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逆起電力とバイワイヤリング

「ウーファーの逆起電力がトウイターに回り込み音を濁す」そのため「ウーファーに繋ぐケーブルとトウィターに繋ぐケーブルを別にするバイワイヤリングを行なうことによりこの影響が免れる?」といったことが巷で言われている。はたして本当だろうか? さらにウーファーの逆起電力とはそもそもどういうものなのかもはっきりしない。ここでは、これらの問題を定量的に解析して調べてみる。

バイワイヤリングについて 投稿者:MU 投稿日:2009年12月12日(土)18時33分42秒  

電磁気学がご専門の先生にご説明をいただければと思いメールしました。先生がスピーカーのバイワイヤリングについて、その効果をお認めになるか否かは分かりませんが、私自身の実験でブラインドテストで10を越える被験者数で有意差が出ており、私自身その効果を認めざるを得ません。その説明としてメーカー等の説明の一つはウーファー側からの逆起電力がトィーター側にノイズとして作用する(及びその逆も成り立つが、レベルはより低いはず)からとしてありますが、わずか数メートルの短いケーブルを隔てたからと言え、減衰してしまうほど微弱だと考えるには多少無理を感じます(これは測定出来るはずですね)。

私が考えたもう一つの説明は同じケーブルを使った場合、アンプースピーカー間の直流抵抗は半減し、アンプの負荷が減るため、能率がよくなることです。これとても、インピーダンスが半減するとは限らず、また、別の実験報告では同じケーブルを二対用いて、スピーカーでは既存のジャンパーを用いてもバイワイヤリングの効果は得られなかったとするものも複数あります。よろしく御願いします。

Re: バイワイヤリングについて 投稿者:KZM  投稿日:2009年12月13日(日)21時22分39秒  
MUさん

>私自身の実験でブラインドテストで10を越える被験者数で有意差が出ており、私自身その効果を認めざるを得ません。

有意差があるというためには、一回二回のテストで聞き当てたというものではダメで、然るべき統計処理を行った上で有意水準を超えたという解析結果を示す必要があります。志賀さんがいつも言われるように、そのようなときはインターネット上の掲示板に書き込むのではなく、然るべき学術誌に投稿してください。虚偽でないことを証明する方法がないからです。

まずは、統計処理の結果χ^2検定にて水準5%を超える結果が得られたと考えてよろしいですか?

>理由は逆起電力?

その点をクリアしたと仮定して、逆起電力は比較的簡単に測定可能ですが、そういう記事に一向に測定データがついてこない状況を見るに、ろくな結果が得られないのでしょう。

>アンプースピーカー間の直流抵抗は半減し、アンプの負荷が減るため、能率がよくなる

バイワイヤの場合、配線長が長くなるだけで抵抗値は下がりません。どうせ2組のケーブルを使うならツィータ-ウーファ間ジャンパを取り付けて単にケーブル断面積を2倍にした方が有用です。この場合は単にDFの議論になります。

バイワイヤで何か変化するかと考えてみると、接点の数が増えることにより接触抵抗の変動分が大きくなることです。ケーブルの違いを云々するときは、接触抵抗を考慮に入れていないと意味がありません。とはいっても、まともな接続を行っていれば差が出るようなレベルの変動は起こらないので、あくまで定性的な話です。

逆にいえば、まともな接続を行っていないときは差が出る可能性があります。接触部が酸化して導通が悪くなっていることに気付かずに比較したら、差が出ることはあるかもしれません

Re: バイワイヤリングについて 投稿者:志賀 投稿日:2009年12月14日(月)06時17分11秒    

MUさん

> 電磁気学がご専門の先生にご説明をいただければと思いメールしました。

私の専門は電磁気学ではないのですが分かる範囲でお答えします。

>先生がスピーカーのバイワイヤリングについて、その効果をお認めになるか否かは分かりませんが、私自身の実験でブラインドテストで10を越える被験者数で有意差が出ており、私自身その効果を認めざるを得ません。

有意差ありというのは、ダブルブラインドの条件を満たし、ちゃんとした統計処理をされた上なんでしょうか? 具体的には

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/abx.htm

ここに書いたような条件を満たしているかどうかです。

ただし、ブラインドテストの結果については


http://shigaarch.web.fc2.com/OldBBS/12blindtest.html

このページの最後に要約した理由により議論しないことにしています。

>その説明としてメーカー等の説明の一つはウーファー側からの逆起電力がトィーター側にノイズとして作用する(及びその逆も成り立つが、レベルはより低いはず)からとしてありますが、わずか数メートルの短いケーブルを隔てたからと言え、減衰してしまうほど微弱だと考えるには多少無理を感じます(これは測定出来るはずですね)。

そもそもスピーカーの逆起電力というのは、f0 でのインピーダンスの上昇の原因となるもので値自身としてはそれほど小さいものではありません(インピーダンス曲線から容易に計算可能です)。しかし、これがスコーカーやトゥイターに与える影響は2重3重に減少して耳で聴き分けられるような影響を与えるかどうかははなはだ疑問です。

まず第1に、半導体アンプの場合は定電圧駆動なのでここで大部分吸収されてしまいます。さらに、逆起電力の生じる周波数はf0付近で、これはハイパスフィルターでカットされます。さらに、スコーカーやトゥイター自身の周波数特性もウーファーのf0 付近の音ははほとんど再生出来ません。といった理由で、バイワイアリング接続にしなくても逆起電力の影響がスコーカーやトゥイターから出る音に与える影響はきわめて微小な値になります。

バイワイアリング接続に関係するのは第一段階の減衰なのでこれを少し詳しくみると、もしケーブルを含めたアンプ側の内部抵抗値が0(DF無限大)なら逆起電力の影響も0ですが、実際にはアンプもケーブルもわずかながら抵抗がありそれぞれRA、RC としてスピーカーのインピーダンスをZとすると、シングルワイヤだと減衰率は(RA+RC)/Z ですが、バイワイアリングにするとRA/Zとなり減衰率がその分低下することになります。しかし第2段階、第3段階の減衰のためこの差が音の違いとして検知できるほどの影響をもたらすかはなはだ疑問です。

詳しくは
http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/9722dynamicspeaker.pdf

このページの 3.4項 電気インピーダンス特性を参考にしてください。

>私が考えたもう一つの説明は同じケーブルを使った場合、アンプースピーカー間の直流抵抗は半減し、アンプの負荷が減るため、能率がよくなることです。これとても、インピーダンスが半減するとは限らず、

能率の変化では説明出来ません。スピーカーケーブルの抵抗値はスピーカーのインピーダンスに比べ数十分の1でパワーロスも微々たるものでこの程度の減衰はボリュームの位置で何とでもなります。さらに、各ユニットは受け持つ周波数範囲が異なるのでバイワイアリングにしても能率がよくなるわけではありません。

>また、別の実験報告では同じケーブルを二対用いて、スピーカーでは既存のジャンパーを用いてもバイワイヤリングの効果は得られなかったとするものも複数あります。

ここのところはちょっと意味が分かりませんが、同じケーブルを2対用いてジャンパーを付けると、電気的には全く効果がないわけでなく第1段階の減衰率が(RA+0.5RC)/Z と1対の場合より少し低下します

逆起電力の測定なんですが 投稿者:BM 投稿日:2009年12月14日(月)11時42分38秒  

KZM さんが書かれている様に簡単なのでしょうか?

スピーカーの音楽再生時、普通はアンプからのプラス・マイナスでコーンが前後している時は逆起電力の発生は極僅かか無いと思っています。例えば、大きな音圧でコーンがどちらかに動き、その後電気的なコントロールでは無くダンパーとかエッジの弾性により、元に跳ね返る様な時には発生すると思っているのですが?どうなんでしょう?


Re: 逆起電力の測定なんですが 投稿者:志賀 投稿日:2009年12月15日(火)10時18分15秒    
BMさん,皆さん

> KZM さんが書かれている様に簡単なのでしょうか?

これはいい質問ですね。

ウーファーの「逆起電力」がトゥイターに入り込み音を濁すということはマニアの間でよく言われていることのようですが、「逆起電力」の定義がよく分かりません。

電気工学における正統的な用法はMUさんへのレスに書いたとおり、回路にインダクタンス成分があるとき、インピーダンスの増加を説明するときに使われる補助的な概念で、この場合、定格インピーダンス8Ωのウーファーでf0でのインピーダンスピークが5倍の40Ωだったとすると、このときの逆起電力は入力電圧の4/5 となり結構大きな値になります。測定は通常のインピーダンスの測定をやればいいわけなので簡単です。

詳しくは

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/9722dynamicspeaker.pdf

この資料の4〜5ページにかけて 3.4節 電気インピーダンス特性の項目で説明しています。

ところがどうもマニアさんがいう逆起電力はもっと微小な電圧のようですね。

一体どういう定義なんでしょう?? 何か勝手に想像をたくましくして実態のはっきりしない量について言及されているんではないかと思えてなりません。

これをはっきり定義するためには、測定法を提示することが必要です。具体的にはどのような信号を使い、回路の何処の電圧あるいは電流を測定すればよいのかを示さないと議論になりません。どなたかご存じの方があればぜひ教えてほしいのですが?


Re: 逆起電力の測定なんですが 投稿者:TM 投稿日:2009年12月16日(水)07時13分18秒  

>http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/9722dynamicspeaker.pdf

計算式を見慣れない当方としては結構、面食らってしまいました。(デキレバ、モットワカリヤスイホウガ、アリガタイ・・・)

ところでV−5ページの右下に (DFが)「逆に小さい場合、・・・・スピーカーのインピーダンス変化の影響を受けにくく定電流駆動に近づく。」とありますが、逆ですよね?

DF値が小さい=出力インピーダンスが高い とインピーダンス変化をもろに受けてしまいドンシャリ音になっていきます。

ちなみに私の観球アンプ(自作)はDFが2弱〜3程度なので抵抗負荷ではなくSPをつないで周波数測定をするとスバラシイ波を打っています。私のはそれでも三極管なので内部抵抗は低いですが、5極管でNFBなしの自作アンプを昔、聞いたことがありますが、一聴するとものすごくいいんですがドンシャリでした・・

Re: 逆起電力の測定なんですが 投稿者:志賀 投稿日:2009年12月16日(水)09時25分51秒    
TMさん

> ところでV−5ページの右下に (DFが)「逆に小さい場合、・・・・スピーカーのインピーダンス変化の影響を受けにくく定電流駆動に近づく。」とありますが、逆ですよね?

いえ。これはこれでいいんです。もともと「定電流駆動」という言葉自身ちょっと誤解を招きやすいですね。定電流駆動とはもちろんスピーカーに流れる電流が一定というわけでなく、「負荷(この場合スピーカーのインピーダンス)の変動を受けず、回路を流れる電流が入力電圧(この場合はアンプの出力電圧)に正確に比例する」という意味で使っています。等価回路的には変動する負荷抵抗に直列に十分大きい抵抗を入れた回路で表せます。従って電磁制動が効かずいわゆる「ドンシャリ」音になってしまいます。

一方定電圧駆動は「負荷の変動の影響を受けずスピーカーの入力端子の電圧がアンプの出力電圧に等しい」という意味です。この場合逆に駆動力が負荷の変動を受けるわけですが、この力は本来の駆動力と逆方向なのでブレーキすなわち電磁制動力として働きます。

> DF値が小さい=出力インピーダンスが高い とインピーダンス変化をもろに受けてしまいドンシャリ音になっていきます。

はいそれはおっしゃる通りです。結局、何が「インピーダンスの変化」を受けるのがについて見解の相違があるということですね。

TMさんは「出てくる音」に対して、私は「回路を流れる電流、従って、ボイスコイルの駆動力」を対象にいっていると言うことで中身は同じことだと思います。

まとめレスします 投稿者:TM 投稿日:2009年12月16日(水)16時30分31秒  

・逆起電力の測定なんですが

定電流駆動は志賀さんの書かれたとおりです。ところで実際にアンプに8Ω抵抗ではなくSPをつないで周波数特性をとるとわかりますが、DFが小さいとインピーダンスの上下で揺さぶられます。

http://web.archive.org/web/20090412083555/http://www.d1.dion.ne.jp/~ebe_ken/fostexvs.html


に2A3プッシュプルアンプの測定例があります。手持ちのFOSTEXとJBL4312B(どちらもインピーダンス特性は不明)をぶらさげて測定したものです。8Ωでの測定ではまっすぐなところもSPをつなぐと出力インピーダンスが高いため揺さぶられています。(実はこれでSPのインピーダンス特性が想像できる)このアンプ、もう手持ちにないのですがDF=2程度でした。

逆起電力 投稿者:TM 投稿日:2009年12月17日(木)10時50分13秒  
志賀先生、KZM さん、

そもそもの逆起電力の意味についてなんですが、

@コイル(インダクタンス)に直流を流したとき、流した直後と止めた直後に発生する逆向きの磁束と電流

A同じく今度は交流を流したとき、交流なので常に電流の大きさが変化するため、その変化を止めさせる向きに発生する磁束と電流

という自己誘導現象のことで間違いないですか?

音楽信号は当然、交流ですのでAのほうになると思います。つまり音楽を流している間中、ずっと絶え間なく逆起電力は発生し続ける、と考えますが間違いないでしょうか?これゆえにチョークコイルは電流を定常状態に保つ働きがあり、真空管アンプの整流(というより脈流→直流でしょうか)でよく用いられるのですよね?(私のアンプはすべてそれです)

Re 逆起電力 投稿者:志賀 投稿日:2009年12月17日(木)20時50分43秒    
TM さん

>そもそもの逆起電力の意味についてなんですが、

>(1)コイル(インダクタンス)に直流を流したとき、流した直後と止めた直後に発生する逆向きの磁束と電流
>(2)同じく今度は交流を流したとき、交流なので常に電流の大きさが変化するため、その変化を止めさせる向きに発生する磁束と電流

>という自己誘導現象のことで間違いないですか?

私も、基本的にはそれでいいと思います。(1)は時間領域で見た逆起電力で(2)は周波数領域で見た逆起電力です。ただし、普通は電流でなく電圧を指すと思います。実際に逆向きの電流が流れるわけでなく、本来流れるはずの電流が減少するだけですね。つまり(2)の場合インピーダンス増加の原因となるものです。従って、サイン波の入力では、最初の投稿で答えた通りいわゆるスピーカーのインピーダンス曲線にピークを与えるもので振動板の自由振動の周期((=f0)に合ったところで最大となる起電力だと思います。

この値は、インピーダンス曲線を測定すれば計算で見積もることは可能ですが、電圧そのものを測定するには、例えば交流の定電流電源で周波数スイープをして(定電流駆動)スピーカー端子の両端に発生する電圧 V(Z)=I*Z からその電流に対してボイスコイルの直流抵抗から発生する電圧 V(R)=I*R を差し引いた値を逆起電力と考えていいんではないかと思いますがいかがでしょう?

ただしこの電圧が直トゥイターに回り込み音を濁す原因になるわけでなく、回り込み電圧を測定するには別の工夫が必要です。まずは逆起電力の定義と見積もり方に結論が出し、その後で提案したいと思ってます。

皆さん

逆起電力が過渡特性やインピーダンス変化に及ぼす影響などはちょっと難しいですが


http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/9416transient_impedance.pdf

ここに。スピーカーの逆起電力については

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/9722dynamicspeaker.pdf

の3.4項 電気インピーダンス特性。その中の図V-7 などを参考にして下さい。


訂正(逆起電力の測定) 投稿者:志賀 投稿日:2009年12月17日(木)22時07分5秒  
先程の投稿少し訂正します。

下の方法に従って定電流駆動で求めた逆起電力はあくまで定電流駆動をした場合の逆起電力(電圧)であって通常の定電圧駆動をした場合より大きな値をとります。

定電圧駆動をした場合の逆起電力(電圧)はかけた交流電圧をV(一定)として、周波数fでのインピーダンスをZ(f)とすると、逆起電力V'は

V'=(1-R/Z(f))V

となるはずです。うまりf0でインピーダンスピークが5倍(Z(f0)/R=5)の場合

V'=(4/5)V

となるはずです。



Re 逆起電力 投稿者:TM 投稿日:2009年12月18日(金)06時41分13秒  

ありがとうございました。おかげですっきりしました。

>交流の定電流電源で周波数スイープをして(定電流駆動)

これはOSC(低周波発振器)でもいけそうですね。

>下の方法に従って定電流駆動で求めた逆起電力はあくまで定電流駆動をした場合の逆起電力(電圧)であって通常の定電圧駆動をした場合より大きな値をとります

それは理解しました。

Re: 逆起電力 投稿者:BM 投稿日:2009年12月18日(金)10時45分41秒  
TMさん、

レス有難う御座いました、私もその事は解っているのですが、アンプにコントロールされてプラス・マイナスの電流を流され前後にコントロールに忠実に動いている時には、逆起電力 は発生していないのでは?と言うのが一つの疑問なんです。

Re: 逆起電力 投稿者:志賀 投稿日:2009年12月18日(金)11時39分31秒  
BMさん

> ・・・アンプにコントロールされてプラス・マイナスの電流を流され前後にコントロールに忠実に動いている時には、逆起電力 は発生していないのでは?と言うのが一つの疑問なんです。

横からですが、この見方はかなり当たってますね。

f0の近辺の周波数では振動板がいうことを聞かず勝手に動き出すのでブレーキをかけるために逆起電力が発生するといってもいいかもしれません。

その値は結構大きくなりますが。


Re: 逆起電力 投稿者:BM 投稿日:2009年12月18日(金)12時03分10秒  
志賀 さん

>f0の近辺の周波数では振動板がいうことを聞かず勝手に動き出すのでブレーキをかけるために逆起電力が発生するといってもいいかもしれません。
私的には、この状態は結構少ないのではと想像していましたが、

>その値は結構大きくなりますが。

と言う事は、可也スピーカーが言う事を聞いていないと言う事ですね。

逆起電力とバイワイヤリング 投稿者:志賀 投稿日:2009年12月19日(土)14時03分37秒  
皆さん

標題について私も調べましたが、さるオーディオメーカーのサイトに以下のような説明がありました。他にも似たような説明がブログなどに見られます。

「(バイワイヤリング接続とは)ネットワークの入力側に高域用と低域用を独立させた端子を設け、それぞれの接続ケーブルを直接パワーアンプのスピーカー端子に持っていく接続方法です。この際ネットワーク回路は高域用と低域用フィルターのアースがそれぞれ独立し、共通になっていない必要があります。物理的に低音域は伝送エネルギーレベルの高く、ウーファの逆起電力がネットワークのアースを通してトゥイータに流れ込み音質を劣化させますが、バイワイヤリング接続によりこの有害な干渉を防ぐことができます。」

とあります。真偽のほどは別として巷に出回っているのは大旨このような定性的な話です。そこで、これを前提として少し話を整理し定量的な見積もりをしてみます。まず通常のシングルワイヤ接続の場合の逆起電力の影響です。

逆起電力はすでに何度も述べたように電気的にはf0付近のスピーカーのインピーダンスの上昇として現れます。それから逆算すると振動板の自由振動による逆起電力の実効電圧 V' は、Vをアンプの出力電圧、Rをボイスコイルの直流抵抗値、Z(f)をスピーカーのインピーダンスとすると、V'=(1-R/Z(f))V となりかなり大きな値となります。これはもちいるアンプのダンピングファクター(DF)が小さい(内部抵抗が大きい)ときはアンプの出力電圧の変動として現れます。以前TMさんが紹介されたデータ


http://web.archive.org/web/20090412083555/http://www.d1.dion.ne.jp/~ebe_ken/fostexvs.html

はまさにこれを表わしています。

しかし、半導体アンプのようにDFが大きければアンプの出力端子に現れる影響は1/DF に減衰します。 DF=100 のアンプなら これだけで -40dB の減少となり、出力電圧の変動としては 0.1dB くらいにしかなりません。上に示したスケールでプロットするとほとんど目では見えないくらいです。逆起電力がアンプに吸収されるというのはこのことを指しているんでしょう。

さらに、トウイターに与える影響としては、仮にf0=100Hz クロスオーバー周波数を800Hz とし、2次のHPFを通すと さらに-36dB減少します、これだけで -76dB の減少です。さらにトウイターの100Hz での音圧特性はおそらく-30dB くらい減少しているはずです。で、合計-100dB 以上の減衰となります。

ということで、この見積もりが正しいなら、これだけでとても逆起電力がトウイターに回り込み音を濁すなど考えられません。ましてや、バイワイヤリングの影響など考えるのも無駄といっていいと思います。

いかがでしょう?


Re:逆起電力とバイワイヤリング 投稿者:US 投稿日:2009年12月19日(土)15時12分50秒  

志賀さんの理にかなったご説明に、全く同感です。

ほかの掲示板にも似たような議論がありましたが、ウーハーの逆起電力がネットワーク(ローカット、ハイパス)を通過してツィーターに悪影響を及ぼすとは思っても居ませんでしたが、これで確信がもてました。

逆起電力とバイワイヤリング 投稿者:TM 投稿日:2009年12月19日(土)16時36分59秒  

でもなぜ無くならないんでしょう?音が変わったゾー発言の数々

@ケーブル(RCA、SP、キャノン同軸も含む)
Aバイワイヤリング
BCDトランスポート
Cここからはオカルトの世界に思えるのですが、電源ケーブル、コンセント、はてはブレーカーやヒューズにまで・・、そうそうすごい人もいた、同じ型番のアンプでも音は違う

何ででしょう?????

もうひとつ、バイワイヤリングがそれほど有効なら、3WAYならトリプルワイヤリング、4WAYなら・・・となぜならないんでしょう????

もしかして答えはそれなりの雑誌や人間がオカルト的に言っておくと「メーカが儲かるから」では? だまされるやつが悪いのかだますほうの問題なのか・・・。

Re: 逆起電力とバイワイヤリング 投稿者:志賀 投稿日:2009年12月19日(土)18時43分54秒  
TMさん

> でもなぜ無くならないんでしょう?音が変わったゾー発言の数々
>
この問題は私のサイトの最大のテーマです。とても一言でいいきれませんが

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/why.htm
http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/copernican.htm
http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/objective.html

こういったページで議論しています

Re: 逆起電力とバイワイヤリング 投稿者:KZM  投稿日:2009年12月19日(土)16時37分13秒  
志賀さん

> ということで、この見積もりが正しいなら、これだけでとても逆起電力がトウイターに回り込み音を濁すなど考えられません。ましてや、バイワイヤリングの影響など考えるのも無駄といっていいと思います。

この手の話はケーブル抵抗値だけ考えて接触抵抗とネットワークについて何もフォローしないことが多く、それだけで落第のことが多いようです。
それはともかく、「ウーファ側で発生した逆起電力がツィータ側を汚す」という意味を考えてみると、逆起電力はf0を中心に発生するとしても、高調波歪み成分の逆起電力はツィータ側通過帯域に入ってくるかもしれません。(定量的見積もりは難しい?)

そこで、ウーファ側の挙動によりツィータ側に実際に何かが混入するかどうか調べる方法をひとつ考えてみました。

通常の2wayスピーカでウーファを接続した場合とウーファの代わりにダミーロードを接続した場合にHPF後段(ツィータ手前)をスペアナorFFTで観察する。スィープ信号を入力し、どのような違いがあるかを見る。

いかがでしょうか。

Re: 逆起電力とバイワイヤリング 投稿者:志賀 投稿日:2009年12月19日(土)18時36分47秒  
KZM さん

> それはともかく、「ウーファ側で発生した逆起電力がツィータ側を汚す」という意味を考えてみると、逆起電力はf0を中心に発生するとしても、高調波歪み成分の逆起電力はツィータ側通過帯域に入ってくるかもしれません。(定量的見積もりは難しい?)

定量的には結局インピーダンス曲線に反映されるので逆起電力そのものは見積もれます。確かに分割振動によるわずかなピークが見られるスピーカーユニットもあるようです。ただ、LPF の向こう側なのでトウィター側へはどう影響するでしょうか?

> そこで、ウーファ側の挙動によりツィータ側に実際に何かが混入するかどうか調べる方法をひとつ考えてみました。
>
> 通常の2wayスピーカでウーファを接続した場合とウーファの代わりにダミーロードを接続した場合にHPF後段(ツィータ手前)をスペアナorFFTで観察する。スィープ信号を入力し、どのような違いがあるかを見る。
>
> いかがでしょうか。


ダミーロードだとボイスコイルのインダクタンスによる逆起電力も拾ってしまいますね。私の考えたのは単純に、ステレオスピーカーシステムを使い一方のコーンの運動を何らかの手段で止めてやり、トウイターに入る電圧の差分を測定するというのはどうでしょう?

Re: 逆起電力とバイワイヤリング 投稿者:TM 投稿日:2009年12月20日(日)07時17分10秒  

> 私の考えたのは単純に、ステレオスピーカーシステムを使い一方のコーンの運動を何らかの手段で止めてやり、トウイターに入る電圧の差分を測定するというのはどうでしょう?

ウーファーのコーン紙を取り払ってしまう、とかですか?

KZM さんの方法でも同じですが、単純なサイン波では影響はわからないように思いますね・・。大きな振幅の低周波のパルス波を流して、トゥイーターには何も流れないようにしておかないといけないのではないでしょうか。

Re: 逆起電力とバイワイヤリング 投稿者:志賀 投稿日:2009年12月20日(日)12時48分7秒    
TMさん

> ウーファーのコーン紙を取り払ってしまう、とかですか?

いえ、違います。ボイスコイルの運動から発生する起電力をなくすことなので、本当は磁場をなくすといいんですが、乱暴には振動板が動かないよう手で押さえることでもいいと思います。

> KZM さんの方法でも同じですが、単純なサイン波では影響はわからないように思いますね・・。大きな振幅の低周波のパルス波を流して、トゥイーターには何も流れないようにしておかないといけないのではないでしょうか。

私の提唱した方法では波形は何でもいいのでオシロスコープを使えば矩形波でもパルス波でも使えます。ただし、逆起電力は独立に存在するものでなく、入力電流に対する反作用として生じる電圧なのでトゥイーターには何も流れないようにして測定するのは原理的に不可能です。

それから、多分TMさんもご存じだと思うんですが、サイン波では過渡特性などが分からないとよく言われますがそんなことはありません。周波数範囲を十分広とり、位相情報も測定しておけばフーリエ変換の原理で、どのような信号へのレスポンスも再現可能です。その逆も真です。

また、今の場合ウーファーに入る信号はLPFで高周波成分がカットされるのでパルス信号を入れても鈍されてしまいます。

Re: 逆起電力とバイワイヤリング 投稿者:TM 投稿日:2009年12月20日(日)16時30分35秒  

なんだか難しい話になってきそうなので私は結果をお待ちすることにします。

そろそろ頭だけで考えるのは終わりでしょうから、お二人のテストをお待ちしております。残念ながら私が持っているのは「お城」だけで「スペア名」も「FFT」も持ち合わせておりませんので・・。

Re: 逆起電力とバイワイヤリング 投稿者:志賀 投稿日:2009年12月20日(日)17時17分1秒    
TMさん

この話はもともと、「スピーカーの逆起電力がトウィターに流れ込み音を濁す」といわれる俗説の「逆起電力の定義」を明確にするにはそれが「原理的に」どういう方法で測定すればいいかを提示すればいいという提案が始まりで、

2009年12月15日(火)10時18分15秒 の投稿

(これは実際に測定可能かどうかは別にして物理量の定義を明白にするため、物理の世界ではよく使われる手法です)

理論的に見積もれば実際にはきわめて微小な量でとても素人が測定出来る量でないことは明らかです。

2009年12月19日(土)14時03分37秒 の投稿

従って、私も多分KZM さんも実際に測定するといっているわけではなく、そのつもりもありませんので誤解なきよう願います。

バイワイヤリングの効果 投稿者:志賀 投稿日:2009年12月22日(火)23時21分19秒  
自己レスです。

元記事再録
「・・・・・・逆起電力はすでに何度も述べたように電気的にはf0付近のスピーカーのインピーダンスの上昇として現れます。それから逆算すると振動板の自由振動による逆起電力の実効電圧 V' は、Vをアンプの出力電圧、Rをボイスコイルの直流抵抗値、Z(f)をスピーカーのインピーダンスとすると、V'=(1-R/Z(f))V となりかなり大きな値となります。これはもちいるアンプのダンピングファクター(DF)が小さい(内部抵抗が大きい)ときはアンプの出力電圧の変動として現れます。以前灯さんが紹介されたデータ
http://www.d1.dion.ne.jp/~ebe_ken/fostexvs.html
はまさにこれを表わしています。

しかし、半導体アンプのようにDFが大きければアンプの出力端子に現れる影響は1/DF に減衰します。 DF=100 のアンプなら これだけで -40dB の減少となり、出力電圧の変動としては 0.1dB くらいにしかなりません。上に示したスケールでプロットするとほとんど目では見えないくらいです。逆起電力がアンプに吸収されるというのはこのことを指しているんでしょう。

さらに、トウイターに与える影響としては、仮にf0=100Hz クロスオーバー周波数を800Hz とし、2次のHPFを通すと さらに-36dB減少します、これだけで -76dB の減少です。さらにトウイターの100Hz での音圧特性はおそらく-30dB くらい減少しているはずです。で、合計-100dB 以上の減衰となります。

ということで、この見積もりが正しいなら、これだけでとても逆起電力がトウイターに回り込み音を濁すなど考えられません。ましてや、バイワイヤリングの影響など考えるのも無駄といっていいと思います。」


以上元記事

考えるのも無駄だといいましたが議論を締めくくるためバイワイヤリングの効果を考えてみました。添付の図を参考に説明します。元記事と合せて参考にして下さい。

まず、ここでいう逆起電力は振動板の固有振動に伴って生じる逆起電力でインピーダンス曲線にピークを与える原因です。簡単な計算から V'=(1-R/Z(f))V で与えられf0では結構大きな値となります。ここではアンプの出力電圧(図のA点の交流実効電圧)を1.3V、f0=100Hz での逆起電力 V'=1Vとしておきます(インピーダンスピークの高さが直流抵抗の約5倍になる場合に相当)。

始めにもう一度シングルワイヤーの場合のアンプ出力端子A、スピーカー入力端子B点の電圧変動を見積もっておきます。ウーファー回路のインピーダンスが大きくなることはアンプ側から見ると負荷が軽くなることで、もともと負荷抵抗により生じていたわずかな電圧降下が負荷が軽くなる分小さくなり結果としてA,B点の電圧はわずかに上昇します。増加電圧はA点では儼=V'*Ra/Rw=V'/DF=0.01Vの増加となります。B点ではケーブルの抵抗が加わるのでケーブルの抵抗値Rcを0.1Ωとすると、約2倍0.02Vとなります。これがトウィターのHPFを通ると-36dBの減少すなわち、それぞれ0.15mV、0.3mV の電圧変動となります。S/N比として-80dB近くになり、この時点でとても聴き分けられる量ではありません。

あえてバイワイアリングにすると(図(b))、大まかにいうとケーブルによる電圧変動分がトウイターには影響せずB点の変動は0.01Vですみます。従ってC点の変動分も0.15mVとなりますがこれは通常の装置のS/N比より遙かに小さいレベルの変動で違って聞こえたら心理効果に他なりません。

定性的にはもっともらしいが定量的に見積もると、ほとんど意味がない効果である典型的な例です。

あまりスペースが取れないのでわかりにくかったと思いますが時間が出来たらHPの雑学帳に加えておきます。




バイワイヤ 真空管アンプの場合
投稿者:志賀 投稿日:2009年12月23日(水)09時50分54秒    

ついでに真空管アンプの場合について見積もってみます。少し極端な条件かもしれませんがDF=3 のアンプで1次のネットワーク(-6dB/Oct)を想定し、他の条件は同じとします。

まず、逆起電力の電圧を1Vとした場合A点の電圧変動は1/DF で0.33V となります。元信号に対して約2.5dB程度の増加です。この値はTMさんが以前紹介されたデータとよく合っています。


http://web.archive.org/web/20090412083555/http://www.d1.dion.ne.jp/~ebe_ken/fostexvs.html

B点の値も Ra(アンプの内部抵抗)>>Rc(ケーブルの抵抗) なのでほとんど変りません。トウィターのHPFで-18dB 減少するのでC点では 0.04V くらいになります。元信号に対して-30dB となり無視できないかもしれません。

ただし、バイワイヤにしても Ra>>Rc なのでほとんど効果はありません。Ra=2Ω、Rc=0.1Ωとすると、仮にシングルワイヤの場合でA点で0.33Vの変動がある場合B点では約4mV増加する程度です。いいかえれば、バイワイヤにしても0.1dB 程度の改善になるだけなのでバイワイヤ接続のメリットはほとんどないと思います。


この辺りが結論になると思いますが、きっかけの投稿をされたMUさん(その後何の応答もされていませんが)はブラインドテストで確かめたと主張しておられます。しかし、「2,3メートルのスピーカーケーブルを変えただけで音が変わることをブラインドテストで確かめた」など、ちょっと信じがたいことを主張する人がネット上などでは見られます。恐らく、厳密なダブルブラインドの条件を満たさず、多くの場合はちゃんとした統計処理もしていないからでしょう。

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/abx.htm

このページに書いたように本格的なダブルブラインドテストはアマチュアの手に負えるものではありません。少なくとも、いかにして「二重」盲検の条件を確保したか、実験法の詳細、特に音量差など本来の目的とは異なった変化を検出していないかについての吟味、生データの開示と統計処理の方法などを明示している報告でなければ信頼出来ません。特に、メーカサイドの報告や何とか差が有ると思いたいマニアがやる実験は、自分に不利なデータを「無意識的に」無視してしまう傾向があるので注意が必要です。

http://shigaarch.web.fc2.com/OldBBS/12blindtest.html

こちらも参考にして下さい。

追加 2010.2.2

Re: バイワイヤリングの効果 投稿者:SA  投稿日:2010年 1月15日(金)18時19分19秒 返信・引用

私の勘違いかもしれませんが、図Bでは、ケーブルの抵抗しか考慮されてないようですが、インダクタンスも入れて考えれば、バイワイヤリングすることでケーブル全体のインダクタンスが減少しないのですか?

ReRe: バイワイヤリングの効果 投稿者:志賀 投稿日:2010年 1月15日(金)21時01分42秒

今問題にしているのはウーファーの振動から来る逆起電力の影響です。ということで、100Hzくらいの周波数でのケーブルのインダクタンスによるインピーダンスを計算してみて下さい。直流抵抗の1/100 くらいにしかなりません。ということで、この問題についてケーブルのインダクタンスは考慮する必要はありません。

以下の話題は、少し本題からずれていますが関連したテーマです。

直列型ネットワークについて

Re: 逆起電力 投稿者:HD 投稿日:2009年12月20日(日)14時49分34秒
志賀さん, 皆さん:

またタイミングを失したポストになるかも知れませんが、スピーカのクロスオーバ回路の方式(6dB/Oct、12dB/Oct、それぞれ並列式、直列式)によって逆起電力の様相が変る(当然でしょうが、、、)という資料がありました。 但しバイワイヤについての記述はありません。

測定法の詳細は判りませんが、回路定数は具体的な数字が入ってます。念の為ですが、back EMF=back electromotive force=逆起電力。"counter EMF"と言う場合もあります。

http://sound.westhost.com/parallel-series.htm#s12

クロスオーバー周波数に焦点を当てるのは、ウーファの逆起電力がトゥイーターに与える影響が最も大きいと考えているからでしょうか?

Fig. 2.4の説明「In the following graph, each trace indicates the current generated when a 1V source is connected in series with the woofer. This represents the back EMF generated by the cone’s momentum when the signal changes. The red trace shows the current in the parallel network, and as can be seen, it drops to a low value (high impedance) at the crossover frequency. A series network maintains relatively good control over this region, tapering off (impedance increasing) gradually.」に割と具体的な測定法が書かれていると思われます。 「ウーファに直列に信号源を入れ、これを変化させてネットワークに流れる電流を測る」と言うのはどうなんでしょうか?

Re: 逆起電力 投稿者:志賀 投稿日:2009年12月21日(月)15時44分25秒
HDさん

>スピーカのクロスオーバ回路の方式(6dB/Oct、12dB/Oct、それぞれ並列式、直列式)によって逆起電力の様相が変る(当然でしょうが、、、)という資料がありました。 但しバイワイヤについての記述はありません。

少し丁寧に読んでみました。主にこのサイトの管理人が提唱する直列結合ネットワークのシュミレーション解析が中心ですね。確かに直列結合はユニットのインピーダンスに影響されず、さらに矩形波入力に対して波形がくずれない大変良い特性を示しています。ただ重大な欠点として今話題になっているウーファーの逆起電力の減衰率が悪いことがあり、これについて色々解析をしているようです。その中で通常使われている並列結合ネットワークに対しては十分減衰するので特にシュミレーションもしていないようですね。

> クロスオーバー周波数に焦点を当てるのは、ウーファの逆起電力がトゥイーターに与える影響が最も大きいと考えているからでしょうか?

それはそうでしょうね。クロスオーバー周波数ではLPFもHPFのまだ十分減衰していないので、もしクロスオーバー周波数にウーファーのf0があれば結構高域側に影響を及ぼすでようが、実際に大きな逆起電力が生じるのはf0はなのでパラ接続では十分減衰するはずです。
>
> Fig. 2.4の説明「・・・」に割と具体的な測定法が書かれていると思われます。 「ウーファに直列に信号源を入れ、これを変化させてネットワークに流れる電流を測る」と言うのはどうなんでしょうか?

Fig.2.4はLFPよりウーファー側に1Vの交流電圧を入れこれを逆起電力とみなしLPFを含む閉回路を流れる電流を計算しています。並列結合では並列LC共振回路になるので共鳴周波数fc=sqrt(LC)/2π でインピーダンスが極大となり、従って電流が最小になるということを示す図ですね。ただし、これはあくまで閉回路を流れる電流量なので、アンプの出力端子の電圧変化は 1/DF に減衰するので以前私が示した結果と矛盾しません。

なお、バイワイヤについての記述がないのは、管理人が推薦している直列ネットワークでは原理的にシングルワイヤしか使えないからだと思います。

そもそも直列式ネットワークというのを実際に使っている例が他にあるのか寡聞にして存じません。ご存じの方おられますか?

Re: 直列型クロスオーバ 投稿者:HD 投稿日:2009年12月22日(火)18時17分5秒
志賀さん:

小型2wayで1機種見つかりました。機種名は伏せますが、以下のようなスピーカです。現在でも入手可能かどうか判りませんが、2007年発売との事です。

商品説明

◎新開発「カーブド(曲面)バッフル」を採用した、全周突板仕上げキャビネット スピーカーの音質を左右するキャビネットには、響きの良さに優れた高密度MDF材を突板仕上げで採用しました。(後略)

◎新規開発ウーファーユニットとソフトドームツィーター アルミダイカストフレームに多層コーティング振動板を組み合わせたウーファーユニットにより、安定した音像定位と豊かな定位域再生を可能にします。(後略)

◎直列型ネットワーク採用 ウーファーとツィーターの音をスムーズにつなげ、位相のズレを抑制可能な直列型ネットワーク回路を採用。また、ネットワーク基板には、耐熱性に優れ、信号伝播特性も高いガラスエポキシ基板を採用しています。

スペック

形式 2ウェイ/バスレフ型
インピーダンス 6Ω
最大入力 80W
ツィーター 2.5cmドーム型
ウーファー 12cmコーン型
クロスオーバー周波数 2kHz
再生周波数範囲 48Hz〜45kHz
出力音圧レベル 85dB
最大外形寸法(約) 168(W)×305(H)×270(D)mm
重量(約) 5.2kg(1本)


Re: 直列型クロスオーバ 投稿者:志賀 投稿日:2009年12月23日(水)09時47分22秒 HDさん
HDさん

有難うございます。検索でメーカーは分かりました。ちゃんとしてメーカー製品にも存在するわけですね。

ちょっと穿った見方ですが、直列結合ネットワークの効能書きが難しくあまりユーザーにアピールしないのかもしれませんね。


直列型ネットワーク 投稿者:AP 投稿日:2010年 1月 5日(火)00時25分5秒
HD様

アルテック604型同軸ユニットの下位モデル、605用のネットワークも直列型の回路構成で、ウーハーが−6dB/oct、ツィーター側が−12dB/octのスロープになっています

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