で、基本的にはどんな人でも(大脳皮質が広範に障害されている人など以外)まず出現する基本律動波で、閉眼時には出現頻度も振幅も増大します。そのためこの手の実験をするなら、被験者にずっと開眼、もしくはずっと閉眼の指示を与えて、検査条件を揃えて検討する必要がありそうということです。

2: ブラインドでテストしているのか?
前述のように、閉眼でα波は増大します。人間は集中して聞こうとすると目を閉じて意識を集中することが多いです。あらかじめ、高周波が混じっているという情報が与えられると、それを聞き取ろうとして閉眼して試聴することがありえます。その結果α波が増大しただけという、いわば当たり前のことを示しただけになっていないかどうかということです。

3: Nはいくつか?
これは統計学的に有意差が出ているようなので、ある程度の数はあるとおもいますが、Nによって信頼度は変わってきますからね。

ハイパーソニック理論 投稿者:WT 投稿日:2011年 1月 6日(木)10時55分10秒 TMOさん

>1: どのような条件で、脳波を測定しているのか
>2: ブラインドでテストしているのか?
>3: Nはいくつか?

仰る通りです。真に遺憾ですが、論文がリンク切れで読めない状況なので私がそれらの疑問にお答えする事が出来ません。アイマイな記憶でお答えしても不確実な根拠を元に議論する事になりますから、やめておきます。

私自身もこのレポートに疑問点が一つありまして、可聴帯域外まで再生することによりα波が認められるならいったい何十kHzぐらいからそれが認められるのか、という点が実験されてないことです。私がそんな現象を発見したら、真っ先にそれを調べようとするでしょうが、そこが研究されてない。何故か?

ではまったくのウソ出鱈目の羅列なのか、というと相当緻密に検証している印象もある。し、きちんとした反証データがある、という話も聞かない。空飛ぶ円盤の写真のようなトンデモ話だってちゃんと反証がありますね。だからトンデモ理論だから誰も相手にしないのだ、という理屈は説得力に欠けます。「宇宙の未知エネルギーを取り込む奇跡の石の発見」ぐらいのトンデモだったら誰も相手にしないのも当然とは思いますが。

大橋教授本人の書いたものではありませんし、やや大雑把な所もあるレポートですが、下記のサイトにも追試実験の結果が載っています。どれだけ参考になるかはわかりませんが。

http://www.jmf.or.jp/japanese/houkokusho/kensaku/pdf/2006/17sentan_11.pdf

Re: ハイパーソニック理論 投稿者:HD 投稿日:2011年 1月 7日(金)10時25分52秒 WTさん:

人は20KHz以上の超高域音による「ハイパーソニック効果」はイアフォンでは得られないので耳がセンサーではなく、体のどこかがセンサーであるように書かれたのがありますがどこか特定されていないですね。 最近補聴器などで見かける「骨伝導」でしょうか? それとも他の何かでしょうか?

ご紹介のサイトを拝見しました。
本文 67ページ 図4.4、3−2によれば、E(器楽アンサンブルー楽器不明、多分弦楽合奏や木管楽器を含むアンサンブル)、F(パイプオルガン)には20KHz以上の「音」は含まれない、他の文献でピアノの音にも20KHz以上は無いと読んだ記憶があります。
G(フルオーケストラ)は20KHz以上が50KHz近くまで伸びてますが、これは他の何かで読んだ記憶では、シンバルや小太鼓などのパーカッション(オーケストラ配置では通常最後列に居ます)の強奏が20KHz以上を出しているようです。 D(ガムランーHSACD録音)が大いに20KHz以上を出してますね。

それから、本文の81ページの図4.5, 3−1(音源からの距離と音の減衰量との関係)によりますと、音の周波数が高いほど減衰量が大きいです。

普通コンサートホールで音楽を聴く場合席によって20KHz以上の音が人に届く程度はどのようなものかデータはありますでしょうか?

Re: ハイパーソニック理論 投稿者:WT 投稿日:2011年 1月 7日(金)19時57分17秒 HDさん

>[ハイパーソニック効果」はイアフォンでは得られないので耳がセンサーではなく、体のどこかがセンサーであるように書かれたのがありますがどこか特定されていないですね

体表面を覆ってしまうと「ハイパー・・・」はなくなるそうです。
+
http://www.brh.co.jp/seimeishi/journal/49/talk_index.html

この「5. 聴こえない音を聴く脳を見る」の最後の方に書いてありますが、可聴帯域外の音は体表面で受容しているらしいです。私個人の勝手な想像ですが、体毛が関与しているのかなと。

>音源からの距離と音の減衰量との関係)によりますと、音の周波数が高いほど減衰量が大きいです。

空気の粘性の影響だと思うんですが、高い周波数になるほど距離が離れると減衰しますよね。私は数学が苦手なのでわかりませんが、どのくらいの周波数がどのくらいの距離はなれるとどのくらい減衰するかという数式みたいなものはあるのではないかと思います。

>普通コンサートホールで音楽を聴く場合席によって20KHz以上の音が人に届く程度はどのようなものかデータはありますでしょうか?

私の知る限りではないですね。

>(フルオーケストラ)は20KHz以上が50KHz近くまで伸びてますが、これは他の何かで読んだ記憶では、シンバルや小太鼓などのパーカッション(オーケストラ配置では通常最後列に居ます)の強奏が20KHz以上を出しているようです。

あるエンジニアの方からヴァイオリンとピアノの演奏の生データをお借りしたことがあります(24bit 176,4kHz)。サンケンのCO-100kという100kHzまで伸びたマイクで録音されたこのデータをFFTにかけてみたのが下の図です。字が小さいので横軸の周波数をあとから書き込んでありますが、これを見ると40kHzあたりまでかなりのレベルで出ています。ヴァイオリンという楽器はかなり高い周波数までスペクトルを持っているようですね。
 しかしこういうデータがあるから可聴帯域外まで再生が必要、というわけではないんですが。



Re: ハイパーソニック理論 投稿者:志賀 投稿日:2011年 1月 7日(金)22時47分28秒 TMOさん

ハイパーソニック効果が話題になっていますが、ご存じだと思いますが私のHPでも取り上げています

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/highlimit.htm#HPsonic

「音と文明」という本はこれです。

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?KEYWORD=%89%B9%82%C6%95%B6%96%BE

原論文は読んでいないですが、内容はこの本にかなり詳しく書いてあります。

少なくとも、原論文は閲読者付の学術誌に掲載されているようなので科学論文としてのルールは守られており、TMOさんの疑問点はクリアしていると思います。なお、最初は脳波の測定でしたが、その後MRIやPETなどの最新の脳科学研究の手法を取り入れているようです。

で、私の意見ですが、HPに書いたこと以上に特に付け加えることはないんですが、気になることは、この件についての肯定的な報告は、ほとんど同じグループか、関連のあるグループしか見あたらないということです。 見落としているだけかもしれないので、ご存じの方は教えて下さい。

また、音響学のテキストにも載っておらず、確立した現象とは言い難いようですね。


Re: ハイパーソニック理論 投稿者:志賀 投稿日:2011年 1月 7日(金)22時56分49秒 WTさん

>>音源からの距離と音の減衰量との関係)によりますと、音の周波数が高いほど減衰量が大きいです。
>
> 空気の粘性の影響だと思うんですが、高い周波数になるほど距離が離れると減衰しますよね。私は数学が苦手なのでわかりませんが、どのくらいの周波数がどのくらいの距離はなれるとどのくらい減衰するかという数式みたいなものはあるのではないかと思います。
>

この点についてのコメントです。ちょっと見にくいですがデータはここに出ています。

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/tempsounddecay.htm

ここで、「古典的機構による値」というのが空気の粘性から導かれる理論値で、実際にはこれからずれるのは、分子振動などミクロな機構に起因するようです。

> ・・・・これを見ると40kHzあたりまでかなりのレベルで出ています。ヴァイオリンという楽器はかなり高い周波数までスペクトルを持っているようですね


以前(2003年)ステレオしに同じソースから作ったCDとSACDのスペクトルを比較したデータが連載で掲載されたことがあります。手元にいくつかのコピーがありますが、マーラーの曲など、少々騒々しい曲では20kHz以上の成分にかなりの差が有りますね。恐らく、シンバルのような金属製の打楽器がソースでないかと想像しています。バイオリンも単独では、かなり高い周波数が出るようですが、絃楽合奏などではあまりCDとの差が無いようです。

Re: ハイパーソニック理論 投稿者:WT 投稿日:2011年 1月 7日(金)23時39分55秒
志賀さん

>ちょっと見にくいですがデータはここに出ています。

ご教示ありがとうございます。しかし当方の能力不足で、このグラフをどのように見たらいいのか良くわかりません。とにかく、空気の粘性により距離が離れるにしたがって高域が減衰することだけは確か、と理解しておきます。


>以前(2003年)ステレオしに同じソースから作ったCDとSACDのスペクトルを比較したデータが連載で掲載されたことがあります・・・

ただこうしたデータは、録音時に使われたマイクロフォンが明記されていないと判断が難しいと思います。20kHz以上まで伸びていないマイクを使うこともよくあるからです。

>音響学のテキストにも載っておらず、確立した現象とは言い難いようですね。

私もこの理論が多くの音響学者に認知されたものとは思っておりません。しかしだからといってまったくのウソ出鱈目なのかというとそんな事もないような印象を受けますね。

Re: ハイパーソニック理論 投稿者:志賀 投稿日:2011年 1月 8日(土)16時45分39秒 WTさん

>・・・このグラフをどのように見たらいいのか良くわかりません。とにかく、空気の粘性により距離が離れるにしたがって高域が減衰することだけは確か、と理解しておきます。

はい。そういう理解でいいと思います。確かに縦軸の単位は説明がないと分かりにくいですね。dB/m を単位とする吸収係数ということなので、これを aとすると、多分、x m 離れた位置での音圧が10^(-ax) になるということだと思います。

>>以前(2003年)ステレオしに同じソースから作ったCDとSACDのスペクトルを比較したデータが連載で掲載されたことがあります・・・
>
> ただこうしたデータは、録音時に使われたマイクロフォンが明記されていないと判断が難しいと思います。20kHz以上まで伸びていないマイクを使うこともよくあるからです。

もちろんそうですが、たくさんあるデータの一般的傾向としてそのように読み取れたということです。ついでに、参考のため、NHK の実験のデータを紹介しておきます。

http://www.nhk.or.jp/strl/publica/labnote/lab486.html

このページの Fig.5 にいくつかの例があります。この中で、Jazz の曲で20kHz 以上の成分が大きいのは、パーカッションやドラムセットのシンバルなどの金属楽器が発しているんではないかと想像しますがいかがでしょう?

>>音響学のテキストにも載っておらず、確立した現象とは言い難いようですね。
>
> 私もこの理論が多くの音響学者に認知されたものとは思っておりません。しかしだからといってまったくのウソ出鱈目なのかというとそんな事もないような印象を受けますね。

私も、実験事実そのものを疑っているわけではありません。問題はその解釈、特に音源との因果関係がどの程度確かかということがよく分からないということです。

Re: ハイパーソニック理論 投稿者:HD 投稿日:2011年 1月 9日(日)11時25分25秒 WTさん:

ご紹介の対談を見てみました。

「そもそも生物学者大橋力がハイパーソニック・エフェクトの探究を始めたきっかけは、もう一人の私である音楽家山城祥二として主宰している芸能山城組の活動にありました。・・・

 1970年代の半ば頃に芸能山城組が初めてレコードを出すことになり、・・・「山城組の音楽は、音がオブジェとして面白い。だから面白い音を作りましょう」。言われてみると確かにそうだと思った。ミキサーさんにとってやりがいのある絶好の素材だったのです。

 ・・・面白いことがわかりました。人間の耳では聴こえないはずの20kHzを超える高周波成分を、幅広い帯域で、グッと持ち上げると、なぜだか何とも妖しく、いい感じの音になる。」

こういう(人工的な)事をやっていたのですね。 学術論文のデータを取る時にはこういうことはやってなかったでしょうね。

この対談の中で、チェンバロの音には超高域の倍音が多いのでピアノを弾くより良いという発言もあります。チェンバロはご存知のとおり、鳥の羽の軸で作った爪で弦を引っかく撥弦楽器です。思いついて、チェンバロでの和音の出だしのアタックのところ(0.3秒位)ー上の図、とそれ以降音が消えるまでのところー下の図 のスペクトルを見てみました。 CDからですから20KHz以上はカットされてますが8KHz位以上のスペクトルの(レベルの)様相がかなり違います。高域のレベルの高い音は楽器本来の持つ倍音なのか、弦を引っかいた時のなんらかの音なのか どう解釈されますか?



弦の振動 投稿者:志賀 投稿日:2011年 1月10日(月)09時27分12秒  
HDさん

> この対談の中で、チェンバロの音には超高域の倍音が多いのでピアノを弾くより良いという発言もあります。・・・・

> 高域のレベルの高い音は楽器本来の持つ倍音なのか、弦を引っかいた時のなんらかの音なのか どう解釈されますか?

それは、こういうことだと思います。下の図に示したように、撥音楽器の場合、弦に鋭い角度がつきますね。この場合、波形のスペクトル(フーリエ成分)は高い周波数成分を強く含みます。それに対し、ピアノのハンマーは円くしかもフェルト製なので弦に鋭い角度が生じず、高い振動成分は比較的弱いはずです。 別の例でいうと、ドラムを先のとがったバチで叩くと高い成分を多く含み、バスドラム用の先端がフェルト製のバチで叩くと高音成分は弱いと思います。

それから、振動の減衰率はいろいろな理由で、高い周波数の方が大きく、時間が経つと高周波成分から先に減衰します。 ドラムの例はリンク先にある、時間経過によるスペクトルの変化にも表れています。

http://shigaarch.web.fc2.com/6607PianoC0.html#drum



Re: ハイパーソニック理論 投稿者:WT 投稿日:2011年 1月10日(月)11時14分52秒 志賀さん

ご紹介のNHKのレポートを見させていただきました。せっかくのご紹介ですが、英語が読めないので、ネコに小判のような状態になってしまい、申し訳なく思います。ただ中の周波数スペクトルだけは読めましたので、いわゆる一般的傾向としてオーケストラ物は可聴帯域外の周波数成分は少ないということはわかりました。ただし、一般的傾向であって、私の手持ちのソフトではもっと倍音成分が多いもの「も」あります。あくまでも「も」であって、当然このレポートと同様のものもあります。

このスペクトルに関する私の解釈は志賀さんの解釈とは少し違います。
というのも、どうもオフマイクで録音されたものほど可聴帯域外のレベルが低いように思えるからです。オンマイクで録音されたヴァイオリンは比較的高い周波数までスペクトルを観測することが出来ますが、同じくヴァイオリンも演奏に加わっているオーケストラのものはあまり高い周波数までスペクトルがありません。ジャズはクラシックに比べてオンマイクで収録されますから、これが周波数スペクトルに影響した可能性があるのではないでしょうか。

勿論ピアノなどはオンマイクでもあまり高い周波数まで倍音は伸びていませんし、パーカッションのような打楽器系に倍音のレベルが高いものが多いというのは楽器の性質として当然とは思います。

要するにこのレポートは録音されたメディアの周波数スペクトルを見たのであって、楽器そのものの周波数スペクトルを見たものではない、ということだと思います。

Re: 弦の振動 投稿者:HD 投稿日:2011年 1月10日(月)13時44分19秒  
WTさん:

>チェンバロの高い倍音成分の発現原理に関しては志賀さんの解説どおりと思いますが、これはチェンバロと言う楽器そのものの原理ですから私は楽器本来のもつ音であると理解いたします。他の方法で弦から音を出したらチェンバロとはいえなくなってしまうからです。

はい、おっしゃる通りです。 言いたかったのは、チェンバロといえども発音から超音波域の倍音が持続する時間は長くはないと言うことです。勿論演奏される音型に従って繰り返し出ますが。

しつこいようですが、対談の中に、「ピアノは、フェルトを使って倍音の発生を抑えてあるので、鍵盤を一度押した後は、もう音に変化は生じない。音楽を感じる脳は変化を感じる脳だといえるので すが、そういう性質をもった音楽脳を刺激するには、音変化の時間密度を上げればよい。ピアノでその変化を作り出すには、速く弾くしかない。だからリスト以来、名ピアニストの条件はまず速く弾けることになるわけです。」というクダリがありますが、トンデモ発言ですね。 早いパッセージを作曲家の想定する速さで弾けなければプロのピアニストにはなれないでしょうけど。。。

データを添付します。すべてバッハの曲で1985年頃のディジタル録音、DG盤のCDからで、上からバイオリンソロ、チェロソロ、ピアノソロです。
チェロがちょっと意外に感じました。




Re: ハイパーソニック理論 投稿者:志賀 投稿日:2011年 1月10日(月)22時42分35秒 WTさん

>  ご紹介のNHKのレポートを見させていただきました。せっかくのご紹介ですが、英語が読めないので、・・・

一応ここに簡単な訳が付けてあります。

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/NHKreport486.html

参考にして下さい。

>このスペクトルに関する私の解釈は志賀さんの解釈とは少し違います。 というのも、どうもオフマイクで録音されたものほど可聴帯域外のレベルが低いように思えるからです。・・・・

オンマイクとはマイクを楽器に近づけて収録することですね?

それなら、少なくともNHKのデータはそのようなことは書いてないですよ。通常の距離で測定しているんではないでしょうか? もちろん、フルオーケストラの場合は音源が広いのでジャズバンドよりマイクと音源の距離は遠いとは思いますが、バイオリンソロの場合はそれなりにマイクの位置は近いのではないでしょうか? いずれにせよ、はっきり何mの位置にマイクを置いたとは書いていないので、推測しても始まりませんが、それより、はっきりしていることは、例えばジャズのピアノトリオだと楽器が3つだけで、そのうちの一つ、仮にドラムズのシンバルが高域成分の原因だとすると、それがフルオーケストラで1つだけ使われている場合に比べ相対的なレベルが高くなることが原因のように思います。まあこれも推測の域を出ていないかもしれないので議論しても始まりませんね。


それより、ハイーパーソニック効果の音源として使われているガムラン音楽のスペクトルが見てみたいですね。

Re: ハイパーソニック理論 投稿者:WT 投稿日:2011年 1月11日(火)14時48分59秒 志賀さん

訳をつけてくださり、ありがとうございます。これは、例の20kHz以上が聞き分けられるかどうかの実験のレポートですね。

>オンマイクとはマイクを楽器に近づけて収録することですね?
それなら、少なくともNHKのデータはそのようなことは書いてないですよ。通常の距離で測定しているんではないでしょうか? もちろん、フルオーケストラの場合は音源が広いので・・

ちょっと私が勘違いをしておりました。NHKのこの実験も、雑誌Stereoに載っていた楽曲の周波数スペクトルと同様、楽曲別の周波数スペクトルの統計結果だと勝手に思い込んでおりました。

ただマイクをどのようにアレンジして録音するか、というのは一般的傾向としてジャズが近め、クラシックは遠め(特にオーケストラもの)となるので可聴帯域外まで周波数特性の伸びたマイクを使えばオーケストラものは可聴帯域外のレベルはジャズよりも低くなって当然だろう、と思ったわけです。

しかし仰るようにきちんと学術的に議論するには「どのようなマイクをどの楽器からどの程度距離を置いたときに」というデータは必要ですね。

先に提示した大橋教授の対談のサイトからですが、ガムランの周波数スペクトルをお示ししておきます。パーカッション系ですから可聴帯域外のレベルも高いですが、チェンバロと同様その持続時間は短いようですね。


HD さん

>チェンバロといえども発音から超音波域の倍音が持続する時間は長くはないと言うことです。

はい、仰る通りと思います。また、

OMさん

ちょっと勘違いをされているようなんですが、私はハイパーソニック理論を持って20kHz以上の再生が必要である、と主張しているわけではありません。それは2010年12月30日(木)23時26分28秒 の私の書き込みを読み返していただければわかるはずです。

さらに言うならば私はハイパーソニック理論の信者ではありません。ただこうした実験結果がある以上、可能性は否定しきれないのではないか。だったら可聴帯域外再生の必要論不必要論に関してはどちらかに断定するのではなく、ペンディングぐらいにしておいたほうがよいのでは、と思うわけです。

内容的にはとても個人のレベルで追試ができるものではありませんから、否定しようが肯定しようがそれぞれの感想でいいと思います。ただどちらにせよ自分は何を持って否定なのか、何を持って肯定なのか、はきちんと自問自答するべきで、そうしないと宗教的に信じるか、逆に宗教的に信じないか、になってしまうと思います。

Re: ハイパーソニック理論 投稿者:OM 投稿日:2011年 1月11日(火)18時55分52秒  

原報文を見つけました。
http://www.brainmusic.org/EducationalActivitiesFolder/Oohashi_HFCs2000.pdf

Re: ハイパーソニック理論 投稿者:志賀 投稿日:2011年 1月11日(火)22時44分26秒 WTさん

>先に提示した大橋教授の対談のサイトからですが、ガムランの周波数スペクトルをお示ししておきます。パーカッション系ですから可聴帯域外のレベルも高いですが、チェンバロと同様その持続時間は短いようですね。

早速データを見つけてもらってありがとうございます。確かに超高音成分が強いですね。これを、大音響で聴いたら確かに脳に何らかの作用を及ぼすかもしれませんね。


ネットで調べて、ガムラン音楽なるもののさわりを聴いてみましたが、私にとっては、気持ちよいどころか、騒々しいだけという感じです。

Re: ハイパーソニック理論 投稿者:志賀 投稿日:2011年 1月11日(火)22時52分55秒 OMさん

>・・・・・20kHz以上をカットした音楽を聴いている私たちは、脳への血流が少ないアホなんですか?

まあ、それほどムキになって否定するほどのことではないのと違いますか? WTさんもそれほど熱心にサポートしておられるわけではなさそうですし。確かに、これを否定するのは悪魔の証明的要素はありますが、一応、ちゃんとした機関で測定した結果でもあるので実験結果を否定するのは難しいですね。解釈については、私も、少々懐疑的ですが、それ以上のことは正直分からないですね。音響学会で専門家から無視されているというのが本当であれば、そういうことだと思います。

一方、


http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/NHKreport486.html

このレポートのブラインドテストでは、単純に瞬時切り替えで差を調べているのでなく、被験者が納得できるまで、20kHz 以上をカットした音と含んだ音を比べて判断し、それでも有意な差が出てこないということですから、私にとってはオーディオ機器の選択に、20kHz 以上の音の再生を気にかけることはないということを示すのに充分なデータです。

Re: ハイパーソニック理論 投稿者:OM 投稿日:2011年 1月12日(水)17時02分45秒 志賀さん

>ガムラン音楽なるもののさわりを聴いてみましたが、私にとっては、気持ちよいどころか、騒々しいだけという感じです。

現地で聴いたことが有ります。かなり、騒々しい音楽で、「ゆっくり」叩いているとは、とても思えませんでした。まあ、2〜3曲しか聴いてませんので、ゆっくりとした曲も有るかも知れないです。

NSさん
>さて、OM様はさまざまなCDのフォーマット以上のメディアに親しまれていますでしょうか。

SACDプレーヤーを持っておりますが、現在倉庫です。「科学的にこちらの方が音が良いから」等の先入観を嫌いますので、「SACDとDVDAudioなる物が出た」の情報だけを持って買い物に出かけました。その際に試聴して、残念ながらDVDAudioはSACDより音が悪いと聞こえましたので、SACDプレーヤーを購入しました。勿論、店で試聴した範囲ですので、私の購入したDVDAudio機材より良い音の機材が有った可能性も有ります。

さらに残念だったのは、CDを試聴対象に加えておりませんでした。もしかしたら、高価なSACDではなく、安価なCDプレーヤーを購入していた可能性も有ります。で、SACDプレーヤーが倉庫に行った理由ですが、SACD面とCD面で違いが感じられないからです。1曲だけは判別が付くのですが、残りは、違いを感じることができません。

1曲だけですとマスタリングの違いが否定できませんし、持っている音楽ソースでその曲を聴く率も低いので、倉庫に入れてしまいました。

>CDダウンコンバートしたディスクとDVD-Audioに焼いたディスク

これですと、機材が変わる、あるいは、板が変わるので、「さあ、今から良い音の方を聴くぞ」となって、正確な結果が得られません。是非、下のビットを飛ばして実験して見て下さい。

CDでの方法と結果です。Audacity(音楽用ソフトの大半で同じことができると思います。)をインストールします。
曲をロードします。
条件を揃えるため、何も変更しない曲も書き出します(Title.aiff)。
-6db増幅して、書き出します(Title-6.aiff)。
さらに、-6db増幅して、書き出します(Title-12.aiff)。
同様に、-18, -24を作成します。
Title-6.aiffをロードして、6db増幅してから、書き出します(Title-6+6.aiff)。
Title-12.aiffをロードして、12db増幅してから、書き出します(Title-12+12.aiff)。
同様に、-18+18, -24+24を作成します。
Title.aiff, Title-6+6.aiff, Title-12+12.aiff, Title-18+18, Title-24+24をCD-Rに焼きます。
6db落とした時点で、最下位のbitの情報が飛びますので、擬似的に15bitのCDとなります。
触っていない元の曲と合わせて、16bit, 15bit, 14bit, 13bit, 12bitの音楽が録音されていることになります。
目をつぶって、ランダムプレイボタンを押します。
どの音かを決めてから、目を開けてプレーヤーの表示を見ます。

それほど大きな音で聴く方では有りませんが、私の通常のボリュームだと、12bitは最初から判別が可能で、その後も100%判別可能でした。
13bitは、初期は判別できませんでしたが、段々判別できるようになりました。
同じ曲ばかりでの結果ですので、常にわかるとは言い難いですが、13bitでは足りないと思われます。
14bit以上は、賽子と同じ確率で当たるだけでした。
私の場合で、14bitで十分だと思われます。

>二つは、CDやDATのフォーマットの場合、エフェクト処理をする時、すぐに飽和をし、掛けにくいから。

私も、録音時は、ハイビット・ハイサンプリングの方が良いと思いますよ。工学系だと有効数値ってのが有って、2桁以上の数字に意味が無い場合に2桁以上書くと信用を失います。

しかし、途中で一々2桁で切っていたら、誤差が降り積もって、(特に行列が入る場合)最後が変な結果になります。そこで、途中の計算は、少なくとも3桁、今ならPCが有るので8〜15桁で行います。最後の最後で、不要な数字を削ります。

同様に、飽和しなくても、エフェクトをかける度に誤差が降り積もると思われます。例えば、1つの楽器の高音だけ24dbほど抑えて、最終的に高音を24db持ち上げるとすると、16bitで処理をしていると12bit分しか情報が残ってないので、判別可能なレベルで音が劣化します。24bitで処理をしていれば、20bit分の情報が残っているので、(少なくとも私には)判別不可能な劣化と言えます。

Re: ハイパーソニック理論 投稿者:志賀 投稿日:2011年 1月12日(水)22時36分1秒 TKさん
TK さん

私がこの理論を擁護する義理はないのですが、公平のため一言

> http://en.wikipedia.org/wiki/Hypersonic_effect
> によりますと、他の団体(NHK ほか複数)では再現できていないそうです。

NHKの報告(リンク先文献 5)は私のHPの中で紹介しているものです。

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/NHKreport486.html

この報告は、音質の変化をブラインドで(といっても被験者が納得できるまで聴いて)差が出てこないとというものです。ところが、ハイパーソニック理論では、音を聴いてもわからず、しばらく聴いていると、脳波(α波)や脳血流に変化が見られるということのようです、ということで、否定したことにはならないといっています。文献4もまだ詳しく読んでないですが、やはり音質変化についての報告のようです。

> "System non-linearities (...) are known to produce lower-frequency intermodulation products ..."
> は、この掲示板でも話がでていましたね。

はい。憶えていますが、これも超音波が非線形効果により可聴音を生じているのが原因だろうといっているのですが、それなら音質変化で分かるはずで反論になっていないというわけです。

ということで、この説はなかなか手強いですよ。


Re: ハイパーソニック理論 投稿者:RS 投稿日:2011年 1月12日(水)22時50分8秒

>オーディオ機器の選択に、20kHz 以上の音の再生を気にかけることはないということを示すのに充分なデータです。

少なくとも実用的な観点から、高いお金を掛けて超音波を再生できても意味が無いように私も思います。

Re: ハイパーソニック理論 投稿者:WT 投稿日:2011年 1月16日(日)22時33分45秒 TMOさん
OMさん

そこでも議題であった「高音はどこまで必要か」という事なんですが、

「ヒトの聴覚器官における可聴帯域は従来の説と同様、おおよそ20Hz〜20kHzである。しかし可聴帯域外の超音波もヒトは知覚できるという説「ハイパーソニック理論」がある。ヒトの体のどこが受容体となって可聴帯域外の音を知覚しているのかが不明などの疑問点もあるが、まったく無視できる説とも言い切れない。またスピーカーが20kHzまで充分に低歪で再生するにはさらにその上まで再生できる能力は必要であることから、22kHzから25kHzあたりまでは再生できる事が望ましい」

 といったあたりになると思うのですが皆様いかがでしょうか?志賀さんがお書きになっていることとほぼ同じような感じですね。勿論趣味としてのオーディオという視点に立てば再生高域限界を15kHzにしようが100kHzにしようが個人の勝手、という所はあるのですが。

Re: ハイパーソニック理論 投稿者:RS 投稿日:2011年 1月17日(月)00時01分45秒 WTさん

> 可聴帯域外の超音波もヒトは知覚できるという説「ハイパーソニック理論」がある。<中略>まったく無視できる説とも言い切れない。

「超音波が生理学的な影響を与えるか」という意味ではそうですね。

このような場合、人が音楽を聴くときに耳からの音情報と耳以外から来る音情報のどちらにどの程度依存しているか、という評価が必要だろうと思います。耳以外からの音情報にほとんど依存していないならば、無視してよいということになるでしょう。

また、超音波をなんらかの器官で知覚してα波に変化が出、それが例えばリラックスをしている証拠だとして、そのことが「音楽を聴く」という多様な側面をもった事象にとって重要なことであるのか、ということにも疑問があります。

上記の意味で、「ハイパーソニック理論」を根拠に超音波を「音楽を聴く」という事象に単純に結びつけるのは私にはやや拙速に見えます。

> 外界からの情報を出来るだけ多く受容できたほうが生存競争に有利だ、とは言えると思うのですが。

これも必ずしもそうとは言えないですね。脳の処理能力には限界がありますので、人間の脳は「生存に重要な影響を与える(らしい)情報」以外はできるだけ無視して効率をあげようとする、つまり、「雑音は無視した方が生存に有利」という側面もあります。

Re: ハイパーソニック理論 投稿者:WT 投稿日:2011年 1月17日(月)10時30分28秒 RSさん

>人が音楽を聴くときに耳からの音情報と耳以外から来る音情報のどちらにどの程度依存しているか、という評価が必要だろうと思います。

成る程、そうですね。しかしそうした評価を研究した例を知らないので評価をする術がない、というところです。

>超音波をなんらかの器官で知覚してα波に変化が出〜中略〜「音楽を聴く」という多様な側面をもった事象にとって重要なことであるのか・・・

 音楽を聴く、ということにおいてどれほど超音波が重要な意味を持つのかはわかりません。しかし意味を持つのか持たないのか、という点において議論するならば同様に「高忠実度再生」という趣味も音楽を聴く意味としてあるのかどうかと問いただすとその存在意義は怪しくなります。結局の所、いかに生で聴いたときと同じ状況を再現できるか、といった点にハイファイオーディオの意義があるのだと考えます。
 
生の演奏に超音波成分があり、それが何らかの形でヒトに影響を与えているとするならば、同様に再生できることを目指すのがハイファイオーディオの目的とする所だと思うのですが。

Re: ハイパーソニック理論 投稿者:WT 投稿日:2011年 1月18日(火)11時42分0秒 RSさん

>現状での再生装置を見ると〜中略〜「部屋の音響特性」や「機器配置」、「スピーカの歪特性」などと比較して同程度の重さで考慮するべきことであるかという問題は・・・

プライオリティの問題ですね。私もそう思います。やはりまず基本としてスピーカーの可聴帯域内のF特、歪、そして部屋の特性などの問題の方が超音波云々よりも優先順位は高いのは当然と思います。

>どの要素を改善すると最も効果があるかといった評価は工学の問題だと思います。その観点からすると超音波を云々するのは得策ではないと思うのです。

仰るような観点から考えればその通りといえましょう。理論としてまだ広く認知、確立されたものとは言えず、それに振り回されるのは得策でないことは確かです。それ以前にやれることはたくさんあるだろう、と。しかし可能性としてありそうなものであるならば、そうした点も「心の片隅においておく」ぐらいの考慮はしておいたほうがベターではないか、と思うのです。このあたりはオーディオに対する価値観と工学的な要素とがオーバーラップしますね。

志賀さん

>空気伝導でも超音波を検知できる可能性があるといいましたが、これは誤解を招くかもしれないので、「可能性を排除できない」といった表現にしておきます。

私のハイパーソニック理論に対するスタンスも「可能性を排除できない」というところです。100kHzまで再生すべき、とは思ってません。しかし100kHzまで再生できたとしても、それはそれでいいじゃないか、というものです。このあたりは科学的というよりも価値観としての問題になるでしょうね。

Re: ハイパーソニック理論
投稿者:RS 投稿日:2011年 1月18日(火)23時20分28秒 WTさん

> 「心の片隅においておく」ぐらいの考慮はしておいたほうが ベターではないか、と思うのです。

そうですね。

Re: ハイパーソニック理論 投稿者:RS 投稿日:2011年 1月17日(月)20時22分44秒 WTさん

> いかに生で聴いたときと同じ状況を再現できるか、といった点にハイファイオーディオの意義があるのだと考えます。

仰るとおりと思います。その観点から超音波の問題も今後もっと解明する意味はある問題と思います。

ただ、現状での再生装置を見ると、「生で聴いたときと同じ状況を再現する」要素としては、例えば、2つのスピーカからリスニングルームに音を放射して耳で聴取するという条件の場合、「超音波」という要素が、可聴域における「部屋の音響特性」や「機器配置」、「スピーカの歪特性」などと比較して同程度の重さで考慮するべきことであるかという問題はあるのではないかと思います。

> 「高忠実度再生」という趣味も音楽を聴く意味としてあるのかどうかと問いただすとその存在意義は怪しくなります。

趣味は、個人の価値観の問題でしょうね。そして価値観として「音楽を聴くのに高忠実度再生が必要である」を設定した場合に、どの要素を改善すると最も効果があるかといった評価は工学の問題だと思います。その観点からすると超音波を云々するのは得策ではないと思うのです。

超音波の問題は物理学的/生理学的に面白い問題とは思いますので先の投稿のような計算をしてみたりした訳ですが。

この辺りでハイパーソニック効果と超高音再生の必要性の有無についての議論はひとまず終わりとします。 

最後に、原論文である

http://www.brainmusic.org/EducationalActivitiesFolder/Oohashi_HFCs2000.pdf

を読んでみて気づいたことを挙げておく。

といったところである。ただし、これは、その後の進展を全て調べたわけではないので、すでに解決した問題かもしれない。ご存じの方があればご指摘願います。

以下は、人間が超音波を感じることが出来るかどうかという、骨伝導も含めた聴覚の生理学に関する議論となります。



Re: ハイパーソニック理論 投稿者:TT 投稿日:2011年 1月 8日(土)10時02分43秒
HDさん

>人は20KHz以上の超高域音による「ハイパーソニック効果」はイアフォンでは得られないので耳がセンサーではなく、体のどこかがセンサーであるように書かれたのがありますがどこか特定されていないですね。 最近補聴器などで見かける「骨伝導」でしょうか? それとも他の何かでしょうか?

参考になるかもしれませんが,以前私は仕事でプラスチックの超音波溶接の現場に関わったことがあります。超音波溶接では50〜100Khz程度で1KW以上の出力で発振しますが頭の上の方にキーンと気持ちの悪い非常に硬い感じの超音波を感じます。これは20Khz程度の高音と同じ感じ方のように思います。そうして、この作業を行う現場ではヘッドホン型の耳カバーを付けて耳を保護しています。恐らく耳がこの超音波を聞いていると考えられます。

Re: ハイパーソニック理論 投稿者:AS 投稿日:2011年 1月 8日(土)10時51分35秒 TTさん

私は分子生物学関連の研究をしていますが、試料の調製にBRANSON製プローブ型ソニケーターを用いる時があります。超音波で組織や細胞を破砕するものですが、発振子部分は超音波溶接用のものと同じ構造・外観です。

プローブを試料に接触させずに、ソニケーターをただ作動させますと、TTさんが書かれているようにキーンという気持ちの悪い硬い音波を感じます。

オーディオシステムチェックCDを通常のヴォリュームで聴くと、私は16kHz以上は聴こえませんし感じません。

ソニケーターからよほど強い超音波が発せられているから感じるのか、そして、それを体のどこで感じているのかは分かりませんけれど。

Re: ハイパーソニック理論 投稿者:HD 投稿日:2011年 1月 8日(土)14時48分55秒 TTさん, ASさん:

工場や、実験室で使います大型の超音波洗浄器でもご紹介のような現象がありますね。洗浄液の入れ物や被洗浄物の形や材料によって聞える高い音が変るように思います。身近な所では、眼鏡屋さんの超音波洗浄器でも時によって高い音が聞える事があります。聞える場合には、どんな周波数の音が聞えているかは音をマイクで拾ってスペクトルを見ると判ると思います。

Re: ハイパーソニック理論
投稿者:志賀 投稿日:2011年 1月 8日(土)16時55分39秒 HDさん、TTさん, ASさん:

> 工場や、実験室で使います大型の超音波洗浄器でもご紹介のような現象がありますね。・・・

私も、超音波洗浄機は使っていましたが完全に無音というわけではないですね。といって、聴こえた音が超音波そのものを聴いていると解釈するのは早計だと思います。何らかの理由で超音波振動のエネルギーが可聴音に変換されている可能性は十分あるとおもいます。

> 聞える場合には、どんな周波数の音が聞えているかは音をマイクで拾ってスペクトルを見ると判ると思います。

全くその通りですね。

Re: ハイパーソニック理論 投稿者:AS 投稿日:2011年 1月11日(火)13時47分0秒 OMさん

> ASさんのソニケーションですが、オープンタイプの物でしたら、ビーカーの側面を触ってみて下さい。 菌体破砕にソニケーションを使ったことは学生時代に数度有るだけですが、ビーカーの側面を持った際に振動を感じたと記憶しております。 物理的混変調か低調波かはわかりませんが、可聴域の振動が生じています。

資料にプローブの先端をつけてソニケーションしますと、接触部で高温になるために、ビーカーなどの容器に氷水を満たした中に資料が入った容器(遠心チューブなど)を入れますね。ソニケート中、資料溶液内部ではキャビテーションが生じ、それが資料の細胞や組織を破砕する力になります。キャビテーションでは、資料溶液中に溶解せずに存在するごく小さな気泡を核にした空洞が出来て激しく振動する(その他の現象も起こりますが)ことで、ビーカーが振動します。

Re: ハイパーソニック理論
投稿者:OM 投稿日:2011年 1月11日(火)14時28分29秒 ASさん

>資料溶液内部ではキャビテーションが生じ、それが資料の細胞や組織を破砕する力になります。

なるほど、キャビテーションでしたか。それが主要因であるなら、スピーカーに高周波を入れた場合と原理的に異なりますね。あまり使ったことが無いとは言え、基本操作の一つであるソニケーションの基本原理を怠るとは、バイオ屋としては恥ずかしい限りでした。

Re: ハイパーソニック理論 投稿者:AS 投稿日:2011年 1月14日(金)12時00分37秒 OMさん

> >内耳の蝸牛の中で有毛細胞こちらは、繊毛細胞です。数種類有る繊毛の中に【細胞の】物理センサーとして役割を持つ繊毛が有ります。さらに、内耳の繊毛細胞は、物理振動を捉えるための重しまで持ってます。

私のおります大学医学部での講義で指定図書になっております「ハリソン 内科学」から引用します。

『聴覚の生理』
・聴覚は、空気伝導と骨伝導によって生じる
・空気伝導では、音波は空気中→外耳道→鼓膜→中耳の耳小骨(ツチ骨→キヌタ骨→アブミ骨)→アブミ骨底板の運動→蝸牛基底板での進行波の発生
・鼓膜と耳小骨はインピーダンス整合機構としてはたらき、音が空気相から内耳(液体で満たされている)に至る際のエネルギー減衰を改善する
・骨伝導では、音源が頭に接触すると、側頭骨を含む頭蓋骨の振動によって、蝸牛基底板上に進行波が発生

・基底板上のコルティ器の有毛細胞の不動毛は、進行波によって変形する
・刺激音の周波数で、最大の振動をする基底板の位置が決まる・・・最大振動の場所は、高音では蝸牛の基底回転近くになり、低音になるほど蝸牛頂の方へ進む

・コルティ器の内有毛細胞と外有毛細胞は、ともに力学的受容器であるが、異なる神経支配を受けている(内有毛細胞は求心性神経、外有毛細胞は遠心性神経)
・外有毛細胞の運動性は内有毛細胞に加えられる機械的圧力を微妙に変え、蝸牛での増幅に寄与(蝸牛の鋭敏な感度と周波数選択性)

その他、蝸牛における音の変換について、有毛細胞の脱分極、蝸牛神経樹状突起への伝達などについて記されています。

以下は、体毛が超音波を感いるのではないかという推測ににいて

>これに対して、体毛は単なるケラチンの固まりです(内部に細胞は有るが、死んでいる。)。 体毛で物理振動などを直接受容することは無いです。
>
> >毛の毛根の神経はかなり敏感なようなので、

> 確かに猫の髭のように、毛根に神経を集中させて、(細胞ではなく)動物としての物理センサーとして使っている例も有ります。
> しかし、人間の毛根は、それほど敏感ではないです(蚊が止まっても気がつかない)。

もちろん皆さんは、(細胞として死んでいる)体毛そのものが音を感知するとの意味ではなく、体毛の毛根部にある神経末端が感知する可能性について書いているのだと思います。

それほど敏感ではないとは言いましても、蚊が止まるのは非常に狭い範囲です(私は蚊が止まる瞬間に気づくときがありますよ)し、顔の表面全体のように広い領域があまねく音にさらされる場合はどうでしょうか?局所あたりでは小さな刺激でも、広がりがあればそれだけ大きな刺激になりますから、まだ一概に無視は出来ないと思います。視覚の色覚、温度感覚などで「面積効果」とよばれます。

温度感覚の面積効果の一例(東京医科歯科大より)
体表全体が温度差にさらされると0.01℃の温度差を弁別できる。しかし、1cm2 のところが感じるときは、1℃の温度差しか弁別できない。すなわち、面積効果がある。
http://www.tmd.ac.jp/med/phy1/ptext/somat_2.html

骨伝導 投稿者:志賀 投稿日:2011年 1月14日(金)23時05分22秒  
皆さん

超音波をどこで感じるかが話題になっているようですが、手元にある本の内容を紹介しておきます。

日本音響学会編の一般向け辞典「音のなんでも小辞典」によると、超音波音は骨伝導により感じることが出来るそうです。具体的には、振動子を額や耳の後ろの骨に接触させると20kHzをはるかに超える周波数の音でも明瞭に感じるそうです。この本によると、振動が骨を伝わり内耳に達すると、内耳自身は20kHz以上の振動を感じる能力があるそうです。ただし、その強さは、空気伝搬による音に換算すると140dBくらいの音圧に相当するそうです。ちなみに、140dB(SPL)は約2ヘクトパスカル、つまり大気圧の0.2 % の変動に相当します。

言い換えれば、20kHz 超の超音波でもこの程度強い音圧であれば空気を介して直接骨(頭蓋骨?)を振動させ、内耳に伝わり、感じることが出来るということらしいです。ということで、強力な超音波発生器を使っている部屋へ入ると、何か特別の気配を感じるということはあり得るかもしれません。

以上、全て「そうです」と書いたのは、一応音響学会編となっていますが、執筆者は全て工学系の人で神経生理学系統の学者は含まれておらず、どれほど信憑性がある話なのか私には分かりません。一応紹介しておきます。


Re: 骨伝導 投稿者:OM 投稿日:2011年 1月14日(金)23時58分6秒  
志賀さん

以前、TKさんから提示されたURL

http://en.wikipedia.org/wiki/Hypersonic_effect

のReferenceの4番にも、ほぼ同じ記述が有ります。ProceedingsのためReferenceがちゃんと記載されていないので、出所が同じ可能性が有ります。しかし、こちらの方が詳細ですので、軽く訳してみます。

Above 10kHz, sound is perceived more as a high-pitched whistle. There is an increasing loss of information, the sensation moving towards that of noise. We are informed that it very soon becomes inaudible. Beyond this point we enter the region of ultrasound. Via bone conduction, sound is still perceived up to 100kHz, but as a single, noise-like pitch. High intensity sound above 23kHz may also be perceived as pain. Propagation in air becomes increasingly lossy at higher frequencies, calling into question the evolutionary need for more than 20kHz sensitivity in a natural environment.
Benefiting from the efficient mechanical conduction of sound vibrations in water, dolphins respond up to 200kHz.

10kHzを越えると、音程の高いホイッスルとして知覚されます。(以下の3行は、「周波数を徐々に上昇させると」の節が省略されていると推定されます。)情報の欠落が起こり、徐々にノイズとして知覚されるようになります。「もうすぐ聞こえなくなるよ」と気がつきます。そして、超音波の領域に入ります。骨伝導を使えば100kHzの音も知覚することが可能ですが、(周波数に関係無く)同じ音階のノイズ様の高音が聞こえます。
さらに、23kHz以上の強い音は、痛みを伴います。高周波になるほど空気中での減衰が大きくなることから、20kHz以上の音に対する感度が進化の過程に必要であったのかとの疑問が湧きます。水の中では超音波の減衰は小さいため、イルカが200kHz(猫が80kHz)の音が知覚できるのでしょう

Re: 骨伝導 投稿者:TMO 投稿日:2011年 1月15日(土)09時18分55秒  

志賀さんとOMさんから骨伝導の話が出ておりますので、体験談をもとにコメントさせてい頂きます。

超音波検査には、特殊ではありますが経頭蓋超音波検査も臨床的に行う場合があります。実際にはコメカミにプローブをあてて、中脳や中大脳動脈を観察することが可能です(エコーが通るかどうかは骨の厚み次第で通らない方もいます)。この部分が頭蓋骨で一番骨が薄いのでエコーが通る可能性があるためです。

私は鼓膜経由だと16.5KHzまでが限界ですが、超音波プローブを直接頭蓋に押し当てた場合は、その可聴周波数を上回る高周波を知覚します。聞こえる音としては、モスキート音を更に嫌な感じにしたとても長時間は聞いていられない類の音です。実際にどのくらいの周波数の音なのかは分かりませんが、耳での可聴周波数以上の音を骨伝導で感じることが出来るのは事実です。

しかし、プローブを少しでも頭蓋から離した瞬間に知覚できなくなります。また、プローブを耳にいくら近づけても知覚出来ませんでした。スピーカーから出力される程度の超音波が、空気中→皮膚→頭蓋骨を経由して、無意識に知覚できるというのは難しい気がしてしまいます。

また、OMさんがご提示してくださった、ハイパーソニック理論の元論文の一部に目を通してみました(特に脳波測定の方法)。

私は前の書き込みで

>α波は後頭葉主体で、基本的にはどんな人でも(大脳皮質が広範に障害されている人など以外)まず出現する基本律動波で、閉眼時には出現頻度も振幅も増大します。そのためこの手の実験をするなら、被験者にずっと開眼、もしくはずっと閉眼の指示を与えて、検査条件を揃えて検討する必要がありそうということです。

と述べていましたが、論文の実験ではきちんと閉眼で揃えていました。一番懸念していた部分は問題ないですね。Nが少なめなのは気になりますが。論文の他の部分にも、時間を見つけて目を通してみます。ただ、ざっと見た感じでは、きちんと検証された様ですので、志賀さんが仰るように【この説はなかなか手強そう】ですね。

RSさん
既に御自分で訂正なさっていますが。

>もし、超音波を受容しているとしたら、皮下の神経そのものかもしれません。超音波診断などから見ると、皮膚は超音波をかなり通しそうですし。

エコー診断では、実際に超音波を発生するプローブと皮膚の間にゼリー状のジェルを塗って隙間を液体で満たさないと、アーチファクトで検査になりません。皮膚が超音波を通すというより、人体に含まれている水分が超音波を通すと解釈されたほうが良いと思います。御存知のように超音波は液体ではよく通りますが、気体中では大幅に減衰しますので、空気を含んでいる肺や腸管は検査になりません。仮にハイパーソニック理論が正しいとして、その超音波を皮下の感覚受容器で感じているというのは、否定も出来ないし積極的にも考えにくそうですね。

Re: 骨伝導 投稿者:志賀 投稿日:2011年 1月17日(月)07時35分19秒  
TMOさん、RSさん、皆さん

>私は鼓膜経由だと16.5KHzまでが限界ですが、超音波プローブを直接頭蓋に押し当てた場合は、その可聴周波数を上回る高周波を知覚します。聞こえる音としては、モスキート音を更に嫌な感じにしたとても長時間は聞いていられない類の音です。実際にどのくらいの周波数の音なのかは分かりませんが、耳での可聴周波数以上の音を骨伝導で感じることが出来るのは事実です。

貴重な体験談興味深く読ませて頂きました。

>しかし、プローブを少しでも頭蓋から離した瞬間に知覚できなくなります。また、プローブを耳にいくら近づけても知覚出来ませんでした。スピーカーから出力される程度の超音波が、空気中→皮膚→頭蓋骨を経由して、無意識に知覚できるというのは難しい気がしてしまいます。

この点に関しては少し違った意見です。

その理由は、空気中と凝縮体(プローブの振動体、骨、体液など)の音速が大きく異なるため(50kHz の波長は空気中では0.7mm、水中では3cm くらい)、超音波プローブのように比較的小さい発音体が小パワーで、近くで発音しているときは音響インピーダンスのミスマッチ等で超音波振動は有効に伝わりません。それに対して、離れた位置で大パワーで発音している場合は、比較的有効に伝わり頭蓋表面を同位相で振動させることが可能になります。

なお、空気の減衰係数は、例えば50kHzくらいだと 0.5 dB/m くらいで、1m離れていても1/2 か1/3 になる程度です。(そうでなければコウモリが超音波を位置探知のために使えません)

超音波を検知するメカニズムについて私の考えは、高エネルギーの超音波が頭蓋表面を振動させ、体液等を通じ中耳に到達し、いわゆる有毛細胞を刺激し「音のように」検知されるのではないかというものです。いかがでしょう?

Re: 骨伝導 投稿者:AS 投稿日:2011年 1月17日(月)09時58分43秒 皆さん

> > 私は鼓膜経由だと16.5KHzまでが限界ですが、超音波プローブを直接頭蓋に押し当てた場合は、その可聴周波数を上回る高周波を知覚します。聞こえる音としては、モスキート音を更に嫌な感じにしたとても長時間は聞いていられない類の音です。実際にどのくらいの周波数の音なのかは分かりませんが、耳での可聴周波数以上の音を骨伝導で感じることが出来るのは事実です。

ご参考までに、日本音響学会講演論文集に掲載されております、「高周波骨導音に対するラウドネス特性」(産業技術総合研究所:伊藤一仁氏、中川誠司氏)

http://www.netsoc.tcd.ie/~fastnet/cd_paper/ASJ/meeting/200709/pdf/0182_2-Q-14.pdf

を紹介します。

Re: ハイパーソニック理論 投稿者:TAD 投稿日:2011年 1月17日(月)17時40分22秒  

超音波が聞こえるか、或いは感じるかについて経験した事を書いてみます。

私は現役時代、産業機械の設計に関わり超音波溶着機(BRANSON1.2KW 20〜40KHz)を20〜30台並べた工場を日本、ドイツ、イギリスに作りました。
オーディオアンプ?の出力に金属ホーンを負荷時に共振するような形状を加工して先端の振幅を最大になるようにしてあります。
作業員は主に20〜40代の女性で10年間ぐらいで多数の作業者が入れ替わりましたが音がするとか何か感じるというクレームは一件も報告はなかったと聞いております。

また無響音室に超音波洗浄機を何台か並べ精密部品の洗浄工程も作りましたがこの作業はほとんどの作業員が嫌いました。私もこの部屋に入ってみましたが入った途端、異常な感じがします。表現し難いのですが圧迫感があり人の声が遠くに聞こえます。部屋の構造も関係するのでしょうが耳栓をすれば少しよくなりますので、その時は洗浄槽内で発生するキャビテーションがステンレス容器の側面を叩き高い周波数のノイズが発生するのだろうと考えていました。

かなり前の話になりますが、超硬(WC)が非常に高価なころ超硬と鋼材を銀蝋を介して手作業で超音波溶接して金型をを作る工程がありました。この工程の作業者の1人が超音波が聞こえ頭痛がする、といって作業を嫌がりました。問題なのはこの人は頭に三角形の紙を張る(幽霊のように)となおると言った事です。私も超音波が聞こえるはずがないと主張した一人でした。しばらく経ってこの作業者は訴えを真剣に聞かない上司を職場でナイフで刺すという事件を起こしました。

本当に聞こえていたかどうか確かめようがありません。このBBSを読ませて頂いて、もしかして彼には聞こえていたのかも知れない、或いは感じていたのかもしれないと今になって思い出しています。

全く科学的な根拠に基ずく話でなく申し訳ありませんが事実です。

Re: ハイパーソニック理論 投稿者:志賀 投稿日:2011年 1月17日(月)23時06分15秒 TADさん,皆さん

興味ある経験談の投稿ありがとうございます。引用は省略しますがコメントです。

実は、以前同じような投稿がありました。以下は、そのコピーです、

(投稿者:TT 投稿日:2011年 1月 8日(土)10時02分43秒)


「参考になるかもしれませんが,以前私は仕事でプラスチックの超音波溶接の現場に関わったことがあります。超音波溶接では50〜100Khz程度で1KW以上の出力で発振しますが頭の上の方にキーンと気持ちの悪い非常に硬い感じの超音波を感じます。これは20Khz程度の高音と同じ感じ方のように思います。そうして、この作業を行う現場ではヘッドホン型の耳カバーを付けて耳を保護しています。恐らく耳がこの超音波を聞いていると考えられます。」

私の前の投稿で、空気伝導でも超音波を検知できる可能性があるといいましたが、これは誤解を招くかもしれないので、「可能性を排除できない」といった表現にしておきます。音として感じる場合、まずは超音波のエネルギーが可聴音に変換されることを考えるべきだと思います。超音波洗浄機の場合は空気泡が消滅したり、側面を叩くとったメカニズムは大いに考えられることです。耳栓をすることにより改善されるということ、さらに、TTさんの投稿にある、ヘッドホンで耳を保護するということなどは、むしろ超音波そのものよりも、モスキート音のような可聴音に変換された音を聴いていることを示唆しているように思えます。いずれにせよこれは測定をすればすぐに解決する問題ではありますが。

一方、以前紹介した、骨伝導により聴こえる振動に匹敵する空気伝導音の音圧強度は140dB くらいだそうですから、40 kHz で100 dB/Wm 程度のスーパートウィターはざらにあることを考えると、空気伝導により超音波を感じるということが全く非現実的な話でとはいえないと思います。

ただ、本題であるハイパーソニック効果は、直接超音波を感じるわけでなく、可聴音と合せて聴くとアルファ波が観測されるという現象なので、超音波のエネルギーはずっと小さくてもいいのかもしれません。

また、私自身は、ハイパーソニック効果をオーディオ装置に必要な性能と関連付けて考えているわけではありません。

inserted by FC2 system